ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach;解決志向アプローチ;以下SFA)とは、「解決志向アプローチ」で原因を追求しなくともより良い状態や望ましい自分をつくることができるという考えにスポットをあてた心理療法です。
クライエントが元々持ち合わせる資質を利用する分、短期的に効果を示し、持続性があることが知られています。
目次
ソリューション・フォーカスト・アプローチとは何か?
SFAとは、「未来の自分がどうなりたいか」「何を手に入れたいか?」など未来イメージを想像させ、そこから行動を作っていくことが特徴となります。ストレス社会の現代において「メンタルコーチング」「スキルコーチング」の一手法として、広い分野で取り入れられ一定の効果があることが知られています。
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチとは
ソリューション・フォーカスト・アプローチとは、問題の原因を深く掘り下げるよりも、「うまくいっている例外」や「望む未来」に焦点を当て、短期間で現実的な変化をめざす心理療法です。未来志向・解決志向の立場をとり、クライエントの強みや資源を活かしながら、小さな成功体験を積み重ねていくことを重視します。
ミラクル・クエスチョン、スケーリング、例外探しなどの技法を用いて、問題を分析するのではなく「すでにできていること」や「これからできること」を明確にし、行動につなげていく点が特徴です。短期療法としてエビデンスも蓄積されており、職場や家族、学校など幅広い場面で実践されています。
深刻なトラウマに直接アプローチする技法ではありませんが、停滞した状況を動かしたい人や、具体的な問題解決を求める人に適した方法と言えます。
(2)よくある相談の例(モデルケース)
30歳代 女性
Aさんは、数年前から続く職場のストレスに悩み、カウンセリングを申し込みました。上司から注意されると過度に落ち込み、委縮して意見が言えず、自信を失っていました。幼少期から真面目で期待に応えようと努力する性格でしたが、失敗を恐れる気持ちが強まり、眠れない日も増えていました。医療機関での治療歴はなく、まずはカウンセリングで状況を立て直したいと考えて来談しました。
初回面接では、スケーリングを用いて現在の状態を10点満点中「2」と言語化し、どの場面が特につらいのか整理しました。第2回ではミラクル・クエスチョンを行い、「明日もし問題が軽くなっていたら何が違うか」を一緒に描いたことで、Aさんは「委縮せず話せている自分」に気づき、望む未来像が明確になりました。第3回では例外探しによって「意見を伝えられた日が少しある」と振り返り、うまくいった要因を言語化しました。第4回以降は、Aさんが持っている丁寧さや傾聴力をリソースとして活かし、「週に一度、自分の考えを一言添える」という小さなステップを宿題として取り組みました。
セッション後半ではスケーリングの点数が「4〜5」へと上がり、上司との会話で委縮する場面は残るものの、「前より怖さが減った」「落ち込んでも立て直せる」と感じられる日が増えていきました。3か月・計6回のカウンセリングを終える頃には、問題が完全に解決したわけではないものの、自分なりの対処法を持ち、行動を続けられる状態に変化しました。Aさんは「もう少しやっていけそうです」と語り、今後は自分の力で職場での試みを継続していく意欲を持って終結となりました。
(3)ソリューション・フォーカスト・アプローチの基本的な考え方
SFAではクライエントの問題を傾聴しながら、その問題点を傾聴し、労いながら解決の方法をクライエント自身が探索できるように導くという考えが、カウンセラーには必要です。
クライエント側にも、可能な限りの柔軟な考えが必要です。双方に解決したい問題点を共有し、クライエントの性格も把握しながら、必要に応じて問題提起や課題をあらいだし、解決にむけての意欲を引き出す考えが必要になります。
Aさんは、過去の原因よりも「どうなりたいか」という未来像を大切にする関わりによって、自分の望む状態を具体的に思い描けるようになりました。問題の分析ではなく、すでにある力やうまくいっている場面に目を向けることで、小さな変化に気づきやすくなりました。
(4)ソリューション・フォーカスト・アプローチが解決できる問題の例
共通して、問題探索ではすぐに結果がでにくい事柄に対して効果が期待できます。
Aさんの場合、職場の人間関係によるストレスが主訴でしたが、対人ストレスや自信の低下、先の見えづらさといった悩みでも効果を実感できました。原因を掘り下げなくても前進できたことが特徴でした。
a)組織における人間関係における苦しみ
