うつ病の人に家族や友人はどう対応すればいいのか?
家族、友人、恋人などがうつ病、もしくはうつ病の可能性があり、どのように接したらいいのか分からず悩んでしまうことがしばしばあります。
うつ病とはどのような病気なのか、家族がうつ病かもしれない時にはどうしたらよいのか、うつ病の家族にどう接したらいいのか分からない、うつ病の友人や恋人へは連絡しても良いのかどうか分からない、などのお悩みをご家族や友人からよく頂戴することがあります。
そのような、うつ病とは何かのか、うつ病の人への具体的な接し方や支え方について解説します。さらには、解決手段として家族向けのカウンセリングについてもお話しします。
目次
1.家族や恋人がうつ病かもしれないと思ったら
まずはうつ病について知ることから始めましょう。
うつ病とは、なってしまった本人が悪いわけではなく、誰しもが発症する可能性がある病気です。特に真面目な性格の人がなりやすいと言われており、「ある日、突然布団から起き上がれなくなる」など症状が重症化してから周囲の人が気づき、診療に至るケースが多いです。しかし、早め早めに休養が取れれば、回復もしやすくなります。
周囲の人から見たとき、うつ病には果たしてどのような症状が見られるのかを次で紹介していきます。
2.日常生活に見られるうつ病のサイン
うつ病は目に見える症状が少ないため気づきにくい病気です。また、うつ病を患っている本人自身も自覚しないことも多いです。
以下のような症状がうつ病では一般的によく見られます。
(1)意欲や興味が低下し、楽しみを喪失してしまう
うつ病でよくみられる症状に、意欲の低下、興味関心の低下があります。例えば、このような状態がよくあります。
- 趣味の外出をしなくなった
- 好きなテレビがやっているよと声かけしても反応が薄い
- 会社や学校に欠勤したり、遅刻したりすることが増えた
- ご飯を以前に比べて食べなくなった、以前に比べ食事に興味を持っていない
(2)緊張や焦燥感、不安感が出てくる
うつ病の人は緊張や焦燥感、不安感が人と比べ強く出てきます。その精神的な苦しさは周囲には分かりにくい部分ですが以下のような様子が見られます。
- 肌や服を擦り、異様に落ち着きがない
- 「生きていても仕方ない」「自分なんか」というような自分を責めた発言が増える
- 将来に対する強い心配をしてしまう
(3)気分が落ち込み、暗くなる
いわゆる抑うつ症状にあたります。例えば以下のような状態になってしまいます。
- 気持ちが沈み、暗い表情や暗い雰囲気になる
- 日々の生活に充実感を感じることができなくなる
(4)身体の不調が生じる
その他に、不眠や、めまいや吐き気、頭痛、腹痛を訴える場合があります。このため、最初は内科の病気ではないかと疑われることもあります。
これらのうつ病についての詳細は以下のページにまとめています。
3.家族や恋人はどうしてあげるべき?うつ病患者への対応
自分の家族や恋人がうつ病を発症した時に、うつ病の人への接し方をどうすれば良いのか分からないという悩みが多く寄せられます。
日常会話での注意点や、うつ病を患っている人に対してやってはいけないこと、あるいはメールやLINEでの留意点などを解説していきます。
(1)うつ病患者の方と接するときのコツ
うつ病の人の苦しさを共感し、受容することが大切です。うつ病の人を受け入れると言っても良いでしょう。
また、決して無理強いをしないことも大事なコツです。うつ病になると意欲が低下するので、何かをしようという思いがなくなってしまいますので。
さらに、うつ病の人は何事にも否定的に考えてしまいがちです。自分のことを卑下し、将来のことを悲観します。これについては「そうではない」と言いたくなりますが、これを言うことそのものがうつ病の人を否定してしまう言葉になってしまいます。ですので、「そうではない」というようなことではなく、その人の良い面や良いことが起きる可能性などをそっと示唆するぐらいが良いでしょう。
その他にうつ病の人は他の人から嫌われているのではないかと悪い方に想像してしまいます。これについても「私はあなたのことを大切に思っている」「私はあなたのことを心配している」「私はあなたに居て欲しいと思っている」といったように肯定的な見方をしていることを伝えてあげると良いでしょう。
こうしたことは1回言っただけで分かってもらえるわけではないので、時折繰り返して伝えてあげると良いでしょう。
(2)うつ病の人に言ってはいけない言葉とは
良かれと思ってして言ってしまうのが励ましの言葉です。うつ病の人のサポートにとって「励まさない」ことは重要なポイントのひとつです。
なぜなら、うつ病の人の方は、自責の念が強くなっている傾向にあるからです。さらに、うつ病になるまでに十分頑張ってきているからです。そうであるにも関わらず励ますと、一層苦しませてしまうのです。
例えば、「期待しているからがんばれ」、「気合で乗り切れ」などのむやみな励ましは禁物です。
また、「そんなことではダメだ」、「自分の立場を分かっているのか」など本人を非難する言葉は逆に患者さんを傷つけてしまいます。
まずは、心配な気持ちを伝えて、傾聴することが重要です。
「あなたのことを心配している」、「あなたが思っていることを話してもらって私に聴かせてください」などの前向きな声かけをしてあげましょう。
また、本人が望まないにもかかわらず、受診やカウンセリングを無理強いすることもしない方が良いです。無理強いではなく、受診したりカウンセリングを受けたりすることでメリット(気持ちが楽になる、気分が晴れる、など)があることを時々お伝えする程度で良いです。また、機関のパンフレットなどを見えやすいところにそっと置いておくことも良いかもしれません。興味が出てきた時に、見てくれることもあります。中長期的な視点で待つことが大事です。
(3)連絡しない方がいいの?うつ病の友人や恋人に連絡したい時
うつ病で休職・休学していると知り連絡を入れたい、恋人と連絡がつかないがどうしたらいいのか分からないという人もいらっしゃるかもしれません。
まず、連絡はしても大丈夫です。ただし、毎日何度もするというようなことは避けましょう。
そして、返事は強要しない、また長文は避けるということも意識すると良いです。
うつ病の患者の方は、集中がしにくい状態にです。ですので、普段なら問題のない長さの文章でも読むのにひどく体力や気力を要することが多いという背景があることを認識しておきましょう。
4.支える側もストレスを感じています、無理はしないで
支える側の人々にも精神的な負担は大きなものであり、無意識のうちにストレスを溜めている場合もあります。心身ともに疲れ果てて共倒れとなってしまわないように、ゆっくりと自分たちのペースで進んでいきましょう。
大切な家族や友人にうつ病の可能性があり、接し方が分からず苦しんでいる方や、うつ病のサポートを長年おこない、辛いと感じている方には「家族向けカウンセリング」のご利用をおすすめします。
心理の専門家が、うつ病の人に対する関わり方をアドバイスしたり、あなた自身のお悩みに耳を傾けたりして、充実したサポートを提供することができます。
ご希望の方は以下のページからお申し込みください。
この記事が、家族や友人がうつ病になって、どのように対応すればいいのか悩んでいる人にとって少しでも参考になれば幸いです。