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適応障害で休職はできる?平均期間や知っておきたい手続きの流れ

本記事では適応障害で休職できるのか、また手続きの流れや過ごし方など、事前に知っておきたいことをまとめました。

体調不良を感じて病院を受診したところ、適応障害と診断される方がいます。十分な休養をとるように言われても、「適応障害で休職できるのだろうか」と疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。また、休職する際はどのように会社に伝えれば良いのか、困ることもあるはずです。そこで、適応障害を理由に休職する場合の方法や過ごし方、平均期間などについて見ていきましょう。

1.適応障害の症状や治療方法

まずは適応障害がどういった病気なのか、一般的な治療方法とともに紹介します。

(1)そもそも適応障害とは?

適応障害とは適応反応症とも呼ばれるものです。周囲の環境に慣れず、ストレスが過度にかかることで身体や心に影響を与えます。その結果、集中力が低下したり仕事に行けなくなったりと、社会生活に支障をきたすことも。

適応障害の症状は人によって違いますが、一般的には以下のような症状があらわれるといわれています。

  • 不眠
  • 倦怠感
  • 動悸
  • 気持ちが落ち込む
  • 不安感
  • 無気力になる
  • 遅刻が増える など

症状が慢性化するとうつ病やパニック症などを引き起こすケースもあるため、適応障害を発症した場合には休養や治療が欠かせません。

(2)適応障害の治療方法

適応障害の治療は、原因となっているストレスを明確にして原因を取り除くことから始めます。並行して生活習慣の改善やカウンセリングなどを行う場合もあるでしょう。

生活習慣の改善では生活リズムを整えることに重きを置き、カウンセリングではストレスの受け止め方をコントロールするセルフコントロールを学び、ストレスへの耐性を高めます。不安感が強いケースや心のケアが必要なときは、薬物療法を用いることもあります。

適応障害のさらに詳しいことが知りたい方は以下のページをご覧ください。

ちなみに、適応障害の類似概念にうつ病があります。気分の落ち込みや意欲の低下など症状は非常に似ています。

2.適応障害で休職は可能!手続きの流れ

休職する場合の手続きの流れについて見ていきましょう。適応障害と診断された場合、ストレスの原因となっているものから離れて休養する必要があります。

原因がプライベートなことであれば、その問題から離れることで回復する可能性がありますが、仕事の場合は休職したほうが良い場合もあります。症状を悪化させないためにも、身体を休ませましょう。

(1)病院を受診

身体や心の状態が普段と違うと感じた場合は、精神科や心療内科などの病院を受診して原因を突き止める必要があります。症状を把握し、医師と今後の治療法を話し合いましょう。休職する場合には診断書が必要になることもあります。

(2)職場に相談

適応障害の原因が仕事にあり、仕事の継続が難しいと医師が判断した場合は、速やかに職場に相談してください。相談するときは診断書を一緒に提出すると説明しやすいでしょう。

ただし会社によって休職制度が違うため、勤務先の休職制度について職場の担当部署に聞いたり、就業規則を確認したり、自分で調べたりすることをおすすめします。

(3)休職のための手続きを行う

休職することが決まったら、手順を踏んで休職することになります。会社によって手順は違いますが、一般的には仕事の引き継ぎをし、社内の手続きを行ったのち休職という流れです。休職する前に、休職可能期間や休職中の給与、連絡方法などを確認しておきましょう。

3.休職する際に気になること

適応障害の治療に休職が必要なことは理解しているものの、長期間休養すると生活面が心配になるはずです。その他にも、どのようにして職場へ伝えるものなのか不安に感じる方も。ここでは、休職する際に気になる疑問点について見ていきましょう。

(1)休職の期間は?

病状によって違い、2週間で回復する方もいれば、長期間かかる方もいます。一般的な目安は1~3ヶ月です。できれば3~6ヶ月以上休職することが望ましいとされています。

休職したものの休職期間満了日までに回復しないケースでは、休職期間の延長も考えられるでしょう。

(2)給料は出るの?

休職期間は原則給料の支払いがありません。しかし会社の休職制度で休職手当があったり、有給休暇を利用できたりすることも。また、傷病手当金や自立支援医療制度を活用できるケースもあります。

傷病手当金とは病気やケガなどで就業できない方に、健康保険組合から支払われるお金のことです。

自立支援医療制度は、公的医療保険の自己負担額を軽減してもらえる制度のことです。世帯の所得に応じて負担額の上限が設けられています。

(3)職場への伝え方は?

病院で診断書をもらい、診断書をもとに上司に伝えるという流れがスムーズです。もし上司への伝え方で困っている場合は、通院する際に上司に同行してもらい、主治医に説明してもらうのも良いでしょう。

(4)休職できない場合はあるの?

