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公開:2017年10月31日 更新:2017年10月31日

カウンセリング(Counseling)とは

目次

  1. カウンセリングとは?
  2. カウンセリングの歴史
    1. 近代まで
    2. 近代以後
      1. 教育測定運動
      2. 精神衛生運動
      3. 職業指導運動
    3. 現代
  3. ロジャースの来談者中心療法におけるカウンセリング
    1. ロジャースの生い立ち
    2. 非指示的療法から来談者中心療法
    3. 変化のための三条件
    4. カウンセリングという用語の使用
  4. カウンセリングと類似した用語
    1. 心理療法
    2. 精神療法
    3. 心理相談
    4. ガイダンス
    5. コンサルテーション
  5. カウンセリングにおけるエビデンスベースド
    1. ロジャースの研究
    2. エビデンスベースドの潮流
  6. カウンセリングで使われる技法
    1. 傾聴
    2. 沈黙
    3. うなづき
    4. あいづち
    5. 繰り返し
    6. 承認
    7. 保証
    8. 要約
    9. 質問
    10. 助言
    11. 明確化
    12. 解釈
    13. 自己開示
  7. カウンセラーになるための訓練と資格
    1. カウンセラーの訓練
      1. 読書やセミナー
      2. スーパーヴィジョン
      3. 個人分析
    2. カウンセラーの資格
  8. カウンセリングの効果
  9. カウンセリングにおける倫理規定
    1. 二重関係
    2. 私的利用
    3. 性的行為
    4. 守秘義務
    5. インフォームドコンセント
    6. 適正な技術の実施
    7. 研鑽義務
    8. カウンセリング関連団体の倫理綱領
  10. 終わりに

カウンセリングとは?

 カウンセリングとは、主には言葉を用い、対話や会話をとおしてクライエントが困っている事や悩んでいる事を解決していく営みのことを指します。その困りごとの多くには、人間関係、家族関係、職場環境、心の病気、学校適応、社会適応、恋愛などについてが含まれます。そして、カウンセリングは心理学、臨床心理学、精神分析学学習理論認知理論、異常心理学、精神病理学などの学術的な知見を基礎にし、それらを臨床的に応用しています。また、カウンセリングを実施する人をカウンセラーと言い、カウンセリングを受ける人をクライエントと言います。カウンセラーになるためには一定の訓練が必要で、座学、スーパーヴィジョン、個人分析などがあります。

 以下にカウンセリングの歴史、理念、技法、訓練、資格、効果、倫理などについて説明していきます。

カウンセリングの歴史

近代まで

 カウンセリングの歴史は古代の原始宗教にまでさかのぼることができます。古代ではシャーマンと言われる祭司、族長、宗教家などが今でいう医療的なケアをおこなっていました。その中には悪霊憑き、今でいう精神疾患のケアも行っていたようです。そうした役柄が現在のカウンセラーによるカウンセリングの原型であると言われています。

 キリスト教が誕生してからは、牧師や神父が教会内での告解、懺悔などを聞く役割を担っていました。そこでは罪を告白するということを通し、自身の悩みや葛藤を誰かに話し、それによって精神的なしがらみから解放されていました。こうした事柄もカウンセリングの原型と言えるでしょう。

近代以後

 近代、つまり産業革命以降になると宗教的な世界観ではなく、科学的な世界観が優勢を占めるようになってきました。そして、人間の精神や心のメカニズムについて探求し、精神疾患の分類や診断を整備し、科学的な治療を行うようになっていきました。ドイツのクレペリンなどは統合失調症(当時は早発性痴呆といわれていた)、躁うつ病、てんかんなどの精神疾患を分類しました。また、フロイト外部リンクなどはヒステリーと言われる神経症、不安障害について研究し、治療を行うようになりました。

 上記のことは精神医学の分野ですが、心理学や社会生活の分野において、困っている人の援助を行う運動が発展していきました。それが以下の3つとなります。

教育測定運動

 知的水準を向上させるためには教育というものが非常に重要な役割となってきます。そして、個々によって適切な教育というのは違います。特に知的能力の水準によって、どうした方法の教育が良いのかを変えていかねば、逆効果になります。そのため、知的能力の把握ということが求められるようになりました。

