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認知行動療法

認知が変わる

認知行動療法(CBT、Cognitive Behavioral Therapy)について、基本モデル、実施の流れ、実施方法、実施の上での注意点、セルフ認知行動療法などについてクライエント向けに分かりやすく解説しています。

認知行動療法とは認知(物のとらえ方、考え方)と行動を変化させることにより、様々な問題ごとや困難、症状を改善していく技法です。どちらかというとトレーニングに近いイメージです。

1.認知行動療法とは

悩む男性

認知行動療法とは、人間の認知(思考や物の捉え方)を変化させることにより、行動や感情、問題を修正していくカウンセリングの一つです。認知行動療法はうつ病や不安障害、恐怖症などの精神障害に対して大変効果のある方法です。また、最近ではパーソナリティ障害や統合失調症、発達障害といった精神障害にまで範囲を広げて、適用できるようになっています。

認知行動療法は元々、認知療法と行動療法という別の種類のカウンセリングの方法がありましたが、この2つが合わさって認知行動療法になりました。この歴史的な経緯については、以下のページに詳しく書いています。

また、認知行動療法は様々な技法の集合体でもあります。代表例としては、認知再構成法やエクスポージャー法などがあります。それぞれの技法の詳しい説明は以下のページに書いています。

2.認知行動療法の基本モデル

認知行動モデル

認知行動療法は環境と個人の相互作用を重視します

その環境には状況や出来事、他者が含まれます。個人には認知、感情、行動、身体が含まれます。こうした環境と個人の相互作用については下の図のような基本モデルで示すことができます。

  • 認知・・・物事の捉え方や考え方、受け取り方、頭に浮かぶイメージ、思考のことです。
  • 感情・・・気持ちや気分、感じる事柄です。悲しい、怒り、落ち込み、嬉しいなどが代表的です。
  • 行動・・・振る舞いや動き、活動のことです。走ったり、運動したりといった大きな動きもあれば、瞬きをする、目を動かすといった小さい動きもあります。
  • 身体・・・身体的な反応のことです。心臓がどきどきする、頭痛がする、尿意を感じるなどです。

上の図を見て分かるとおり、全てのことは連動しています。何か問題が起こっている時には、こうした相互作用のどこかに悪循環が生じていることが多いようです。その悪循環がどういうものかを見定めたうえで、認知行動療法ではこれらの中でも、特に認知や行動に働きかけ、改善していこうとする方法です

3.認知行動療法の実施の流れ

流れ
認知行動療法は以下のような流れで実施します。もちろん、個人によって状況や問題も違うので、柔軟に修正していくことも当然行われます。

  1. 問題のアセスメント・見立て
  2. 問題のメカニズムなどについての心理教育
  3. 目標の設定と技法の選択
  4. 認知行動療法の段階的な実施
  5. 実施した結果の評価
  6. 再発防止の方法の設定
  7. 認知行動療法の終了

おおまかには、このような流れで認知行動療法を実施します。以下の項目で、それぞれについて少し詳しく説明していきます。

(1)問題のアセスメント・見立て

アセスメント・見立てとは問題のメカニズムについて推定することを指します。医学における診断という意味と似ているかと思います。

アセスメント・見立ての具体的な進め方は、困っている事柄や苦しんでいる症状などについてお話を伺います。そこで聞き取った内容を認知行動療法の基本モデルに照らし合わせて、整理し、どこに悪循環が生じているのかを見つけていきます。

また、この時に、話をするだけではなく、心理検査や症状を測定するテストなどを実施し、数値に出しておくことも行います

これが、1回の面接で終わることもあれば、数回の面接で行っていく場合もあります。

(2)問題のメカニズムなどについての心理教育

アセスメント・見立てで見えてきたことをクライエントに説明し、理解してもらいます。ご自身の問題や症状がどういった経緯で発生し、どういった悪循環が生じ、どういった事態になってしまっているのかについて、まずは分かってもらう必要があります。

問題が分かると、次に何をすればよいのかが見えてきます。

(3)目標の設定と技法の選択

認知行動療法の目標を設定します。この目標は短期的なものから長期的なものまで複数ある方が良いでしょう。なぜなら、あまりにも遠くて、理想的な目標を立てても、そこに到達するまでに時間がかかりすぎますし、時間がかかるとモチベーションも徐々に落ちてしまいます。

