Skip to content Skip to sidebar Skip to footer

横浜市港北区大豆戸町311-1 アークメゾン菊名201号
東京都千代田区神田和泉町1-7-5 町田ビル4階

(株)心理オフィスK ロゴ

共依存のカウンセリングと治療

それは愛なのか、それとも・・・

共依存とは人間関係に依存することです。さらにいえば相手から依存されることに依存してしまっている状態です。依存の一つなので、そればかりになってしまい、他のことに関心を向けることができなかったり、より成長することに意欲を向けることができなかったりします。

ここではそうした共依存のことについて解説をしていきます。

共依存とは

共依存共依存とは、アルコール依存症や薬物依存症などの家族やパートナーが、依存症者の行動によって自分自身の生活を犠牲にすることを指します。共依存者は、依存症者の問題を隠すために嘘をついたり、責任を負いすぎたりする傾向があります。共依存者の治療には、個人カウンセリングやグループカウンセリングが効果的です。また、依存症者と共に治療を受けることが望ましい場合があります。

共依存という言葉は、精神医学や心理学の専門用語というよりは、日常的に使われる言葉になっています。共依存という名前の特定の疾患や病気があるわけではありません。なので、共依存と診断されることはありませんし、こうであれば共依存だ、という明確な基準も確立されているわけではありません。

共依存は、アルコール依存症の家庭問題からアメリカで生まれた言葉とされています。依存症は関係性の病といわれることもあるように、周りの多くの人巻き込んでいきます。それでは、なぜ共依存は問題視されるのでしょうか。それは、共依存が特定の疾患を指すものではなく、あらゆる精神疾患や人間関係上の問題の背景にあるものだからです。

ある夫婦がいるとします。夫は毎日、昼夜問わず酒を飲み、一人で歩くことができないほどに酔ってしまいます。空き瓶や空き缶の片づけ、身の回りのこと、家事、仕事すべてを妻が担い、夫は居間で飲み続けているような状況です。妻は、自分がやらないと、家庭が崩壊すると思い全てをサポートしようとします。そうすればそうするほどに、夫の飲酒はエスカレートしていきます。

誰がどう見ても悪循環な状況なのですが、そんな毎日を過ごしていると、妻は、そこに自分の役割を見出すようになってしまいます。献身的にふるまい、家庭を守る自分という役割に落ち着いてしまうのです。そうしてでも自分の価値を認識していなければ、依存症の夫とやっていくことはとても苦しいことなのだということです。

アルコール依存症の家庭にはこのような依存関係が多々見受けられます。そして、この関係性こそが問題なのではないかとささやかれ、共依存と呼ばれるようになったといわれています。そして、現在では、アルコール依存症にかかわらず、もっと広範囲で論じられるものになっています。

共依存を含めた依存症についての全般的な解説は以下のページをご覧ください。

よくある相談の例(モデルケース)

20歳代 女性

Aさんは、幼い頃から家庭の中で母親の感情に過度に振り回されて育ちました。母親は情緒不安定で、些細なことで気分が変わり、時にAさんを怒鳴ったり無視したりすることがありました。父親は多忙で家庭を顧みることが少なく、Aさんは「自分がいい子でいれば家庭の空気が保たれる」と思い込むようになり、周囲に気を遣い続ける習慣が身についていきました。そのため、自分の本当の気持ちや欲求を後回しにし、人に尽くすことでしか自分の価値を感じられないまま成長しました。

社会人になり、職場で出会った恋人と交際を始めましたが、関係が深まるにつれ、Aさんの「相手に尽くしすぎる」傾向が強まっていきました。恋人が落ち込んだ時や困っている時には夜中でも呼び出しに応じ、金銭的にも援助しました。やがて恋人の態度が冷たくなったり、理不尽に怒りをぶつけられることが増えましたが、Aさんは「自分が頑張ればうまくいく」と思い込み、無理を重ねてしまいました。徐々に食欲不振や不眠、頭痛、強い不安感が現れるようになり、仕事にも集中できず、友人関係も疎遠になっていきました。心身ともに限界を感じたAさんは、ついに精神科を受診する決意をしました。

精神科では「適応障害」と診断され、症状を緩和するための薬が処方されましたが、主治医から「共依存の可能性がある。心理的な問題にしっかり向き合う必要がある」とカウンセリングを勧められ、当オフィスに紹介されました。初回のカウンセリングでAさんは「私が悪いのではないか」「もっと頑張れば相手は変わってくれるのでは」と自分を責め続けており、自分の感情がよく分からない状態でした。

