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認知行動療法が向かない人もいる!具体的なタイプやその他の対処法

本記事では、認知行動療法が向かない人のタイプやその場合の対処法について紹介します。

そもそも認知行動療法とは、自身に起きた出来事の捉え方を見直して感情や行動を変えていくものです。多くの方に効果的な方法と言われている反面、人によっては向かないケースもあります。向かないからと言って諦める必要はありません。別の治療方法でケアすることも可能です。認知行動療法のメリットやデメリットを含めてさまざまな対処法について見ていきましょう。

1.そもそも認知行動療法とは?

まずは、認知行動療法がどういうものかを見ていきましょう。

(1)認知行動療法とは?

認知行動療法とは、物事の捉え方(認知)と行動面に働きかけて自身にかかるストレスとうまく付き合えるようにする心理療法です。英語では「Cognitive Behavioral Therapy」と呼ばれているため、頭文字をとって「CBT」と言われることもあります。

例えば、なにかミスをした際に「自分はもうダメだ…」とネガティブになってしまうと、さらに落ち込むものです。しかし「次に活かせる」とポジティブに捉えれば、ネガティブな感情に支配されずストレス軽減につながります。

目の前の出来事に集中することは良いことですが、集中することでストレスや強い落ち込みを抱えてしまっては行動できなくなってしまいます。そこで認知行動療法では、広い視野を持てるように治療していきます。

認知行動療法の詳細は以下をご覧ください。

(2)認知行動療法を用いる疾患

では、どういった疾患に対して認知行動療法を用いるのでしょうか?

  • うつ病
  • 社交不安障害
  • パニック障害
  • 不安障害
  • 摂食障害
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)
  • 強迫症障害
  • ADHDなどの発達障害 など。

一般的には、臨床心理士などのカウンセラーによる1回50分以上の面談によって行われます。症状の重たさや状態によって変わってきますが、3ヶ月ほどかけて16~20回程度実施することで効果が徐々に見られてきます。認知行動療法は、さまざまな心の病気に対応できるカウンセリングとして多くの方に利用されています。

(3)自分で実践できる?

先ほど紹介したように、認知行動療法を受けられる場所は、一般的には臨床心理士などのカウンセラー資格を持った専門家がいる場所ですが、自身で認知行動療法は行えないのでしょうか?実はセルフで行うやり方があります。

それはコラム法といって思考を記録する方法です。ストレスがかかったときに、そのとき生じたネガティブな感情や感情の強さをワークシートに書いていきます。客観的に感情を把握することで、発生したネガティブな感情が自身の決めつけで生じていないかチェックできるというものです。

比較的簡単にできるため、興味のある方は試してみると良いでしょう。

2.認知行動療法におけるメリット・デメリット

次に、認知行動療法のメリットやデメリットについて紹介します。

(1)認知行動療法のメリット

まずは認知行動療法のメリットです。

  • 副作用が起きにくい
  • 実践しやすく実生活につながりやすい
  • 薬物療法と同じくらいの効果が期待できる
  • 再発予防効果が高い

薬物を用いる治療ではないため、副作用が起きにくいという点が大きなメリットです。また生活に取り入れやすく、家庭から始めてみるなど自身の変えやすいところから少しずつ実践できます。

治療を担当する臨床心理士にもよりますが、基本的には治療方法が明確のため治療しやすいです。そして、薬物療法と比べても同じくらいの治療効果があると言われています。

認知行動療法によって認知と行動のコントロールができるようになると、さまざまなシーンで応用でき、効果の持続時間が継続して再発予防効果が高い点も特徴です。

(2)認知行動療法のデメリット

認知行動療法のデメリットについて見ていきましょう。

  • 状態によっては利用できない
  • 時間がかかる
  • 費用がかかる

認知行動療法では、心に潜んでいる不安や恐怖と向き合う必要があります。そのため本人の心の状態が悪いと疲れやすくなったり、より精神的に不安定になったりすることもあります。

また、効果が出るのに時間がかかるというデメリットもあります。薬物療法の場合、服用を始めると効果が出てくる可能性が高いですが、認知行動療法はコツコツ治療していくことで変化があらわれてくるものです。