 1905年にフランスのビネーが知能検査外部リンクを作成したのが始まりと言われています。その後、ビネー検査は改訂を重ねて、精度をあげていきました。またソーンダイクは「すべて存在するものは量的に存在する。量的に存在するものはこれを測定することができる」と主張し、知能把握の技術を開発、活用していきました。

精神衛生運動

 アメリカのビアーズが1908年に「全国精神衛生協会」を設立したことから始まりました。これは当時、劣悪な環境に置かれていた精神障害者の待遇改善を目的としていました。適切な治療を受け、人間らしい扱いを受けられるように働きかけていきました。こうした運動が今日のメンタルヘルスにも通じ、もちろんカウンセリングにも影響していきました。

職業指導運動

 アメリカのパーソンズが1908年に職業指導局を開設し、若者たちに適切な職業選択や、就業支援を行ったことから始まりました。それまでは適性などは考慮されず、そのため離職率が高く、効果的な経済活動ができていない状況でした。こうした職業指導は科学的な裏付けの元で行われており、そうした相談員はカウンセラーと呼ばれていました。

現代

 上記の3つの運動が20世紀初頭に次々と始まりました。いずれも人間らしいあり方や営みになるように支援することです。それは運動でもあり、思想であると言っても良いかもしれません。こうした営みが後で書くロジャースの使っていたカウンセリングという名称が定着し、様々な問題で困っている人たちに対するケアをする際にカウンセリングといわれるようになっていきました。そしてカウンセリングを行う人をカウンセラーと呼ぶようになりました。

ロジャースの来談者中心療法におけるカウンセリング

ロジャースの生い立ち

 ロジャース(1902-1987)はアメリカのイリノイ州の敬虔なプロテスタントの家庭に生まれました。ロジャースは当初は農学部に進み、その後、キリスト教に興味を持ったことから史学に転向しました。そして牧師になるために神学を勉強していましたが、その道に疑問を感じ、コロンビア大学教育学部外部リンクに入り、そこで臨床心理学を学びました。当時は精神分析が全盛で、ロジャースもそれを習いました。卒業後には児童相談所に勤めるようになりました。

非指示的療法から来談者中心療法

 ロジャースは児童相談所で勤めるようになり、徐々に従来のやり方に違和感を感じるようになりました。そして、人間は自然に成長していく力を本来的に有しているので、それを害しないように見守ることが大事である、という考えになり、非指示的療法を提唱するようになりました。この方法が社会に受け入れられ、広がっていきましたが、理念を取りこぼし、「非指示」の部分だけが広まってしまいました。

 ロジャースは非指示というやり方が重要なのではなく、その理念が大事であるとし、そのため名称を来談者中心療法と呼ぶようになりました。さらに、後年には人間の成長そのものに焦点を当てることから人間中心療法と変更しました。そのころにはエンカウンターグループという集団療法の実践に軸足が置かれるようになっていました。

変化のための三条件

 ロジャースはクライエントが変化するために必要にして十分なカウンセラーの条件として3つ挙げました。それが有名な自己一致、無条件の肯定的配慮、共感的理解です。カウンセラーがこの3つの条件を達成、維持できたときにクライエントに有益な変化が生じるとしました。

カウンセリングという用語の使用

 ロジャースは非指示的療法や来談者中心療法を実践していましたが、それに対して医師を中心に、医療行為ではないか、医師法違反ではないかと糾弾される事態が起こってきました。そのため、ロジャースは治療行為ではないという意味を込めて、「カウンセリング」という用語も使うようになりました。また同時に患者ではなく「クライエント」という用語も使うようになりました。

 このあたりのことが、カウンセリングという用語が世間的に認知されるようになったきっかけと言えるでしょう。

カウンセリングと類似した用語

 カウンセリングと似たような用語は多数あります。心理療法、精神療法、心理相談、コンサルテーションなどです。人によってはほぼ同義語として使用することもあります。今のところ統一的な見解があるわけではありません。以下では違った意味で使う時の説明をします。

心理療法

 カウンセリングよりも、心の深い水準に焦点を当てる技法という意味で使うことがあります。例えば深層心理や無意識を扱うような時には心理療法と呼んだりします。もしくは、心理学者や臨床心理士といった「心理」が行う場合に、この心理療法という言葉で呼ぶこともあります。

