リワーク・復職支援に対するカウンセリング

様々なストレスによって精神症状が出て、それによって仕事ができなくなってしまうことはしばしば起こります。そのため、休業や休職をすることになります。そして体調が戻り、職場に復帰することになります。

しかし、休業・休職中に何をするのか、復帰する際に何を気をつけるのかによって、スムーズに職場に復帰できるかどうかが変わってきます。うまく復帰できずに、職を失ってしまう方もそれなりにいます。

ここでは職場へのスムーズな復帰をするために、復職支援・リワークとして何が必要なのかを書いていきたいと思います。

1.職場ストレス

職場ストレスには以下のように様々あります。

  • 長い労働時間
  • 多すぎる業務
  • 人間関係
  • ハラスメント
  • 単調な仕事
  • 昇進や降格などの職位の変動
  • 低賃金や給料カット
  • 過度に業務が少ない
  • 慣れない業務
  • やりがいの持てない業務
  • 展望の持てない将来やキャリア 等

この他にも色々とあるかもしれませんが、大きくはこういうストレスがあるでしょう。そして、素因も影響もあります。元々、発達障害や統合失調症、不安障害気分障害を持っている方はストレスに対する耐性が低いので、低いストレスでも精神症状を出してしまうこともあります。その他にも性格的な要因もあるでしょう。

そして処理しきれないほどストレスが大きくなると、様々な問題が発生します。

  • パフォーマンスが低下する
  • 人間関係のトラブル
  • 突然の欠勤や遅刻、早退
  • 業務に集中できずボーっとして上の空
  • 落ち込み気味であったり、反対に変にカラ元気であったり
  • 身なりや服装に気を使わなくなる
  • 飲み会や遊びを断りがちになる
  • ケアレスミスがよく起こる
  • 朝が起きられない
  • 夜が寝られない
  • 食欲がなくなる
  • 原因不明の頭痛や腹痛、めまい、耳鳴りなどの身体の症状が出る
  • 趣味を楽しめなくなる
  • いつも何かに追い立てられるように感じる
  • モチベーションが下がる
  • 死にたくなったり逃げ出したくなったりする

自分自身で自覚するものもあれば、同僚や上司など他の人から見て気付くものもあるでしょう。そして、こうした問題が大きくなれば仕事を続けていけなくなってしまいます。

2.休職する

様々な問題が発生したら、早めに医療機関の受診をすると良いでしょう。研究的にも経験的にも早めに対応することによって、回復も早くなります。最初から精神科や心療内科でも良いですし、もし抵抗があるなら内科や神経科、耳鼻科などでも良いでしょう。身体の診察や検査などを経て、精神科を受診されると良いでしょう。

その後、仕事を続けながらの治療になることもあれば、診断書を出されて、休職することを助言されることもあります。

休職する際、比較的やりやすい方法は有給休暇がある人はそれを使った数日〜数週間程度の短期のお休みを取ると良いでしょう。それだけで回復する方もいますので。

有給休暇がなかったり、使い切ってしまっている場合には病気休暇となります。最長どれぐらいの病気休暇が使用できるのかは各事業所や企業によって違います。社内規定や就業規則があれば読んでおく方が良いでしょうし、人事や総務に問い合わせてみると確実でしょう。多くは1〜2年に設定されているようですが、中には規定そのものがなかったりもします。

復職支援・リワークをするにしても、ある程度の安定や基盤が必要になります。安心して復職支援・リワークに取り組める環境が大切です。

3.休職中の生活費や経済的支援

(「休職中の生活費や経済的支援」については懇意にしているPSWの上田哲史さんの助言を元に書いています)

(1)傷病手当金

病気休暇の時には給料は多くの会社では支払われません。その代り、傷病手当を保険から受け取れます。ちなみに協会けんぽでは給料の3分の2が、最大18ヶ月支給されます。(協会けんぽホームページ:病気やケガで会社を休んだときは傷病手当金が受けられます

また、もし仮に途中で退職したとしてもそのまま傷病手当を続けて18ヶ月間受給することができます。

ただし、請求してから実際に給付されるまでタイムラグがあるので、多少辛くても、早めに申請手続きはできると良いでしょう。

それと、この傷病手当金は社会保険に加入している人のみです。自営業などで国民健康保険に加入している人には傷病手当金はないので注意です。民間保険会社などの所得保証プランなどはあるようですが。

(2)障害年金

障害年金という制度もあります。これは初診から18ヶ月を経過していないと受給はできませんが、加入している年金によって受給額などの差はありますが、月5万円以上は受け取れることが多いようです。

また、この障害年金は過去5年間にさかのぼって受給申請することが可能です。つまりずっと以前に精神科を受診していれば、その時点からの障害年金をもらうことができます。人によっては200万〜300万円ほどが一括でもらえたりします。

ただし、5年前に受診していた当時の受給状況等証明書や診断書をもらう必要がありますが、カルテ保存期間を過ぎて破棄されていたり、当時の主治医が退職や異動でいなかったりすると、もらえない可能性があります。

その他に細かい規定があるようです。

このあたりについて、素人が独自で判断し、請求していくことはなかなか難しいので、精神保健福祉士(PSW)や社会保険労務士に相談してみてください。

(3)自立支援医療

その他に生活費ではありませんが、精神科での治療費が安くなる制度もあります。自立支援医療です。治療費が1割負担に少なくなり、かつ月々の支払いの上限20000円となり、それ以上は支払わなくても済みます。詳しくは「自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み」にあります。

4.休職中の精神科的な治療

1.職場ストレスに書いているような症状や問題が出ているとするならまずは医学的な治療、特に精神科治療が必須になってきます。経緯や症状によってもちろん診断はかわりますが、おそらく、うつ病、不安障害、抑うつ状態、適応障害など言われることが多いかもしれません。

