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反抗挑戦性障害のカウンセリングと治療

困難から生まれる繋がり

反抗挑戦性障害は、両親や学校の先生を始めとする自分より目上の方々に対して口喧嘩をしかけるなど挑戦的で反抗的な態度を過剰に認められる状態を指しています。反抗挑戦性障害が特に長期間かけて続く際には、両親や教師などだけでなく、同世代の友人や恋愛パートナーともたびたびトラブルに発展することが知られています。

今回は「反抗挑戦性障害」について説明していきます。

1.反抗挑戦性障害とは

泣いている二人の子ども反抗挑戦性障害は、主に10歳前後の小児に認められることが多い疾患であり、代表的な症状として「すぐにいらいらしやすく、易怒的である」、「大人と口論を展開するのが好きで、他者に対して挑発的な行動をする」、「何事にも執念深い」などの特徴があります

反抗挑戦性障害の有病率はおおむね3%程度と推定されており、通常のケースでは家庭に限って有意に症状が現れる傾向がありますが、より病状が重度であれば学校など色々な状況で典型的症状が認められるようになります。一般的に、青年期前においては男児の方が女児より発症率が高く認められますが、成人以降は男女差がほとんど見られないと言われています。

この障害を抱えている子どもは、自分自身が反抗的であるとは考えておらず、周囲の状況において理不尽な要求などが繰り返されるがゆえに、すぐに怒って挑発的な態度に繋がると感じているため、友人から拒絶されて孤立することがあります。また、当該本人の病識が乏しい為に周囲からのサポートを十分に得られずに、時に学業不振に陥ってしまう可能性も懸念されます。

2.反抗挑戦性障害の原因

4人の家族反抗挑戦性障害を発症させる原因の一つには、気質要因が挙げられており、自分の感情や情動を制御することがもともと難しい気質が反抗挑戦性障害の罹患リスクを上昇させていると考えられています

また、両親の離婚歴など養育者がたびたび代わる、あるいは幼児期にネグレクトなどの虐待を受けるなどの環境要因によって反抗挑戦性障害になりやすいと想定されています。

さらに、脳の前頭前野や扁桃核の異常などを始めとする多くの神経生物学的マーカーが反抗挑戦性障害の発症に関連していると判明していますが、反抗挑戦性障害に特化した特異的マーカーの存在に関してはいまだに不明となっています。

3.反抗挑戦性障害の症状や特徴

3人の子ども反抗挑戦性障害において典型的にみられる症状としては、善悪を理解しているにもかかわらず悪意に満ちてすぐにカッとなって怒ることが多く口論する、故意に他人を困らせて積極的に規則に反抗する、自分のミスを他者のせいにして意地が悪いなどが挙げられます。反抗挑戦性障害患者の多くは社会的な技能を欠いていると考えられており、大人や周囲の人に反抗的な態度をとってしまう反抗挑戦性障害は、注意欠陥多動性障害(略称:ADHD)の二次障害としてもよく知られています

注意欠陥多動性障害の詳細は以下をご覧ください。

反抗挑戦性障害では、基本的な性格として頑固で気難しく、人の言うことにあまり耳を傾けず、怒りっぽい特徴がある一方で、身体的攻撃性や他者の権利を現実的に侵すことはありません。

反抗挑戦性障害とは異なって、素行障害においては一般的な性質として良心に欠けているように見えて、所有物の破壊、盗みや詐欺などを含めて他者の権利を繰り返して侵害する、あるいは怒りっぽいという徴候があまり認められない点が知られています。また、サイコパスとは、ある種の反社会的人格を有する場合であり、「他人をコントロールしたい」という欲求が強く、共感性が欠落していてあらゆる物事のリスクを低く見積もる傾向が見受けられます。

反抗挑戦性障害とは異なる愛着障害においては、青年期以降の親子関係の確執などが契機になって対人関係の苦手さなどを特徴としています

4.反抗挑戦性障害の診断

手を伸ばす子ども成人に対する反抗心や挑発態度は、定型発達の子どもにも一定程度は認められますが、毎日のように癇癪を起こすなど典型的な症状の持続期間と頻度が、その該当者の年齢や性別などで予想されるレベルを超えると反抗挑戦性障害と診断されることがあります。例えば、就学前の子どもが週に一度くらいかんしゃくを起こすことは異常ではありません。しかし、ほとんど毎日のようにかんしゃくを起こしたり、かんしゃくのほかに物を壊したり、他の症状も伴っている場合は、反抗挑発症と見なされるかもしれません。

反抗挑戦性障害の診断は、通常であれば患者さんの症状と行動に基づいて実施されますが、物を壊すなどを始めとする言動が6ヶ月以上継続していて、日常生活に深刻な影響を与えている場合には強く反抗挑戦性障害を疑う必要があります。

また、小児の場合にはうつ病や不安症によって反抗挑戦性障害と類似症状が観察できることがあるため、反抗挑戦性障害を診断する上では、睡眠障害や食欲障害、あるいは不安症状などうつ病に関連する徴候が認められていないかを慎重に評価することが重要な観点となります。

反抗挑戦性障害のDSM-5における診断基準

A.怒りっぽく/易怒的な気分、口論好き/挑発的な行動、または執念深さなどの情緒・行動上の様式が少なくとも6ヵ月間は持続し、以下のカテゴリーのいずれか少なくとも4症状以上が、同胞以外の少なくとも1人以上の人物とのやりとりにおいて示されている。