原因分析に走ると、他者への攻撃や自己防衛など不健全な解決方法にすすんでしまいます。
b)脳梗塞後の四肢麻痺や、腰椎手術後の改善しづらい痛みや痺れ
四肢麻痺や痺れの快方を目指すとともに、障害があっても生きやすい状況で解決とする。
c)自律神経のバランスがわるく、寝坊が多く遅刻が目立ち社会に迷惑をかけている。
自律神経のバランスをよくする習慣にはとりくみが、寝坊とかがあっても社会で必要とされる勤務態度や人に好かれる努力を惜しまない。
(5)ソリューション・フォーカスト・アプローチと類似する手法との比較
「認知の歪みの修正」が挙げられます。多くの場合、クライエントが直接もつ性格や癖に介入の要素が強く、SFAとの比較においてやや心理学者の価値観に沿ったアプローチの色が濃くなる傾向がどうしてもでてしまいます。
抑うつや不安などの精神病症状が強すぎる場合には、コミュニケーションの浅い初期の面談においては、介入は治療の色が濃くなってしまう傾向があります。
Aさんは、認知行動療法のように考え方を整理するアプローチと比べ、より短期的かつ未来志向のSFAの方が取り組みやすいと感じました。原因よりも変化の芽に目を向ける点が、自分の気質に合っていたようです。
ソリューション・フォーカスト・アプローチのメリットとは?
SFAではクライエントの肯定的な部分の話を中心に、目標設定するため、明るい会話内容が中心になるので楽しい雰囲気で面談をおこなうことができます。クライエント自身の能力を再確認でき、自信がもてることで持続性が期待できるメリットがあります。
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチの優れた点
過去の成功体験の再現の部分を未来に活かすことで、他の手法より短期間で解決にむかうことが特徴です。「ブリーフセラピー」とも呼ばれることもあります。
Aさんは、自分の強みに光を当ててもらえることで、自己否定に陥らず取り組めました。小さな成功を積み重ねる方法は、忙しい生活でも継続しやすいものでした。
(2)ソリューション・フォーカスト・アプローチの対象者
SFAの対象者は、悩みを持つ人全員です。特に悩みを持つ前のアプローチも効果的とされています。人は少なからず成功した経験を持っています。そこにはプロセスが存在しますが、本人がその能力に気づいていないことがあります。
例えばプロのスポーツの世界など、一定のハードルを超えてきた経験のある人には特に効果を示すことが知られています。
Aさんの場合、深刻なトラウマではなく日常の困りごとだったため、比較的短期間で変化を実感できました。停滞感を抱えている人には特に適した手法と感じていました。
ソリューション・フォーカスト・アプローチを使った問題解決のステップ
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチにおける問題解決の手順と方法
SFAでは「問題解決」と「解決」をわけて考えることがまず手順となります。
つまり「問題解決」のみが「解決」ではない考えが前提となり、「解決志向。例えば人生最後の「死」というものを問題としてしまうと、それを避けることだけを解決とするとそれは達成できません。それまでに快適な状態や素晴らしい人生経験を送ることに焦点をあてるとその苦悩からは脱することができ有意義な人生を送ることができます。
医療でも慢性疾患を中心に「診断」はつかなくても、「治療」すなわち患者さんが目の前におかれている苦悩からの解放につながることを日常的に目にします。
Aさんは、スケーリングで現状を数値化し、例外場面を見つけ、望む未来を描き、次の一歩を決めるという流れで整理が進みました。明確な道筋があることで安心感も高まりました。
(2)ソリューション・フォーカスト・アプローチの導入時に注意すべきポイント
クライエントの介入前の精神状態を把握します。まず自由に話してもらうところから、どの程度悩んでいるのか観察します。目標設定を決める上でも大切です。話の内容だけでなく、歩き方などの所作や話し口調にも着目することも大切です。
話を聞いてもらうだけでおちつく可能性もあるので、SFAの適応なのかを検討する。すでにご自身で目標を設定している可能性もありその場合にはできる限りそれによりそうことが早道で効果的です。
1対1のSFAよりも、相談者と複数の人物の輪の中で気づきをえることを好む相談者もいるのでその辺りの見極めも事前準備としては大切です。
Aさんの場合、「早く良くしなければ」と焦る気持ちがありましたが、小さな一歩でよいと確認しながら進めることで負担なく取り組めました。
ソリューション・フォーカスト・アプローチの実際の介入方法や質問方法
