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精神分析的心理療法

自分に向き合う営み

精神分析とはS,フロイトが100年前に創始した心理療法の一つです。その精神分析や精神分析的心理療法についての概要、構造、基本概念、プロセス、効果などについて解説しています。

1.精神分析の概要

S,フロイト

(1)精神分析とは

精神分析とは、100年ほど前にS,フロイトはヒステリーの治療のために作り上げた技法です。精神分析では無意識を想定し、その無意識の中の葛藤やコンプレックスが様々な問題や症状を生じさせていると理解します。そのため、患者さんにその無意識を意識化し、理解することで問題や症状を解消することを目指しています。また、精神分析は当時は週6回の頻度でおこなっていますが、現在では、週1回といった低い頻度での精神分析も行われており、それらは精神分析的心理療法と呼ばれています。

また、精神分析はヒステリーの治療だけではなく、その後、対象を広げ、ヒステリーだけではなく、強迫神経症やパーソナリティ障害、うつ病などにも適用を広げました。さらに、精神分析の応用として、社会現象や文化、宗教についての理解の枠組みとして用いられることもあります。

なお、精神分析には以下の3つの側面があります。

  • 人間を理解する枠組み
  • 精神病理を治療する実践法
  • 社会や文化、宗教を理解する方法

精神分析の歴史や過去は長く、100年以上にもなります。精神分析の歴史や過去については以下のページに解説していますので、興味があればご覧ください。

(2)よくある相談の例(モデルケース)

20歳代の男性

幼少期から厳格な両親の元で育ちました。父親は厳しく支配的で、特に勉強に関してはうるさく、少しでも成績が悪いと強く叱責していました。母親は礼儀作法にうるさかったようです。そのため、彼は非常に良い子と育ちましたが、自主性や主体性にやや欠け、周囲の人の言動に合わせるようにすることが多かったようです。小中高では成績が良く、教師からも一目置かれていました。また、思春期の反抗期はほとんどありませんでした。大学は両親の希望通りの難関大学に合格し、入学しました。大学では自由になった反面、何をして良いか分からず、途方にくれることもあったようです。大学は順調に単位を取得し、成績優秀のまま卒業しました。そして、いわゆる一流企業に就職しました。

ただ、就職してから、徐々に無気力になっていき、生きがいや楽しみはあまりなく、ただ漫然と周りに合わせながら仕事をしているだけのように思え、気持ちが落ち込んでいくことが増えていきました。仕事は休まずに行っていましたが、意欲を持つことができていませんでした。心療内科を受診しましたが、軽い鬱と言われただけで、軽い安定剤をもらい、それで終わりました。彼は知人からカウンセラーに相談してみてはと助言されたため、開業カウンセリングルームに探し、申し込みをしました。

そこで初回の面接を受け、抑うつ的な症状の背後には生き方の問題や両親との関係の問題があるのではないかとカウンセラーに指摘され、こうした問題に精神分析的心理療法が有効と思われると提案されました。彼はそれで何かが変わればと期待し、続けることになりました。構造について、頻度は週2回で、カウチを用いてすることになりました。彼にとって週2回来談することは負担も大きかったようですが、毎回のセッションで自身の過去の歴史を振り返り、対人関係のパターンや生き方について丁寧に整理されていく作業は、それなりに手応えのあるものと体験していました。また、時折、夜に見た夢をセッションで報告し、その分析も行われ、その作業も進展に寄与していました。

こうした精神分析的な作業をしていく中で彼は徐々にこれまで誰にも向けることができなかった怒りや腹立ちを感じるようになり、それは目の前のカウンセラーにも向けるようになりました。カウンセラーのちょっとした言動に文句を言ったり、不満を述べたりもしました。カウンセラーはそれに対して穏やかに応じ、非難したり反撃したりすることなく、その怒りと不満も受け止めているようでした。そうしたことが続く中で、彼とカウンセラーは徐々にこうした怒りと不満は実は彼の両親に対して本当は向けたかったものだったのかもしれない、という理解にたどり着きました。彼は思春期にできなかった反抗期をようやくできるようになっていったのでした。

