【初回は料金半額】【夜22時まで開室】【土日も開室】【対面でもオンラインでもカウンセリング可】

カサンドラ症候群

愛では乗り越えられない壁がある

カサンドラ症候群は、アスペルガー障害のパートナーとのコミュニケーションがうまくいかないことで生じる不安や抑うつ気分などの症状を指します。正式な精神疾患でないこともあり、周囲から理解されにくい状態であるからこそ、知識を得ることが重要です。

本記事では、カサンドラ症候群の特徴、原因、症状、なりやすい人の性格、対応などについて解説します。

1.カサンドラ症候群とは

カサンドラ症候群とは、発達障害の1つであるアスペルガー障害のパートナーにより、夫婦間や親子間など身近な家族とのコミュニケーションが難しく、その心理的なストレスから定型発達の人にも不安や抑うつ気分などの症状が見られることです。なお、アスペルガー障害は、精神疾患の分類と診断の手引きである『DSM-5』によると、自閉スペクトラム症と呼ばれており、知的な遅れや言語的な障害がない発達障害とされ、見過ごされながら生活する人も多いです。

カサンドラ症候群は夫婦間で生じると、関係性や症状の苦しさから離婚に発展する場合もあり、決して軽視はできない症状といえます。1980年代、心理療法家のシャピラによると、カサンドラ症候群は「社会から理解してもらえない」という特徴があり、当事者は夫婦や親子同士でのコミュニケーションが取れない辛さに自己嫌悪しやすい傾向があります。

ちなみにカサンドラ症候群は『DSM-5』には記載がなく、正式な精神疾患ではありません。また、近年では「カサンドラ情動剥奪障害」と表現されることもあります。

カサンドラ症候群は自閉スペクトラム症である夫婦や親子、当事者の双方を否定する概念ではなく、どちらも悪くないとして双方を守る概念です。このことから関係性への理解を深めることで改善が期待できます。

2.カサンドラ症候群の原因

カサンドラ症候群は、身近な他者との関係性から生じる状態であり、原因となるコミュニケーションはそれぞれ異なります。原因としてよくあるパターンは下記の2つです。

  1. 会話がかみ合わない、自閉スペクトラム症の特性から傷つく発言を受けるなどのコミュニケーションの困難さ
  2. 関係がうまくいかないことを周囲が理解できず、孤立してしまうこと

自閉スペクトラム症のパートナーの中でも知的能力や社会性がある程度保たれている場合、家庭外では適応的であり、家庭内での違和感が外部に伝わりにくい特徴があります。

また、夫婦間では離婚を考えるケースであっても、「夫婦で問題を抱えるのは当たり前」と外部からは共感を得難い場合も多いようです。「コミュニケーションがうまくいかない」という困り感を共有しづらい孤独さが、カサンドラ症候群を悪化させるケースもあります。

また、発達障害の特性が男性に多いため、カサンドラ症候群は女性に多い特徴がありますが、男性のケースも存在します。

3.カサンドラ症候群の症状

カサンドラ症候群には具体的な診断基準はありませんが、自閉スペクトラム症の夫婦や親子とのコミュニケーションの乏しさより、以下のような精神的・身体的症状が見られます。

  • 自己肯定感の低下
  • 困惑などの情緒不安定
  • 怒り、抑うつ気分、不安
  • 恐怖感や広場恐怖
  • 心的外傷後ストレス反応
  • 倦怠感
  • 不眠
  • 頭痛
  • 体重の増減
  • 女性の場合、婦人科系の諸症状

出典:Harriet F. Simons Ph.D & Jason R. Thompson “Affective Deprivation Disorder: Does it Constitute a Relational Disorder”

診断に至らずとも、心身の不調の改善は可能であるため、周囲の家族や友人、医療機関などとつながり、まずは孤独感から抜け出すことが重要です。

4.カサンドラ症候群になりやすい人の性格

カサンドラ症候群は男性より女性の割合が多いですが、性別を問わずカサンドラ症候群になりやすい人の性格を紹介します。

(1)真面目な人

真面目な人は、一見自閉スペクトラム症の他者と根気よくコミュニケーションがとれるように見えますが、話がかみ合わないときに言及しすぎたり、相手からの言葉を真に受けすぎてしまったり、意思疎通の違和感を感じ取りやすい場合があります。

また、関係性の改善に向けて1人で頑張ろうとすることで、孤独を感じやすい危機も考えられます。

(2)完璧主義な人

完璧主義な人は、夫婦間や親子間で自閉スペクトラム症の特性を理解することが難しく、他者や自身を責めたり、怒りを向けたりカサンドラ症候群の症状を感じやすいといえます。

カサンドラ症候群は関係性から生じる症状なので、「こうあるべき」のような考えを強くもっていると互いに歩み寄ることが難しいかもしれません。

(3)我慢強い人

自閉スペクトラム症の特性から、空気の読めない発言や相手にとって失礼なことを言ってしまう場合があります。自閉スペクトラム症の相手から日常的に辛い言葉を受けながら「私が我慢すればいいんだ」と思い込んでしまいます。このように我慢強い人は、心理的なストレスを抱えやすいといえます。

