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自閉スペクトラム症(ASD)

個性として

自閉スペクトラム症(ASD)とは、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害、感覚過敏などの特徴をもつ発達障害のなかの一つです。ここでは自閉スペクトラム症の特徴、症状、種類、診断、治療、カウンセリングなどについて解説します。

1.自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症とは発達障害の内の1つで、人とのコミュニケーションの問題があり、社会性が低く、特定のものに強いこだわりを示します。また、感覚が非常に過敏なところもあったり、過度に鈍感だったりします。

自閉スペクトラム症の原因は主には生得的、遺伝的な要因が強く関係しています。特に中枢神経系の機能の障害ではないかといわれています。また、胎児期の母体の薬物や感染症も一部影響を受けているといわれることもありますが、まだまだ未解明なところが多いです。

自閉スペクトラム症は総称で、その中には自閉症やアスペルガー症候群、高機能自閉症などの分類があります。ちなみに自閉スペクトラム症のスペクトラムというのは健常と障害が地続きであり、量的な違いにすぎないということをあらわしています。ですので、健常に近いけど、自閉スペクトラム症的な要素が少しあるという場合もありますし、自閉スペクトラム症だけど、やや健常に近い、といったこともあらわれてきます。健常と障害のグレーゾーンといった言い方をされたりもします。

自閉症・アスペルガー症候群・高機能自閉症を分類すると以下のようになります。

表1 自閉スペクトラム症の分類

社会性の障害コミュニケーションの障害こだわり知能の低下
自閉症あるあるあるある
アスペルガー症候群あるなしあるなし
高機能自閉症あるあるあるある

2.自閉スペクトラム症の症状と特徴

(1)自閉スペクトラム症の3つの症状

自閉スペクトラム症には以下の特徴・症状があります。

  1. 社会性の障害(社会的な常識を理解し、その場の状況は把握することが困難)
  2. コミュニケーションの障害(人と言葉のやりとりをすることが困難)
  3. 想像力の障害(柔軟性がなく、強いこだわりを示す)

コミュニケーションの障害とは言葉を用いて人と会話をしたり、考えや思いを伝達することに困難があることをさします。その他に書き言葉で話をしたり、過度に堅苦しい表現を用いた話をするなどがよく見られる特徴です。

社会性の障害は、コミュニケーションの障害とも多少は関係してきますが、人と良好な関係を築くことが苦手で、相手の気持ちや状況を推測したり把握したりすることができないことです。そのため時として一方的な人間関係になってしまい、学級や社会の中で孤立してしまいがちになります。

想像力の障害とは、柔軟性やこだわりの問題と言い換えても良いものです。例えば、些細なことに強い関心やこだわりをもったり、突発的な出来事に上手く対処できなかったり、無意味とも思える行動を何度も繰り返したりします。

この3つの特徴以外にも、ちょっとした物音や出来事に過度に反応してしまい、時にはパニック様になってしまう感覚過敏、味覚や触覚が適切に作動しない感覚異常、落ち着きのなさや立ち歩きなどの多動、などが見られることもあります。

(2)自閉スペクトラム症の3つの分類とその特徴

自閉症・アスペルガー症候群・高機能自閉症のそれぞれの症状について以下にまとめました。

  • 自閉症
    1. 社会性の障害
    2. コミュニケーションの障害
    3. 想像力の障害
    4. 知的能力の低下
  • アスペルガー症候群
    1. 社会性の障害
    2. コミュニケーションの障害
    3. 想像力の障害
    4. 知的能力の低下
  • c.高機能自閉症
    1. 社会性の障害
    2. コミュニケーションの障害
    3. 想像力の障害
    4. 知的能力の低下

自閉症は3つの症状に加えて知的能力の低下があります。そして、アスペルガー症候群は自閉症の中でコミュニケーションの障害と知的能力の低下がない障害です。また、高機能自閉症は自閉症の中で知的能力の低下がない障害です。

このような特徴は多くは小児期・児童期に現れ始めますし、時には乳幼児期にも見られたりします。乳幼児のころでは、視線があわない、抱っこしにくい、変に育てやすい、痛みに鈍感、などの特徴があったりします。