(1)薬物療法

精神科治療で用いられる薬物療法は主に以下の種類に分けられます。

  • 抗不安薬
  • 抗うつ薬
  • 抗躁薬
  • 抗精神病薬
  • 抗てんかん薬
  • 睡眠薬

いずれも基本的には医師の指示に従って処方どおりに服用することをお勧めします。人によっては、自己調整したり、自己中断したりすることもあるようですが、ほとんどの場合、それで良くなることはなく、ほぼ悪化します。薬に不安があったり、副作用が辛かったりする場合には、まずは医師に相談し、薬の調整をお願いすると良いでしょう。

薬物療法の良さはそのコストパフォーマンスにあると思われます。カウンセリングや生活療法などでも症状は改善しますが、そうなるためには時間と労力、努力が結構かかってしまいます。その店、薬物療法はその種類にもよりますが、効果は早くに得られますし、その労力は飲む(もしくは注射を打つ)ぐらいで終わります。

このことから休職により、さまざまな精神症状が出ている場合には、医師と相談の上で薬物療法を試されると基本的には良いでしょう。

(2)入院治療

症状が重篤であったり、死にたい願望が強かったり、自殺未遂があったり、自宅療養がしにくい事情があったりする場合には、入院治療をすることもあるでしょう。数日から数週間程度の休養目的のこともありますし、数ヶ月程度の長期になることもあります。

いずれも、日常生活の刺激をさけることができ、休養と治療に専念でき、生活リズムを整えていくには入院治療は非常に効果的です。

最近ではストレスケア病棟などという名称で入院施設を作っている病院もあるようです。比較的経度でうつや不安の問題を抱えている人専用のものです。このあたりも必要があれば医師に相談してみると良いでしょう。

ちなみに神奈川県内の入院できる精神病院は神奈川県精神科病院協会のホームページにリストがあります。おそらく全て網羅しているとは思いますが。

5.休職中のカウンセリングや心理療法

休職中、復職支援・リワークの間には様々な問題が起こり、さらに心配事が頭をよぎると思います。例えば以下のように。

  • 仕事に戻れるだろうか?
  • 家族の重荷になってないだろうか?
  • 世間様に申し訳が立たない
  • 昼間からブラブラしていたら近所の人にウワサをたてられる
  • このままクビになったらどうしよう
  • 睡眠や生活のリズムが乱れている
  • 何もする気になれず憂鬱に一日が終わってしまう
  • 気は焦るけど何をしていいのか分からない
  • 何を食べても美味しくない
  • 悪いことばかりを考えてしまう

これらのことは病気の症状であったり、休職していることへの反応であったりします。いずれにしろ、休職したからといって心身ともに100%ゆっくりとできる人の方が稀であると思います。

このような時には教育分析や個人分析スーパービジョンを受けているような専門的なカウンセラーからカウンセリングや心理療法を受けて、じっくりと問題について話し合い、自分自身の気持ちや考えをカウンセラーと整理していくことができると良いでしょう。考えや気持ちが整理できるだけでも、非常に落ち着くこともしばしばです。さらには問題解決について話し合っていくことにより、今後の展望や目標を持つことができるようになります。

また、人によっては単に仕事のストレスでこうなった、ということに留まらず、自身の生い立ちや埋もれていた家族との葛藤、もしくは自分自身のパーソナリティの課題なども見えてくることもあるでしょう。そういうときには、カウンセリングや精神分析的心理療法を通して、自身の棚卸しというべき作業などもしていくのも良いかもしれません。単に認知や行動だけを変えるのではなく、人生の見直しの作業も必要になってくる場合もあるでしょう。

6.休職中のグループワークへの参加

休職というのは非常に孤独を感じやすい状況であると思います。独身で一人暮らしの人であればなおさらでしょう。仕事をしていれば、常に人間関係をこなさないといけないので、それはそれでストレスですが、全くなくなってしまうこともストレスです。

人とのコミュニケーションを通して、自分自身の立ち位置や姿を認識しているところも人間にはあるのです。そのためコミュニケーションがないと、自分自身を見失ってしまったり、過度にマイナスにとらえてしまうこともあります。

そのため、診察で医師と話したり、カウンセリングでカウンセラーと話すだけではなく、以下のような復職支援・リワークにもとづくグループワークに参加することも非常に効果的です。

(1)デイケアやショートケア

大きな病院やクリニックにはデイケア・ショートケアが併設されているところもあります。

主に日中の居場所や活動の場として機能しています。また人間関係作りやコミュニケーションの練習などの場でもあります。

プログラムは多岐に渡っています。卓球やサッカー、ボードゲームなどのレクリエーションなどもあります。料理教室やパソコン教室などで生活スキルを学べたりもします。ところによってはSST(社会技能訓練)や集団認知行動療法などもあったりします。季節によってクリスマス会や節分、遠足、バザーなどのイベントが催されたりもします。

このようなことは個人だけではできないので、デイケアなどの集団活動の場で行います。

もちろん人間関係の中で営まれるものなので、人とのトラブルやいざこざなども実際にはあるでしょう。しかし、そうしたことを解決し、乗り越えることが今後の生きる上でのスキルになります。

(2)復職支援(リワーク)プログラム

精神科デイケアの枠組みの中で実施されたりしています。復職に目的を特化し、就労できるための体力、知力、人間関係スキル、生活スキル、生活習慣、仕事スキル等を身につけていくためのものです。

そのため、通常のデイケアよりは枠や構造はきっちりとしており、機関にもよりますが、週4〜5回以上は出席できることを参加の条件などにしていたりもします。

職業訓練的な要素が大きく、参加するための労力やエネルギーは必要ですが、完遂できると相当の成果が得られることでしょう。復職支援・リワークを明確にしているところと、そうではないところがあるので、実際には各機関に問い合わせると良いでしょう。