怒りっぽく/易怒的な気分

  1. しばしばかんしゃくを起こす。
  2. しばしば神経過敏またはいらいらさせられやすい。
  3. しばしば怒り、腹を立てる。

口論好き/挑発的な行動

  1. しばしば権威ある人物や、または子どもや青年の場合では大人と、口論する。
  2. しばしば権威ある人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
  3. しばしば故意に人をいらだたせる。
  4. しばしば自分の失敗、また不作法を他人のせいにする。

執念深さ

  1. 過去6ヵ月間に少なくとも2回、意地悪で執念深かったことがある。

注:正常範囲の行動を症状とみなされる行動と区別するためには、これらの行動の持続性と頻度が用いられるべきである。5歳未満の子どもについては、他に特に記載がない場合は、ほとんど毎日、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっている必要がある(基準A8)。5歳以上の子どもでは、他に特に記載がない場合、その行動は1週間に1回、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっていなければならない(基準A8)。このような頻度の基準は、症状を定義する最小限の頻度を示す指針となるが、一方、その他の要因、例えばその人の発達水準、性別、文化の基準に照らして、行動が、その頻度と強度で範囲を超えているかどうかについても考慮するべきである。

 

B.その行動上の障害は、精神病性障害、物質使用障害、抑うつ障害、または双極性障害の経過中にのみ起こるものではない。同様に重篤気分調節症の基準は満たさない。

現在の重症度を特定せよ

  • 軽度:症状は1つの状況に限局している(例:家庭、学校、仕事、友人関係)
  • 中等度:いくつかの症状が少なくとも2つの状況で見られる。
  • 重度:いくつかの症状が3つ以上の状況で見られる。

引用:DSM-5

5.反抗挑戦性障害の治療や対応

夕日と家族反抗挑戦性障害の医学的治療(薬物療法)やカウンセリング(心理療法)、身近な人の接し方などについて解説します。

(1)反抗挑戦性障害の薬物療法

反抗挑戦性障害の代表的症状に特異的な効果を発揮する薬物は現状では未開発ですが、反抗挑戦性障害に対する薬物治療においては、インチュニブや漢方薬の抑肝散など興奮や衝動性症状を抑制する薬剤を使用することがあります。反抗挑戦性障害の原因に直接的に効果のある薬は現時点では未開発なのでこの薬が有効です。

うつ病や不安症を治療する際の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(略称:SSRI)などを始めとする薬剤が反抗挑戦性障害の治療に役立つこともあり、初期段階では少量から投与開始して、副作用など薬との相性を評価しながら服薬量を増加していくこともあります。

(2)反抗挑戦性障害のカウンセリング

反抗挑戦性障害に対しては、好ましい行動に対する適切なしつけなどを強化する行動管理法による精神療法が最も効果的であると考えられており、保護者や教師などは児童カウンセラーや臨床心理士などから直接的にカウンセリング指導を受けることができます

治療の第一選択肢は家族への介入であり、両親がどのように反抗挑戦性障害を抱えている子どもに接するべきかを訓練することが重要です。

また、注意欠陥多動性障害は、反抗挑戦性障害や素行障害と併存することが多いと指摘されており、当該患者さんが多動傾向を認めるケースや機能不全の家族である場合には、反抗挑戦性障害の症状を悪化させる可能性があるため、前向きに治療を行うと良いでしょう。

社会的技能の手助けになる集団療法が有用である場合もありますし、治療を通じて家族や仲間との関係性に応じて達成感を得ることができるロールプレイなどを活用して実施する個人精神療法が有効的に働くケースもあります

(3)反抗挑戦性障害の人への接し方や対応

家族や友人、生徒が反抗挑戦性障害だった時の推奨される接し方としては、仮に子どもが望ましくない行動を選択した際にあえて注意を向けずに温かく見守り、適切な行動を認めたときに存分に褒めて強化することが考えられます

両親や教師が子どもを強く叱って、批判的な言動を示すと反抗挑戦性障害を有する子どもはなお一層攻撃的になるため、親子間や教師生徒間においてポジティブで前向きな交流を図ることで、反抗挑戦性障害の症状が改善することが期待できます

6.反抗挑戦性障害に対するカウンセリングを受ける

アナウンスする女性反抗挑戦性障害は、主に小児が発症することが多く、青年期以降から成人になればほとんどその発症者が認められなくなるのが特徴の一つです。

反抗期は人それぞれ異なりますし、健康的な定型成長にも必要なものであると捉えられていますが、普段から怒りっぽく他者との言い争いが絶えない、あるいは執念深く恨みを根に持つなどの症状が半年間以上続くことが診断基準として認識されています。

反抗挑戦性障害は、注意欠陥多動性障害や素行障害など他の精神的障害と合併することも多く見受けられて、心理的症状が複雑化しやすい傾向があるため、気になって心配する場合には、早期的に専門医療機関や臨床心理士などの専門職に相談して対策を講じることが重要です

心理オフィスKでは反抗挑戦性障害についての相談を受けることができます。本人または家族がカウンセリングを受けることで反抗挑戦性障害に対応していくことができます。心理オフィスKでのカウンセリングをご希望の場合には以下の申し込みフォームからご連絡ください。

文献