また「大人の発達障害」が最近は問題になっています。子どものころはそこまで問題がなかったにも関わらず、社会人になり、就職したり、昇格した時期を境に問題が突然出現し、自閉スペクトラムがあらわになることもしばしば起こります。これは成人期に発症したということではありません。

もともとそうした特性があったが、比較的症状は軽かったので、目立たなかったし、問題としてあらわれなかっただけと言えるでしょう。それが仕事をはじめたり、昇格するなど様々なストレスや柔軟性が求められるようになることで、問題が顕在化したということです。

3.自閉スペクトラム症の診断

自閉スペクトラム症の診断について書きます。

(1)生育歴から

自閉スペクトラム症の特徴や症状はほとんどの場合が幼少期からあらわれています。例えば、生まれて数ヵ月後から視線が合いますが、自閉スペクトラム症ではそうした視線が合いにくいということがよくあります。また、幼児は一つのことに熱中して、周りが見えにくくなることは一般的ですが、自閉スペクトラム症の場合にはそれが非常に強くあらわれます。2~3歳頃になるとお友達とそれとなく一緒に遊び始めますが、自閉スペクトラム症はそうした交流がなく、延々と一人で遊ぶだけのこともあります。

ですので、幼少期からの生活や行動、対人関係などを丁寧に聞き取ることが必要になります。本人に話を聞いて、聞き取ることもありますが、クライエントが幼児や児童であればうまく話をすることができないこともあります。また、成人でもあまり小さい頃のことは覚えていないこともあります。

そのため、保護者や家族からの聞き取りをすることもあります。さらには、子どもの頃の成績表や母子手帳を持ってきてもらうこともあります。

(2)心理検査から

心理検査にはさまざまな種類がありますが、その中でも知能検査や発達検査をすることにより自閉スペクトラム症の診断をすることもあります。能力のアンバランス・能力の凸凹と俗に言われることもありますが、知能検査・発達検査では結果にそれが顕著に出てきます。平均以上の数値を出す部分もあれば、一方では平均以下の数値を出すこともあります。得意なところと苦手なところの差が大きいことがよく分かります。

自閉スペクトラム症でよく使う検査はWAIS-4(ウェクスラー成人知能検査)、WISC-4(ウェクスラー児童知能検査)などの知能検査があります。これは知能を全般的に、分析的に検討することができます。またCARS2、PARS、ADI-R、SCQなどの自閉スペクトラム症を発見、スクリーニングする検査もあります。

ただし、心理検査の数値だけで自閉スペクトラム症の診断ができるわけではありません。自閉スペクトラム症でも凸凹のない結果を心理検査で出す場合もあります。ですので、心理検査の結果は参考程度にする方が良いでしょう。

心理オフィスKではWAIS-4があるので、成人の人の自閉スペクトラム症の検査は可能です。ただ、WISC-4がないので、児童に対してはできません。

自閉スペクトラム症の知能検査をご希望の方は以下からお申し込みしてください。

心理検査・申し込み
WAIS-4(ウェクスラー成人知能検査4版)やロールシャッハテストを受けたい方のための申し込みページです。

(3)行動観察から

自由遊びの場面や学習場面、職場での様子などで行動を観察し、そこから自閉スペクトラム症の特徴を把握します。さまざまな状況で実際に起こっている出来事を観察することで、よりよく自閉スペクトラム症の特徴を判断することができます。

例えば、自閉スペクトラム症の小学生などではクラスで授業を受けている場面を見させてもらうと、より際立ってわかります。授業に集中できず、自身の興味あること関心あることに熱心でいたりします。また、みんなが静かにしているところで、突然声を出したりすることもあるでしょう。

こうした様子は実際の場面を見ることで分かります。

4.自閉スペクトラム症の治療

自閉スペクトラム症といっても個々人によって状態がかなり違います。また置かれた状況も違うので、困り事も違ってきます。ですので、自閉スペクトラム症のその方やその家族が何に困っているのかについて適切に把握し、それに応じた対応をせねばなりません。