カウンセリングでは、Aさんが自分の気持ちやニーズを丁寧に見つめ直す作業から始めました。セッションでは、「自分はどう感じているのか」「本当はどうしたいのか」と一つひとつ問いかけながら、Aさん自身が自分の感情を言葉にして表現する練習を重ねました。時には日常生活の具体的な場面を振り返り、そのときの気持ちや身体感覚にも注意を向けることで、今まで見過ごしてきた自分の本音を少しずつ受け止められるようになっていきました。

「他者と自分の境界線」を意識し、相手の問題を背負い込まないためのコミュニケーションを練習していきました。数か月かけて、Aさんは「自分を犠牲にしないで人と関わる」という新しい感覚を少しずつ身につけるようになりました。今では以前より自分を大切にしながら人と関われるようになり、新しい人間関係にも前向きに臨めるようになっています。

共依存のチェックリスト

足を出している男女共依存のチェックリストです。作者はピア・メロディという恋愛依存の研究者です。

「あてはまる」から「あてはまらない」の5つの選択肢にチェックを入れてください。

No. 質問項目

あてはまる

少し、あてはまる

どちらでもない

あまり、あてはまらない

あてはまらない

1 私は自分のことを二の次にして、家族や親しい人の世話をやく。
2 私は、家族や親しい人の考え方や振る舞いに干渉し、それをただそうとすることが多い。
3 人に頼まれたり、誘われたりしたとき、私ははっきりと断れない。
4 私はときどき他人の問題を自分のことのように感じる。
5 私は自分の悲しみや怒りをその場で、ひょうげんするのが怖い。
6 私はひとりになったとき、寂しくてたまらない。
7 私は自分の本音を他人に知られるのが怖い。
8 私は今自分に必要なものや、自分が本当に望んでいることがはっきりわからない。
9 私は敗北者だと思う事がよくある
10 他人は私に失望している。
11 私は人生において本当に何をしたいのか決めることができない。
12 私は自分から進んで友達を作ることが少ない。
13 他人は私を「物」のように扱う。
14 私は世話焼きだと言われることがある。
15 私はとても寂しい。
16 私はいつも人の顔色をうかがっている。
17 私はいつも生きにくさを感じる。
18 私は他人が自分のことをどう思ってるのかとても気になる。
合計得点:

合計得点が37点以上の場合には共依存である傾向が見られます。

共依存の原因

夕焼けとカップル共依存の人の多くは機能不全家族で育ったとされています。また、虐待との関連もあるとされています。親からの愛を感じられず育った人、あるいは、自分の望みや意見などが抑え込まれ育った人たちは、大人になってからも他者と健全な関係性を結ぶことが困難になりやすいといわれています。一種の愛着障害的な状態といえるかもしれません。

このような状態に陥った人は、人と関わるときどうすれば良好な関係を継続させていけるか過度に不安になってしまいます。何か不満があったとしても、相手を優先してしまいます。そして最終的には人に尽くすことでしか自分というものを見出せなくなるというメカニズムです。

機能不全家族や虐待についての詳細は以下のページをご覧ください。

Aさんの共依存の原因は、幼少期から情緒不安定な母親に過度に気を遣い、自分の気持ちを抑えて「いい子」でいることで家庭の安定を保とうとした生育歴に由来しています。そのため、他者に尽くすことで自分の存在価値を感じるようになったことが背景にあります。

共依存の特徴

抱き合う男女ここでは共依存によくみられる特徴について解説します。

ちなみに、Aさんの共依存の特徴は、相手の気持ちや要求を最優先し、自分の感情や欲求を後回しにしてしまうことです。また、相手の問題を自分の責任のように感じて過剰に世話を焼いたり、相手に頼られることでしか自分の価値を感じられない点も特徴です。

(1)共依存の一般的な特徴

共依存という診断は無いとはいえ、共依存の特徴は挙げることができます。次のような項目に心当たりがあれば、共依存的な傾向がある、あるいは共依存的な関係性を生みやすい人ということです。

  • 他者を支配する
  • 自分と他者との境界線があいまいである
  • いい人であるように演じる
  • 自己中心的
  • 自己肯定感が低い
  • 自分がない

