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ヤングケアラーのカウンセリング・支援

誰かのために生きてきた君へ

ヤングケアラーの特徴や問題、心理、支援、カウンセリングについてまとめました。具体的にどのような人がヤングケアラーと呼ばれるのか、そして、ヤングケアラーはどういった心理状態にあるのか、どこに相談をすればいいのか、包括的に解説していきます。

特に自分自身がヤングケアラーなのではないかと思われている方や、周りにそういった知人がいるという方のお役に立てればと思っています。

ヤングケアラーとは

海と子ども

ヤングケアラーとは、病気や障がい、高齢者の介護など、家族の世話を担う18歳未満の子どもや若者のことを指します。彼らは、周りの子どもたちとは異なり、自分が担う家庭の役割や責任が大きくなり、そのために学業や社会的活動に制限を受けることがあります。また、心理的ストレスや健康被害を抱えることも多いです。ヤングケアラーには、支援の必要性があります。自治体やNPOなどが支援を行っています。

ヤングケアラーは、ケアを必要とする家族のサポートを担ってしまい、そして、それによって本来なら受けることができる教育を受けれなかったり、友達関係を十分に楽しめなかったり、心身の不調をきたしてしまったりします。

日本では20代であってもヤングケアラーといわれることもありますので、年齢に区切りはあまりなく、「若者」というくくりになるかもしれません。

家族が一緒に生活していれば、誰かが誰かの世話をしたり、手伝ったりすること自体は不思議なことではありません。ただし、本来であれば子どもが担わなくてもよい部分まで子どもに任せられ背負わされているような状態が問題とされています

「子どもが本来担わなくていいものは何か」によってヤングケアラーに当てはまるかどうかは変わります。「果たして今の自分がおかれている状況はヤングケアラーに当てはまるのか」と悩まれている方が多いのではないでしょうか。この点があやふやなままだと、「この程度はヤングケアラーではない」と見過ごされていく危険性がありますので、具体例を少し示しておきたいと思います。

  • 障害のある家族の代わりに家事をしている。
  • 親の代わりにきょうだいの面倒をみている。
  • 認知症など目の離せない家族の世話や介護をしている。
  • 家族を看病している。
  • 依存症の家族の世話をしている。
  • 家計を支えるためにバイトをしている。

ヤングケアラーのおかれている状況は大きく2つに分けられると考えています。ひとつは「障害や病気のある家族へ直接的な世話をしている状態」です。もう一つは「支援を必要とする家族の分まで子どもが動き家族機能を保っている状態」です。この2つが重なることでよりヤングケアラーの問題は深刻になります。

ヤングケアラーの数ですが、中高生の中ではおおよそ5%程度がヤングケアラーといわれています。40人クラスであれば、その中に2人いてもおかしくないということです

ヤングケアラーの心理

手を伸ばす子どもヤングケアラーの方は多くの場合、「自分がちゃんとしなければならない」という考えを強くもっておられます。責任感が強くあり、他人に迷惑をかけないように必死に家族を支えておられます。極端な話をすれば、家族のことを放っておいて、遊びに出てもいいわけですし、自分のしたいことに時間を使っていいわけです。しかしながら、ヤングケアラーと呼ばれる方は、自分自身の感情を抑え、家族のために尽力します。そういった日々が続くと、「自分自身が何かを願っていいということ」、「自分自身のために何かをしていいということ」それ自体を忘れてしまうことになるでしょう。

ヤングケアラーについておこなわれた調査では、ヤングケアラーのうち半数ほどは「特に支障はない」と回答したとされています。これは支障がないのではなく、それが当たり前の生活となってしまい、支障があるのにも関わらず、支障になっていないと思うようになってしまっただけです。このことから、心が麻痺してしまっている可能性を考えなければなりません。

ヤングケアラーの人自身は、誰かの世話をする日常が当たり前となっており、「こんなことで相談していいのか」「はたして自分はヤングケアラーなのか」と他人に相談することを躊躇される方も多いと思います。しかし、そういった心理もヤングケアラー特有のものである可能性があります。

大人になったヤングケアラーの問題

階段で泣く女性先ほども述べたように、ヤングケアラーの方は自分の感情を抑圧してしまう傾向にあります。自分のことよりも家族のことを優先させる生き方が続けば、成人し社会生活を送るようになっても、周囲の人に気を使いすぎてしまうことになるでしょう。必要ないことにまで気をまわし、周囲をサポートしようとすると、それだけ余計なストレスを抱えてしまうことにもなります

ヤングケアラーだった人は、そうでない人よりも不安を感じやすくなるという研究結果もあります。幼いころのケアの体験は、その時だけの問題ではなく大人になってからも影響を与え続けてしまいます。

また、誰かの世話をする必要もないにもかかわらず、誰かの世話をしてしまい、自分自身のことを後回しにしてしまうようにもなります。こうした自己犠牲的な行動を大人になってからしてしまう方が多いようです。

さらに、この特徴が強くなればアダルトチルドレンや愛着障害のような状態になっていくでしょう。アダルトチルドレンとは自己否定的で、他者に過度に気を使い、対人関係がうまくいかない人を指します。愛着障害は幼少期に愛着の問題を抱えてしまい、それによって人との健全な関係や距離の取り方が出来なくなってしまう人を指します。

アダルトチルドレンと愛着障害については以下のページに詳細に書いています。

ヤングケアラーへの支援

ミーティングする男女ヤングケアラーに対する支援は十分とは言えませんが、いくつかあります。

(1)行政の支援

行政が運営する相談ダイヤルがいくつかあります。専門家が相談に乗ってくれるので、利用してみても良いでしょう。ヤングケアラーのケースで最も重要なのは一人で抱え込まないことです。どこかに電話すれば、仮にその場で解決しなくとも「どこでどういうサービスが受けられるか」を教えてもらえます。より適した相談先を紹介してもらえたりもするでしょう。まずはつながること、それが一番大切です。