クライエントが抱える問題をしっかり傾聴し、互いの信頼関係を構築する工夫を大切にします。現在の一番の悩みをシンプルに理解ことが大切です。
クライエントに安心感をもってもらえる態度(ふるまい・服装・口調)に心がけます。見極めの段階で、クライエントが萎縮してしまうほど高い目標設定をつくらない。目標設定をシンプルに平易な言葉でわかりやすく、期限設定も設けるか否かは相手の性格や反応をみてきめることも意欲をかきたてることに有用とされています。
以下に代表的なSFAの方法についてお示しします。クライエントが望んでいることは、難しいようにみえて意外とシンプルかもしれません。
(1)ミラクル・クエスチョン
問題解決後の状況を具体的にクライエントに想像してもらうことです。例えば、「奇跡がおこり、その問題が解決した時にそこからどういうことをイメージしますか?」など、一見跳躍した乱暴な質問のように感じるかもしれませんが理想の自分のイメージングに役立ちます。
Aさんは「もし問題がなくなった朝」を思い描くことで、具体的な理想像を初めて言葉にすることができました。
(2)例外探し
現在の壁にぶつかっている状況でなく、過去に問題なかった状況や同様の体験をいかに乗り越えてきたかを聞き出す手法で、一般にクライエントが自身できづいていないことが多いです。
Aさんは、うまくいった日を振り返ることで、すでにできている工夫や行動に気づき、自信を取り戻し始めました。
(3)スケーリング・クエスチョン
その問題が深刻・最悪だったときの状況を「0」、このくらいなら問題ない状況を「10」としたら、現在はどれくらいの状況ですか?と問います。クライエント自身が現在の状況を把握しやすいメリットがあります。
Aさんは、進んでいないように感じる日でも数値の変化を確認でき、停滞の中にも前進を見出せました。
(4)コーピング・クエスチョン
スケーリングで「0」とかクライエントが回答しても、傾聴・共感する姿勢をもち、そういった状況でどのように対応して乗り越えているかなど、可能な限り自分自身の対処など潜在的な能力の発見に尽力するようにします。
Aさんは、つらい状況でも「それでも続けられたこと」を探す問いかけを通じて、ストレス耐性や粘り強さを再発見しました。
ソリューション・フォーカスト・アプローチについてのよくある質問
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)は、心理療法の一手法であり、問題やその原因に焦点を当てるのではなく、クライエントが既に持っている強みやリソースに注目し、解決策を見つける方法です。このアプローチでは、クライエントの目標達成をサポートするために、過去の問題よりも未来の理想的な状態に注力します。つまり、クライエントが自らのリソースを最大限に活用し、効果的な変化を実現できるように導きます。SFAは、クライエントの自己効力感を高め、心理的な障害を乗り越える力を引き出す方法として注目されています。
SFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)の特徴は、主に以下の4つです。1つ目は、解決志向であることです。SFAは、クライエントが目指す理想的な未来の姿に焦点を当て、過去の問題の分析やその原因追及よりも、解決策を中心に進めます。2つ目は、短期療法である点です。一般的に、SFAは比較的短期間で効果を発揮します。平均して、3~10回程度のセッションで進展が見られることが多いです。3つ目は、ポジティブなアプローチを取る点です。クライエントの強みや成功体験に注目し、それらを活用して前向きな変化を促します。4つ目は、協働的な関係性を築くことです。カウンセラーとクライエントが共に問題解決に向けて協力し、パートナーシップを築くことが重要です。
SFAは、以下のような場面で特に効果的です。1つ目は、日常的なストレスや不安を軽減する場合です。SFAでは、クライエントが自分の強みを活かし、状況に対処する方法を見つけ出すため、精神的なストレスを管理しやすくなります。2つ目は、人間関係の改善です。SFAでは、コミュニケーションや対人関係における問題に対し、具体的な解決策を見つけることに重点を置くため、対人スキルを向上させる手助けとなります。3つ目は、キャリアや仕事の場面です。職場でのパフォーマンス向上やキャリアの方向性を明確にする際にも、SFAのアプローチは有効です。4つ目は、自己成長や目標達成の支援です。クライエントが自己理解を深め、具体的な行動計画を立てることで、目標達成に向けた進捗を加速します。