7.休職中の体調と生活リズムの整え方

今まで週40時間以上も就労していた人が、労働時間ゼロになると相当時間をもてあましてしまうことになるでしょう。もちろん、休養や休息をとるという意味では重要なのですが、これによって、生活習慣が乱れ、人によっては昼夜逆転したり、食事を取ったり取らなかったりしてしまう場合もあります。

そのため、以下のようなことに気をつけながら生活を送られると良いでしょう。これらのことも復職支援・リワークに必要なことです。

(1)食事

基本的には栄養の偏りや不足がない、バランスがとれた食事にしていく方が良いでしょう。ただ、抑うつが強い場合には、そもそも食欲がなかったりするので、工夫が必要です。(ちなみに、摂食障害の人は食事の点についてかなり専門的なケアをしていかねばならないので、ここでは省略させてもらいます。)

ちなみに5大栄養素と言われるものは以下のものです。

  • 炭水化物(米・小麦などの穀物・イモ類・豆類・砂糖など)
  • 脂質(バター・ラード・オリーブ油・サラダ油など)
  • タンパク質(肉類・魚介類・牛乳・チーズ・卵・大豆など)
  • ビタミン(肉類・魚類・野菜・果物など)
  • ミネラル(野菜・果物・海藻など)

食欲がない場合には、のど越しが良く、消化の良いものを食べるほうが良いでしょう。ウドンやお粥などは食欲がなくても比較的食べやすいようです。油モノや硬いものはなかなか大変なようです。

成人男性の場合にはビタミンやミネラルが不足した食事をしてしまいがちであるので、意識的に野菜などは食べるようにすると良いでしょう。

どうしても食欲がなくて、食べられない時には、ゼリーやプリンなどであったとしてもカロリーを摂取できると良いです。また、比較的、フルーツであれば食欲不振の時でも食べやすいようです。

その他に、賛否両論はあるでしょうが、不足している栄養素をサプリメントなどで補助していくことも必要な場合があるかもしれません。

(2)睡眠

抑うつ的になってくると、人によっては睡眠に問題が生じる場合もあります。比較的よく見られるのは以下の4つの症状です。

  • 入眠困難(寝付きが悪い)
  • 途中覚醒(途中で起きてしまう)
  • 早朝覚醒(朝早くに目が覚めてしまう)
  • 熟眠障害(ぐっすりと寝た気がしない)

その他に繰り返される悪夢を見てしまう人や、過眠(寝すぎてしまう)などが出現する人もいます。いずれにしても睡眠が十分に取れないと体力も回復しませんし、日中のパフォーマンスにも影響してきます。

睡眠のどのような問題があるのかによって対処や対応は変わってきますが、概ね以下のような工夫をすると睡眠の質が向上します。

  • 日中の運動により適度に身体を疲労させる
  • 眠たくなってから布団に入る
  • 寝た時間に関わらず、朝は一定の時間に起床する。そして朝日を浴びる。
  • 布団に入って10〜15分寝られなければ一度布団からでて、再び眠気が来たときに布団に入る
  • 寝る前には適度にのんびりとリラックスすることを行う

また、睡眠の質を悪化させないために避けた方が良いことは以下の通りです。

  • 日中の昼寝(14時までの10〜15分程度の仮眠であれば可)
  • 寝る直前の激しい運動や熱いお風呂
  • 夕方以降のカフェイン、タバコ、アルコール、エナジードリンクなどの摂取
  • 布団の中での寝る以外の行為(考え事、テレビ観賞、スマホ、ゲーム、読書、激しい音楽など)
  • 布団の中で一日の反省会や明日の予習をする
  • 寝られないからといって早めに布団に入る
  • 睡眠時間に過度にこだわる

ある程度の不眠であれば、上記のようなことを気をつけるだけである程度は改善します。そして、睡眠障害が酷い場合には、睡眠導入剤などを使用すると良いでしょう。しかし、睡眠導入剤でかなり改善しますが、対処療法にすぎません。睡眠導入剤を服用しながらも、上記のような睡眠改善の努力をし、規則正しい生活リズムと体調管理、ストレス対処により、根本的に睡眠を改善していく方が良いでしょう。

(3)日中の過ごし方

これまで毎日8時間以上も働いていたのが休職をすることによって、ほとんどの労働から解放されることになります。当面は十分に休息をとり、体力を回復させていくことが大事になります。

そして、概ね1週間から数週間ほどで身体的な体力はほとんどの場合には回復しますので、徐々に日中の活動を増やしていくと良いでしょう。掃除・洗濯・買い物・料理などの家事やちょっとした運動、外出、遊び、趣味、遠出をしての観光、博物館・美術館巡りなどが良いでしょう。可能なら午前中から活動すると、一日が有意義に使えます。これらも、最初は軽いものからはじめ、徐々にハードかつ高頻度にしていくと良いでしょう。

また、一人でするものから、誰か他者と一緒にするものなども増やしていけるとさらに良いです。一緒に遊びに行くなり、食事や飲み会に行くなどの予定も入れていきましょう。

仕事をしていると、日常的に人との接触は多かれ少なかれ出てきますが、休職するとそれらが一気になくなってしまいます。コミュニケーションの量が少なくなると、いざというときに人との関係が億劫になったり、拒否的になってしまったりする恐れがあります。人によっては、人と接触しないことで、人が悪い風に見てくるという被害感を募らせることもあります。そうしたことを防ぐためにも、人との接触やコミュニケーションは意識的にしていくことが大切です。

そうしたことを含めると、社会活動に参加することも良いでしょう。休職中にはさすがにアルバイトなどをすることはできないでしょうから、ボランティア活動をしたり、公民館などで募集しているようなサークル活動に勇気を持って参加してみても良いかもしれません。

さらには、6 休職中のグループワークへの参加であげたようなデイケアや復職支援・リワークプログラムなどに参加するのも良いでしょう。日中のリズムをつけれると同時に、人との関わりは非常に増えますし、様々な就労スキルが獲得できるので、一石三鳥です。

