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認知行動療法が向かない人もいる!具体的なタイプやその他の対処法

本記事では、認知行動療法が向かない人のタイプやその場合の対処法について紹介します。

そもそも認知行動療法とは、自身に起きた出来事の捉え方を見直して感情や行動を変えていくものです。多くの方に効果的な方法と言われている反面、人によっては向かないケースもあります。向かないからと言って諦める必要はありません。別の治療方法でケアすることも可能です。認知行動療法のメリットやデメリットを含めてさまざまな対処法について見ていきましょう。

1.認知行動療法が向いている人

認知行動療法では自分と向き合い、認知や行動を見直さなければなりません。そのため「現状を打破したい」、「今後の生活を変化させたい」と自身の変化やケアに意欲がある方に向いている方法です。

また好奇心がある方、チャレンジ精神旺盛な方、メモをとることが好きな方などにも向いているでしょう。

2.認知行動療法が向かない人

では、認知行動療法に向かない人にはどのような特徴があるのでしょうか?

(1)症状が強い人

症状が強く出ている場合には認知行動療法は向きません。認知行動療法でかえって心が不安定になることもあります。症状が強い場合には、まず原因を取り除くことを優先しましょう。そのあとに段階的に認知行動療法を用いてアプローチしていくと良いでしょう。

(2)治療に前向きではない人

治療に対して前向きではない人も認知行動療法には向いていません。

本人が「良くなりたい」という気持ちがないと思ったような効果が得られないためです。また、議論が目的になったり認知行動療法に対してあげ足をとったりする場合も、上手くいかない可能性があります。

(3)今は辛い経験に向き合えない人

認知行動療法に対して、どんなに前向きに取り組もうとしている人でも、過去の辛い経験に向き合うほどの心の力がまだ備わっていない方には不向きです。過去のもっとも辛い経験だけを避けて認知行動療法を行うことはできません。

(4)環境整備ができていない人

本人に治療が必要で本人が治療に前向きであっても、今もなお周囲から被害を受けている場合、認知行動療法よりも環境整備を優先すべきです。まずは本人の安全確保や相手に対する法的措置を行い、本人の周りの環境を整えましょう。

(5)一緒に取り組む意欲が必要

難しい専門用語ですが、「協同的経験主義」というものがあります。簡単にいうと、認知行動療法では治療者とクライエントは一緒に協同して認知行動療法を行っていくものですよ、ということです。

よくあるのが、治療者が全てをしてくれる、と期待するクライエントです。このような姿勢だと認知行動療法で効果を期待することはできなくなります。これは認知行動療法に限らず、心理療法一般に言えることではあります。

また、認知行動療法では、課題や宿題を持ち帰り、自宅や職場、学校でそれをこなさねばならないことが多いです。問題や症状はカウンセリング室の中で起こっているのではなく、日常生活の中で起こっています。なので、日常生活の中で認知行動療法に取り組んでいかねばならないのです。そのための宿題や課題となります。

そうした宿題や課題をすることが負担だったり、嫌だったりするのであれば、認知行動療法の適用は難しいでしょう。

(6)考え方を変えるだけでは問題は解決しない

認知行動療法の一般的な理解で、考え方を変えると問題が解決する(症状がなくなる)というものがありますが、これは誤解です。人間は複雑ですし、様々な要因が絡んでいるので、思考を変えるだけで物事が全て解決することはありません。

認知行動療法では思考や考え方を変える、認知を変えるのではなく、その他の視点や捉え方を増やしていくという観点が必要になります。認知のレパートリーを豊富にしていくことが大切なのです。多角的な視点を持ち、広い視野を獲得できることが問題解決や症状の除去には必要なのです