(2)ピアサポートグループ

ヤングケアラーに関する団体として、日本ケアラー連盟というものがあります。ここには、当事者のグループがあり、同じような悩みを抱えた方とつながることができます。中にはオンラインで参加できるグループもありますので、もし自分の住んでいる地域にピアサポートグループがなくても大丈夫です。

(3)ヤングケアラーへのカウンセリング

カウンセリングの場でもヤングケアラーに関する悩みを話していただくことができます。ヤングケアラーのケースでは、「悩みを聴いてほしい」というケースと「家庭環境を変えてほしい」というケースがあると思われますが、まずは一緒に状況を整理しながら、どの部分をどうしていきたいのか考えていくことがスタートとなるでしょう。どこを探しても全く同じ家庭というものは存在しません。カウンセリングでは、その人その家族に寄り添った対応を考えていきます。

中には普段の生活で疲弊されている方もおられると思います。まずは、ヤングケアラーの方自身が安心でき落ち着くことのできる場所を提供できるようカウンセラーはお待ちしております。

さらに、大人になり、誰かの世話をする必要がない状況になったヤングケアラーのカウンセリングも可能です。というのも、過去にヤングケアラーだったことで、自己犠牲的な行動をしてしまったり、常に不安を抱えてしまったり、自分のことを後回しにしてしまったり、対人関係がうまくいかなかったりしてしまうことがあります。そうしたことについてカウンセリングで相談し、改善に向けて取り組んでいくこともできます

ヤングケアラーについてのよくある質問


ヤングケアラーとは、18歳未満の子どもや若者が、病気や障害を抱える家族の介護や生活支援を日常的に行う状況を指します。この役割を担うことで、学校や友人との交流、遊びなど、子どもとしての基本的な権利が制限されることが少なくありません。家族の世話に時間を費やすことで、精神的な負担が大きくなり、自己肯定感の低下や孤立感を抱えることがあります。

ヤングケアラーの主な役割は、家族の介護や家事、感情的な支援、さらには経済的な支援を担うことです。これにより、学校の勉強や友人との交流に深刻な影響を与え、自己肯定感や社会性の発達に困難を抱えることが少なくありません。特に、学業や社会活動を制限されることで、将来的な進路選択にも影響を及ぼす場合があります。

ヤングケアラーへの支援は、福祉機関や教育機関、地域の支援団体などによって提供されています。具体的には、カウンセリングや相談窓口の設置、学校との連携、訪問支援などが行われ、ヤングケアラーの負担軽減を目指しています。これにより、家庭環境の改善や学業の継続、社会的つながりの再構築が支援されます。

ヤングケアラーが支援を受ける方法として、地域の福祉事務所や教育委員会、専門の相談窓口への相談が有効です。学校や地域の支援団体を通じて、学業のフォローアップや家庭環境の改善を支援する仕組みが整えられています。必要に応じて、専門機関が提供する心理的支援やカウンセリングも活用され、心のケアにも力を入れています。

ヤングケアラーを支援するためには、「子ども・子育て支援法」や「障害者総合支援法」といった法律が活用されています。これらの法律に基づき、支援の具体的な内容や支援体制が整備されています。支援を必要とする子どもたちに適切な支援を提供するため、地域社会や教育機関、福祉機関が連携し、環境整備が行われています。

ヤングケアラーが抱える課題には、学業の遅れや対人関係の困難、精神的なストレスが挙げられます。家族の世話に時間を取られることで、自己肯定感の低下や孤立感を感じることが少なくありません。さらには、学校での授業についていけない、友人との関係が希薄になるといった影響が現れることがあります。

ヤングケアラーには、心理的支援やカウンセリング、学校との連携、地域の支援団体による訪問サポートなどが必要です。これらの支援を通じて、学業の継続や社会的つながりを維持することが重要です。特に、感情的なケアや社会的支援が欠かせず、孤立感を感じずに自己成長を支える環境を整えることが大切です。

ヤングケアラーは、ストレスや抑うつ感、孤立感、焦燥感など、さまざまな心理的な影響を受けることが多いです。家族の世話を担うことによって、自分の感情や気持ちを表現することが難しくなり、さらには社会的な支援が不足することで、心の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。

地域社会は、ヤングケアラーへの支援ネットワークを構築し、学校や福祉機関と連携することで、適切な支援を提供することが求められます。学校でのフォローアップや地域の支援団体との連携が、ヤングケアラーの生活を支えるために重要です。地域全体での理解と協力が、彼らの支援には欠かせません。

ヤングケアラーは、学業の遅れや対人関係の困難さから、社会的な孤立感を感じやすくなります。学校生活や友人関係が制限されることで、将来的な社会的つながりが弱まり、支援が欠かせない状況に陥りやすくなります。適切な支援がないと、社会的孤立を深め、困難を抱える可能性があります。

ヤングケアラーに対するカウンセリングを受けたい

相談する女性今回はヤングケアラーについて解説しました。ヤングケアラーのケースでは本人も自覚しないままに、大きなものを背負わされている場合が多くあります。少しでも疑問に思うことや、家族のことで悩まれている方は、その日常を当たり前のものと片付けてしまわず、誰かに頼ってください。

(株)心理オフィスKではこうしたヤングケアラーをサポートするためのカウンセリングや相談を行っています。ご希望の方は下のボタンからお申し込みください。