その他に、通勤に電車を使っている人などは、試しで通勤ラッシュに敢えて乗車してみても良いでしょう。ラッシュから遠ざかっていると、慣れるのに非常に時間がかかります。ラッシュに慣れる練習を復職前にしておくと、より復職が容易になります。

(4)活動性を上げていく

日中の過ごし方でさまざまな活動を提案しました。なぜそのようなことをするのかというと、何かの行動を行った結果として、精神的な健康やモチベーションが上がり、気分の転換につながります。

抑うつ気分や意欲の低下があると、何もしたくなくなります。気持ち的には当然のことで分からなくもありません。ただ、そのことにより、実際に何もしないことによってどうなるでしょうか?おおくは、何もしないことに罪悪感を感じたり、休むことによってさらに身体の倦怠感につながったり、さらなる意欲の低下を招いたりします。

だとすると、反対に、抑うつ気分があるときにこそ、意欲が低下しているからこそ、活動をしていくことが大事になります。可能なら、そうした活動をルーチン化し、スケジュール化し、日常生活の中にリズムとして組み込んでいくことができると良いかと思います。つまり、気分によって活動をするかどうかを決めるのではなく、気分はさておき決められた時間とスケジュールに沿って活動をするようにしていきます。最初は苦痛なこともあるかもしれませんが、進めていくことにより、徐々にやりやすくなっていくでしょう。

実験的に、何かの行動をする前の気分と行動をした後の気分を比較してみると良いでしょう。ガラリと大きく変動することはないでしょうが、数%の気分の変動はあるかもしれません。例えば、気分の落ち込み80%が60%ぐらいに低下するなど。そうした数字で気分を表し、その微細の変化を見ていくと、行動することの大切さや必要性が実感できるようになるかもしれません。

このような方法で活動性をあげていくと、復職への道が開けてくるかと思います。

8.復職する際のリハビリ出勤

(1)リハビリ出勤とは

復職支援・リワークの中で、体調も回復し、精神面も持ち直し、活動性も徐々にあがり、医師の診断書にも復職可と記載されると、いよいよ復職が見え始めます。しかし、ここで請求に復職をすると再び悪化してしまうリスクが高くなります。

人事や総務、産業医、上長との話し合いがほとんどの場合もたれます。そして、ほとんどの事業所ではリハビリ出勤というものが組まれます。リハビリ出勤とは、軽減勤務と言い換えられます。最初からフルタイムで通常業務をし、残業や出張もありという勤務ではなく、最初は短い時間、少ない日数、軽い労働、残業や出張もなしという勤務をすることで、負担なく職場に復帰できる道筋を作っていきます。

(2)リハビリ出勤を開始するタイミング

事業所や人事の考え方によっては、完全に病気が完治してからでないと職場復帰はさせないとしているところもあるようです。

しかし、精神的な障害で完治ということは非常に難しく、また期間も相当かかってしまいます。ですので、たいていはほどほど治ってきたところで、段階的に復職しながら、段階的に治していくということが通常です。もしくは、言いかえると、復職して徐々に業務をしていくことが治療的に良い効果を生み出すとも言えます。

ですので、概ねですが、60〜70%ほど回復しているのであれば、その時点で復職を考えるタイミングであると思います。残りの30〜40%は仕事をしながら治していくということの方が現実的ですし、合理的です。

このあたりについては、事業所や人事の方の意見もあるので、理解を得られるように話し合っていく必要がある場合もあります。

(3)リハビリ出勤の期間

リハビリ出勤の内容や期間は事業所にも寄りますので、一概にはいうことはできませんが、可能なら体調を見ながら、調子が良くても2〜3ヶ月の期間を想定しておくと、かなりリスクは減らすことができます。体調が良くなさそうであれば、半年ぐらいの期間をもたねばならないこともあるかもしれません。

(4)リハビリ出勤の時の業務

複雑で難易度の高く、労働量の多い業務は控える方が良いでしょう。最初は比較的単純で、難易度も低く、責任も大きくない業務で身体を慣らして行きましょう。

ただし、あまりにも業務が少なく、何もすることがなくなり、手持無沙汰になると、それがストレスになってしまったりもします。周りが忙しく働いているのに、自分だけ何もしてない状況は相当肩身が狭いものです。

そのような時には人事や上長とも相談しなければなりませんが、業務をする上で必要な勉強や読書をしたり、時には資格勉強などをさせてもらえると、適度に時間をこなしていけるので、気持ちの負担はかなり軽減することができます。

(5)職場内での人間関係

どのようなことで休職になり、復職になったのかという事情や状況にもよりますし、職場の雰囲気や文化、価値観、職場からの理解を持っているのかによって相当変わってきますが、いずれにしても人間関係は大事になってきます。

休職したことの引け目や恥ずかしさなどをもつ人も多く、そのことによって、人間関係を避けがちになってしまうこともあります。そうすることによって一時的には恥ずかしさを感じることを防ぐことができますが、結果的には職場で疎遠がちになり、職場適応を阻害してしまうという長期的なデメリットを生じさせてしまいます。

ですので、職場の雰囲気や元々の人間関係もあるでしょうが、意識的に職場の人とはコミュニケーションをもち、つながりを意識的にしていくことの方が良いようです。単純ですが、朝や帰りの挨拶があるかないかだけでも大きく変わります。人間には情というものがあるので、頻繁に接している人にはそこそこの親しみを感じるものです(特別な嫌悪感情がない限りは)。

抵抗があるかもしれませんが、積極的に職場では声をかけ、コミュニケーションを意識的取っていくことが望ましいでしょう。

(6)復帰する部署

復職する際に、元の部署に戻るか、全く違う部署に戻るかでどちらの方が良いのかと質問を時折されます。

これは時と場合があるので、どちらがベストなのかはありません。ハラスメントなどによる休職であれば、違う部署の方が良いでしょう。しかし、そうしたことがないのであれば、別部署はそちらに慣れる負担も大きくなるので、元の部署が良いでしょう。元の部署の同僚と顔を合わせづらいということもあるかもしれません。

