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リラクゼーション法

身体から心を解きほぐす

リラクゼーション法とは身体の緊張をほぐすことで心理的な調子も整えるリラックス方法です。「リラックスしよう」「もっと肩の力を抜いて」と言われても実行はなかなか難しいもの。

本記事ではリラクゼーション法について、効果や種類、簡単なやり方を解説します。気持ちの不安定さのほか、身体の疲労や力む感覚なども感じる方は是非ご覧ください。

リラクゼーション法とは

風船を飛ばす少女リラクゼーション法とは、不安や緊張と拮抗する筋肉の弛緩状態を作り出し、ストレスをほぐす方法です

生物学的には、人の身体は強い不安や恐怖を感じ続けると自律神経系の交感神経系が優位となり、心拍数の増加や発汗、血圧の上昇などの身体症状が見られ、緊張状態となります。緊張状態となることでストレスフルな状況に対処する姿勢を作れるメリットもありますが、この状態が続くと心身は疲れ切ってしまうでしょう。身体を整えたり緊張をほぐしたりするには副交感神経系を優位にすることが重要であり、リラクゼーション法では呼吸法や筋弛緩法を用いたアプローチで心身を和らげることを目的とします

また、リラクゼーション法は学習理論の考えをベースにした行動療法と関連がある方法です。行動療法では不適切な行動を学習した結果問題行動が生じると考えており、適切な行動の再学習を目指します。学習理論の中でも、リラックスした状態と不安や緊張などの相反する状態は同時に感じられないという古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)の逆制止の考えに注目し、緊張する場面でもあえてリラックスする新たな条件づけをして心身を緩めていきます。

ストレスや身体の緊張状態は心だけでなく身体にも問題が生じることが多いです。リラクゼーション法では身体に焦点を当てつつ心理的な安定を学習していくこと、手順を知れば1人でも実践できる手軽さが特徴的といえます

ちなみにリラクゼーション法は広い意味では認知行動療法の技法の一つであると言えます。その認知行動療法については以下に詳細がありますので、ご参照ください。

リラクゼーション法の効果

伸びをする子どもリラクゼーション法を試してみることで身体的な変化のほか、心理的・社会的な要因による不安や緊張を緩和し、心身共にリラックスした状態を期待できます

身体的な変化であれば、副交感神経系を刺激して自律神経系のバランスを保ち、身体を十分に休ませることが可能です。筋弛緩のほか、血行促進、ストレスの軽減、免疫力の向上などにもつながるでしょう。身体を十分に休ませて調子を整えることで、不眠や耳鳴りなどの身体症状の緩和や、気分の落ち込みや不安といった心の不調のケアにもなり得ます。

また、多くのリラクゼーション法は身体に焦点を当てています。自分の身体の状態や感覚に意識を向けることで、心身の調子や些細な変化に気づきやすくなるメリットも考えられます。意識的に身体を弛緩させられることで、自分で自分の状態を多少でもコントロールできるという達成感や心の余裕も生まれるかもしれません。リラクゼーション法は不安や緊張を感じたときにその都度実施しても効果を感じられますが、日常的に取り入れることで心身の健康状態を保ち、日々を快適に過ごせるきっかけにもなるでしょう。

なお、リラクゼーション法は心身のリラックスによりポジティブな効果が期待できますが、場合によっては急な筋弛緩で身体にあまり力が入らず、実施後に身体をぶつけるケガや怠さを感じることもあります。なるべく静かな環境で行い、実施後はゆったりする時間を過ごすことが望ましいです。

リラクゼーション法の種類と方法

腹筋をする女性身体の緊張状態をほぐしてストレスを緩和する意味では、広義にはヨガや体操、散歩などの軽い運動もリラクゼーション法の一種と言えますが、ここでは呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法の方法を紹介します。

これらは外部の協力を借りることなくセルフケアとして利用可能ですが、無理に挑戦するものではありません。やってみようと思えることを、自分のペースで試してみてください。また、どのリラクゼーション法も安全に終えるために、実施後は身体を伸ばすなど軽い運動を取り入れることが望ましいです。

