横浜の臨床心理士によるカウンセリング、精神分析的心理療法、CBT、EMDR等で鬱やトラウマを改善。22時まで開室。土日祝開室。

心理オフィスK

-横浜の臨床心理士によるカウンセリング-

(神奈川県横浜市港北区の菊名駅から徒歩2分)

カウンセリングの申し込みは電話(045-717-5687)
もしくはinfo@s-office-k.comメールアドレス



> ホーム > 読書 > 「心理テストはウソでした」を読んで

 

ブログ(読書)

過去のお知らせや日記、雑記、論考、書籍の書評を掲載しています。

更新を随時受け取りたい方は以下のRSSフィードを登録してください。RSS配信中RSSフィード


「心理テストはウソでした」を読んで

 村上宣寛(著)「心理テストはウソでした-受けたみんなが馬鹿を見た」日経BP社 2005年外部リンクを読んだ感想です。本書は主にロールシャッハテストについての批判を展開しています。しかし、多少ロールシャッハテストについての誤解に基づいているようなところもあったので、それに対する批判を書きました。

目次

  1. ロールシャッハテスト批判
  2. ブラインドアナリシスの目的
  3. ロールシャッハテストの診断の妥当性
  4. ロールシャッハテストの数値の意味
  5. ロールシャッハテストと継列分析
  6. ロールシャッハテストの非効率性
  7. 批判的に考えること

1.ロールシャッハテスト批判

 ロールシャッハテストの主にエクスナー方式に対して著者は批判しています。

 まずロールシャッハテストの基礎的なデータの不備や捏造についての告発しています。確かにそうしたスキャンダルがあったと記憶しています。また、検査者によってスコアリングやコーディングが変わってくることや、解釈の妥当性に対しての疑問も呈していました。さらに、各指標の妥当性に対する批判も。さまざまな観点から論じられている。

2.ブラインドアナリシスの目的

 ブラインドアナリシスについて批判を詳しく書きます。斉藤、馬場、中谷のブラインドアナリシスが正確に被検者像を表現していないと著者は断じています。そして、それはそのとおりであると思います。しかし、ブラインドアナリシスは本来のロールシャッハテストの使い方ではなく、臨床では絶対にそういう使い方はしないでしょう。被検者の背景や疾患や臨床像を総合して所見を書くことが一般的です。

 ブラインドアナリシスはロールシャッハテストの訓練として使われることがよくあります。ブラインドアナリシスを通してロールシャッハテストのデータを読み込み、解釈し、その的確さを向上させるためにトレーニングとしてです。そうしたブラインドアナリシスの使用目的を考慮せず、ロールシャッハテストはでたらめであるとする論には乱暴と言わざるをえません。

3.ロールシャッハテストの診断の妥当性

 著者はロールシャッハテストでは統合失調症、神経症、健常者の分類することはできないとしています。確かにヘルマン・ロールシャッハがこのテストを作ったときには統合失調症と健常者を診断するための補助手段として開発されました。しかし、その後のロールシャッハテストの研究では疾患の診断をするよりも人格の水準・自我の機能・対人関係・認知機能などを測定することに重点が変わってきています。その点について著者は何も述べていませんでした。

4.ロールシャッハテストの数値の意味

 ロールシャッハテストは数量的に扱うには限界のある心理検査であるとは思います。ロールシャッハテストは10枚の図版から成り立っており、それぞれ全く違う形や色をしています。そのため、同じ記号のスコアでも、1図版で出るのと、2図版で出るのとでは、全く意味合いは違うでしょう。その質的差異を無視して1つ2つと数えていること自体にロールシャッハテストの定量的なスコアの妥当性に対しての疑問はあります。

 質問紙などの心理テストは各項目は文章は異なっていても、一つの意味を踏まえた構成となっています。ロールシャッハテストはその点でもまったく違います。ただ、こうした点については著者は述べていませんでした。

5.ロールシャッハテストと継列分析

 ロールシャッハテストはこのように数量化することよりも、全体的な反応の流れを概観し、心の些細な力動性を見ていくことで真価が発揮されます。いわゆる継列分析といわれるものです。その継列分析を通して被検者をみることにより、例えば、カウンセリングを導入した場合、どのようなカウンセリング関係が生まれ、どのようなプロセスを経るのかという見通しを立てさせてくれます。こうした継列分析は職人技に近いものがあり、非常に恣意的・主観的になってしまい、実証性に乏しいものであることは否定できないません。

6.ロールシャッハテストの非効率性

 そして効率の悪さについても著者は批評していました。確かにロールシャッハテストをすると、実施に1~2時間、整理と解釈にも同じぐらい時間を費やしてしまいます。そして著者は「うつを測るならベック抑うつ尺度、診断するならMMPI、知能を見るのなら知能検査が良い」と書いています。確かにその通りであると思います。これら3つのことを知ろうとしたら僕もロールシャッハテストではなく、上記3つのテストを使うと思います。

 しかし、繰り返しますが、ロールシャッハテストはそういうことに力を発揮するのではなく、むしろ力動的に、カウンセリング的に使用することによってその能力が最大限に生かされてくる心理テストだと思います。

7.批判的に考えること

 専門家も一般の人も無批判に心理テストを信奉する傾向にあるとは思います。そのため、疑問を投げかけ、もう一度そのテストについて振り返り、批判的に検証する必要はあるでしょう。本書のそういう警告に対してもっと真剣に考えねばならないとは思います。

関連記事

公開:2018-06-07 更新:2018-06-07
読書  北川 清一郎

ホーム | 新着情報 | 挨拶 | 自己紹介 | 相談内容 | 技法 | 研修 | 企業向け | 料金 | 開室時間 | Q&A | 実績 | 相談の流れ | アクセス(横浜) | 商取引表記 | プライバシーポリシー | blog外部リンク | twitter外部リンク | facebook(個人)外部リンク | facebook(オフィス)外部リンク | インスタグラム外部リンク | sitemap | 予約申し込み


twitterボタン フェイスブックいいね フェイスブックシェア google+ はてなブックマークボタン LINEボタン

カウンセリングのお申し込みは電話(045-717-5687)・メール(info@s-office-k.comメールアドレス)・メールフォーム

Copyright (c) 2015 - 2018 Psychological Office K All Rights Reserved.
〒222-0021 神奈川県横浜市港北区篠原北2-4-17 ライラック103号,045-717-5687
Photo by Pawel Pacholec and Gianni Cumbo


▲TOP