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不登校児へのカウンセリング

学校のレゾンデートル

1.はじめに

今回は不登校についてです。教育領域に勤めると必ずと言っていいほど不登校のケースに出会います。不登校の数は増加傾向にあり、教育現場では深刻な問題として注目を集めています。私自身も不登校について思うところがあり、それを一度まとめてみたいと考え、書くことにしました。

今回の内容は不登校の支援に関するhow toというよりも抽象的で雑多な内容になりそうです。どちらかというと専門家向けの内容であり、対象者は思春期以降の子どもが該当しそうです。考えていることをつらつらと書いていきます。

2.不登校とは

そもそもこの教育現場を悩ませる不登校とは何でしょうか。まずはそこを明確にする必要があります。文部科学省の定義を参考にすると「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因により、登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」とされています。日数が決められているため、分かりやすいといえば分かりやすいかもしれないですね。

3.不登校の構造

では不登校の実態がこの定義そのままなのか、と問われるとそうではありません。実際彼らと関わると本当に様々な子どもがいます。不登校になった理由も三者三様であり、中には非常に複合的な理由を持っている子どももいます。学校が嫌だから行きたくない、というのは一側面にしかすぎません。

一つ強調したいのは、不登校は単なる不適応ではないということです。もちろん学校側からすれば不登校は不適応の一つです。登校できずにいるため、怠けや甘えている状態として捉えがちな側面もあります。しかし、彼らと接していると不適応と同時に一つの在り方、もっと言えばある種の生き方のように感じる時があるのです。連続体として同じ線上にあり、彼らはそこを行ったり来たりしているように思います。あるいは表と裏といった構造があるかもしれません。

4.不登校のアセスメントと支援

また、不登校の子どもは自分が不適応であることに自覚的なようです(もちろん全ての子どもがそうとは限りません)。人の目が気になるという理由で登校できない子どもがいますが、これは自分が不適応であるという感覚や集団からの孤立感がないと生じ得ません。その他にも自分のパーソナルな傷つきや家庭内での痛ましさを防衛するために不登校になる場合もあります。そんな彼らに対して単に不適応という捉え方で接するとさらに追い詰めかねないでしょう。この視点のみで関わると援助者側の陰性感情を醸成させ、ある種の偏見を生み出しかねません。相互の関係は悪化し、泥沼の状態になっていくと思います。

実際の対応としては、彼らがどのような事情を抱えて、どんな背景があるのかを知ることから始まると思います。一つの在り方や生き方として認めつつ、子どもや保護者と地道に関係を築いていきます。こちらの見立てを伝えてカウンセリングの意義を吟味することも重要でしょう。そして、その子どもの発達を促進できるように対応していきます。現在何に困っており、その子どもにはどんな課題があるのか、そのためには何をしていくべきなのか等と取り組むべき課題に優先順位をつけながら対応していきます。まずは子どもがどんなニーズとビジョンを持っており、その人となりを広い視野で知りたいものです。現に彼らの抱える課題が和らいでいくと学校に足が向くことが多いように思います。

可能ならばカウンセリングの頻度をなるべく多く設定することが望ましいでしょう。その子どもの状況をより知る機会が増えると援助できる幅が広がりますし、そのカウンセリング自体が登校への足がかりとして作用する可能性もあるためです。時には保護者に半強制的に連れてこられ、子ども自身にカウンセリングへの来談意欲が見えづらい場合もあるかもしれません。しかし、そんな時でもカウンセリングに来談した時点で何かしらのニーズはあるものだと考えて、カウンセリングでの些細な会話から少しずつその子どもの援助となる資源を探していけばよいと思います。

5.登校刺激

最後に登校刺激について少し触れて終えることにします。不登校の話題となるとよく登校刺激を与えるべきかそれとも与えるべきではないかという議論になりやすいものです。個人的には登校刺激は与えることに越したことはないと考えています。登校刺激の与え方やタイミングは重要ですが(学校にひっぱってでも連れてくるという時代が以前にはあったそうですが、それは流石にどうかと思いますが)、学校から遠ざかると益々難しい状況になることが比較的多いからです。

引きこもりがちになったり、やることがなくてゲームやスマホ依存になっている等のケースもあります。以前よりも学力が低下すれば学校により行きづらくなるでしょう。こうなると保護者は手をやいてしまい、どう対応していけば良いのか分からなくなってしまいます。上記のような二次的な問題が起こる前に専門家や相談機関に繋いでおくことは非常に重要でしょう。

教育現場では外部機関との連携は必要不可欠なので、臨床心理士としてはカウンセリングなどで得られた情報をもとにして他の機関に繋げるといったスキルも磨いておきたいものです。もちろん、教育分析や個人分析スーパービジョンなどでも訓練を積む必要があります。

6.参考文献

登校しぶり・不登校の子に親ができること (健康ライブラリーイラスト版)

不登校支援の手引き―児童精神科の現場から

不登校の認知行動療法 セラピストマニュアル

不登校の子どもの理解と支援ー学校で今できることは何かー

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