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知的障害のカウンセリング・相談

何ら変わることなく

知的障害とは、言語や判断力などの概念領域、コミュニケーションや対人スキルなどの社会領域、職業生活や生活技能などの実用領域の3つの領域において障害があらわれる発達障害の一つです。そして、全般的な知的な能力が平均的な標準レベルと比較して低く、そのために学習過程や社会適応に困難が出てしまう障害です。

1.知的障害とは

白い少女知的障害とは、IQが70以下であり、日常生活や社会生活で支障をきたす障害です。知的発達の遅れ、社会的な対人関係の問題、自己管理能力の低下などがあります。重症度に応じて生涯にわたる支援が必要であり、早期発見と適切な支援が重要です。支援内容には、個別支援計画の作成や特別支援学校での教育などがあります。知的障害者に対しては、差別をなくし、尊重し、共生する社会を目指すことが重要です。

従来では、多種多様な疾患や症候群に伴う症状の一つとしてあくまで知的障害があり、身体障害や精神障害と同様のレベルの概念を表す用語とされていました。しかし、現代では、知的障害は精神遅滞とも表現されることがある知的発達機能の障害を意味しており、精神疾患の診断マニュアルの第5版でも「知的能力障害(知的発達症)」と表記が変更されています。

知的障害は、主に先天的な染色体異常、妊娠期における母体内感染症、生まれつきの代謝疾患などが原因で引き起こされます。具体的には常染色体異常(ダウン症候群や脆弱X症候群など)や代謝性疾患(フェニルケトン尿症など)が挙げられます。

また、万が一妊娠中に風疹や梅毒、細菌性髄膜炎に罹患してそれらのウイルスや細菌が胎児にも感染が及ぶTORCH症候群があります。さらには、妊娠中に妊婦さん自身が摂取したアルコールや薬物による副作用で子どもが知的障害になることもあります。

そのほかには、出産時に新生児仮死に陥ることによって脳が不可逆的な低酸素状態となる場合や出生後に生じた健康障害なども一因として考えられます。しかし、実際には詳細な検査を実施しても知的障害の確固たる原因が特定できないことも多いといわれています。

下の図は知的障害の発達障害の中での位置付けをあらわしています。知的障害は自閉スペクトラム症や注意欠陥多動性障害とは重複しますが、学習障害とは重複しません。

発達障害の4つの分類図1 発達障害の中の知的障害の位置付け

2.知的障害の特徴と症状

授業を受ける少年知的障害の重症度や個々の特徴的な症状については、通常ではその人それぞれの知的機能や適応機能に基づいて判断されます。

いわゆる知的機能の能力障害というものは、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、総合的判断などにおける学習能力の欠如を含む全般的な精神機能の支障により特徴づけられる発達障害の一つともされています。

知的障害者は、身体的介助を必要としない場合においても、少なからず周囲からの見守り・声かけや、こだわり行動に対する対応といったケアサポートを必要とすることが多いです。

一方で、適応機能というのは、日常生活でその人に期待されている要求に対していかにして効率よく適切に対処し、社会適応して自立しているかを反映する機能のことを指します。

例えば、食事を準備したり片づける、あるいは対人関係において適切なコミュニケーションをとる、自身でお金の管理ができるなどの能力を意味しており、こうした機能は年を重ねても日々の社会生活を営んでいくために必要なファクターとなります。

ですから、知的障害の方では、言葉の発達が遅れてうまく他者とコミュニケーションがとれない、あるいは学業や労働時において他人より明らかに業務能力が劣るなど知的発達の遅れが色々な場面でみられます

知的能力の水準が初段階からかなり低く、最重度障害になりますと当初から解決することが困難な問題が様々にあらわれますので、早期発見されることも多いでしょう。

ところが、軽度〜境界域の水準の知的能力の場合には一見すると知的障害と分かりにくいことがあります。例えば、軽度〜境界域の知的障害の方の場合では、周囲から「怠けている、たるんでいる、サボっている、元々やる気がない」などと誤解されて評価されてしまうことが多いようです。

そのために知的障害者の自尊心が傷付き、ますます自発的な意欲が失われてしまった結果として、非行や不登校に繋がるリスク要因となってしまうのです。非行少年の中にも一定の割合で軽度〜境界域の水準の知的障害がいるといわれています。

3.知的障害の診断

勉強する少女知的機能の水準は、知能指数(いわゆるIQ)を基準に測定されます。知的障害ではIQ70未満がひとつの判断基準です。
知的能力の水準によって以下の分類方法をすることが多いです。

  • 境界域 IQ85〜70
  • 軽度 IQ70〜50
  • 中度 IQ50〜35
  • 重度 IQ35〜20
  • 最重度 IQ20以下

この分類は制度設計した際に概念上分かりやすく作成された便宜的なものです。現実的には、実施する知能検査の種類、あるいはその時の状態、時期、年齢など様々な因子によって数値はかなり変動しますので、あくまで目安程度にしておきましょう。

知能指数の値だけで知的障害の有無を判断することは避けて、適応機能などもあわせて総合的に評価したうえで判断するべきです

つまり、知的能力を評価することに加えて、様々な視点から粗大運動能力や手先の微細な運動操作性、あるいは普段の生活スタイルに関する社会性や言語の理解および表現力も包括的に含めて診断に際しての大切な情報源になるのです。