(3)精神分析の治療構造

実際の精神分析的心理療法を行っていく枠組みです。具体的には料金、時間、頻度、部屋の配置などです。このような形式を決めることは一見すると非常に不自由で、創造性に欠けるものに思えるかもしれません。しかし、実情はこうした形式を決めることにより、より創造的で、より自由に振舞うことができます。

空手や剣道、茶道、華道、能楽など、いわゆる伝統芸能や武道においては型という形式があります。最初から自由に好き勝手していくものではありません。型という枠にはまったことをしていくことにより、その中での創意工夫が技を磨いていくことになりますし、創造的な何かが生まれてきます。精神分析的心理療法でもそれに近いものがあるといえるでしょう。

モデルケースでは、週2回の頻度で、カウチを用いて行っています。こうした枠組みをしっかりと守ることで、その中で自由に語り合ったり、時にはカウンセラーに怒りを向けたりしましたが、関係が破綻することなく、分析の作業を続けることができています。

以下のページにも精神分析の枠や構造について書いています。

(4)精神分析の基本概念

精神分析の基本概念にはたくさんのものがあります。ここでは以下の7つに絞って解説しています。

概念 解説
無意識 無意識とは意識できない深層に広がる領域です。無意識には普段は意識に登らないような葛藤やコンプレックスがあります。
自由連想 頭に思い浮かんだことをそのまま話してもらうことです。こうした方法をすることにより、徐々に自身の無意識や葛藤に気付いていくことができます。
転移 幼少期からの対人関係のパターンがカウンセラーとの間でも同じように繰り返されることです。
寝ている時に見るイメージや表象です。そこには普段は自覚できない無意識や葛藤、コンプレックスが表現されます。
解釈 カウンセラーが行う技法の一つで、クライエントの無意識について気付いてもらうために伝える言葉です。
防衛と抵抗 無意識を意識化することは苦痛が伴うため、意識化しないように誤魔化したり、知らないふりをしたりすることです。
ワークスルー ワークスルーとは何度も何度もそうした繰り返しに立ち戻りながらも、幾度と無く考え続け、試行錯誤し続け、失敗から学び続けて、新たな自分を創造していき続けることです。

モデルケースでは、幼少期からの両親への怒りや不満は無意識に追いやられていました。しかし、精神分析的心理療法が開始され、自由連想を行いました。時には夢も分析されました。そうした中で、モデルケースはカウンセラーへと怒りが向けられましたが、それが転移であったということができます。それを何度も話し合いましたが、それをワークスルーと言うことができます。

精神分析の7つの基本概念については以下のページに詳細に解説しています。

2.精神分析の進め方

会話する女性たち精神分析的心理療法はどのように始まり、どのような展開を経て、どのように終わるのか、について述べていきます。

しかし、プロセスは個人差が極めて大きく、同じことが必ず起こるとは限りません。以下に初回面接・アセスメント面接・初期・中期・終期・終結とあたかも連続したもののように書いていますが、単なる目安として理解してもらえると良いでしょう。人によっては行きつ戻りつしますので

また、当初は認知行動療法やEMDRのような別のセラピーを受けていて、その途中で、もしくは終わってから精神分析的心理療法を希望される場合もあります。

認知行動療法やEMDRなどは症状消去に特化したセラピーです。症状が無くなるだけで生活の質が向上し、生きやすくなるでしょうし、その部分だけを求めるクライエントが多いです。それはそれで良いでしょう。

しかし、症状消去だけではなく、生き方や人生の棚卸を行い、根本から変革していきたいというクライエントには認知行動療法やEMDRは物足りなく感じるようです。特に、症状はなく、人生に迷っている、人生に悩んでいるというクライエントには症状消去のセラピーは実施困難です。

そのため、認知行動療法やEMDRが終わってから、精神分析的心理療法に入る場合もあります。

(1)初回面接

カウンセラーとクライエントが始めて会うカウンセリングです。おそらく、お互いにそれなりの緊張と不安と、それと同時に期待や希望も持って、会うことになるでしょう。

初回面接では主に、困りごとの内容、これまでの経緯、病歴、生育歴、治療歴、家族や友人関係、セラピーに来た動機、セラピーに望むこと、などが話し合われることが多いでしょう

このような話の中である程度の方向性が見出されます。もし精神分析的心理療法の適用がよさそうであれば、その提案がカウンセラーからなされます。もしクライエントが同意するのであれば、次のアセスメント面接に進みます。