前述しましたが、認知行動療法は基本的には臨床心理士が行うもの。場合によっては保険適用されることもありますが、一般的には自費診療となり費用がかかるでしょう。

3.認知行動療法が向いている人

認知行動療法では自分と向き合い、認知や行動を見直さなければなりません。そのため「現状を打破したい」、「今後の生活を変化させたい」と自身の変化やケアに意欲がある方に向いている方法です。

また好奇心がある方、チャレンジ精神旺盛な方、メモをとることが好きな方などにも向いているでしょう。

4.認知行動療法が向かない人

では、認知行動療法に向かない人にはどのような特徴があるのでしょうか?

(1)症状が強い人

症状が強く出ている場合には認知行動療法は向きません。認知行動療法でかえって心が不安定になることもあります。症状が強い場合には、まず原因を取り除くことを優先しましょう。そのあとに段階的に認知行動療法を用いてアプローチしていくと良いでしょう。

(2)治療に前向きではない人

治療に対して前向きではない人も認知行動療法には向いていません。

本人が「良くなりたい」という気持ちがないと思ったような効果が得られないためです。また、議論が目的になったり認知行動療法に対してあげ足をとったりする場合も、上手くいかない可能性があります。

(3)今は辛い経験に向き合えない人

認知行動療法に対して、どんなに前向きに取り組もうとしている人でも、過去の辛い経験に向き合うほどの心の力がまだ備わっていない方には不向きです。過去のもっとも辛い経験だけを避けて認知行動療法を行うことはできません。

(4)環境整備ができていない人

本人に治療が必要で本人が治療に前向きであっても、今もなお周囲から被害を受けている場合、認知行動療法よりも環境整備を優先すべきです。まずは本人の安全確保や相手に対する法的措置を行い、本人の周りの環境を整えましょう。

5.認知行動療法が向かない人へのその他対処法

認知行動療法が向かないからといってそれ以外の対処法がないわけではありません。最後に、認知行動療法以外の方法について見ていきましょう。

(1)薬物療法を受ける

一般的な方法は薬物療法です。抗うつ薬や抗不安薬を服用することで、気持ちの落ち込みや不安、イライラを軽減できます。また、ストレスなどで眠れない方には、睡眠導入剤が処方されるでしょう。

(2)休養をとる

休養をとることも大切です。ストレスとなっている事象から離れて心身を癒すことを優先すると、自然と気持ちが落ち着くことも。仕事で強いストレスを感じている場合には、休職したり勤務形態を見直したりすると良いでしょう。

(3)認知行動療法に近い別のカウンセリングや心理療法を試す

認知行動療法とは違いますが、それに近いカウンセリングや心理療法もあります。例えば、マインドフルネスやソーシャルスキルトレーニング(SST)などです。

マインドフルネスとは「今」に目を向けること。人の心が不安定になるのは、過去や未来をイメージしてしまうためです。過去の経験を通じて未来を予測し、まだ起きていない未来を不安視してネガティブ思想を増幅させます。「今」に集中していればネガティブ思想を大きくする可能性が減らせるというわけです。

次にソーシャルスキルトレーニングとは、対人行動や社会的スキルを身に付けることで対人関係への問題を解決する治療法のこと。認知行動療法と近いもので、「認知」と「行動」のうち「行動」に重きを置いた方法と言えるでしょう。

(4)認知行動療法とは全く別のカウンセリングや心理療法を試す

その他に精神分析的心理療法や来談者中心療法、リラクゼーション法、ブリーフセラピー、家族療法、トラウマケアなど認知行動療法とは全く異なった理論と実践を行っているカウンセリング・心理療法があります

認知行動療法が合わなかったり、効果が無かったりした場合には、こうした別の方法を試してみても良いでしょう。

6.まとめ:自身に合った方法でケアしていこう

心のケア方法として認知行動療法が広く知られていますが、なかには向かない人もいます。認知行動療法だけでなく、他の方法やカウンセリングでアプローチしていくと安心です。

当オフィスには、さまざまな心の病のケアができる経験豊富な臨床心理士・公認心理師が在籍しております。お一人おひとりに合った方法を提案してまいりますので、お気軽にご相談ください。


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