例えば、同年齢の他のお子さんと比較して、本来であればできると推測されることが「明らかに難しい」と周囲の大人たちが認識することで知的障害が疑われるのは自然な流れといえます。一般的に、症状が重ければ若い年齢時に気づかれますが、症状が軽微ですと診断も遅れる可能性が高くなります。

通常では、幼児期に自発的に話す言葉数が少ない、あるいは周囲が話している内容を理解できる度合いが乏しいなどの言語発達の遅れから知的障害が疑われます。知的障害を診断するにあたっては、その症状の評価とともに背景として潜在しているかも知れない原因疾患の有無をルールアウトして調べる必要があります。

前述したように様々な中枢神経系疾患も知的障害の原因となることがあるため、正しい診断を受けて、早期的に治療や教育に繋げて橋渡しを行う必要があります。

具体的にどの検査をどこまで積極的に施行するかは、各々のお子さんの症状に基づいて判断されます。

すなわちケースバイケースでそれぞれの日常生活の様子や保護者の訴えを傾聴して、本人を実際に診察した所見を確認したうえで総合的に適切な診断が決定されるといえるでしょう。

これまで述べてきた医学的観点から行われる診断基準のみならず、最近では知的障害に対して特に福祉的な捉え方が注目されています。

知的能力と日常生活における社会的な活動能力は必ずしも比例するものではなく、それぞれの個人ごとに必要な援助レベルは異なります。つまり、そもそも知的障害度を医学のみに頼らずに求められる援助様式やその強度によって知的障害を分類する手法が用いられることもあるのです。

当オフィスでも成人の方に限りますが、知的能力を測定する心理検査を実施しています。ご希望の方は以下の申し込みフォームからお問い合せください。

4.知的障害の治療と対応

おもちゃで遊ぶ子どもほとんどの知的障害では、根本的に基礎にある障害そのものを改善させることは現代医学をもってしても難しい状況です。

しかし、恵まれて相性が良い環境下においては適応機能などが向上する可能性は十分に考えられます。それに伴って、早期的に知的障害が発見されて適切な療育に繋げられた場合には、長期的な予後も改善して期待されるといわれています。

通例では、知的障害の重症度に応じて療育の必要性やケアサポートの程度に関して判定することになります。知的障害の治療に際しては、基本的には個々の状態に合わせて障害に随伴した不自由な要素を少しでも減らしていくトレーニングをすることが重要です。

もちろん、出生前後において適切な医学的対応をすることや、あるいは生後様々な福祉的な支援教育を行うことは、知的障害やその二次的障害を最小限にとどめることに役立つと考えられます。つまり、個々の年齢や周囲の状況にも依存しますが、あくまで本人の特性や水準に応じて学習する環境や行政的な補助サービスを提供することが重要です。

知的障害を有する学童児であれば、普通学級ではなく、通級学級や特別支援学校などをはじめとする教育環境に身を移してあげることも望まれるでしょう。

そして、社会人になれば、デイケアや作業所、障害者枠での特別雇用などで、自立を促して社会との接点を持ち続けるように配慮します

また、公的なサポートとしては知的障害者支援施設や療育手帳配布、障害基礎年金給付などが挙げられます。適宜そのようなサービスを利用したり、役所など公的機関に問い合せて相談したりすることが可能です。

特に、療育手帳や障害者手帳を取得すれば、公共機関のサービスをある程度受けられるようになりますので日々の生活において非常に一助になりえます。

5.知的障害のカウンセリング

ここでは知的障害の人に対するカウンセリングについて解説します。

(1)本人に対するカウンセリング

知的障害の方ゆえの社会適応能力やストレス対処能力の低さから、数々の問題行動や精神症状を認めるケースに遭遇した時には、それらの症状を薬物療法などでいったん抑制することも必要となるでしょう。

一方で、さらなる精査を行い、適切な環境のもとで本人に見合った課題を共有して設定することによって急速に状態が改善していくことも少なからず存在します。

そのツールとしてカウンセリングを上手く用いて援助していくことは効果的です。例えば、言語でのカウンセリングが難しい状況では、芸術療法やアートセラピーなどが行われることも検討されます。

知的障害児に対するカウンセリングアプローチの効果は、当該者の言語能力や情緒発達と関連する日々の生活における環境の整備を併用することが有効であると示唆されています。特に知的障害が重く、言語による調整機能や情緒・社会性が未発達なケースに対してカウンセリングを行うときには、とくに生活療法を用いた環境調整が重要です。

(2)家族に対するカウンセリング

知的障害児に提供される環境がその子にとって居心地が良く適切なケアサポートが提供されるものであることはいうまでもなく保護者にとっても重要な要素です。

そして、カウンセリングそのものは知的障害を有している本人のみならず、家族への支援も欠かせない視点から成り立っています。

知能やその遅れに関する知識の啓蒙や周知、あるいは教育的支援を当事者のみならず一般社会で広く行うこと、そして本人のみならず家族を含めて遺伝に関するカウンセリングが浸透して行われることも非常に有用であると考えられます。

そのためにもカウンセリングを委託した先方と日常的にコミュニケーションを繰り返して積極的にとるようにして適切なライフスタイルやケア方針を共有してもらうよう意識しましょう。

6.知的障害について相談、カウンセリングを受けるには

このような知的障害に対して本人や家族が相談やカウンセリングを受けることはとても大事になります。当オフィスでも相談やカウンセリングを行っております。希望される方は以下のページからお申し込みください。

7.その他の発達障害について

知的障害の他の発達障害についてさらに知りたい方は以下のページをご覧ください。