また、現在では自閉スペクトラム症を根治する方法は残念ながらありません。しかし、それは手立てがない、ということではありません。対処療法的なことをしつつ、心理社会的なサポートを提供していくことがベストとなります。

(1)本人ができること

自閉スペクトラム症の本人ができることとしてはまずはご自身の特性をしっかりと理解することです。そのために心理検査を受けて特徴を知ることも必要でしょう。さらに、何度も繰り返されるパターンを見つけ、それがどういうことで起こるのかについて検討してみましょう。

そして、自閉スペクトラム症の方は極端にできる部分があったりします。そうしたところを伸ばし、ご自身の得意分野にしていくことです。歴代の天才や偉大な研究者のなかには自閉スペクトラム症の方が非常に多いのです。そこまでではなくても、得意な面を発見し、そこを特技にしていくことが良いかと思います。

また、そうした自身の特徴や特性を周りの人に伝えて、理解を得られるようにすることが大事です。カミングアウトすることはなかなか勇気のいることかもしれませんが、理解を得られると非常に生きやすくなるかと思います。

(2)家族ができること

自閉スペクトラム症の家族の方ができることはとても大きいです。まず、自閉スペクトラム症のことを勉強し、その理解を深めることは大事です。自閉スペクトラム症の特徴であることが分かると対応も分かってきます。なによりも、それによってイライラすることはなくなるでしょう。

そして、自閉スペクトラム症ではない部分を発見してあげてください。つまり、自閉スペクトラム症とは関係のない個性を見つけることです。そうした個性に関わり、そこを伸ばしてあげると良いと思います。

自閉スペクトラム症では抽象的なことが苦手であったり、その場の雰囲気を把握することが苦手です。そのため、何かを伝える時やお願いする時、指示する時には、具体的に言う方が良いでしょう。

例えば、「綺麗にしなさい、掃除しなさい」ではどこを綺麗にすれば良いのか、掃除とはどこからどこまでするのかが分からないのです。適度にするということができません。ですので、例えば、「あなたの部屋の中の床に落ちているおもちゃを、この箱に入れなさい」というような具体的な働きかけをすると、自閉スペクトラム症の方は理解しやすくなるでしょう。

(3)家族支援

臨床心理士や児童精神科の医師など専門家による家族に対する助言やサポートを受けることができます。やはり家族なので、時には感情的になったりしてしまうこともあります。そうしたとき、冷静な第三者である専門家に相談し、助言をもらうことで的確な対応ができるようになります。

また、家族を支援する具体的な技法としてペアレントトレーニングなどがあります。これは子どもに対する対応を家族が学ぶ体系的なプログラムです。少人数のグループを作り、専門家による講義や実習、ワークなどを通して、育児方法を学ぶというものです。

このようなペアレントトレーニングを受けることで、自閉スペクトラム症の子どもへの対応が分かり、行動や態度が変容していきます。

(4)療育

療育(治療教育)とは行動分析や行動療法などをもちいたトレーニングになります。この療育のなかで対人関係のスキルを学んだり、さまざまな視点があることを発見するような課題に取り組んだりします。

こうした療育では勉強的な雰囲気だけでは自閉スペクトラム症の子どもは飽きてしまったり、苦痛を感じてしまったりします。ですので、遊び的な雰囲気を取り入れ、楽しく取り組めるような工夫をしたりします。

こうした療育は自治体などの療育センター、児童発達支援センター、放課後等デイサービスなどで行っています。

(5)薬物療法

自閉スペクトラム症は脳機能の障害ですが、薬物療法などで完治することはありません。しかし、薬物療法によっていくつかの症状をやわらげ、生活しやすくすることはできます。

自閉スペクトラム症によって様々なトラブルに見舞われて、抑うつ的になることもあります。また、パニックになってしまい、不穏な状態になることもあるでしょう。注意が散漫になり、落ち着きがなくなることもあります。