(1)呼吸法

呼吸は誰もが無意識に行っていることですが、意識的に呼吸法を行えば自律神経系を多少はコントロールすることが可能です。特に、胸部ではなく腹部に注意を向ける腹式呼吸が心身をリラックスさせます。腹式呼吸のやり方は以下を参考にしてみてください。

  1. 身体の力を抜くイメージで口から息を吐く
  2. 息を吐ききったら、肩に力が入らないように鼻からゆっくりと息を吸う
  3. 息を吸い終えたら2,3秒ほど息を止める
  4. ゆっくりと口から息を吐く

2~4のセットを数回繰り返すと、心身が落ち着きリラックス状態を感じられるでしょう。腹式呼吸を行う場合はへその下(丹田)に意識を向けて、息を吐くときに腹部を凹ませ、息を吸うときに腹部を膨らませることがポイントです。心身が緊張していると呼吸が浅くなりやすいため、深呼吸は難しいかもしれません。呼吸に合わせて、風船を膨らませたりしぼませたりするイメージを持つと実施しやすくなります。腹式呼吸が難しいと感じる場合は、仰向けになって腹部の動きを意識して呼吸をするとスムーズに行えます。

呼吸法は場所を選ばず、1人で少しの時間があれば手軽に行えるメリットがありますが、人によっては呼吸が苦しく感じることもあります。目的は心身の緊張をほぐすためなので、苦しい場合は無理に続けず他のリラクゼーション法を試してください。

(2)漸進的筋弛緩法

漸進的筋弛緩法は、身体に意識を向けてわざと緊張させた後に脱力することで筋弛緩を感じさせるリラクゼーション法です。アメリカの精神科医のE. ジェイコブソンによって開発された方法で、身体の緊張がほぐれた状態を知れる他に、力んだ状態との違いを実感できるため身体の感覚を把握しやすくなります。漸進的筋弛緩法のやり方は以下を参考にしてください。

  1. 実施前にはベルトを外すなどリラックスしやすい環境を作る
  2. 手を握って10秒ほど力を入れてから力を抜く
  3. 手が終わったら腕、顔、首、肩、胸部、背部、腹部、太もも、足など各部位で順に実施する
  4. 緊張がとれたか体の状態を確認する

身体に力を入れるときは痛みを感じるほど全力で行う必要はありません。50~60%ほどの感覚で力を入れてみてください。力む際は息を吸い、脱力する際は息を吐くとより違いを感じやすいでしょう。

身体を使うリラクゼーション法なので、怪我や痛みのある部位は実施を控えてください。漸進的筋弛緩法を行うことで、普段の身体の緊張に気づきやすくなれるメリットもあります

(3)自律訓練法

自律訓練法は、身体の状態を指す「公式」を順に唱えて全身の緊張を段階的にほぐしていくリラクゼーション法です

ドイツの精神科医のJ. H. シュルツによって体系化されており、「気持ちが落ち着いている」など自己暗示を続けることで緊張や不安、疲労、ストレスの軽減を目指します。公式を唱える際は身体の状態を変化させようと意識するのではなく、「受動的注意集中」といって公式を唱えているうちに身体の変化に気づいていく受け身の態度がポイントです。

公式によっては身体疾患を悪化させる可能性があるため、何かしらの身体疾患のある人は医療機関で相談して行うことを推奨します。

自律訓練法の詳細は以下のページをご覧ください。

リラクゼーション法についてのよくある質問


リラクゼーション法とは、心身の緊張を和らげ、リラックス状態を促進するための技術や方法の総称です。これらの方法は、ストレスの軽減や不安の緩和、睡眠の質の向上などに役立ちます。具体的な技法としては、深呼吸や自律訓練法、筋弛緩法、マインドフルネスなどがあります。これらの方法を日常生活に取り入れることで、心身の健康を維持し、ストレスに対処する力を高めることができます。