カサンドラ症候群は双方の理解によって症状が軽減するため、我慢のし過ぎは症状の維持や悪化につながる可能性が高いです。

(4)面倒見がいい人

自閉スペクトラム症の特性を知りながら、「私が頑張れば困ることはないだろう」「この人を見放さず面倒見よう」など、面倒見の良さから責任を感じすぎてしまう人も、カサンドラ症候群になりやすいと考えられます。

5.カサンドラ症候群の治療とカウンセリング

カサンドラ症候群の予防や改善の仕方、治療、カウンセリングの適性などについて紹介します。根本的な治療は難しいですが、関係性を良くするためにできることの相談や、症状に対する対症療法が可能です。

(1)自閉スペクトラム症の特性を理解する

まずは、パートナーの自閉スペクトラム症の特性を理解するように努めましょう。

自閉スペクトラム症をはじめ発達障害は脳機能の障害であり、本人の性格や親の育て方が原因ではなく、本人も特性に苦しんでいる場合が多いです。症状への自覚がないパートナーの場合は、コミュニケーションがうまくいかないパターンを話し合い、相手の気持ちを理解できないことの共有などをして、夫婦間や親子間での困りごとを把握することが有効です。

自閉スペクトラム症の自覚がないパートナーに通院や診断を強要してしまうと関係性が悪化する可能性があります。

発達障害の特性の発現は人により異なりますが、特性を理解することで相手も自身も悪くないことを知り、不必要に責める悪循環を断つきっかけになります。

(2)コミュニケーションや生活のルールを決める

自閉スペクトラム症の特性を知り、お互いへの理解を深めることができたら、コミュニケーションや生活のルールを決めることで、人間関係の衝突や違和感を軽減することが可能です。

カサンドラ症候群になりやすい性格で挙げた真面目、完璧主義、我慢強い、面倒見がいい性格だからこそ、自閉スペクトラム症のパートナーに合わせすぎたり、干渉しすぎたりする傾向があります。ですので、今までのそうした関わりから変えることが望ましいです。

家事の役割分担を決める、頼み事は紙に書いて共有する、ありがとうという時間を作るなど、なるべく具体的なルールを決めると円滑な生活を送りやすくなります。

一方的なルール化は関係性の悪化を招くため、ルール決めの際は必ず話し合い、互いが納得できるようにしましょう。

(3)パートナーと距離を保つ

カサンドラ症候群は夫婦間や親子間などの身近な関係性がキーワードになる症状です。

特性への理解を深めることや話し合い、ルール決めなども大切な対応ですが、どうしても理解ができない場合は一旦パートナーや家族と距離を保つ手段もあります。夫婦だから、恋人だから、親子だから離れてはいけない、良い関係を築かなければいけないと考えすぎることで、かえって心理的な負担を感じやすくもなります。

夫婦間であれば、一時的な別居や離婚も必要に応じて検討してみてください。距離感を保つことで互いに自立し、コミュニケーションの困難さを解消する手掛かりにもなりえます。

(4)薬物療法やカウンセリング

「カサンドラ症候群かもしれない」と感じた場合は、医療機関に受診し、医師による診察や臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングを受けてみましょう。

カサンドラ症候群による抑うつ気分や不安、不眠、頭痛などの心身の二次障害については、薬物療法にて対症療法を行い、症状の緩和が可能です。また、カサンドラ症候群は心的な孤立感から悪化しやすいため、第三者と話し、パートナーとの辛い体験を吐き出す過程も症状緩和につながります。

カウンセリングでは、認知行動療法のアプローチで夫婦間や親子間で生じるコミュニケーションの違和感に焦点を当て、適切な関係を築くための目標や行動の設定をし、関係性の改善を行うこともできます。

カウンセリングはカサンドラ症候群を抱える本人のみの場合でも可能です。もちろん、自閉スペクトラム症であるパートナーと二組で夫婦カウンセリングを受け、関係性について冷静に共有し合う場合も望ましいでしょう。

カサンドラ症候群の症状を1人で抱え込む必要はありません。心の専門家に相談し、情緒の安定や夫婦間・親子間の関係性の改善に向かっていきましょう。

6.カサンドラ症候群について相談するには

当オフィスではカサンドラ症候群のカウンセリングを行っています。本人だけでも大丈夫ですし、夫婦そろってでも大丈夫です。相談やカウンセリングのご希望のある方は以下の申し込みフォームからお問い合わせしてください。

カウンセリング・申し込み
カウンセリングを希望される方のための申し込みフォームです。

またカサンドラ症候群のパートナーである発達障害や自閉スペクトラム症の詳しいことを知りたい方は以下のページをご覧ください。

発達障害とは:原因、種類、特徴、症状、カウンセリングなどを解説
発達障害は、自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害、知的障害などの広範な遺伝的負因による障害です。発達障害は心と身体の成長や発達がうまく作動しなかったり、アンバランスになったりします。発達障害の原因、特徴、症状、治療、支援について解説します。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症とは、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害、感覚過敏などの特徴をもつ発達障害のなかの一つです。
【監修者情報】

  • 祖父江 ひかる 先生
  • 資格:臨床心理士、公認心理師
  • 所属:単科の精神科病院勤務
  • 学会:日本心理臨床学会、愛知県臨床心理士会
  • 経歴:国立大学院修了後、心療内科や小学校スクールカウンセラー、精神科病院などで医療現場を中心に研鑽中。臨床心理に関わるWebライティング活動もこなしている。