もし同意されなかったり、他の療法(認知行動療法やEMDRなど)が良いということであったりすれば、そちらの案内と提案があります。いずれにせよ、どんな療法をするにしろ、説明や同意なしの実施はありえませんので、質問や不明な点があれば率直に聞いて納得の上で次に進められると良いでしょう。

モデルケースではカウンセラーは様々な情報を聞き取った上で、症状に背後には両親との葛藤があるのではないかと伝え、彼も成果への期待を持つことができ、精神分析的心理療法を行うことで合意しています。

(2)アセスメント面接

初回面接に続いて概ね3〜5回の面接を行います。この面接の中で、精神分析的心理療法が本当に適用可能かどうか、もし精神分析的心理療法するならどういう観点に注意を向ければ良いのかなどを心理療法家は見立てる作業を行います。そのためアセスメント(見立て)面接と呼んでいます

そして、見立てるのはカウンセラーだけではなく、おそらくクライエントもカウンセラーを見立てることになるでしょう。このカウンセラーは信頼できそうか、精神分析的心理療法をやっていけそうか、など考えているでしょう。

精神分析的心理療法をする場合には多かれ少なかれ、定期的な二人の情緒的な接触や交流が生まれます。これらは決して心地よいものばかりではありません。感情や情緒を掻き立てられ、時には不安や憎しみを感じ、向けてしまう場合も少なくありません。しかし、こうしたネガティブな情緒はとても大切なものです。なぜなら、通常の人間関係でも感じるものですし、その苦痛に耐えかねてセラピーを求めているのでしょう。そこには基本概念でも述べましたが、転移という人間関係のテンプレートが強く作用しているのでしょう。

その転移がカウンセラーとクライエントの間で起こっているので、強い情緒的な反応・葛藤があらわれているのです。

ですので、そうしたネガティブな情緒が起こっていることを大事にし、それを扱っていき、理解していけるようになるためには、この強い情緒的な葛藤をある程度は耐えていく必要があります。その苦難の道をこのカウンセラーと、このクライエントが共に抱えていけるのかをアセスメント面接で見定めていくことがとても重要になっていきます。

このようなことからアセスメント面接の3〜5回は基本的には通常の精神分析的心理療法と同じように思っていることを率直に語ってもらう自由連想で進めて行くことになります。クライエントによっては、既にこのアセスメント面接で精神分析的心理療法が開始されているように感じることもあるでしょう。それはそれで構いませんし、無意識の意識化の作業を早くも進めていると理解できます

カウンセラーによってはアセスメント面接では詳細に生育歴、病歴、家族歴を聴取することに費やす場合もあります。それは一つの考え方、やり方なので良いと思いますし、現に私もそうしていた時期もありました。しかし、最近では詳細なことを聞き取るよりも、実際の面接の中でどのような交流が起こり、どのように情緒が描き立てられるのかの方が精神分析的心理療法を進めていく上で重要であると考え、詳細な聞き取りはしていません。

また、このような3〜5回のアセスメント面接では丁寧にクライエントの話を聴きます。人によっては、そのような体験によって、気持ちや考えの整理がなされ、結果的に数回の面接で問題が改善することもあります。経験的に2〜3割の確率で起こっています。

精神分析には「転移性の治癒」という言葉があります。これは問題がワークスルーされていないにも関わらず、転移という関係性ができるだけで治ってしまう、ということです。それはそれで喜ばしいことですし、その段階で精神分析的心理療法を終了しても良いでしょうし、そのような判断をされるクライエントもいます。

ただ、きっちりと自分自身の問題の棚卸しを行い、生き方を変えていくのであれば、そこで終わりにせず、継続的に精神分析的心理療法を行っていくほうが良いでしょう。

(3)初期の展開

アセスメント面接を経て、クライエントの同意があれば、精神分析的心理療法をしていくこととなります。その際には必要であればあらためて構造で述べたような枠組みを設定します。特に対面からカウチにするのは、この時に多いように思います。

