ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach;解決志向アプローチ;以下SFA)とは、「解決志向アプローチ」で原因を追求しなくともより良い状態や望ましい自分をつくることができるという考えにスポットをあてた心理療法です。
クライエントが元々持ち合わせる資質を利用する分、短期的に効果を示し、持続性があることが知られています。
目次
1.ソリューション・フォーカスト・アプローチとは何か?
SFAとは、「未来の自分がどうなりたいか」「何を手に入れたいか?」など未来イメージを想像させ、そこから行動を作っていくことが特徴となります。ストレス社会の現代において「メンタルコーチング」「スキルコーチング」の一手法として、広い分野で取り入れられ一定の効果があることが知られています。
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチの基本的な考え方
SFAではクライエントの問題を傾聴しながら、その問題点を傾聴し、労いながら解決の方法をクライエント自身が探索できるように導くという考えが、カウンセラーには必要です。
クライエント側にも、可能な限りの柔軟な考えが必要です。双方に解決したい問題点を共有し、クライエントの性格も把握しながら、必要に応じて問題提起や課題をあらいだし、解決にむけての意欲を引き出す考えが必要になります。
(2)ソリューション・フォーカスト・アプローチが解決できる問題の例
共通して、問題探索ではすぐに結果がでにくい事柄に対して効果が期待できます。
a)組織における人間関係における苦しみ
原因分析に走ると、他者への攻撃や自己防衛など不健全な解決方法にすすんでしまいます。
b)脳梗塞後の四肢麻痺や、腰椎手術後の改善しづらい痛みや痺れ
四肢麻痺や痺れの快方を目指すとともに、障害があっても生きやすい状況で解決とする。
c)自律神経のバランスがわるく、寝坊が多く遅刻が目立ち社会に迷惑をかけている。
自律神経のバランスをよくする習慣にはとりくみが、寝坊とかがあっても社会で必要とされる勤務態度や人に好かれる努力を惜しまない。
(3)ソリューション・フォーカスト・アプローチと類似する手法との比較
「認知の歪みの修正」が挙げられます。多くの場合、クライエントが直接もつ性格や癖に介入の要素が強く、SFAとの比較においてやや心理学者の価値観に沿ったアプローチの色が濃くなる傾向がどうしてもでてしまいます。
抑うつや不安などの精神病症状が強すぎる場合には、コミュニケーションの浅い初期の面談においては、介入は治療の色が濃くなってしまう傾向があります。
2.ソリューション・フォーカスト・アプローチのメリットとは?
SFAではクライエントの肯定的な部分の話を中心に、目標設定するため、明るい会話内容が中心になるので楽しい雰囲気で面談をおこなうことができます。クライエント自身の能力を再確認でき、自信がもてることで持続性が期待できるメリットがあります。
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチの優れた点
過去の成功体験の再現の部分を未来に活かすことで、他の手法より短期間で解決にむかうことが特徴です。「ブリーフセラピー」とも呼ばれることもあります。
(2)ソリューション・フォーカスト・アプローチの対象者
SFAの対象者は、悩みを持つ人全員です。特に悩みを持つ前のアプローチも効果的とされています。人は少なからず成功した経験を持っています。そこにはプロセスが存在しますが、本人がその能力に気づいていないことがあります。
例えばプロのスポーツの世界など、一定のハードルを超えてきた経験のある人には特に効果を示すことが知られています。
3.ソリューション・フォーカスト・アプローチを使った問題解決のステップ
(1)ソリューション・フォーカスト・アプローチにおける問題解決の手順と方法
SFAでは「問題解決」と「解決」をわけて考えることがまず手順となります。
つまり「問題解決」のみが「解決」ではない考えが前提となり、「解決志向。例えば人生最後の「死」というものを問題としてしまうと、それを避けることだけを解決とするとそれは達成できません。それまでに快適な状態や素晴らしい人生経験を送ることに焦点をあてるとその苦悩からは脱することができ有意義な人生を送ることができます。
医療でも慢性疾患を中心に「診断」はつかなくても、「治療」すなわち患者さんが目の前におかれている苦悩からの解放につながることを日常的に目にします。
(2)ソリューション・フォーカスト・アプローチの導入時に注意すべきポイント
クライエントの介入前の精神状態を把握します。まず自由に話してもらうところから、どの程度悩んでいるのか観察します。目標設定を決める上でも大切です。話の内容だけでなく、歩き方などの所作や話し口調にも着目することも大切です。
話を聞いてもらうだけでおちつく可能性もあるので、SFAの適応なのかを検討する。すでにご自身で目標を設定している可能性もありその場合にはできる限りそれによりそうことが早道で効果的です。
1対1のSFAよりも、相談者と複数の人物の輪の中で気づきをえることを好む相談者もいるのでその辺りの見極めも事前準備としては大切です。
4.ソリューション・フォーカスト・アプローチの実際の介入方法や質問方法
クライエントが抱える問題をしっかり傾聴し、互いの信頼関係を構築する工夫を大切にします。現在の一番の悩みをシンプルに理解ことが大切です。
クライエントに安心感をもってもらえる態度(ふるまい・服装・口調)に心がけます。見極めの段階で、クライエントが萎縮してしまうほど高い目標設定をつくらない。目標設定をシンプルに平易な言葉でわかりやすく、期限設定も設けるか否かは相手の性格や反応をみてきめることも意欲をかきたてることに有用とされています。
以下に代表的なSFAの方法についてお示しします。クライエントが望んでいることは、難しいようにみえて意外とシンプルかもしれません。
(1)ミラクル・クエスチョン
問題解決後の状況を具体的にクライエントに想像してもらうことです。例えば、「奇跡がおこり、その問題が解決した時にそこからどういうことをイメージしますか?」など、一見跳躍した乱暴な質問のように感じるかもしれませんが理想の自分のイメージングに役立ちます。
(2)例外探し
現在の壁にぶつかっている状況でなく、過去に問題なかった状況や同様の体験をいかに乗り越えてきたかを聞き出す手法で、一般にクライエントが自身できづいていないことが多いです。
(3)スケーリング・クエスチョン
その問題が深刻・最悪だったときの状況を「0」、このくらいなら問題ない状況を「10」としたら、現在はどれくらいの状況ですか?と問います。クライエント自身が現在の状況を把握しやすいメリットがあります。
(4)コーピング・クエスチョン
スケーリングで「0」とかクライエントが回答しても、傾聴・共感する姿勢をもち、そういった状況でどのように対応して乗り越えているかなど、可能な限り自分自身の対処など潜在的な能力の発見に尽力するようにします。
5.まとめ
SFAは社会の色んな分野でコーチングの手法として広く用いられています。クライエント自身が元々持つ能力を最大限にひきだすことは、持続可能な社会の形成に重要です。
環境や他人などアンコントロールなことに固執しすぎず、明るい未来をゴール設定に進め、社会全体で個々の無限の可能性の模索してすすめてゆくことが明るい未来や幸福度をあげることにつながることでしょう。
当オフィスではSFAをそのまま実施することはしていませんが、その考えに基づいたカウンセリングは行っています。当オフィスでのカウンセリングをご希望の方は以下の申し込みフォームからご連絡ください。
文献
この記事は以下の文献を参考にして執筆いたしました。