精神療法

 カウンセリングや心理療法よりもさらに深い心の水準に焦点を当てるような技法に対して使うことがあります。もしくは、精神科医などの医師が行う場合に精神療法と呼ぶことがあります。

心理相談

 職場や家庭、学校などの日常的な場面での現実的な問題や困りごとの相談に乗るときに使われることがあります。また、単に話を聴くだけではなくて、アドバイスや情報提供といった現実的な介入を行うなどの時にも使用されます。精神障害などの病気の治療よりも、生活する上での困りごと相談というニュアンスに近いかもしれません。

ガイダンス

 心理相談の中でも、特に助言や指示に重きを置き、それらを多用するような面接のときにガイダンスということがあります。

コンサルテーション

 専門家が別の専門家に対して助言や指導を行うことを指します。例えば、対処が困難なクライエントにどう支援を向ければ良いのか困っているときに、ベテランや先輩にしてもらうことなどです。多くの場合、コンサルテーションを受ける専門家はその業務以外のことでは特に困っておらず、健康に生活できていることが多いです。

カウンセリングにおけるエビデンスベースド

ロジャースの研究

 上記で書いたロジャースは自身のカウンセリングや来談者中心療法が本当に効果があるのかについて科学的な検証を行いました。効果があると単に主張するよりも、データを示したうえで主張する方が説得力を持ちます。

 ウィスコンシン・プロジェクトと言われる研究をロジャースは行いましたが、これは一定の訓練を受けたカウンセラーが精神障害者に対してカウンセリングをすることでどれぐらいの治療効果があるのかを調べるという研究でした。また、カウンセリングでの会話をテープレコーダーに記録し、その分析も行いました。その結果はそれほど芳しいものではありませんでしたが、こうしたデータを示して、効果を立証する姿勢は現代では非常に重要なものとされており、ロジャースはその先駆けであると言えるでしょう。

エビデンスベースドの潮流

 これまでの医学では主に個々の医師の経験則を頼りにした治療行為が多く行われていました。しかし、それでは何が本当に効果があるのか、何が効果がないのかが分かりません。また本来なら効果がない方法なのに、効果があると勘違いしてしまうこともあります。こうしたことは非常な弊害になります。

 そこで、個々人の主観ではなく、実際のデータから効果のあるなしを判断していき、効果のあるものは残し、ないものは廃止していくことで、有益な方法だけを積み重ねていくことができます。

 これは医療や医学だけではなく、カウンセリングにもその理念は有効です。これに関しては膨大なデータや研究の種類があるので、ここでは述べきれませんので、興味のある方は以下の書籍を読まれると良いでしょう。

M,クーパー(著)「エビデンスにもとづくカウンセリング効果の研究-クライアントにとって何が最も役に立つのか-」岩崎学術出版社 2015年外部リンク

カウンセリングで使われる技法

 以下ではカウンセリングでよく使用する技法、方法を書きます。もちろんいつもこれら全てを使うことはなく、クライエントの状態やタイミング、戦略によって柔軟に取捨選択しながら、適宜使っていきます。

傾聴

 クライエントの話に耳を傾けることです。基本的には批判したり、評価したり、遮ったりすることなく、クライエントが思っていることを言い切るまで待ちます。これは一見簡単に見えますが、なかなか難しいことです。つい口をはさみたくなったり、反論したくなったりするのが人間です。傾聴に徹することはそれなりの経験と力量が必要になってきます。

沈黙

 これを技法というかは難しいところですが。カウンセリングなどで対話をしていると沈黙することがしばしばあります。沈黙は悪いものではありません。その沈黙の間に言葉をかみしめたり、何を言うのかを考えたり、情緒に浸ったりする大切な時間であります。

 しかし、一方で気まずいものであったり、敵意に満ちていたり、反発を含んでいたり、混乱していたりするような沈黙もあります。カウンセラーはどういう沈黙なのかをある程度把握し、待つべきなのか、それとも何かを発するべきなのかを瞬時で見分けねばなりません。沈黙を適切に扱えるのはカウンセラーの力量と経験によります。

うなづき

 クライエントの言ったことに対して「うんうん」と言ったり、首を振ったりします。これによって、意味のある言葉を言ってはいなくても、話を聴いているという姿勢や態度が滲み出てきます。クライエントもカウンセラーのうなづきによって、話すことを勇気づけられ、さらに色んなことを話そうという動機づけになっていきます。こうしたうなづきによって、カウンセリングにおいての対話の量と質を充実させていくことができます。