ですので、短期的、中期的、長期的な目標をそれぞれ設定し、少しずつ取り組めるようにします。これをスモールステップと言います。

そして、こうした目標を達成するために、どういう認知行動療法の技法を実施すれば良いのかを選択します。認知行動療法の技法はたくさんあるので、何が適しているのかを相談しながら決めていきます。

(4)認知行動療法の段階的な実施

宿題をする少年

選択した認知行動療法の技法を繰り返し実施し、問題が解決していくように取り組んでいきます。多くの場合は、1~2回実施しただけですぐに解決することはありません。何度も何度も繰り返し実施します。問題の大きさによっては数週間から数ヶ月が必要になることもあるかもしれません。

また、面接の中だけではなく、ホームワークといって、自宅や職場、学校などでも実施します。問題の多くは日常生活の中で生じているので、こうしたことも必要になってきます。

(5)実施した結果の評価

認知行動療法を段階的に実施したあと、どのように問題や症状は変化したのかについて評価をします

この評価は主観的な感覚だけではなく、心理検査や症状を測定するテストなど客観的な方法も用います。アセスメント・見立てで測定した数値と、認知行動療法を実施した後の数値を比較し、良くなっているかどうかを評価します。

この数値によっては、さらに認知行動療法を実施することもありますし、一度アセスメント・見立てや技法の選択に立ち戻って、方法を修正することもあります。

(6)再発防止の方法の設定

最初の問題や症状がある程度落ち着き、日常生活の困り事が無くなった後は、再発防止の方法を設定します

困り事が無くなったら終わりではなく、今後の生活や人生のなかで再発・ぶり返しがないわけではありません。もし仮に、そうした再発があったとしても、自分自身でそれを乗り越えられるのが一番良いでしょう。そのための方法を作って置き、持っておくことはとても大切です。

(7)認知行動療法の終了

認知行動療法を実施し、問題も解決し、再発防止の方法も設定できると、認知行動療法も終了となります。この認知行動療法では何が良かったのか、反対に何が悪かったのか、何が達成できて、何が達成できなかったのか、などについて整理します。

また終了した後、時にはフォローアップ面接などをし、再発していないかどうか、効果が持続しているかどうかを確認することもあります。もし何か問題があれば、追加の面接を行い、事態が悪化する前に対処します。

4.認知行動療法に向かない人とは?認知行動療法の注意点

禁止

(1)一緒に取り組む意欲が必要

難しい専門用語ですが、「協同的経験主義」というものがあります。簡単にいうと、認知行動療法では治療者とクライエントは一緒に協同して認知行動療法を行っていくものですよ、ということです。

よくあるのが、治療者が全てをしてくれる、と期待するクライエントです。このような姿勢だと認知行動療法で効果を期待することはできなくなります。これは認知行動療法に限らず、心理療法一般に言えることではあります。

また、認知行動療法では、課題や宿題を持ち帰り、自宅や職場、学校でそれをこなさねばならないことが多いです。問題や症状はカウンセリング室の中で起こっているのではなく、日常生活の中で起こっています。なので、日常生活の中で認知行動療法に取り組んでいかねばならないのです。そのための宿題や課題となります。

そうした宿題や課題をすることが負担だったり、嫌だったりするのであれば、認知行動療法の適用は難しいでしょう。

(2)考え方を変えるだけでは問題は解決しない

認知行動療法の一般的な理解で、考え方を変えると問題が解決する(症状がなくなる)というものがありますが、これは誤解です。人間は複雑ですし、様々な要因が絡んでいるので、思考を変えるだけで物事が全て解決することはありません。

認知行動療法では思考を変える、認知を変えるのではなく、その他の視点や捉え方を増やしていくという観点が必要になります。認知のレパートリーを豊富にしていくことが大切なのです。多角的な視点を持ち、広い視野を獲得できることが問題解決や症状の除去には必要なのです

(3)苦痛なことにも向かい合う姿勢が必要

また、どういった認知行動療法の技法を使うにしろ、これまで避けてきた苦痛な体験や感情に向かい合っていくということが必要になってきます

特に認知行動療法の中のエクスポージャーや曝露反応妨害法では、不安や不快感を直視し、そこから逃げずに感じ続け、徐々に慣れていくことを行います。不潔恐怖の人が不潔と思うものを慣れるまで触り続けることや、電車恐怖の人が慣れるまで電車に乗り続けるなどです。