社内の規定や人事・総務の考え方もあるので、希望どおりにはならないかもしれませんが、相談と話し合いをして、決めていけると良いかもしれません。

(7)リハビリ出勤時の給金と保険

多くはリハビリ出勤時は休職の延長という形式をとることになるでしょう。つまり、事業所からの給料はゼロで、傷病手当金を受給し続ける状態ということです。そのため、出社時の交通費がなかったり、労災保険関係があやふやであったりすることもあります。責任ある業務を任せられないということも関係してきます。

また事業所によっては、リハビリ出勤の開始段階で就業ということにし、就業時間の足りない分は有給休暇か欠勤扱いとなることもあります。

いずれも、リハビリ出勤を開始する前に、人事や総務に問い合わせて、確認しておくと良いでしょう。リハビリ出勤しているときに、事故などが起こった際の保険がどうなるのかは結構、一大事ですから。

(8)リハビリ出勤から通常勤務へ

段階的に高度な業務をこなせるようになり、就業時間も増えていくと、通常業務に徐々に近づいていきます。数ヶ月も働いていれば、それなりに慣れてきているでしょう。時折、体調を崩してしまうこともあるかもしれませんが、その頻度や程度も下がってきているのではないかと思います。

概ね80〜90%程度が回復していれば、通常勤務にしても問題はないでしょう。体調悪化もゼロにするというよりは、すばやくそこから立て直すことができ、職場に迷惑がかからない範囲での欠勤・遅刻・早退程度におさめ、有給休暇内に留まり、取り戻すことができる程度にしていくことの方が大事です。

9.退職

(1)退職したら

休職からリハビリ出勤を経て復職に至ることができると良いのでしょうが、残念ながら退職になってしまう場合もあります。

事業所の就業規則で、休職が規定の年月を経過すると自動的に退職になってしまうと明記しているところもあります。そのような規定がなくても、ある程度の年月で退職を勧められることもあります。また、病気療養中、休職期間中の解雇は法的には相当困難なようですが、ありえる場合もあるようです。

もしくは、本人の考えやキャリア、将来性から退職を判断することもあるでしょう。消極的な判断として、引け目や居たたまれなさ、申し訳なさ、罪悪感から退職を決めてしまうこともあるかもしれません。特にうつ病などの場合には物事を否定的、悲観的に考えてしまう傾向があるので、その影響の場合もあるでしょう。

いずれにしても、退職という判断は不可逆的で、元に戻すことは基本的にはできません。ですので、退職の判断は慎重にし、家族及び専門家と十分に相談し、時間をかけて決めていく方が無難です。

それでも退職となった場合、ほとんどの場合で経済的な問題が即座に発生します。当面の生活費の確保をし、うつ病などの疾病があるのであれば治療をし、中長期的には再度就労をしていくことになるでしょう。それをどのようにしていくのかについては「失業中の生活費と経済的支援」で説明しています。

(2)懲戒解雇になったら

職場の就業規則にもよりますが、長期間の欠勤や無断欠勤、もしくは要求される業務をこなせないなどにより懲戒解雇となってしまう場合もあります。懲戒解雇になると、退職金がもらえなかったり、失業手当の給付が不利になったり、転職時に不利益をこうむったりします。

そのため、できるだけ懲戒解雇となるような事由は作らない方が良いでしょう。例えば欠勤するにしても必ず職場に連絡はする、長期の欠勤になるときには病気休暇や休職といった手続きをとる、業務が果たせないなら降格や配置転換を申し出る、などの工夫と努力をする方が良いでしょう。

それでも懲戒解雇となった場合、その事由が果たせない理由が精神障害であり、かつ治療を受けているということであれば、ハローワークに相談してみると良いでしょう。そうすると、懲戒解雇(自己都合退職)ではなく、会社都合退職に変更してくれ、待期期間なしで失業手当を給付できたりもします。

また、あまりにも懲戒解雇が不当であるなら、労働局に相談したり、弁護士を立てて訴訟する道もあります。ただ、訴訟となると時間と金銭と労力がかかるので、それをすることがトータルとしてメリットがあるのかを吟味する方が良いでしょう。

10.失業中の生活費と経済的支援

失業した場合、無収入になってしまいます。よほど貯金や資産があれば生活に困らないでしょうが、そうした人は一部なので、ほとんどの場合が生活費が途端に困ってしまいます。また両親などの家族が健在であれば、実家に戻るなどで生活費を少なくしていく必要もあるでしょう。それも抵抗のある方もおられるかもしれませんが。

いずれにしろ、公的なサービスとしての経済的支援がいくつかあるので、それをまずは利用すると良いでしょう。経済的基盤があることで、安定して復職支援・リワークに取り組めます。

(1)傷病手当

傷病手当金に書いていますので、参照してください。

退職後にも傷病手当を受給できますが、その条件は、会社に雇用されている時期に障害や疾病に罹患していることです。退職後に障害や疾病に罹患した時には対象外となってしまいます。

ちなみに傷病手当は健康保険から出ています。退職と同時に通常は健康保険組合から退会することになりますが、傷病手当を受けている場合には任意継続をして、そのまま加入しておかねばなりません。

これらのことの詳しくは加入している健康保険の団体に問い合わせてみたほうが良いでしょう。

(2)雇用保険による失業手当

退職後、失業状態である時に受け取れるのが失業手当です。これは就業時に雇用保険に加入していることが条件です。加入条件は1週間に20時間以上の労働時間があり、かつ31日以上勤務していることです。

