心理オフィスK

-横浜の臨床心理士によるカウンセリング-

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虐待のカウンセリング

目次

  1. 小学校での児童虐待
  2. 精神科での虐待
  3. 診断名
  4. 虐待のアセスメント
  5. セラピー関係に持ち込まれるもの
  6. 反復という希望

1 小学校での児童虐待

 私は小学校のスクールカウンセラーをしていますが、そこではたまにそうした事例が上がってくることがあります。そうした時にはほとんどの場合が関係機関との連携と調整に奔走しており、カウンセリングやセラピーを行うことはありません。聞き取り面接をするぐらいでしょうか。まずは安全と安心の確保が最優先事項なので、落ち着いてのカウンセリングは必要ないからです。

2 精神科での虐待

 小学校スクールカウンセラー以外では主に開業の場と精神科で成人のクライエントさんにお会いすることがほとんどです。そのため、虐待関連で緊急的に動かねばならないことはほとんどありませんし、もし仮にそうした場合があったとしても、医師やワーカーが動きます。

3 診断名

 多いのが、過去に虐待に受け、成人した後に様々な精神症状や社会適応の困難さを呈してしまってクライエントです。そうしたクライエントは気分障害や統合失調症、発達障害、不安障害、パーソナリティ障害など多岐にわたる診断名がつけられています。さらには、時々で診断名がコロコロと変わってしまうことも多々あります。

 概してそうした場合には薬物の効き目もそれほどよくないようで、我々のような心理療法家のところを紹介されます。

4 虐待のアセスメント

 我々は心理療法を行うことが主な営みですが、アセスメントも重要です。精神科的症状はそれはそれとして、どのようにして生起してるのかを推測します。気分障害のように思われていた無気力や意欲低下が実は虐待を受けていた際の過酷な無力感の名残であるかもしれません。統合失調症のような迫害的妄想や幻聴が虐待時の迫り来る恐怖を別の形であらわしているのかもしれません。パーソナリティ障害の不安定な人間関係や気分は、虐待者との不安定で変動する関係性をあらわしていることもあるかもしれません。もちろんこんな簡単で形式的な理解でおさまるものではありませんが。

 これらの理解したことをスタッフや時にはクライエントさんに伝えることが非常に治療的になります。

 その上で、カウンセリングやセラピーをするのであれば、目標や方法を提起し、クライエントさんの同意のもとで心理療法を提供します。

5 セラピー関係に持ち込まれるもの

 多くの場合、心理療法家とクライエントの関係性は良好にはなりません。良好に見せかけて裏では疑心暗鬼や見下しがあったりもします。過酷な環境が安心できる関係を享受できなくさせてしまっているのでしょう。

 「虐待的人間関係」「外傷性転移」と専門的には言ったりもしますが、平たく言うと、過去の虐待者と同じような関係性をカウンセリング関係やセラピー関係に持ち込んでくることです。虐待関係を再現してしますのです。

 これは非常に苦しい、そして哀しいことです。なぜなら、良い関係を持とうとすればするほど悪い関係になってしまうからです。そこに根源的な苦しみがあるのでしょう。

 さらにはそうした関係性がカウンセリングに持ち込まれることにより、心理療法家もそれなりに動かされます。クライエントの無力感を我がことのように感じることもあります。虐待者がクライエントにしたように、心理療法家もクライエントに不利益なことをついぞしそうになります。クライエント以上に動揺することもあります。我々、心理療法家はトレーニングを受けているので、衝動的に行動はしませんし、あからさまに表情には出しませんし、涼しい顔をしていることが多いですが、心の中で動揺していることもあったりします。じつのところ。

6 反復という希望

 しかし、なぜ、このような関係を繰り返し、再現しようとするのでしょうか。確定したことではありませんが、繰り返すことで、傷付きを癒し、関係をやり直そうのする希望の表れと理解できる部分もあります。もし仮にそうであれば、悪い関係になるから駄目なのではなく、悪い関係を敢えて引き受け、耐え抜き、生き延びることが必要なのでしょう。それが死んだ心を蘇生させることになるのかもしれません。

 カウンセリングやセラピーの方法や目標にもよりますが、そうした持ち込まれた虐待関係を取り上げ、それに気付き、修復していくことが、どこかで必要となってきます。もしかしたら、それは数年ぐらいかかるような長いプロセスになるかもしれません。影響を受けやすい幼少期であれば尚更です。


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