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同僚がうつ病かもしれない!接し方や職場でのフォローについて

本記事では、同僚にうつ病の症状が見られた際の接し方や職場でのフォロー方法について紹介します。厚生労働省の調査によると、日本人の15人に1人 ほどがうつ病の経験者と言われています。さらに、男性よりも女性のほうが多い 傾向にあり、いずれも早めの対処が必要です。

今回は、うつ病が原因の場合、どういった変化があるのかについても説明しますので、自分の周りに同じような症状の方がいた場合に、接し方の参考にしてみてください。

1.うつ病とはどういった病気?原因は?

顔のない医師

まずは、うつ病とはどういった病気で、どうしてうつ病になるのかについて見ていきましょう。

(1)そもそもうつ病とは?

簡単に言うと、うつ病は気分障害の一種です。気持ちが落ち込む、やる気が出ない、眠れないなどの症状が現れ、日常生活が難しくなります。気分障害には大きく2種類あり、単極性うつ病と双極性障害に分類されます。

単極性うつ病は、気持ちが落ち込むなどの典型的なうつ症状が出現しますが、双極性障害の場合は、うつ症状と活発に行動する躁状態が繰り返し起こるような状態です。躁状態とうつ状態の出現の間隔は数ヶ月や年単位など人によって異なり、双極性障害が突然単極性うつ病になることも。

ただし、厳密に言えば双極性障害はうつ病ではなく、単極性うつ病と双極性障害の治療方法は異なります。

そのため、躁状態に気づかず単極性うつ病と診断され、単極性うつ病の治療では改善せず、双極性障害に気づいて治療を始めると症状が改善したというケースがあるほど、見極めが難しい病気でもあるのです

(2)気持ちの波とうつ病の違いはどこにあるのか

人は誰しも生活していれば、何か失敗したり大切な人と別れたりなど気持ちが落ち込むケースもあるでしょう。この気持ちの波とうつ病にはどんな違いがあるのでしょうか?

気持ちの波の場合は、原因が明確だったり原因が解決できたりすれば気持ちが晴れ、次第に回復していきます。また、十分な休息を取れば自然と癒やされるでしょう。

しかし、うつ病の場合は、明確な原因が分からず、日常生活が送れないほど心理的・肉体的に負担がかかっている状態です。原因が分かり解決したとしても、心理的・肉体面の改善がないため、治療が必要になるでしょう。

(3)うつ病になりやすい人の特徴やきっかけとは

うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで起こると考えられていますが、明確な原因や仕組みは分かっていません。

ただし、うつ病になりやすい人にストレスがかかるなど、さまざまな要因が組み合わさることでうつ病を発症します。うつ病になりやすい人の特徴は以下の通りです。

  • 真面目
  • 完璧主義者
  • 他人に気を遣い過ぎる など

そして、そういった人がうつ病になってしまうきっかけとはどんなものでしょうか?

  • 会社でのミス
  • 失恋
  • 身近な人の死
  • 結婚
  • 昇進
  • 転勤 など

失敗や別れなど、マイナスの出来事がうつ病のきっかけになることはイメージしやすいでしょう。

しかし、結婚や昇進などの嬉しい出来事がうつ病のきっかけになる可能性もあります。自分の周りの環境が目まぐるしく変化することが、かえって大きなストレスとなり心身に負担をかけているのです。

2.うつ病を原因とする場合どんな症状が出てくる?

頭痛がする女性

一般的に、うつ病ではどんな症状が見られるのでしょうか。精神面での変化と身体面の変化で分けて紹介します。

(1)精神面での変化

精神面での変化は以下の通りです。

  • 気持ちが落ち込む
  • 無関心
  • 不安な気持ちに押しつぶされそうになる
  • イライラする
  • ぼんやりする
  • マイナス思考になる
  • 暴飲暴食
  • 身だしなみを気にしなくなる

(2)身体面での変化

次に、身体面での変化を見ていきましょう。

  • 睡眠障害
  • 食欲不振
  • 動悸
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 頭痛
  • 胃痛
  • 腰痛
  • 肩こり
  • 下痢、便秘

3.同僚がうつ病かもしれない!職場での兆候

パソコンの前で悩む女性

前述した通り、会社でのストレスによってうつ病を発症するケースもあります。もちろん仕事上のストレスだけではなく、プライベートでのストレスがうつ病の原因となっていることもあるでしょう。

ただ、一緒に働く同僚が、うつ病で身体を壊したり会社を退職したりしないようにするには、早めに対処が必要です。

ここでは、職場でうつ病の兆候を探るチェックポイントを紹介します。身近で同じような兆候がある人はいませんか?自分自身はどうでしょうか?この機会にチェックしてみてください

  • 遅刻や欠勤が増える
  • ミスが増える
  • 居眠りする
  • 会話が減る
  • 他の社員との交流が減る
  • ぼんやりしている

「いつもは明るく活動的な同僚が、あるときから下を向いてばかりいる」「これまであまりミスをしない人が、ちょっとしたミスを連発するようになった」などは、うつ病の兆候かもしれません。