どうでしょうか。いろんな人にも当てはまる項目にも思えます。

ここで、気をつけなければならないことがひとつあります。それは、ある人を指して共依存症者と明確に呼ぶことはできないということです。なぜなら、その人がすべての人間関係において共依存的であるとは限らないからです。恋愛関係では共依存的であっても、家庭や社会生活においては違うかもしれません。共依存というものは、とても流動的なものといえます

(2)ピア・メロディによる共依存の特徴

恋愛依存の研究者であるピア・メロディは共依存の特徴を自己の観点から5つに分けています。

  • ナルシシズムの障害(適切に自己評価できない)
  • 自己保護の障害(人との距離を取ることができずに、人に侵入しすぎたり、人から侵入されたりしてしまう)
  • 自己同一性の障害(自分を適切に確立できていない)
  • 自己ケアの障害(自分をケアし、いたわることができない)
  • 自己表現の障害(自分を適切に表現することができない)

これを見ると、単に依存だけが問題ではなく、自分自身の自信や自尊心の低さがあり、それゆえに共依存に陥っていることが分かります。

共依存の治療

パソコンを見ている男女共依存が問題になり、支障が生じている時には治療を受ける必要があります。ここでは共依存の治療について解説します。

ちなみに、Aさんの共依存の治療では、カウンセリングを通じて自分の感情や欲求に気づき、それを大切にすることを学びました。また、他者と自分の間に適切な境界線を持ち、相手の問題を自分が抱え込まないようになることを目指しました。

(1)共依存の2つの治療法

共依存関係にある人が、自分たちの関係性を共依存と自覚し、客観的にみられることは少ないように思います。そう客観視できるのであれば、共依存的な関係性は深まっていかないと考えられます。それゆえ「共依存を治したい」という悩みをもってカウンセリングに訪れる人は少ないと思います。

多くの場合は、「親との関係がうまくいかなくてしんどい」「夫婦関係が悪い」「彼氏、彼女ともめていて辛い」そういった悩みとして語られるでしょう。これら悩みについて考えていく中で、背景に隠れている「共依存」的な関係があらわになるかもしれません。

そもそも共依存を治療するとはどういうことなのでしょうか。共依存の治療には2つの道があります。ひとつめは「共依存的な関係性自体を修正すること」です。ふたつめは「共依存的な自分の在り方を変えること」です。この2つのどちらに焦点を当て取り組むかによって、カウンセリングのスタイルや進み方は違ってくるでしょう。

(2)共依存の関係性を変化させる治療法

ひとつめの「関係性自体を修正する」というアプローチは、家族療法やカップルカウンセリングのようなものになるでしょう。これらのアプローチの特徴は、人間関係をシステムととらえている点です。誰かに負荷がかかっているなら、そうならないような別のシステムに変えていくということです。

共依存は、誰か一人の問題ではありません。共依存の問題に直接アプローチするには、ひとりではなく家族やカップルで相談室を訪れることが有効的であると考えられます。

しかしながら、このアプローチには問題があります。そうできない状況にある人がほとんどだということです。「仲良く相談室に来られるのであれば、そうしている」と思われることでしょう。

(3)共依存的な自分を変える治療法

ふたつめの「共依存的な自分を変える」というアプローチは、共依存を自分自身の問題としてとらえるものです。

共依存の根本的な問題は、「人に依存されることに依存している」という点でした。そのような自分自身の在り方を、個別のカウンセリングの中でみていくことになります。この点を見つめなおさなければ、仮に今の共依存関係にある人との問題が解決したとしても、別の場面で同じような共依存関係を生み出してしまうかもしれません。

共依存のカウンセリング

女性医師共依存に限らず、人間関係で悩んでおられる方は、その人間関係とは全く関係のない人と話をすること自体がとても重要なことです。

「友人や恋人の相談に乗っていたら、自分自身も巻き込まれてしまって、余計に複雑なことになった」というような経験は誰しもあるのではないでしょうか。特に「共依存」の問題を扱っていると、新たな依存関係を生み、問題が膨れ上がる場合があります。「自分のことを知りもしない人に悩みを話しても」とカウンセリングに抵抗をもっておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、あなたのことを何も知らない、ある種の無知で完全に第三者であるカウンセラーと話をすることこそ、意味があるケースがあります。

