過重労働による過労死・自殺を防ぐためのいくつかの規定と法律
過重労働から従業員を守る規定や法律はいくつかあり、利用することにより過労死や自殺を防ぐことができます。
「過労自殺」労基署認定…残業月105時間(毎日新聞)2016/10/7
広告代理店最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が昨年末に自殺したのは、仕事量の著しい増加で残業時間が急増してうつ病を発症したためとして、東京労働局三田労働基準監督署は労災と認定し、労災保険の支給を決定した。遺族代理人らが7日、明らかにした。昨年10月9日から1ヶ月間の時間外労働は約105時間で、その前の1ヶ月間の約40時間から2.5倍以上に増えていた。
平成3年8月にも電通で過労死自殺がありましたが、そこでの教訓や反省が生かされていたのかは不明ですが、痛ましい事件が起こってしまいました。
過労、残業、自殺に関して、簡単にまとめてみます。
事業所が従業員に残業をさせる場合、労働基準法36条に基づき「サブロク協定」を結ばねばなりません。その際も、月45時間以下となっており、それ以上の残業は違法となります。悪質な場合には「6ヶ月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」が課せられます。
さらに労働安全衛生法では、月の残業時間が80時間以上になると、面接指導等の対象になります。これは従業員の申し出によることと、事業所の努力義務として規定されています。そして、100時間以上になると、事業所の「義務」として面接指導等の対象になります。
そして、産業医面談を通して、「就業不可、残業禁止」などの就業制限の判定を受けることになります。これを無視した場合、労働基準法では上司や責任者に10年以下の懲役または300万円以下の罰金、労働安全衛生法では6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が課せられます。
また、それ以上に、過労による自殺が労災認定された場合、企業や事業所の責任が明確となり、遺族から損害賠償請求や慰謝料の請求が行われる場合もあります。その際、金額は億単位となるようです。
厚生労働省は以下の外部サイトで自殺や過労死の予防について啓蒙活動をしています。また、勤労者のメンタルヘルスについての様々な情報を提供していますので、ご利用ください。