こうしたことは極めて苦痛を伴うものですが、それでも治るためには必要なことです。そうしたことに取り組むだけの動機と覚悟は必要でしょう。逃げている限り、一生逃げ続けねばならなくなります。

(4)認知行動療法の禁忌や別の方法を選択

認知行動療法は効果は高い方法なのですが、万能ということではありません。例えば、精神症状があまりにも強すぎる場合には、薬物療法が優先されるので、認知行動療法はしない方が良いこともあります。

また、ハラスメントや犯罪被害、DVなど現在進行形で法的な問題が生じている場合には認知行動療法を実施するよりも前に、生命の安全を優先し、加害者と物理的な距離を取ったり、避難したりすることを優先します。

そして、不登校やひきこもりなどによって、当人が来談されず、家族だけが来談されることもあります。こうした場合には、本人に認知行動療法を実施することはできませんので、家族に対するアプローチをしなければなりません。

さらに、これまでの研究データの積み重ねから、摂食障害などには家族療法などが、トラウマやPTSDなどにはEMDRなどが効果が高いことも分かっています。こうした時、認知行動療法よりも効果が期待される技法がある場合には、別の技法を選択することもあります。

5.認知行動療法をセルフで実施する方法

自分を信じろ

認知行動療法をカウンセラーと一緒に実施するのではなく、自分一人でセルフで実施することも可能です。その際の手順としては以下のようになります。

  1. 問題を列挙し、細分化する
  2. それぞれの問題について重要度と解決しやすさの2つの点から優先順位をつける
  3. 解決しやすく、問題が小さいものを取り上げる
  4. 取り上げた問題について別の視点や、別の捉え方がないかを考える
  5. その上で、解決のための方法をたくさん列挙する。その時に荒唐無稽で、実現できそうにないことも入れておくと良い
  6. たくさん挙がった解決方法から良さそうなものをいくつかピックアップする
  7. 実際に解決方法を試してみて、効果があるかを試す
  8. 効果があるなら続け、あまり無さそうであれば、上の4~6番の項目に戻って、繰り返す

このような手順で問題を解決していくことが可能です。

また、セルフで認知行動療法をするための手引書もあります。専門家ではなくても読めるように分かりやすく書いています。以下のような本を片手に、セルフで認知行動療法を試してみてください。

それでも、なかなか自分では認知行動療法ができないという時にはやはり認知行動療法の専門家に相談し、一緒に実施することが良いかもしれません。

6.心理オフィスKでの認知行動療法

ジョギングする二人

認知行動療法もカウンセリングの一つなので相性が重要となっています。そのため、相性の良いカウンセラーと認知行動療法を取り組めると良いでしょう。心理オフィスKではその点、認知行動療法を実施できるカウンセラーが複数います。なので、相性をしっかりと見極めた上で、認知行動療法に取り組めます。

また、心理オフィスKではアセスメントと説明を大切にしています。アセスメントが適切に行えていないと適切な技法の選択や実施ができません。さらに、アセスメントで分かったことを説明し、納得した上で認知行動療法に取り組んでもらいたいと思います。そのために、説明にはしっかりと時間を使い、分かりやすく、また理解しやすいように説明いたします

そして、認知行動療法の実施をしているとスムーズに進展することもあれば、なかなかうまく進展していかないこともあります。進展しない時も根気よく続けることが必要です。そのためにカウンセラーはクライエントさんと連携し、励まし、一緒に伴走するように努めます

こうしたところが心理オフィスKでの認知行動療法の特徴といえるでしょう。

7.認知行動療法を受けたい人へ

笑顔の少女

認知行動療法は短期集中型であるといわれています。短ければ数ヶ月・数セッションで終わります。もちろん問題の所在や病歴の長さとも関連するので全てがそうであるとはいえませんが。

また、認知行動療法はエビデンスがしっかりしており、対象とターゲットと技法の選択さえ間違えなければ比較的効果があらわれやすいです。

こうした認知行動療法を受けてみたいという方は当オフィスにお申し込みください。