仕事が原因で適応障害を発症したのであれば、仕事から距離を置く必要があります。しかし、休職制度は福利厚生の一つです。そのため、休職制度が勤務先に設けられていないこともあるでしょう。このケースでは会社と話し合って今後について考える必要があります。

4.休職期間中の過ごし方

ここからは休職期間の過ごし方について見ていきましょう。これまで忙しかった方にとっては、休職によって時間がたくさんできて「何をすれば良いのか」とかえって不安になることもあるかもしれません。

休職期間はできるだけ何もせずゆっくり過ごすことが大切ですが、主に3つの期間に分けて自宅療養していきます。

(1)休養期

休職後すぐは休養期です。何もせずゆっくり過ごすことを心がけましょう。「早く仕事に戻らなければ」と焦る気持ちを持ったり、「こんなに怠けて良いのか」と罪悪感をおぼえたりすることもあるかもしれません。

しかし、この休養期は自分を見つめる期間だと思って、身体を休めることに集中しましょう。ある意味、無責任になることが気持ちを切り替えるスイッチになるはずです。

(2)リハビリ期

休養期にゆっくり過ごすと、適応障害の症状が落ち着くでしょう。気持ちが前向きになれたら、リハビリ期を過ごしていきます。急にいろいろなことを始めるのではなく、少しずつ行動範囲を広げ、活動量を上げていくことがおすすめです。

休養によって体力が落ちている場合もあるため、ウォーキングなど軽い運動を始めるのも良いでしょう。

ただし、身体も心も調子が良いからといって過度に頑張りすぎるのはNGです。まだ治療の過渡期であることを忘れないようにしましょう。

(3)調整期

休養期やリハビリ期を経て、「そろそろ働きたい」と感じ始めると調整期に入ります。調整期でまず始めることは、仕事へ向けて生活リズムを整えることです。急に早起きを始めるのではなく、徐々に起きる時間を早めるなどして調整しましょう。

次に行うことは通勤訓練です。電車やバスを利用して会社の近くまで行って帰宅するというもの。このときも満員電車などは避け、少しずつ慣れていくことが大切です。

調整を繰り返すことでいつもの通勤電車やバスに乗れるようになったら、図書館で数時間過ごしたり他の人とコミュニケーションをとったりしながら、社会へ適応できるように取り組んでいきます。

5.「復職=完治」ではない!無理をしないことが大切

休職を経て、心身ともに健康になれば復職となりますが、無理は禁物です。実は復職後に再度休職する方もいます。復職に伴い、どんな点に注意すれば良いのか見ていきましょう。

(1)「治った」と思っても再発することがある

復職する場合は必ず医師と相談して行ってください。自己判断して無理に復職すると、再発するリスクが高まります。実際、復職後2年以内に約7割の方が再発したというデータも。「復職=完治」とは思わず、復職後2年間ぐらいは無理をしないように注意しましょう。

(2)職場や部署を変更するという方法も

仕事が原因で適応障害になった場合、元の環境に戻ると再発する可能性もあります。事前に配置転換を会社に申し出るのもおすすめです。元の会社に戻ることが不安な場合は、転職を考えるのも良いでしょう。

(3)自分なりの病気との付き合い方を把握しておく

休職期間中は自分の時間をたくさん持つことができます。通院によってさまざまなことを医師に相談することも可能です。そのため復職や社会復帰に向けて、休職中に病気との付き合い方やストレスへの対処法を身につけておくと良いでしょう。

対処法を身につけておけば、再発を未然に防いだり体調の変化を感じ取ったりして早期に治療を始められます。

(4)カウンセリングを利用する

適応障害は薬物療法だけでなく、カウンセリングも有効です。休職中は定期的に医師の診察や臨床心理士・公認心理師のカウンセリングを受けると良いでしょう。

もちろん復職後もカウンセリングを利用すると、物事の考え方を修正したり、人とのかかわり方を学んだりすることで、解決方法を探ることも可能です。ストレスや問題と上手く付き合っていく手段を見つけられるでしょう。

6.▼まとめ:無理は禁物!ゆっくり休養を

適応障害の治療は原因を見つけて取り除き、ゆっくり休養すること。焦る気持ちや復職への不安を感じる方もいるかもしれませんが、仕事が原因の場合は休職することがおすすめです。無理をせず自身のペースで心身と向き合っていきましょう。

当オフィスでは、適応障害に関するカウンセリングも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

7.適応障害・うつ病についてのトピック

文献

この記事は以下の文献を参考にして執筆いたしました。