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愛着の問題-失われた愛情をめぐって-

目次

  1. ある日常から
  2. 愛情剥奪について
  3. 愛情は与えれるものなのか
  4. 心理療法の中での愛情の取り扱いをめぐって
  5. 負の能力
  6. 理不尽な人生を生きて

1 ある日常から

 以前に体験した、少し印象的なことを書こうと思います。

 あるレストランで昼食をとっていたのですが、隣の席に小さい子どもを連れた家族連れが食事をしていました。別に聞き耳を立てていたわけではないのですが、話し声が聞こえてきました。内容はなんでもないことですが、独特のイントネーションと言葉使いからその家族の出身地はすぐに分かりました。そして、当然といえば当然なのですが、その家族の両親と同じイントネーションで子どももしゃべっていました。

 全くなんの変哲もない日常の風景だったかと思います。

 子どもは親を代表とした養育者の元で育ちます。その養育者から色々なものを得て、学び、取り入れて成長します。言葉はその代表的なものでしょう。子どもは幼少期であればあるほど、意識しませんが、養育者からの影響は大きいでしょう。

2 愛情剥奪について

 もし何らかの事情で子どもが養育者との健全でほどほどの関係を持てなかった時、子どもはどうなるでしょう。何らかの事情で適切な養育を受けれない子どももいます。虐待などはその典型かもしれませんし、過去であれば戦争や紛争により、過酷な状況で生きねばならないこともあったでしょう。

 イギリスの小児科医であり、かつ精神分析家であったウィニコットはそのようなことを愛情剥奪の観点から論じました。愛情剥奪の子どもは様々な困難を抱えます。もちろん、それでも健康に成長していく子どももいるでしょうが。

 我々のような心理療法を生業としていると、そのような愛情剥奪を経験した方とお会いすることが多いです。うつや不安、人間関係、職場不適応などの困りごとで相談に来られますが、愛情剥奪の課題を内にかかえていたりもします。

 そのようなとき、我々は何ができるでしょうか。

3 愛情は与えられるものなのか

 一昔前ですが、育てなおし・抱っこ療法などというものが流行ったことが一時期あります。簡単に言うと、子どもの頃に愛情が少なかったから、それを取り戻すために子どもにするような世話や抱っこを大人のクライエントに施すという方法です。今でもそういうことを本気で必要と思っている方もおられるかもしれませんが、ほとんどの場合、失敗に終わっているようです。時にはクライエントに性的接触をした、ということで訴訟にもなった事例もあります。成人の女性を成人の男性が抱っこするのですから、そのようなことが当たり前ですが起こりますね。

 心理学・発達心理学の専門用語に「臨界期」というものがあります。簡単にいうと、発達過程の中で学習できなくなってしまう時期をさします。例えば言葉の習得であれば3〜4歳程度と言われており、その時期までに言葉が習得できないと、後々に習得することは難しくなります。

 もしかしたら愛情というものにも、このような「臨界期」があるのかもしれません(発達心理学的には正しいかどうかは分かりませんが)。臨界期というほどのことではなくても、子どもの頃に愛情が得られなかったからといって、大人になって同様の愛情を与えることで健康になる、というのはなかなか難しいのかもしれません。

 こんな風に書くと、愛情剥奪にあった子どもや大人には希望も未来もないようになってしまいそうですが、そうでもないと私は考えています。

4 心理療法の中での愛情の取り扱いをめぐって

 カウンセリングや心理療法の中で愛情剥奪について、あれこれと話し合い、思いを巡らし、その哀しみを十分に体験することが何らかの役にたつように思いますし、そうした事例に幾度も出会ってきました。

 しかしながら、それはカウンセリングや心理療法の中で愛情を与えることや愛情を体験することを目指すのではありません。その逆だと私は考えています。つまり、愛情が感じられないこと、信頼を持てないこと、怒りを感じること、恨みを感じること、猜疑的になること、不安になること、依存したくなること、等、そのようなネガティブな情緒を扱っていくことが心理療法でできることでしょう。もう少し言うと、心理療法家とクライエントとの関係が、そのようなネガティブなものが渦巻くようになることが必要となるのです。そして、それについて真摯に向き合っていくことです。

 これはよくよく考えてみれば当然のことなのですが、人と人との関係に信頼を置くことができないのであれば、同様に心理療法家との間でも同じことが起きます。しかし、それが起きることがマズいことではありません。マズいのは、そのような関係になっていることを認識できなかったり、話し合えなかったり、表面的にニコニコしたりすることです。

5 負の能力

 心理療法家とクライエントがネガティブな関係になっていることを話し合いの土台に乗せ、それがどのような意味を持つのかについて二人で考えていく作業が心理療法的に必要になってきます。そして、そのような作業こそが、クライエントの行動や思考、生き方の軸となっていきます。違う言葉で表現すれば、ネガティブな関係を生き抜くことがクライエントの底力になります。ケーパーというアメリカの精神分析家はこれを「ネガティブケーパヴィリティー」と言っています。日本語に訳すと、否定的な事柄に耐えれる能力、となります。

 これは単に愛情を与えておけばよいという単純な話ではありません。

 愛情がなかったかもしれないし、剥奪されていたのかもしれないし、その傷つきは癒されることはないかもしれないけど、そのような人生も全部ひっくるめて抱えて生きていけるようになることを、心理療法では援助していきます。

6 理不尽な人生を生きて

 考えてみれば、どのような人にとっても人生や社会は理不尽なものにまみれていますし、決して思い通りになることばかりではありません。時には個人の力では何ともしようがないこともたくさん起きます。そうした時にでも何とかいきていかねばならないのが人生だと思います。


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