まず、退職後に傷病手当を受給していると、傷病手当が優先されます。傷病手当の受給が終わり、かつその時点で失業状態であると雇用保険の失業手当が受けれます。

通常、退職が離職票に書かれている退職理由が自己都合などの場合には、待期期間7日間と受給制限期間が3ヵ月間あります。しかし、退職時に精神科や心療内科に通院しており、かつ主治医の意見書・診断書があれば、待期期間7日間のみとなり、受給制限期間3ヵ月はなくなります。3ヵ月の無収入期間があるのとないのとでは大きな違いですね。

また、失業手当の受給期間ですが、病気や障害のための退職であれば、延長することが可能です。例えば、雇用保険の加入期間が1年未満であれば、通常90日しか失業手当を受給することはできません。しかし、病気による退職であれば150日になります。年齢や加入期間にもよりますが、最大360日までになります。ほぼ1年ですね。

雇用保険の加入期間と年齢による詳細な受給期間は以下に詳しくあります。

ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

そして、この中の就職困難者がそれに該当するわけですが、そのためには障害者手帳が必要になります。各自治体での判断が違うのか、障害者手帳の申請をしているだけで就職困難者としてくれるところもあれば、手帳取得しなければ就職困難者としてくれないところもあるようです。リスクを避けるなら、手帳を取得してから雇用保険の失業手当の申請をするほうが無難かもしれません。

(3)障害年金

障害年金に書きましたので、それを参照してもらえたらと思います。

(4)税金・健康保険料の減額

失業状態であれば、前年度の収入なども関係してきますが、保険・税金面の減額・減免が受けられる場合があります。

所得税については、確定申告をすることで戻ってくる場合があります。会社員の場合には会社がこれまで代わりにしてくれていたことです。それを個人でするのが確定申告です。3月中旬が例年の締切りです。その時期までに多少は面倒ですが、確定申告をすることでお金が返ってくるので、可能なら手続きをした方が良いでしょう。

住民税については、役所の税務窓口に行って相談してください。離職票や雇用保険受給者証、診断書、障害者手帳もろもろの書類を持っていくと話が早いかと思います。ここでも面倒な書類を何枚も書かされる可能性はありますが、それによって減免・減額・分割などの処置がなされると経済的に非常に助かります。

国民健康保険については、雇用保険受給者証などで失業中であることが認められると、保険料が減額されます。社会保険の任意継続をするよりも国民健康保険に切り替え、減額をしてもらう方が安くなることがあります。このあたり、社会保険の任意継続をする方が安いのか、それとも国民健康保険に切り替えて保険料の減額をする方が安いのか、を役所などに問い合わせ、調べて、比較検討し、決定されると良いかと思います。

国民年金については、失業を理由にして、減額や免除、納付猶予の措置を取ってもらえます。それにより受給できる老齢基礎年金が減ってしまいますが、当面の生活費を優先したいのであれば申請すると良いでしょう。年金制度には色々と不備もありますが、未納だけはしない方が良いでしょう。国民年金には老後に受け取れる老齢基礎年金だけではなく、障害を負った時に受給できる障害基礎年金や、遺族基礎年金といったものもあります。未納であると、そうしたことが受けられなくなってしまいます。詳しくは下記のホームページをご参照ください。

日本年金機構「保険料を納めることが、経済的に難しいとき」

(5)生活保護

さまざまな理由で健康で文化的な最低限度の生活を営めない時には生活保護を受給することができます。生活保護を受けるための条件や支給額は、家族構成・居住地域・障害者手帳の有無などにより変わってくるため、詳しくはお住まいの役所に相談してもらえたらと思います。

生活保護の受給は世間からの厳しい目もあるようですし、自尊感情を刺激されたりしますので、決して安穏とした生活が送れるわけではないようです。さまざまなプレッシャーや引け目、焦りなどもあり、受給すること自体が精神衛生によろしくない影響があるようです。

また、受給すると、労働することのメリットよりも、現状を維持することのメリットが上回ってしまい、結果的に労働意欲を低下させてしまうこともあるようです。だからといって、受給しない方が良いということではなく、生活や人生の計画を立て、どういうことに価値を置いて、そのためにどのような努力をするのかを考えていくことが大事かもしれません。

(6)就業促進手当

就職活動の進捗によっては国から就業促進手当を受け取ることができます。具体的には以下の4つとなります。

  • 再就職手当:失業手当の支給が1/3以上を残して就職した時に支給されます。
  • 就業促進定着手当:就職したものの、前職よりも給料が少ない時に支給されます。
  • 就業手当:失業手当を受給中に、アルバイトなどの短期・非正規での仕事をした時に支給されます。
  • 常用就職支度手当:45歳以上の人や障害を持つ人が再就職した時に支給されます。再就職手当のような制約が少ない制度です。

以上の4つですが、それぞれ支給される額や支給制限に違いなどがあるので、詳しくはハローワーク就職促進給付をご覧になり、窓口担当者に質問してみてください。

11.就労するための訓練と就職活動

うつ病や適応障害など、その他の精神障害により生活機能、認知機能、作業能力が低下してしまうことがあります。一般的な精神科治療やカウンセリングにより回復していくでしょう。そして、就労するための能力に焦点を当てて、そうしたトレーニングを受けて、さらに回復を早めていくことも可能です。

また、人によっては労働していない時期が長期間続いていると、なかなか仕事をしていくことに躊躇し、実際に困難に見舞われることもあります。

そうした時、復職支援・リワークなど、以下のような就労するためのトレーニングや、就職活動のサポートを受けられると良いでしょう。

(1)就労移行センター

障害者総合支援法に基づき、障害者の方が就労できるようにサポートする機関が就労移行センターです。最近はあちらこちらで設置されているようで、よく耳にするようになりました。

事業所によってその特色は違いますが、就労し続けるために必要なPCスキル、事務作業スキル、人間関係スキル、ビジネスマナースキルなどのトレーニングが受けられます。また、就職活動をする上で有利になるように、履歴書や職務経歴書の作成や就職面接への対策などのサポートもあります。

