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メンタライゼーション

崔(2016)は、メンタライゼーションを「自己・他者の行為を、心理状態(欲求・感情・信念)に基づいた意味のあるものとして理解すること」と定義しています。自分と相手の心理状態を考慮しながら、行動を理解する力とも言えます。

例えば、子どもに注意をした後、子どもが故意に鉛筆を折ったとします。その様子を見て、子どもの怒りを感じ取り、「自分の思いや事情を理解してもらえず、怒っているみたい」と理解して伝えたところ、子どもは自分の気持ちを話し始めました。これは子どもの気持ちにメンタライズした一例です。

常にメンタライゼーション能力を発揮できる人などいないでしょうが、特に不適切な養育を受けて育った方や境界パーソナリティ障害の方は、この能力が十分に形成されておらず、対人関係で困難が生じることがあると言われています。例えば、いつも挨拶する人が返事をしてくれなかった時に「疲れているのかな?」などと考え難く、不安や混乱、パニックが襲ってくるのです。「自分は嫌われているんだ」などと思いこんでしまうこともあります。

育つ過程で、他者の心理状態を推測すると、憎しみや悪意を向けられていると思わざるを得ず、恐ろしさから、他者の心理状態に目を向けないようにしてきた、などの背景があると考えられています。

近年では様々な心理療法の中でメンタライゼーションの視点が取り入れられており、クライエントさんの感じたことを大事にしつつ、他の捉え方を一緒に探すなどしながら、クライエントさんがご自身の体験をいろいろな視点で捉えられるようになっていくことをサポートしています。勿論、セラピストがクライエントさんの心理状態に適切にメンタライズできないこともあり、私達も日々意識していかなければならない要素となっています。

<引用文献>

崔烔仁(著)「メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服 <心を見わたす心>と<自他境界の感覚>をはぐくむアプローチ」 星和書店 2016.

<参考文献>

上地雄一郎(著)「メンタライジング・アプローチ入門 愛着理論を生かす心理療法」 北大路書房 2015.

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