こうした時には抗うつ薬、気分安定薬、気分調整薬などが効果があります。

薬物療法を安易に使うことは戒めなければなりませんが、必要の応じて、必要な範囲で的確に使用することは大事だと思います。

5.当オフィスによる自閉スペクトラム症のカウンセリング

心理オフィスKでは自閉スペクトラム症の本人およびその家族に対するカウンセリングを行っています。カウンセリングでは何をどのようにしていくのかについて書いています。

(1)本人に対するカウンセリング

自閉スペクトラム症の特徴を持っていると、社会の中では非常に生きづらい思いをしてしまいます。特に周囲から理解されなかったりすることは多いでしょう。能力のアンバランスもあるので、ちょっとしたことができなかったりするのですが、それをさぼっているとかわざと間違えているといった誤解をされてしまうこともあります。

こうした苦悩を吐き出し、気持ちを整理することはカウンセリングでできることです。そして、それだけにはとどまらず、実際にどのように振舞えば良いのか、どのように行動すれば良いのか、どのように伝えたら良いのか、などについてカウンセラーと話し合い、現実的な対処法を一緒に考えることができます。

このような相談が適宜できることで、精神的に安定して学校に行ったり、職場に行ったりすることができるようになるでしょう。

また、カウンセリングのなかで認知行動療法やソーシャルスキルトレーニングなどをすることにより、より適応的な行動や考え方にしていくことが可能です。例えば、悪い方にばかり考えてしまい、それによってますます苦痛が強くなるなどがあれば、認知行動療法などで思考や認知の妥当性をカウンセラーと一緒に検討し、より現実的で、より合理的な思考や認知に置き換えていく、などを行います。

認知行動療法についての詳細は以下をご覧ください。

認知行動療法を受けたい人のために:理論、やり方、効果、エビデンスなどを解説
認知行動療法を当オフィスで受けることができます。その認知行動療法について歴史、やり方、理論、効果、エビデンス、実施などについてクライエント向けに分かりやすく解説しています。認知行動療法とは認知(物のとらえ方、考え方)と行動を変化させることにより、様々な問題ごとや困難、症状を改善していく技法です。どちらかというとトレーニングに近いイメージです。

(2)家族に対するカウンセリング

自閉スペクトラム症の人への家族としての対応に困られている人はとても多いでしょう。時にはイライラしてしまい、きついことを言ってしまうこともあるかもしれません。それがさらに強くなって、暴力的なことをしてしまい、あとで後悔・反省することもあるでしょう。精神的に追い詰められてしまうと、冷静な時には考えられないことをしてしまいます。

そうしたときカウンセリングのなかで、自閉スペクトラム症をもつ家族としての苦しみや悩み、怒りなどについてカウンセラーと話し合い、気持ちの整理をしていくことは非常に大切です。

そして、カウンセリングのなかで自閉スペクトラム症のことを学び、対応を検討します。カウンセラーと検討した対応を実際の家庭のなかで実践し、その結果をまたカウンセラーと話し合うことで、さらに次の対応を検討します。そうした繰り返しをしていくことで、家族として機能できるようになっていきます。

6.自閉スペクトラム症のカウンセリングの申し込み

自閉スペクトラム症について詳しく解説いたしました。自閉スペクトラム症が根治することはないのですが、適切な対応をすることでかなりの程度改善することはよく知られています。そのためのカウンセリングを本人や家族が受けることは非常に意味のあることかと思います。

当オフィスで自閉スペクトラム症についての相談、カウンセリングを受けたいという方は以下の申し込みフォームからお問い合せください。

カウンセリング・申し込み
カウンセリングを希望される方のための申し込みフォームです。

7.さらに自閉スペクトラム症を知りたい方へ

自閉スペクトラム症は発達障害の一種です。さらに自閉スペクトラム症に他の発達障害(ADHDや学習障害など)が併発することもあります。そうした障害については以下のページに詳しくありますので、ご参考にしてください。

また、自閉スペクトラム症をはじめたとした発達障害についてのいくつかのコラムがあるので、さらに細かいことを知りたい人はご覧ください。