必要な費用については以下の通りです。

  • 生活保護・非課税世帯:0円
  • 収入が600万円以下:9300円
  • 上記以外:37200円

申し込みについては、まずは行きたいセンターに直接問い合わせて、説明会や相談会、見学に行かれると良いかと思います。正式な申し込みは役所になります。自治体によっては障害者手帳が必要だったり、主治医の診断書や意見書でも大丈夫だったりしますので、これも窓口に問い合わせてもらえたらと思います。

そして、通所がはじまると、最大2年間は継続できます。また、就職後も定着支援ということで3年のサポートを受けることができます。人によっては、離転職を繰り返す方も中にはおられるので、こうした定着支援は受けられるに越したことはないでしょう。

(2)若者サポートステーション

15歳から39歳までの若年層を対象にした、就労をサポートする施設です。特にいわゆるニートや引きこもりといった方々が社会に出て、自立し、健康的な生活を送れるように支援しています。

そのために、職業的自立を目指したキャリアカウンセリング、職場体験などの就職支援プログラム、就職セミナーなどがあります。

以前は日中の居場所的な機能が強かったようですが、最近では就職支援の機能を強化しているようです。また、この若者サポステには教育分析や個人分析スーパービジョンを受けているような臨床心理士もいたりします。

サポートステーションネット

神奈川県内の若者サポートステーション一覧

(3)職業訓練

特定の資格や技術を習得するための機関です。短いもので数ヶ月、長いもので数年のものもあります。基本的には無料で受講できますし、特定の条件では給料が発生するものもあるようです。

ある程度の今後の方向性やキャリアが明確になっているのであれば、利用すると良いかと思います。

神奈川県内の職業訓練校一覧

(4)就労支援センター

「就労移行支援」と名前が非常に似通っていますが、別物です。このセンターは就職活動を手助けしてくれることに特化した機関です。主に、キャリアカウンセリングや就職セミナー、各種講座、履歴書経歴書添削などをしてくれます。就労移行センターのように通所訓練機関ではありませんので、毎日通うような感じにはならないでしょう。

就職活動をしていくにも助言してもらえる人がいる方が心強いと思います。また、時代と共に就職活動の方法なども結構変化してきます。例えば、履歴書は以前は完全手書きが主流でしたが、最近ではパソコンで作成したものも結構使用されるようになってきています。時代と業界に応じた就職活動をしていくためにも、こうした機関を利用すると良いでしょう。

神奈川県内就労支援機関一覧

横浜市内就労支援機関一覧

(5)就労継続支援事業

こちらも就労移行支援や就労支援センターと混同しやすいですが、これも別物です。就労継続支援事業とは、通常の就労が困難な障害者のための事業です。就労の機会を提供し、能力開発や就労のための技術訓練を行っています。この就労継続支援事業にはA型とB型の2種類があります。

A型は雇用契約があるタイプです。一方、B型は雇用契約がないタイプです。

A型は一般の就労は困難であるが、比較的負担の少ない雇用契約であれば就労できる障害者を対象にしています。B型は雇用契約を結ぶ就労も難しい比較的障害の程度が重たい方を対象にしています。

両方とも作業をすることで給料はもらえるものの、A型よりもB型の方が労働内容も単純で、負担も少ない分、もらえる額も少なくなります。

病気の度合いに応じて、こうした機関・施設を利用して、リハビリ的に就労することをしていくことも必要な場合もあります。

(6)ハローワーク

昔は公共職業安定所と言われていた機関です。ハローワークと言われるようになって久しくなり、社会的知名度も定着したといえるでしょう。

あらためて説明するほどのものもないかもしれませんが、求人情報の検索、求人の紹介などを主な業務とする機関です。その他に、雇用保険の失業手当についての手続きや教育訓練の給付なども扱っています。その他に、就職活動をサポートするセミナーや講座なども単発的に開いているところもあるようです。

基本的には求職者として登録することで利用できるようになります。ただ、インターネットでの求人検索の一部など、登録せずとも利用することもできます。

ハローワークでの就職活動は基本的には一人ですることになりますし、相談員がいるとはいえ、単発での相談が主になるので、継続性はないようです。ただ、最近では就職困難者に対するサポートを充実する方向で動いており、その関連で一部のハローワークでは臨床心理士が勤務しているところもあるようですので、希望者は一度問い合わせてみると良いかもしれません。

神奈川県内のハローワーク一覧

12.雇用形態

就職と一口にいってもさまざまな雇用形態があります。雇用形態によって労働時間や給料、待遇がかなり違います。一般的に正社員が一番待遇や給料は良いですが、それだけの労働負担と責任も多くなります。さらに最近ではブラック企業と揶揄される職場もあります。そうしたところで身体的にも精神的にもボロボロになり、再起するまでに相当の時間と金銭をかけないといけない場合もあるようです。

現在の体調面、精神面と相談しながら、時には給料を犠牲にして軽い負担の労働に従事することで、働ける身体作りをし、ステップアップを目指していくことも必要な場合があります。

(1)正社員

雇用形態としては一番安定し、一番高待遇となります。同時に労働時間や責任、業務内容などの負担が大きくなります。

待遇面では、健康保険や年金は会社負担があるので、個人での支払いが比較的安くなります。雇用保険もあるので、退職となったとしても多少は助かります。さらに、法定で有給休暇が定められていますので、それを使用することも可能です。その他にも会社によって相当違いますが、保養所などの福利厚生が利用できたりもします。また、一定年数以上の勤務をしていると退職金などももらえます。契約期限がないことも重要でしょう。

一方で、総合職・一般職などで違いもありますが、転勤がある職場もあるでしょうし、急な異動を命じられることもあるので、それ相当の覚悟も必要かもしれません。

(2)契約社員

一定の期間ごとに区切って、契約を更新しながら勤務することになります。そのため、昇給や退職金がないことが多いようです。また、特段の事情がなく、会社都合で契約更新をしてくれない場合もあるので、不安定な立場になります。