しかし、一時的な気持ちの波や体調不良でこういった兆候が現れるケースもあります。うつ病の専門家ではない会社の同僚が、すぐにうつ病だと断定するのは危険です。

これまでと今の違いを見極め、うつ病の兆候が出てからどう変化しているのかをしっかりチェックしましょう。うつ病の兆候が長引いたり悪化したりすれば、うつ病の可能性が高まります。そのうえで、相談にのるなどのサポートを考えていきましょう

4.うつ病の兆候がある同僚への接し方とは

二人で楽しく会話する女性

最後に、うつ病の兆候がある同僚への接し方について紹介します。知らないと、意外とやってしまいがちなこともあるため、注意してください。

(1)過度に気遣って遠まわしな言い方をしない

過度に気遣って遠まわしな言い方をすると、かえって本人の負担になる場合があります。率直に「最近遅刻が多いが心配している」や「ミスが多いが何か困ったことはないのか?」など、何か抱えているのではないかと心配していることをアピールしたほうが良いでしょう。

何か少しでも理由を話してくれた場合には、話してくれたことに感謝して「そうだね、辛いよね」などと共感するようにしてください。少しでも話せる相手が見つかると、うつ病の兆候がある人も心の重荷を少しおろすことができます。

これをきっかけにさまざまな悩みを打ち明けてくれ、問題解決につながることもあるでしょう。

(2)禁句を使わない

うつ病の傾向にある人には、言ってはならない言葉があります。どういった言葉があるのか、見ていきましょう。

  • 頑張れ
  • もっと前向きになれ
  • 原因は?
  • 大丈夫?
  • 元気?
  • これくらいで落ち込むな
  • 大したことではない など

心身ともに健康な人であれば、何とも思わない言葉かもしれませんが、うつ病の傾向にある人がこういった禁句を耳にしてしまうと、さらに追いつめてしまう可能性があります。

周りとしては、叱咤激励して以前のような同僚に戻したいという気持ちがあるのでしょうが、悪化させることもあるため、寄り添いつつ温かく見守ることがポイントです

(3)休暇を取らせる

うつ病治療で大切なことは、休むことです。うつ病になりやすい人の特徴で紹介したように、真面目で責任感が強い人の場合、自分が休むことで周りに迷惑をかけてしまうと考えてしまいます。

そのため「少しの体調不良で休むなんて…」と無理が重なり、心身に不調をきたしてしまうのです。同僚にうつ病の兆候が見られた場合は、休暇を取らせて心と身体をしっかり休ませましょう。

休暇中は療養に集中させるために、会社からの連絡はできる限りしないようにしてください。休暇中に上司や同僚から連絡がくると「早く会社に戻らなければ…」と負担になってしまうからです。

復職する場合には、以前のようなストレスが過度にかからないようにするために、勤務時間や仕事量を調整すると良いでしょう

(4)話をじっくり聞く時間を作る

1人で悩みを抱え込んでいると、何も解決しないばかりか悪いほうへ物事を考えてしまう場合もあります。うつ病の兆候がある同僚がちょっとしたきっかけで、話をしてくれるようだったら、じっくり聞く時間を作るようにしましょう。

その場合は、傾聴を意識してください。相手が話している内容を否定せずに聞きましょう。話を聞いていると、もしかしたら矛盾する部分や作り話が含まれているかもしれません。そういった場合でも、否定せず自分の意見を押し付けることのないようにしてください

そして、相手の話を遮って自分の話を始めるのはNGです。傾聴を意識することで、相手は抱えている問題を打ち明けやすくなるでしょう。

また、単に共感するだけでは、「私の気持ちを本質的には理解していない」「簡単に私の悩みを理解されたくない」と思われることもあります。しかし、傾聴を意識して話を聞いたうえで共感すると「理解してもらえた」と感じ、相手の気持ちをほぐし精神状態が安定する可能性が高まるでしょう。

(5)専門医の受診やカウンセリングをすすめる

例えば、部下や同僚にうつ病の兆候が見られたものの上手く話を聞けず、判断に困ったとします。そういった場合は、産業医や保健師に意見を聞いて対処法を考えると良いでしょう。

また、同僚には相談したくないケースも考えられます。心療内科などの専門医の受診やカウンセリングをすすめるのも一つの方法です。直接は言いづらいと思えば、メンタルヘルス関連サービスの存在を社員全体に広報すると、気づくきっかけになるでしょう。

5.うつ病は誰にでも起こり得る病気

会話する二人の女性

うつ病は、いつ誰に起きてもおかしくない病気です。身近な人にうつ病の兆候が見られた場合は、今回紹介した接し方などを参考にして寄り添ってみてください。早期に治療できれば、悪化させずに改善へと導くことも可能です

当オフィスでは、うつ病などを専門にするカウンセラーが多く在籍しています。気になる症状を抱えている方や身近に心配な方がいらっしゃる場合は、お気軽にご相談ください。