精神分析的心理療法の初期とはいつまでを指すのか、というのは難しい問題です。なぜなら、単純に物理的な時間、具体的な回数で区切ってはいないからです。

初期とはどういうものかというと、どのようなクライエントでもある程度共通して持ち込まれる不安と葛藤が取り扱われ、極めて個人的な不安と葛藤が露わにされる時期です。

共通する不安や葛藤とは、出会いの衝撃・情緒的接触に対する苦痛・内面に向き合うことの不安などです。初期不安と総称することもあります。このあたりは大抵、どのクライエントでも多かれ少なかれ体験します。これらが取り扱われ、基本概念で述べたワークスルーをすることで、本来の個人的な課題が徐々に顔を見せ始めます

そして、精神分析的心理療法でのやり方や進め方が実感として理解でき、定期的に来談することが日常生活の中に組み込まれていきます。その中で自分自身のことについて考える時間が積み重なっていきます。そうなると初期の段階は終わり、中期に差し掛かります。

もちろん初期と中期の境目は明確に線引きできるものではありませんし、カウンセラーが「今日から中期です」と宣言するものでもありません。後々になって振り返って判断できるたぐいのものなのでしょう。

(4)中期の展開

この時期が一番長く続くかと思われます。自分自身の課題や問題、もしくは人生があらわになり、形は変えつつも繰り返し繰り返し目の前に立ち現れます。そして繰り返し繰り返し話し合われます

時には漫然と、退屈に、変化なく、ただただ同じことを繰り返すだけになってしまうこともあるかもしれません。人によっては、それを行き詰まりと体験します。その行き詰まりの体験は苦痛なものなので、回避するために、精神分析的心理療法をキャンセルしたり、変に思いきった行動を日常の中で取ってしまったり、時には精神分析的心理療法を中断しようという気持にもなってしまうこともあるかもしれません。さらにはカウンセラーに対して転移が生じ、怒り、甘え、不満、恋愛感情、依存など様々な感情が現れたりします。そうしたことが進展を妨げたり、行き詰りになってしまったりすることもあります。

しかし、精神分析的心理療法の中で感じる行き詰まりは、つまるところ各々の人生の中で繰り返し体験してきた行き詰まりと同種のものです。それを回避してしまうと、同じことを繰り返すだけになり、発展性も何もなくなってしまいます。

ですので、行き詰まりを行き詰まりとして認識し、繰り返しそのことを精神分析的心理療法の中で取り上げ、検討し、考え続けることができると良いでしょう。カウンセラーと一緒に乗り越えることにより、人生の転換をはかっていけると良いかもしれません。

また、人間は誰しも変化することに苦痛を感じます。それは良い変化であったとしてもです。昇進うつというのがあります。喜ばしいはずの昇進によってうつ的になってしまうのです。

精神分析的心理療法でもやり続けることによって良い変化があらわれます。しかし、その変化は今までの馴染みのある自分ではない自分に向い合うこととなります。病的ではあっても、問題ではあったとしても今までの自分のほうが馴染みにあるし、悪いものではあったとしても予想の範囲の中におさまるので、楽な面もあります。

そうした馴染みのある病的なものから、馴染みのない健康なものに変化することはそれなりに苦痛ですし、ストレスですし、怖いものなのです。そういうとき、人間は悲しいことですが、後戻りをすることを選択してしまいます

精神分析の用語に「陰性治療反応」というものがあります。この用語はまさにこの事態について示しているのです。

これらの行き詰まりや陰性治療反応を乗り越え、徐々に新たな自分というものが見出され、変化を実感し、変化した自分が馴染みのあるものになっていくと、そろそろ中期が終わり終盤に向かうこととなります。

陰性治療反応については以下のページに詳しく書かれています。

モデルケースでも、カウンセラーに怒りや不満といった転移が生じており、これを乗り越えることが進展することのきっかけになりました。

(5)終期の展開

精神分析的心理療法によって変化し、改善し、そろそろ終了することがクライエントやカウンセラーの間で話題に出てきます。もしくは、どちらか一方がそれを提案することもあるでしょう。

終了が話し合われてお互いに同意されると、その後は数ヶ月後の終了の日時が設定されます。決して、同意した時点ですぐに終わりになることはありません。必ず、数ヶ月間は精神分析的心理療法を続けて終わりの時期を設定することになります。