リラクゼーション法にはさまざまな種類があります。主なものとして、以下が挙げられます:

  • 深呼吸法:ゆっくりと深い呼吸を行うことで、心身の緊張を和らげます。
  • 自律訓練法:自己暗示を用いて、身体の特定の部位の感覚を変化させ、リラックス状態を促します。
  • 筋弛緩法:筋肉を意図的に緊張させ、その後弛緩させることで、全身のリラクゼーションを図ります。
  • マインドフルネス:現在の瞬間に意識を集中させ、心の平静を保つ方法です。
  • イメージ療法:心地よい場面や風景を想像することで、リラックス効果を得ます。

これらの方法を組み合わせたり、個々のニーズに合わせて選択することで、効果的なリラクゼーションが可能となります。


リラクゼーション法の効果は多岐にわたります。主な効果として、以下が挙げられます:

  • ストレスの軽減:心身の緊張を和らげることで、ストレスを軽減します。
  • 不安の緩和:リラックス状態を促進することで、不安感を和らげます。
  • 睡眠の質の向上:リラクゼーションにより、入眠しやすくなり、睡眠の質が向上します。
  • 集中力の向上:心を落ち着かせることで、集中力や注意力が高まります。
  • 血圧の低下:リラックスすることで、血圧が安定し、心臓への負担が軽減されます。

これらの効果により、日常生活の質が向上し、健康的な生活を送る手助けとなります。


はい、自宅で簡単に実践できるリラクゼーション法はいくつもあります。以下にいくつかの方法を紹介します:

  • 深呼吸法:静かな場所で、ゆっくりと深い呼吸を繰り返すことで、心身の緊張を和らげます。
  • 自律訓練法:自己暗示を用いて、手足の重さや温かさを感じる練習を行い、リラックス状態を促します。
  • 筋弛緩法:各筋肉群を順番に緊張させ、その後弛緩させることで、全身のリラクゼーションを図ります。
  • マインドフルネス瞑想:現在の瞬間に意識を集中させ、心の平静を保つ練習を行います。
  • ヨガやストレッチ:軽い運動やストレッチを行うことで、身体の緊張を解きほぐします。

これらの方法を日常生活に取り入れることで、ストレスの軽減や心身の健康維持に役立てることができます。


リラクゼーション法は、さまざまな場面で役立ちます。主な例として、以下が挙げられます:

  • ストレスの多い状況:仕事や人間関係でのストレスを感じたときに、心身の緊張を和らげます。
  • 不安や緊張を感じる場面:試験やプレゼンテーションの前など、不安や緊張を感じる際に、心を落ち着かせるのに役立ちます。
  • 睡眠前:就寝前にリラクゼーション法を行うことで、入眠しやすくなり、睡眠の質が向上します。
  • 集中力を高めたいとき:リラックスすることで、集中力や注意力を向上させることができます。
  • 健康維持のための日常習慣:定期的にリラクゼーション法を取り入れることで、心身の健康を維持し、病気の予防にもつながります。

これらの場面でリラクゼーション法を活用することで、生活の質を向上させることができます。


リラクゼーション法を実践する時間や場所に特に決まりはありませんが、いくつかのポイントを押さえておくと効果的です:

  • 時間帯:リラクゼーション法は、ストレスを感じたときや疲れを感じたときに実践するのが効果的です。就寝前に行うと、リラックスして良い眠りを得やすくなります。
  • 場所:静かな環境で実践することが推奨されます。騒音が少なく、落ち着ける場所で行うと、よりリラックスしやすくなります。
  • 頻度:毎日の習慣として取り入れることが効果的です。特に深呼吸や筋弛緩法などは、短時間でも手軽に実践できるため、日常的に行うことで心身の健康維持に役立ちます。

自分のライフスタイルに合わせて、無理なく実践できる時間と場所を選びましょう。


リラクゼーション法を実践する際には、いくつかの注意点があります。以下の点に気を付けて実践しましょう:

