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カウンセリングで安易にカウンセラーを変えることのデメリット

 時にはカウンセリングで辛い気持ちになったり、苦しくなったりすることもあります。そうした時、カウンセリングを中断したくなったり、カウンセラーを変えたくなったりすることもありますが、それを安易にしてしまうことのデメリットについて書きました。

目次

  1. カウンセリングで辛くなる
  2. カウンセリングを辞めたくなったり、カウンセラーを替えたくなる時
  3. 安易にカウンセラーを変えることのデメリット
  4. カウンセラー交代を希望して来られた時のカウンセラーの対応

カウンセリングで辛くなる

 カウンセリングというのは色々な技法やスタンスや構造があるので、一概には言えませんが、そのプロセスは非常に困難が付きまといます。カウンセリングを受けるとたちどころに全ての問題が解決したり、癒しが起こったりすることは一般的にはありません。それほど多くはないものの、逆にカウンセリングを受けることでしんどい思いをしたり、苦しい気持ちになったり、病状が一時的に悪化することもあります。

 特に自己探索的なカウンセリングをしていると、クライエントさんは自分のことを考えたり、今までの経験を振り返ったりしていきます。そこでは、見たく無いもの、耐え難いもの、忘れ去ってしまいたいもの、自分自身の醜い部分に直面していかねばなりません。それを直面し続けることは大変な苦痛と労力がともないます。

 そういう嫌なものを回避したり忘却することなく、自分のものとして納めて、整理していきます。そのようなプロセスを通して自己理解が深まり、心が豊かになっていくものと思われます。

 しかし、そういうプロセスは先にも書いたとおり、非常に大変なものです。クライエントさんにもカウンセラーにもその負担は大きいものです。そのようなプロセスを覚悟を決めて、取り組んでいくためには最初の契約をしっかりとし、構造を決め、目標を共有し、作業同盟を結び、「あなたの中にカウンセリングに対する不満やしんどさが出てきた時には遠慮せずにすぐに言ってもらいたい」といった提案が大変重要になってきます。また、カウンセリングを継続していけるようにカウンセラーはクライエントさんのモチベーションを維持し、地道に自己理解の作業に取り組んでいけるように援助していきます。時には励まし、時には労をねぎらい、時には共感し。

カウンセリングを辞めたくなったり、カウンセラーを替えたくなる時

 しかし、そのような手続きを踏んだとしても、自己を見つめていく作業というものがとても辛く、逃げ出したくなる気持ちもよく分かります。そういうときに、クライエントさんはある種の防衛を働かせたり、抵抗状態になったり、キャンセルしたり、アクティングアウトを起こしたりします。その時に慌てず、カウンセリングの目標・構造・主訴に立ち返りながら、元の自己理解の作業に戻るように促していきます。

 そうした時、時にあるのが、クライエントさんがカウンセラーの交代を希望することです。

 このような苦難の道を歩んでいくと、多かれ少なかれカウンセリングやカウンセラーに憎しみや怒りといった感情を向けてくることがあります。そこまでではなくても否定的な気持ちになることもあります。「あのカウンセリングに行くとしんどくなる。」「もうカウンセラーにもう会いたくない」という気持ちになり、カウンセリングを中断したり、全く別のカウンセリング機関を受診したりすることもあります。

 時と場合にもよりますが、こういう時に、クライエントさんの要望を受け入れて、簡単にカウンセリングを終了したり、カウンセラーを交代したりすることはあまり良くない様に思います。もちろん、クライエントさんにはカウンセラーを選ぶ権利があり、最終的にはクライエントさんの希望に沿うべきです。しかし、これらのクライエントさんの行動を進展することへの抵抗であるとしたら、元のカウンセリングに戻すように促していく必要はあると思います。

安易にカウンセラーを替えることのデメリット

 カウンセリングにはある種のしんどさがつきものですが、しんどさがあるからすぐにそこから逃げ出し、自己から目をそむけるとそれ以上の一歩が進めなくなります。きつい表現ですが、しんどいこと・嫌なことがあるとそれに取り組まずに逃げ出すという行動が水路付けされてしまいます。それが繰り返されればドクターショッピングのようになってしまい、カウンセリングでの経験が積み重なっていきません。そして結局はクライエントさんが望んでいた目標が達成できなくなります。

 クライエントさんのカウンセリング終了やカウンセラー交代の希望を容易に受け入れることは、一見優しく、親切に見えますが、実は長期的な目で見ると、クライエントさんの利益に反することをしていることになります。時には厳しく、元のカウンセリングに戻ることを勧めることも必要になってくる場合もあります。

カウンセラー交代を希望して来られた時のカウンセラーの対応

 僕のところにそういうふうにカウンセラー交代を希望してカウンセリングに来られたクライエントさんには、まずは話を聞くことはします。その中でカウンセリング的な関わりはできるだけせず、クライエントさんの気持ちや要望や状況を傾聴し、できるなら、「今、あなたが言われたことはとても重要なところで、そのことを前の担当のカウンセラーさんに話すことでカウンセリングが進展していく可能性があります。実際には遠慮もするし、中々言い出しにくいことかもしれませんが、できれば、そのことをもう一度前の担当のカウンセラーさんに言ってみてはどうでしょうか?」といった言葉を伝えれたらと思っています。

 僕が担当するクライエントさんも時には僕とのカウンセリングが苦しくなって、他のカウンセラーの元に行くかも知れません。他のカウンセラーに僕のやり方を無理強いすることはできませんが、できるなら、元のところに戻すように促してもらえたら僕としては大変ありがたく思います。

 実際に、僕の担当していたクライエントさんが他のカウンセラーのところに行ったことがあったのですが、そのカウンセラーの人は僕との連携がなかったのにもかかわらず、上記のような対応をしてくれました。そして、僕のところに戻ってきたクライエントさんとカウンセラー交代の希望について話し合いをすることで、そこからカウンセリングが展開していったケースがありました。いつもいつもこういう風に良い方向で進むものではないかもしれませんが、できたらこうありたいものと思っています。

 もちろん、他のカウンセラーとのカウンセリングを継続しているクライエントさんが来られて、あまりにも無茶なことをしていたり、技法的に誤りなことをしていたり、倫理的な問題がある場合にはこの限りではないとは思います。そういう場合には適切なアドバイスをしたり、その元のカウンセラーと連絡を取ったりする必要が時にはあるかもしれません。

論考   2017/02/04   北川 清一郎

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