この時期にも特に構造や方法の変更は特にしません。頻度をあけたり、カウチから対面にしたり、自由連想・解釈から対話にしたり、ということはありません。精神分析的心理療法以外のセラピーであれば、徐々に頻度を下げたり、これまでのセラピー過程を振り返ってまとめたりもあるようですが、精神分析的心理療法ではそのようなことは特にしません。

終わりの期間を設定した後も、同様に精神分析的心理療法を粛々と進めていきます。

そして、往々にして、そこで取り扱われる問題が分離不安に収束していくことが多いようです。つまり、カウンセラーと別れることへの不安です。クライエントによっては数年も毎週会っていたわけですから、それなりに愛着や愛情を感じていることもあるでしょう。それが無くなるわけですから、それなりの不安を感じて同然かと思います

しかし、別れというのは人生でも当然よく起こっていることであり、愛着の度合いは違っても、今後も度々別れの悲しみを乗り越えていかねばなりません。予行演習ではありませんが、精神分析的心理療法でもそうした別れの悲しみを取り扱っていくことで、さらにワークスルーがすすめていけるでしょう。

分離不安の強さにも寄りますが、クライエントによっては問題や症状をぶり返させることもあるかもしれません。そうすることによって別れの悲しみを否認し、回避しているとも言えるでしょう。そうしたことも含めて精神分析的心理療法で取り扱っていきます

そうした自由連想・解釈という二人の交流は最終セッションの最後の最後まで続けられます。

カウンセリングの終結については以下のページをご参照ください。

(6)終結と中断

精神分析的心理療法を終期まで続け、分離不安のワークスルーがなされて、終了となるのは理想ですが、現実的にはそうではない終わりを迎えることも多いです。転居、転校、結婚、職場異動などクライエントの取り巻く生活環境の変化が主な理由でしょうか。そのほかには経済的な事情の変化もあるでしょう。行き詰まりに耐えかねての終了もあるかもしれません。

そうした終わりを否定的な意味を込めて「中断」と呼ばれることもあります。

しかし、精神分析的心理療法の目的や目標は人生が豊かになること、という大雑把で抽象的なもので、それには到達点がありません。突き進めれば突き進めるだけ行っていくことができます。人生の発展というのは終わりのない作業であるとも言えます

そうした意味では精神分析的心理療法で終期まで行き、終了をしたとしても、人生の発展ということからするとまだまだ終わりではありませんので、「中断」となります。

そうしてみると、単に終わり方の違いにすぎないわけですから、終了や中断という区別はナンセンスになります。

(7)期間

精神分析的心理療法の期間について、よく質問を受けることがありますが、非常にこれは答えにくいのです。人生の豊かさを目指しているわけですから、どこまでいったら満足なのかはやってみなければ分からないのです。短期療法や認知行動療法のようにやることの手順と回数がある程度決まっているようなセラピーであれば明確に言えるのとは対照的です。

それでも目安をいうと、短くて1年ほど、平均的に2〜3年ぐらいはかけることが多いと思われます。

人の長年積み重なってきた人生のあり方を変革していくわけですから、年単位は必要になるでしょう

3.精神分析の技法やトピック、論文について

精神分析の技法やトピック、論文については以下にまとめています。

(1)精神分析の技法

(2)精神分析についてのトピック

(3)精神分析についての論文や書籍

以下は精神分析についての論文や書籍のまとめや解説、要約です。多数あるので、以下のページの一覧からご覧ください。

4.精神分析的心理療法を受けたい人へ

相談する女性精神分析や精神分析的心理療法の構造、基本概念、プロセスについて解説してきました。主にクライエントの方が精神分析や精神分析的心理療法を受けるうえで、もしくは受けるかどうかを見極めるための材料として活用できるように書いたつもりです。しかし、精神分析や精神分析的心理療法は体験し、感じることに最大の意義があります。一見は百聞にしかず、です

精神分析や精神分析的心理療法を通して、自身のことを知っていき、根本から変革し、より豊かな人生にしていくことは易々とできることではありませんし、それなりの負担と根気は必要でしょう。それでも、取り組むことができるとこれまでの人生の繰り返し(わかっちゃいるけどやめられない)が変わる可能性があります

そんな精神分析や精神分析心理療法に取り組むきっかけになれば幸いです。そして、当オフィスでも精神分析的心理療法を実施していますので、受けてみたいという方がいれば、お申し込みください。