共依存のカウンセリングは、まずクライエント自身が「自分の感情や欲求に気づくこと」から始まります。共依存傾向のある方は、他者の気持ちやニーズを優先しすぎて自分自身を後回しにしがちです。そのため、カウンセリングでは「自分はどう感じているのか」「本当はどうしたいのか」といった問いかけを通じて、自己理解を深める作業を丁寧に行います。また、他者と自分の間に適切な境界線を持つことや、「自分が相手の問題を引き受けすぎていないか」といった点にも焦点を当てます。

さらに、自己肯定感の回復や、「自分を大切にする」ための具体的な行動の練習も重視されます。必要に応じて家族やパートナーへの働きかけも行い、対人関係全体のバランスを整えていくことが大切です。カウンセリングを重ねることで、徐々に自分を犠牲にせずに健康的な関係性を築けるよう支援していきます。

Aさんの共依存に対するカウンセリングでは、自分の気持ちを丁寧に見つめ直し、相手に振り回されずに自分を大切にできるようサポートが行われました。徐々に自己理解と自己肯定感を高め、健全な人間関係を築く力を養っていきました。

共依存についてのよくある質問


共依存とは、他者の行動や感情に過度に依存する心理的な状態を指します。例えば、パートナーの問題や依存症に対して過度に支援や介入を行うことで、自分自身の心の健康を犠牲にしてしまうことがあります。共依存関係では、片方が問題を抱えていると、もう片方もその影響を受け続けることが特徴です。


共依存の主な症状には、他者の感情に対する過剰な責任感、自己犠牲の傾向、境界線の曖昧さ、心の健康の放棄、相手の問題に対する過度な関与などがあります。また、自己価値感の低下や孤立感を感じることもあります。


共依存は、家族の中での役割、愛情の表現の仕方、過去の経験、境界線の曖昧さなどが影響して生じることが多いです。例えば、親の過干渉や愛情不足、依存症の家族環境などが、共依存関係を生みやすくします。


共依存を克服するためには、自己認識を深め、他者との適切な境界線を設定することが重要です。カウンセリングや心理療法を通じて、自分自身の感情や欲求を見つめ直し、自己価値感を高めることが効果的です。また、自己ケアや自分の感情に向き合う時間を持つことも役立ちます。


共依存と依存症は関連していますが、異なる概念です。依存症は個人が特定の物質や行動に依存する状態を指しますが、共依存は他者に対する過剰な依存や支配的な行動に焦点を当てます。共依存は、他者の問題に対する介入が自分自身の心の健康に悪影響を与えることを含みます。


共依存の関係にある場合、自己認識と境界線の確立が重要です。他者に対する過剰な介入を控え、自分自身を大切にすることが大切です。また、カウンセリングを受けたり、支援グループに参加することで、感情の管理や自己肯定感を高める助けになります。


共依存を予防するためには、自分自身の感情や欲求に敏感になることが大切です。適切な境界線を設定し、自分の限界を理解することで、他者との関係を健全に保つことができます。また、自己ケアや自己認識を深めることで、共依存のリスクを軽減することができます。


共依存を克服するためには、認知行動療法や精神分析療法が効果的です。これらの療法は、自分自身の思考や行動パターンに焦点を当て、自己認識を深めることで共依存の改善を図ります。また、支援グループや行動療法も、感情の管理や境界線の確立に役立ちます。


共依存と愛着には関連性があります。特に幼少期の愛着スタイルが共依存に影響を与えることがあります。安定した愛着が形成されていないと、他者に対する過剰な依存や境界線の曖昧さが生じやすくなります。共依存関係の背景には、愛着の問題があることがあります。


共依存は、支配的な性格やコントロール志向の傾向と関連することがあります。共依存の人は相手に対して過剰に支配的な行動を取ることで、自分の安心感や価値を確保しようとすることがあります。このため、支配的な性格と共依存は互いに強い影響を与え合うことがあります。

共依存について相談する

医者と相談共依存についての概要、原因、特徴、治療についてまとめました。共依存は医学的な診断名ではありませんが、それによる問題は非常に根深いといえます。また、共依存はなかなか自覚しずらい状態ですが、そこを自覚するところから治療やカウンセリングは出発します

共依存についての相談をしたり、カウンセリングを受けたいという方は当オフィスでも行っておりますので、希望者は以下のページからお問い合せしてください。

文献

この記事は以下の文献を参考にして執筆いたしました。