(7)苦痛なことにも向かい合う姿勢が必要

また、どういった認知行動療法の技法を使うにしろ、これまで避けてきた苦痛な体験や感情に向かい合っていくということが必要になってきます

特に認知行動療法の中のエクスポージャーや曝露反応妨害法では、不安や不快感を直視し、そこから逃げずに感じ続け、徐々に慣れていくことを行います。不潔恐怖の人が不潔と思うものを慣れるまで触り続けることや、電車恐怖の人が慣れるまで電車に乗り続けるなどです。

こうしたことは極めて苦痛を伴うものですが、それでも治るためには必要なことです。そうしたことに取り組むだけの動機と覚悟は必要でしょう。逃げている限り、一生逃げ続けねばならなくなります。

(8)認知行動療法の禁忌

認知行動療法は効果は高い方法なのですが、万能ということではありません。例えば、精神症状があまりにも強すぎる場合には、薬物療法が優先されるので、認知行動療法はしない方が良いこともあります。

また、ハラスメントや犯罪被害、DVなど現在進行形で法的な問題が生じている場合には認知行動療法を実施するよりも前に、生命の安全を優先し、加害者と物理的な距離を取ったり、避難したりすることを優先します。

そして、不登校やひきこもりなどによって、当人が来談されず、家族だけが来談されることもあります。こうした場合には、本人に認知行動療法を実施することはできませんので、家族に対するアプローチをしなければなりません。

さらに、これまでの研究データの積み重ねから、摂食障害などには家族療法などが、トラウマやPTSDなどにはEMDRなどが効果が高いことも分かっています。こうした時、認知行動療法よりも効果が期待される技法がある場合には、別の技法を選択することもあります。

3.認知行動療法が向かない人へのその他対処法

認知行動療法が向かないからといってそれ以外の対処法がないわけではありません。最後に、認知行動療法以外の方法について見ていきましょう。

(1)薬物療法を受ける

一般的な方法は薬物療法です。抗うつ薬や抗不安薬を服用することで、気持ちの落ち込みや不安、イライラを軽減できます。また、ストレスなどで眠れない方には、睡眠導入剤が処方されるでしょう。

(2)休養をとる

休養をとることも大切です。ストレスとなっている事象から離れて心身を癒すことを優先すると、自然と気持ちが落ち着くことも。仕事で強いストレスを感じている場合には、休職したり勤務形態を見直したりすると良いでしょう。

これだけでや考え方もマイルドになり、症状が落ち着くこともあります。

(3)認知行動療法に近い別のカウンセリングや心理療法を試す

認知行動療法とは違いますが、それに近いカウンセリングや心理療法もあります。例えば、マインドフルネスやソーシャルスキルトレーニング(SST)などです。

マインドフルネスとは「今」に目を向けること。人の心が不安定になるのは、過去や未来をイメージしてしまうためです。過去の経験を通じて未来を予測し、まだ起きていない未来を不安視してネガティブ思想を増幅させます。「今」に集中していればネガティブ思想を大きくする可能性が減らせるというわけです。

次にソーシャルスキルトレーニングとは、対人行動や社会的スキルを身に付けることで対人関係への問題を解決する治療法のこと。認知行動療法と近いもので、「認知」と「行動」のうち「行動」に重きを置いた方法と言えるでしょう。

(4)認知行動療法とは全く別のカウンセリングや心理療法を試す

その他に精神分析的心理療法や来談者中心療法、リラクゼーション法、ブリーフセラピー、家族療法、トラウマケアなど認知行動療法とは全く異なった理論と実践を行っているカウンセリング・心理療法があります

認知行動療法が合わなかったり、効果が無かったりした場合には、こうした別の方法を試してみても良いでしょう。

4.認知行動療法についてのトピック

5.まとめ:自身に合った方法でケアしていこう

心のケア方法として認知行動療法が広く知られていますが、なかには向かない人もいます。認知行動療法だけでなく、他の方法やカウンセリングでアプローチしていくと安心です。

当オフィスには、さまざまな心の病のケアができる経験豊富な臨床心理士・公認心理師が在籍しております。お一人おひとりに合った方法を提案してまいりますので、お気軽にご相談ください。