しかし、会社によっては中途採用の場合には、まず契約社員で雇用してから、その後正社員への登用をすることもあるようです。それが良いかどうかは別として、そうした事情をどのように考慮し、策を練っていくことも必要かもしれません。

(3)派遣社員

派遣労働法の下に制定された比較的新しい雇用形態になります。もともとは自由な就労を目指して、労働者側の利益のために作られたものですが、最近では会社が都合よく労働力を搾取するために使用されている面は否めないかもしれません。

それはさておき、当面の生活費を稼ぐため、短い期間に区切って就労をすることを希望する人にとっては都合の良い制度かもしれません。特に精神的・身体的に長期間の就労が負担になる場合には積極的に活用しても良いでしょう。契約期間自体が短いので、退職しやすいことは利点とも言えます。ちなみに2015年の改正で最大3年間となっているようです。

(4)パート・アルバイト

労働時間を短く区切って就労する形態です。労働時間が短いので、精神障害によって退職した人が、再びフルタイムで働けるようになるための繋ぎ、及びリハビリとして利用することができます。当面の生活費を稼ぐことも可能です。最初は短い時間で働き、体調の回復具合に応じて労働時間を長くしたり、契約社員・正社員への就職を目指したりすることもできます。そういう意味でも使い勝手が良いです。

そしてここは重要ですが、労働時間や年収によって保険や年金が変わってきます。

週20時間以上の労働があれば、雇用保険に加入できます。 年収130万円以上ある場合には健康保険に加入しなければなりません。 年収103万円以上ある場合には年金に加入しなければなりません。

よくあるのは、配偶者が正社員で働いている場合には、上記の時間・年収の範囲の中で働くことです。もちろん、これによって月々の保険料・年金料の支払いが免除されるのは大きなメリットですが、反対に社会保険に加入するほうがメリットになる部分もあります。

例えば、自身で社会保険に加入すると出産一時金、育児休業給付がもらえます。また厚生年金などに加入できれば、老齢年金が増えますし、障害年金の基準がやや緩くなります。

保険・年金関係はややこしいので、きちんと調べていく方が良いでしょう。

(5)障害者雇用

一般就職ではなく、障害者枠での雇用で就職するという雇用形態です。この障害者雇用での就職をする際には障害者手帳が必要となります。

一般枠よりも、労働時間・労働量・業務内容などの負担は軽く、また労働環境などに配慮があります。その分といってよいかどうか分かりませんが、給料は一般枠よりも低くなっています。

障害者雇用促進法では、会社の従業員の中で2%は障害者がいることが義務付けられおり、50人規模以上の会社では報告義務があります。2%よりも下回っていれば罰則が、上回っていれば報奨金が支払われるので、会社としては積極的に障害者を雇用しようとします。

また特例子会社というものもあります。これは従来は一つの会社に2%の障害者を雇用しなければならないのですが、一定の要件を満たした上で、障害者に特別の配慮をした子会社を設立し、そこで雇用されている障害者をグループ企業全体で雇用されているものとして算定できます。そのため、障害者としては労働環境に対する配慮があるので、比較的働きやすい職場であると言えます。

この枠で就労できると負担も少ないので、障害者にとっては働きやすいですが、反面では就職しにくい面もあります。特に精神障害の場合には会社もやや敬遠しがちであるようです。それが許されないことではあると同時に、事情も分からなくはないところもあります。

知的障害や身体障害の場合には技能不足や配慮はありつつも、それ以外は基本的に労働に従事できます。しかし、精神障害の場合、体調の波や気分の変動が人によっては顕著であり、パフォーマンスが一定にならない場合があります。そうしたことが労働をする上でネックになってしまいます。

このようなところから、精神障害者が障害者雇用を目指す際には就職が難しいという現状があるようです。

13.家族ができる支援について

配偶者や親、子どもが精神障害になり、休職したり、失業したりすると家族に多かれ少なかれ影響を及ぼします。一番は収入面です。生活水準を落とさざるをえなくなったり、時によっては持ち家を売ったりして転居せねばならなくなることもあります。また、休職・失業によって日中にずっと寝ていたり、ブラブラしたりしているのを見ると、心配や不安、絶望、失望、悲しみを引き起こされますし、そうした感情を引き起こす当人に対して酷い憎しみと怒りを感じることもあるでしょう。

もちろん、そうしたことはある意味では自然の感情なので、悪いものではありません。ただ、そうしたことを当人にぶつけてしまうことによって、ますます状態が悪化してしまう場合もあります。

当人はブラブラとして何も考えていないように見えても、ほとんどの場合が焦りや不安、罪悪感にさいなまれています。ですので、状態や状況にもよるでしょうが、基本的にはプレッシャーをかけず、普段どおりに接してあげると、結果的には良い方向に進んでいくようです。

あまりにも心配であれば、当人が通院している主治医や、受けているカウンセリングのカウンセラーに家族で相談に行ってみても良いでしょう。専門家の見立てや見通しが分かることで、家族の気持ちにも余裕が生まれるでしょう。

当人を敵にして、家族同士で敵対的にならないようにしてください。それよりも、精神障害、休職、失業を敵にして、家族で協同してその敵に対する対処を一緒に検討できるような立ち位置を意識されると良いかと思います。

14.終わりに

リワーク・復職支援とは、一般的には休職している人が元の職場に戻ることを意味しています。しかし、ここではもう少し広く意味をとり、失業してしまった人が、元の職場ではなかったとしても何らかの仕事に従事できるようになることも含めて書きました。

お金が無いこと自体が非常に強いストレスや負担となり、それが精神障害をさらに悪化させていきます。ですので、精神障害の医学的な治療、カウンセリング的な対応だけではなく、同時進行で仕事に従事することも考えていくことにより、全体的な回復を目指していくことが必要となってきます。

このリワーク・復職支援の項目ではそうしたことの参考や何らかのヒントが得られたら幸いに思います。

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