  • 無理をしない:リラクゼーション法はリラックスを目的としていますが、無理に実践すると逆効果になることがあります。自分のペースで無理なく行いましょう。
  • 環境を整える:静かで落ち着ける環境で行うことが大切です。外部の音や光が気になる場合は、イヤホンを使うか、照明を落とすなどして、集中しやすい環境を作りましょう。
  • 定期的に実践する:リラクゼーション法は、単発で行うよりも、継続的に実践することで効果が高まります。習慣化することをおすすめします。
  • 身体の状態に注意する:体調が優れない時や極度に疲れているときには、リラクゼーション法が逆に負担となる場合があります。体調に合わせて無理なく行うようにしましょう。

これらの注意点を守りながら実践することで、より効果的にリラクゼーション法を活用できます。


リラクゼーション法を行う時間は、個人の状況や目的によって異なりますが、一般的には10分から30分程度が目安です。以下は、方法別にかかる時間の目安です:

  • 深呼吸法:1回の深呼吸でもリラックス効果を得られますが、深呼吸を数分間行うと、さらに効果的です。
  • 自律訓練法:15分程度で、心地よいリラックス状態を得ることができます。
  • 筋弛緩法:15分から30分程度をかけて、全身の筋肉を緊張させ、弛緩させることで、効果が高まります。
  • マインドフルネス瞑想:初めは5分から10分程度から始め、慣れてきたら20分程度に延ばして行うと良いでしょう。

時間が限られている場合でも、短時間であっても十分に効果を感じることができるため、自分のライフスタイルに合わせて取り入れることが重要です。


リラクゼーション法の効果は、継続的に実践することで実感しやすくなります。以下は、リラクゼーション法を実践して効果を感じる方法です:

  1. 体の変化を感じる:リラクゼーション法を行った後に、体の緊張がほぐれ、心地よさを感じることができます。肩こりや目の疲れが軽減されることもあります。
  2. 心の平静を感じる:実践後に、心の中の不安や緊張が和らぎ、穏やかな気持ちが広がることがあります。
  3. 睡眠の改善:リラクゼーション法を行うことで、深い睡眠を得られるようになり、日中の疲れを癒すことができます。
  4. 集中力や生産性の向上:心身がリフレッシュされ、集中力や注意力が高まるため、仕事や学習においても効果を実感できます。

これらの変化を実感することで、リラクゼーション法の効果を感じやすくなります。


リラクゼーション法を始めるためには、まず自分に合った方法を選ぶことが大切です。以下のステップで始めてみましょう:

  1. 方法を選ぶ:自分が試してみたいリラクゼーション法をいくつか選びます。例えば、深呼吸法や筋弛緩法、マインドフルネス瞑想などから始めてみましょう。
  2. 環境を整える:静かな場所を選び、リラックスできる環境を作ります。照明を暗くしたり、静かな音楽を流すことも効果的です。
  3. 時間を確保する:リラクゼーション法を実践するための時間を確保します。初めは短時間から始め、慣れてきたら時間を延ばしていくと良いです。
  4. 継続する:リラクゼーション法は継続することで効果を感じやすくなります。毎日少しずつでも続けることが重要です。

これらのステップを実践することで、リラクゼーション法を習慣として取り入れることができます。

リラクゼーション法を受けたい

悩む女性忙しくストレスの多い現代では「リラックス」や「ストレス発散」と言っても具体的に何をすれば心身安らげるのか分からない人も多いでしょう。気づかないうちに身体に力が入り緊張することで、心への影響も見られます。普段意識をしないからこそ、リラクゼーション法で身体に意識を向けて心身の状態を把握し、快適な日常生活を送りましょう

(株)心理オフィスKでは一部、リラクゼーションを取り入れてカウンセリングを行っています。当オフィスでカウンセリングをご希望の方は以下の申し込みフォームからご連絡ください。

文献

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