【臨床心理士、公認心理師が相談にのります】

トラウマ・PTSDのカウンセリング

心の傷を癒す

トラウマとはいわゆる「心の傷」と言われるものです。身体が傷つくことと同じように同じように心も傷ついてしまいます。

1.トラウマの特徴

人間は生きていれば、様々な嫌な出来事や苦痛な事柄に出合います。そして、そのほとんどは努力して乗り越えたり、気ごころのしれた人に愚痴を言ったりすることで、それらがトラウマとはなりません。

しかし、苦痛な出来事が非常に大きい、心がそれらを受け入れることができなくなってしまい、トラウマ化してしまうこともあります。例えば、犯罪被害、事故、自然災害、虐待、DV、ハラスメント、いじめなどがその代表例でしょう。そして、それらが原因となり、様々な症状が出てくることもあります。トラウマ場面のフラッシュバック、過度の不安、極度の緊張、恐怖、不眠、抑うつ、トラウマと関連することを回避する、否定的思考、同じことをぐるぐる考える、凍り付いたように動けなくなる、感情のマヒ、などがよく見られるトラウマの症状です。それらトラウマの症状が一定期間以上も続き、かつ日常生活に支障をきたしてしまうと、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言われるものになります。過去に阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災などをきっかけにトラウマが知られるようになったので、どこかで聞いたことがあるかもしれません。

DSM-5におけるPTSDの診断基準には、トラウマティックな出来事を経験すること、フラッシュバックのような侵入体験、トラウマを想起するきっかけの回避、ネガティブな認知、過覚醒の4つが1ヶ月以上持続することが挙げられています。簡単に要約しましたが、詳細はDSM-5 精神疾患の分類と診断の手引に詳しく記載されています。

補足ですが、このようなトラウマによりPTSDになってしまったとしても、四六時中ずっと症状が出ているわけではありません。しばしば、周りの人には何とも問題があるようには見えないように振る舞える(もしくは振る舞ってしまう)こともあります。しかし、心の中ではトラウマに関連した非常な苦痛を抱えたままであることがほとんどです。このことから、周囲から「平気だったんだ」「もう治った」と誤解されたり、理解されなかったりすることも多々あるようです。

2.トラウマを受けた人の一般的なケア

このようなトラウマやPTSDですが、時間経過とともに自然に治っていく場合も少なからず多いようです。そのトラウマやPTSDが自然に治ることを促進するためにも、そして、残念ながら慢性化してしまった状態を治すためにも適切な支援を受けることが必要です。

トラウマやPTSDに対する適切な支援とは、初期には安全の確保、身体治療、衣食住の確保が必要です。中期には、経済支援、生活保障、生活支援、法的支援、行政サービスが必要となり、後期には自立支援、職業生活の安定、人によってはトラウマやPTSDに対する心理的支援やカウンセリングなどが必要となります。

3.トラウマを受けた人の専門的なケア

(1)トラウマのカウンセリング

適切な支援の中で臨床心理士やカウンセラーができることは様々にあります。トラウマを受け、PTSDになってしまった方は罪悪感に苛まれたり、社会から孤立しがちであったり、人との関係に過敏になってしまったりすることもあるので、そうしたことを踏まえたカウンセリングをし、どのように心構えを作り、どのように行動すればよいのかを話し合っていくことは助けになるでしょう。そして、トラウマやPTSDによる生活上の支障や心の苦痛をやわらげていく心理学的な技法もいくつかあります。EMDR認知行動療法、PE(持続的エクスポージャー)、TF-CBT(トラウマに焦点をあてた認知行動療法)などです。

このようなトラウマに対する心理学的な技法の効果は高く、様々な研究データから標準的な薬物療法や医学的治療よりも効果的であると示されています。実際の支援では、心理学的な技法と医学的な治療は両方同時にしていくことが多いと思われます。

(2)カウンセリングで取り扱うこと

また、いずれの治療法でも共通点はあり、以下の3つの順に、もしくは軸に進んでいくことが多いようです。

a.安全感覚の確立

自分自身が安全であり、身の危険を感じる心配はなく、いざとなれば誰かが助けてくれるという安全に対する信頼感の回復。

b.責任の所在の変革

事件や事故が自分自身の責任で起こってしまったと過度に自責的、自罰的にならず、適切で妥当な範囲で起こった責任を外に向けかえること。

c.対処可能性の向上

自分自身の能力やスキルや資源を用いて、事態を制御し、危険を回避できるという自分自身に対する信頼感の回復

上記の軸について、3よりも2が、2よりも1が優先され、番号が若いものをある程度確立しなければ、次の番号の水準のことがなかなか達成しにくいようです。例えば、安全感覚がないのに、責任の所在を変革したり、対処可能性を向上したりすることは困難です。

当オフィスではその中でもカウンセリングを通して話を伺い、トラウマやPTSDにターゲットを絞ったEMDR認知行動療法を行うことは可能です。さらに、トラウマをきっかけにして、自身の人生の在り方や生き方の問題を見つめ、より豊かに生きていけるようになる方法として精神分析的心理療法も良い場合があります。

4.カウンセラーの二次受傷

また、トラウマの問題を抱えたクライエントと接するカウンセラーは、カウンセラー自身の中にあるトラウマ的な体験が賦活されることがあります。そうなると冷静な対応がしにくくなることもあります。そして、さらにはクライエントが負ったトラウマと同じようなトラウマをカウンセラーが負ってしまう場合もあります。

これを二次受傷といったり、外傷性逆転移といったりすることもあります。こうした時にはカウンセラー自身が教育分析や個人分析を受けたり、スーパービジョンで指導を受けたりすることが必要になってくることもあります。

5.参考文献

トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること (健康ライブラリーイラスト版)

トラウマにふれる―心的外傷の身体論的転回

タイトルとURLをコピーしました