あいづち

 「なるほど」「そうか」「へー」「そうですね」といった間投詞を投げかけることをあいづちと言います。うなづきよりも明確な言葉をさしはさみますが、そこまで意味を含んだものではありません。うなづきと同様にカウンセリングにおいての対話を促進させる機能があります。

繰り返し

 クライエントの言った言葉をそのまま言い返すことを指します。特にクライエントの言ったことの中で重要そうなことであったり、情緒が含んだ言葉であったり、言いたいポイントであったりする言葉や文章を繰り返すことで、クライエントが話を聴いてもらえているという実感につながります。または、クライエントが何気なくいった一言が、実は重要なポイントなのだ、ということをクライエントに伝えるという機能もあります。

 ただ、無暗やたらに使ったり、ポイントではない言葉を繰り返したりしていたは、逆効果になることもあります。

承認

 クライエントのことを評価し、褒め、「それは良かった」「頑張ったね」というように励ますことです。そこには多少は価値判断が含まれていたりもしますが、こうした承認をされることで勇気づけられたり、救われたり、助けられたりすることは日常生活でもよくあることです。カウンセリングの中でもこうした承認が効果的な時もあります。

保証

 クライエントの不安や心配に対して、問題ない、大丈夫であると安心を与えることです。これにも価値判断は含まれていますが、保証があることで次の一歩踏み出せることは多いです。強迫性障害や不安障害などのクライエントに保証をあまりにも使うと逆効果になりますので、そうしたことには気を付ける必要はありますが。

要約

 クライエントの言ったことを短くまとめ、整理し、分かりやすく伝え返すことです。クライエントによっては言っていることが断片的であったり、バラバラであったり、起承転結がなかったりします。そうした話を要約することはカウンセラーにとっても頭の中の整理になりますし、クライエントにとっても整理になり、自身で何が言いたいのかが明確になっていきます。

質問

 質問は日常生活でも多用されています。カウンセリングでももちろん使います。質問には閉じられた質問と開かれた質問があります。

 閉じられた質問とはYESかNOで答えられるような2択3択のものです。比較的答えやすく、クライエントの負担にはあまりなりませんが、話が広がらず、途切れがちになることもあります。

 開かれた質問は、「どう思うか?」や「どういうことがあったの?」というような文章で述べなければならないような回答を促す質問です。時と場合によっては答えることに相当の負担がかかることもありますが、話が広がり、豊かな内容をもった対話にしていくことができます。

 こうした質問はカウンセラーが情報を聞き出し、理解するための機能があると同時に、クライエントが質問に答えることによってクライエント自身が考えたり、言葉にすることで新たな発見を促したりすることができるという機能があります。

助言

 アドバイスや指導といったもので、カウンセラーが心理学的な知見からカウンセリング的な観点から、行った方が良い行動を提案します。

 ただし、助言は強制力をあまり持たせないようにし、最終的にはその助言を実行するかどうかの判断はクライエントに担ってもらう方が良いでしょう。クライエントをカウンセラーの助言だけを実行するロボットにしてしまったり、ある種のカウンセリング依存を作り出してしまったりするリスクがあります。

明確化

 クライエントからはまだ語られていないこと、明らかになっていないこと、隠されている情緒について、カウンセラーがそれを明らかにしていくことです。そのために質問をすることもあれば、積極的に「こういうことではないか?」と伝えていくこともあります。

 ただし、明らかになっていないことにも理由があることもあります。例えば、その情緒に触れることが非常に苦しいから明らかにしない、などがありますし、そうした時に強引に明確化するとそれだけでクライエントが破綻してしまうこともあります。そうした使い方には注意が必要です。

解釈

 精神分析などではこれが重要な介入になってきます。解釈とはクライエントがそれほど意識していないこと、無意識にあること、気づいていないことについて、カウンセラーがある種、言い当てていく介入です。クライエントがそれによって自身の無意識に触れ、自己洞察を促していくことができるようになります。

 これについては「カウンセリングと解釈」で詳しく書いています。

自己開示

 カウンセラーが自分自身の考えや思い、感情などをクライエントに伝えることです。カウンセリング外部リンクの局面によっては、このような自己開示により、カウンセラーとクライエントの信頼関係が強まり、良い変化を及ぼすことがあります。