SFAのセッションは、通常以下のステップで進行します。まず初めに、クライエントが自分が望む未来の状態を明確にすることから始まります。カウンセラーと共に目標を設定し、その達成を目指します。その後、クライエントが持っているリソースや強みを振り返り、それらを解決策に活用する方法を探ります。具体的な行動計画が立てられ、クライエントはその計画を実行します。セッション後は、行動計画の効果を評価し、必要に応じて次のステップを調整します。このプロセスを通じて、クライエントは自分自身の力を再確認し、前進する意欲を高めます。
SFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)と従来のカウンセリングの大きな違いは、アプローチの焦点にあります。従来のカウンセリングは、過去の問題やその原因に重点を置き、クライエントの過去の経験を掘り下げて理解を深めようとします。これに対し、SFAはクライエントが目指す未来の理想的な状態に焦点を当て、解決策や前進のためのステップを考えます。また、SFAは、比較的短期間で効果を上げることが多く、問題の分析に時間をかけず、クライエントのリソースを活用して、問題解決へと導いていきます。このアプローチは、より行動志向で実践的な方法です。
SFAの効果を最大限に高めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。1つ目は、クライエントが目指す目標を具体的に設定することです。目標が明確であればあるほど、達成感を得ることができ、モチベーションが高まります。2つ目は、ポジティブな言葉や態度を使うことです。クライエントが自己肯定感を持ち、自己効力感を高めることが重要です。3つ目は、小さな成功体験を積むことです。大きな変化を目指す前に、達成可能な小さなステップを設定し、成功を重ねることで、自己信頼が深まります。4つ目は、クライエント自身が進捗を評価することです。進行状況を振り返り、自己評価を行うことで、効果的な調整が可能になります。
SFAは、解決志向の理論やシステム論に基づいています。解決志向の理論では、クライエントがすでに持っているリソースや強みに焦点を当て、これらを活用して問題解決を図るという考え方が基本です。システム論に基づいて、個人を一つのシステムとして捉え、周囲の環境との相互作用の中で問題解決に取り組みます。また、SFAは、クライエント自身が持つ力を引き出し、自己効力感を高めることを目的としており、そのために問題を解決するための方法を共に考え、実践していく点が特徴です。
SFAのセッションの期間は、一般的に3回から10回程度が多いです。このアプローチは、過去の問題に深く掘り下げることなく、クライエントが目指す未来の状態を中心に進められるため、比較的短期間で効果が現れることが特徴です。セッションの頻度や期間は、クライエントの状況や目標に応じて柔軟に調整されます。クライエントは、セッションを重ねるごとに自分の強みやリソースを再確認し、問題解決に向けた行動を起こしやすくなります。
SFAは子どもにも適用可能です。特に、子どもが自分の強みを活かして問題解決に取り組む能力を養うことができます。子どもの場合、未来に向けたポジティブな目標設定と小さな成功体験を重ねることで、自己肯定感を高め、自己効力感を育むことができます。SFAのアプローチは、簡単で実践的な方法を提供するため、子どもでも理解しやすく、積極的に参加できる内容となっています。親や教師と協力して進めることも可能で、子どもが抱える問題を解決する手助けとなります。
SFAは、問題に対して解決策を見つけ出すことを重視する人々に特に向いています。このアプローチは、ポジティブな未来志向であるため、前向きに変化を望んでいる人や、過去にとらわれず、具体的な行動に移したい人に効果的です。また、短期間での変化を目指す人、自己肯定感を高めたい人、解決策を一緒に考えてくれるパートナーが必要な人にも適しています。クライエント自身が自身の強みに注目し、リソースを活用して問題を解決するため、自己管理能力を高めたいと考える人にも向いています。
カウンセリングを受けたい
SFAは社会の色んな分野でコーチングの手法として広く用いられています。クライエント自身が元々持つ能力を最大限にひきだすことは、持続可能な社会の形成に重要です。
環境や他人などアンコントロールなことに固執しすぎず、明るい未来をゴール設定に進め、社会全体で個々の無限の可能性の模索してすすめてゆくことが明るい未来や幸福度をあげることにつながることでしょう。
当オフィスではSFAをそのまま実施することはしていませんが、その考えに基づいたカウンセリングは行っています。当オフィスでのカウンセリングをご希望の方は以下の申し込みフォームからご連絡ください。
文献
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