 この自己開示はカウンセラーのパーソナルな側面に触れていくことになるので、どこまでを開示していくのかはカウンセラーの治療観や人生観に大きく左右されます。

 しかし、少なくとも、カウンセラーの住所や電話番号、生い立ち、家族歴、病歴といったクライエントやカウンセリングに直接関係ないことは自己開示しない方が無難ではあるでしょう。

 これについては「カウンセリングでカウンセラーが自己開示をすることについて」で詳しく書いています。

カウンセラーになるための訓練と資格

 カウンセリングを行えるようになるためには一定の知識と技術が必要になってきます。以下に訓練と資格に分けて書いています。

カウンセラーの訓練

 カウンセラーの訓練には主に座学(読書やセミナー)、スーパーヴィジョン、個人分析の3つがあります。その他にも、音楽、絵画、小説、映画、漫画といった芸術に触れ、感性を磨くこともカウンセラーの糧になるでしょう。

読書やセミナー

 専門書を読んだり、セミナーや研究会外部リンクに参加し、カウンセリングなどについての知識を得ることは非常に重要です。その他にも、事例検討会などに参加をし、人の事例を聞き、そこで考えたり、討論したりすることも訓練となります。

スーパーヴィジョン

 自分自身が行ったカウンセリングの記録を指導者やベテランのカウンセラーに聞いてもらい、助言をもらったり、指導してもらったりすることです。これには個人で受けるものと、集団で受けるものがあります。

個人分析

 精神分析では必須の訓練ですが、カウンセラーの訓練としても有効です。カウンセラー自身がカウンセリングを受け、自分自身の性格、生い立ち、特性、性質などについての理解を深めます。それによって、個人的な感情や思いに左右されず、冷静にカウンセリングに臨むことができるようになります。精神分析的に言うと、逆転移を抑制したり、活用したりするといえるでしょう。

カウンセラーの資格

 カウンセラーは職業名なので、何の資格がなくても、極端には何の訓練を積んでいなくてもカウンセラーを名乗ること自体は可能であり、倫理的には問題はあったとしても、法的には違法ではありません。また、カウンセラーに関する資格は無数にあり、中には数回の講座に出席しただけで取得できるような資格もあります。もちろん、そうした資格の効用や意義には疑問がありますが。

 ある程度、信用ある学会や団体が発行している資格には、臨床心理士外部リンク、産業カウンセラー、臨床発達心理士外部リンク日本精神分析学会認定心理療法士などがあります。その中でも臨床心理士は大学院の修士課程を修了していることが必須で、日本の中では著名でしょう。

 カウンセラーの資格に関しては「カウンセリング・カウンセラーの資格としての臨床心理士」に詳しく書いているので、参照してもらえたらと思います。

 また、平成27年9月9日に公認心理士法案外部リンクが成立し、平成29年9月15日に施行されました。これによって、日本で初めてカウンセラーの資格が国家資格ができました。受験資格など当初よりも非常に低いハードルのものとなっており、その意味で質や技量に難題を残しています。しかし、それでも、国家資格ということで、病院や学校といった公的な機関でのカウンセラーは多かれ少なかれ、この公認心理師の資格が必要になってくると思われます。

 公認心理師については下記の2つの記事に詳しく書いているので、ご参照ください。

カウンセリングの効果

 カウンセリングを受けることによる効果は人さまざまですが、大まかには以下のような効果が感じられることが多いようです。

 カウンセリングの効果については、薬物療法外部リンクのように即効性はありません。数回のカウンセリングですぐに上記のような効果が得られることは多くはありません。ほとんどの場合が時間をかけて、徐々に得られていくことが多いです。時には数年越しになることも珍しいことではありません。

 それでも根気よく、地道に取り組み続けることによってそれなりの効果が感じられるようになっていくと思われます。

カウンセリングにおける倫理

 カウンセリングにはカウンセラーが守らなければならない倫理があります。倫理には非常に道徳的なニュアンスが含まれますが、非倫理的なことをすることによってクライエントに害を与え、福利に反することになってしまいます。以下に主だった倫理について書きます。

 各々のカウンセラーは「自分はこうしたことをしない」と無関係なものと考えるのではなく、何かのタイミングときっかけによって、倫理に反することをしてしまう可能性があると頭の片隅にでも置いておくことの方が大事になってきます。

二重関係の禁止

 カウンセラーは家族、親族、恋人、友人、クラスメイト、職場の人、生徒など、もともと私的な関係のある方にカウンセリングをしてはいけません。もし仮に、そうした私的な関係のある人とのカウンセリングをおこなった場合、私的関係とカウンセリング関係が重複してしまいます。これをカウンセリングにおける二重関係の禁止と言います。クライエントとカウンセラーは、カウンセリングの場のみの付き合い・関係でなければいけません。

私的利用の禁止

 カウンセラーがクライエントにカウンセリングを実施する目的はクライエントの福祉や福利に貢献するためです。そして、それの対価として料金を頂きますが、それはサービスの質と量に即した適正なものでなければいけません。それ以上のものを要求することやクライエントをカウンセラー自身の欲望のために利用することは私的利用にあたり、禁止されています。

 例えば、カウンセラー自身の宗教を押し付けること、カウンセリングとは関係のない売買を持ち掛けること、個人的な頼みごとをすること、セミナーや研究会に参加することを強要すること、などが挙げられます。

性的行為の禁止

 カウンセラーとクライエントが性的な関係を持つことは厳しく戒められています。例え、それがクライエントから求められたことであったとしても性的行為をしてはいけません。なぜなら、どういう形であったとしても性的行為によりクライエントは傷つくことになってしまうからです。

守秘義務

 カウンセラーやカウンセリングの中でクライエントから見聞きしたことを、みだりに第三者に話したり、公開したりしてはいけません。クライエントはカウンセリングの中ではプライバシーが守られるからこそ自由に話をしたりすることができます。秘密がばらされることほど傷つく体験はないでしょう。

 しかし、これには例外があり、例えば、自傷他害の危険性があり、関連機関との連携が必要になるときには守秘義務が解除され、適正な範囲内で情報共有を行うことのほうが寧ろ望ましいこともあります。虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)などがあるときには、こうした事態になることが多いかもしれません。

 これに関しては「カウンセリングにおけるカウンセラーの守秘義務」で詳しく書いています。

インフォームドコンセント

 日本語では「説明と同意外部リンク」と訳されることがあります。カウンセラーはこれから実施しようとするカウンセリングの方法や心理査定の方法などについて、クライエントの理解できる言葉で十分に説明する義務があります。そして、そのことについてクライエントから同意を得られない限り、実施してはいけません。

適正な技術の実施

 カウンセラーはこれまでに積み重なってきた心理学的な知見、臨床心理学的な知見を参照し、適正で、妥当性のある、効果がある程度保証されている技術を用いらねばなりません。研究が積み重なっておらず、効果が不明、もしくは効果のない技術をクライエントに対して実施してはいけません。時折、カウンセラーの中でも、効果が立証されていない代替医療外部リンク疑似科学外部リンク霊的治療の実施を標榜しているホームページも見かけますが、厳に戒められねばなりません。

研鑽義務

 カウンセラーは日々、勉強、学習、訓練、研究を行い、自身の技術を向上する努力を続けねばなりません。カウンセリングの技術は日々発展しています。そうしたこと全てを身に着けることは不可能ですが、それでもできる範囲で研鑽する義務があります。

カウンセリング関連団体の倫理綱領

 以下に心理学、臨床心理学、カウンセリングに関係する諸団体が公表している倫理綱領を挙げておきます。その団体に所属するカウンセラーはこうした倫理綱領に従って業務を行っています。反対にいうと、こうした団体に所属していない無資格カウンセラーは倫理に縛られておらず、野放しになっているため、時として危険になることもあります。

 その他にカウンセリングと倫理については以下のような書籍もでているので参考になるでしょう。

終わりに

 カウンセリングという言葉は非常に多義的で、さまざまな意味合いで使われることがあります。最近では美容院や不動産屋さん、結婚相談所、コールセンターなどでも接客を「カウンセリング」という言葉で表現しているところもあるようです。カウンセリングという言葉も世間的に認知され、広く知られるようになったということでしょう。しかし、ここでは、もちろん心理学的な観点や心の問題の解決のためのカウンセリングに限定して書いています。

 カウンセリングがどういったものであるのかを少しでもイメージすることができたらと思います。


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