Skip to content Skip to sidebar Skip to footer

神奈川県横浜市港北区大豆戸町311-1
アークメゾン菊名201号

心理オフィスKロゴ

パニック障害のカウンセリングと治療

パニックは突然に

パニック障害とは、主にパニック発作が起きる、予期不安が続く、広場恐怖を感じるといった主要症状を呈する病気です。生涯にわたる罹患率がおよそ2~3%であり、決して稀有な疾患ではありません。

本疾患では多種多様な身体症状を発作的に繰り返すために、当の本人は内科のみならず他の診療科を受診するケースが多いですが、常に適切な診断がなされるとは限らずにその結果として適切な治療の介入が遅れてしまうこともしばしば存在します。

今回は「パニック障害とは」を中心に説明していきます。

1.パニック障害とは

泣いている赤ん坊パニック障害とは、急に強い不安や恐怖心が発生し、呼吸困難、胸の痛み、めまいなどの身体的症状を伴う病気です。原因は不明ですが、遺伝的素因やストレスなどが関係していると考えられています。治療法としては認知行動療法や薬物療法があり、治療効果が期待できます。早期の治療が重要です。

パニック障害は決して珍しい疾患ではなく、一生の間にパニック障害を罹患する人は100人中に2~3人と報告されています。また、その再発率は50%以上と高く、一般的には男性よりも女性に発症しやすいと言われています。

パニック障害では、突然に誘因やきっかけもなく、動悸やめまい症状を自覚して、発汗や窒息感、あるいは吐き気や手足の震えといった症状発作を伴うがゆえに生活や仕事に明らかな支障をきたします。

パニック障害の発症するメカニズムや主要な原因はいまだ完全に明らかになっていませんが、これまでの精神疾患の併存やストレスが強くかかる人生上の出来事によって影響を受けやすいとされています。

そのほかにも、パニック発作の引き金になる代表例として、過労、睡眠不足、ストレス、風邪などが挙げられ、家族や親族の中にパニック障害の人がいるとパニック障害の発症リスクが高まることが知られています。つまり、遺伝的な要因も関係しているということです。

ちなみにパニック障害の上位カテゴリーである不安障害については以下のページをご覧ください。

2.パニック障害の特徴と症状

パニック障害においては、三大症状として「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」が代表として挙げられ、それらに引き続いてうつ傾向になる症状が特徴的と言われています。

(1)パニック発作

パニック発作は、何の前触れもなく突然に訪れる恐怖心や強い不安感によって、激しい動悸やめまい、あるいは呼吸困難感などの症状が現れます。パニック発作による症状では、「自分がまるで今すぐにでも死ぬのではないか」と思うほど極端に恐怖感を伴い、患者さんが救急車を呼んだり病院に駆け込むことも決して少なくありません。

これらの症状は比較的すぐに消失して、精密な検査を行っても特段の異常は認められません。

(2)予期不安

パニック発作を複数回以上にわたり繰り返すことで、また急激に発作が起きるのではないかと懸念することを「予期不安」と呼んでいます。

パニック発作そのものは時間経過と共に症状が治まっていく傾向にありますが、一度軽快した後でもしばらく時間をあけるとまた発作を繰り返す人がいます。そうすると、パニック発作を仮に起こしていないときであっても、また今後同様の発作が認められるのではないかと先駆けて心配症になったり強い不安感が襲ってくるようになるのです。

(3)広場恐怖

また、今後いつ発症するか断定できないパニック発作に予防的に備えすぎるあまりに、周囲に助けを求められずヘルプを得られない状況や環境などを出来るだけ回避しようとする心理的状態を「広場恐怖」と名付けられています。

誰でもパニック発作を生じてしまうと、自分一人の力ではその場ですぐに解決できずに症状が改善せずにどうしようもなくなってしまい、一刻も早く他者の救助を得たいと自覚するようになるために広場恐怖を感じるのです。

(4)うつ症状

また、こうした三大症状があるおかげで数々の行動制限を強いられることによって、職場での会議や出張業務、あるいは日常生活での買い物などのエピソードを避けるようになってくると、自然と豊かな日常生活を送ることが難しくなってきます。

そうした結果として、生活の質(QOL)が著しく損なわれることに繋がって、うつ症状が認められることがあります。

(5)その他の特徴

パニック発作が起こると、何か身体の病気ではないかと考え、内科、神経科、脳外科などを受診することが多いのですが、いずれの科でも異常は無い、と診断されてしまいます。そのため、いくつかの科を渡り歩き、最終的に精神科や心療内科にたどり着き、そこでパニック障害であると言われることが多いようです。

また、パニック障害が長引くと、うつ病を合併する場合があります。そうした時には治療に難渋することがあるため、早期的に専門医療機関を受診して適切に診断されて治療に向かうことが重要となります。

(6)パニック障害のメカニズム

パニック障害はストレスや遺伝的負因が影響します。そして、パニック発作、予期不安、広場恐怖の悪循環により、悪化してしまいます。そうしたことを下に図式化しました。
パニック障害のメカニズム

3.パニック障害の診断

医者と相談まずパニック発作の診断は以下の13症状のうち、4つ以上の症状があらわれるとパニック発作と診断されます。

  • 動悸や心拍数の増加
  • 発汗
  • 体の震え
  • 息切れや息苦しさ
  • 息が詰まるような感覚(窒息感)
  • 胸痛や胸の不快感
  • 吐き気
  • めまいや気が遠くなる感覚
  • 寒気やほてり
  • しびれやうずきなどの知覚異常
  • 非現実感
  • コントロールを失う恐怖
  • 死ぬことへの恐怖

そして、パニック障害の診断は以下の3つに当てはまると診断されます。

  • パニック発作が繰り返し起こる
  • さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(パニック発作が起こるのではないかという予期不安等)
  • パニック発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(パニック発作が起こりそうなところを回避する等)

こうしたことが他の病気で起こっているのではなく、さらに日常生活に支障がでていることも診断の条件となります。

4.パニック障害になった時の対処法と治療法

慰めるこれまで申し上げてきたように、パニック障害では基本的にパニック発作を何度も繰り返す経過をたどります。はじめの頃は発作に対して過大な心配をしてくれていた家族及び友人や職場の同僚たちも、医療機関で調べた結果で体のどこにも異常がないと判明すればだんだん理解されなくなってきます。

自身は本当のところ、とても発作が痛くて苦しくて不安に苛まれているのに、誰からも理解されず協力してもらえないことは大変つらいことですので、実際にパニック障害に陥った時の対処法を知っておく必要があります。

パニック障害の根本的な治療は、薬物療法と認知行動療法のふたつが中心となります。

(1)パニック障害の薬物療法

パニック障害は薬物療法が効果を発揮しやすい障害であり、薬に絶対に頼ることなく気合だけで治すという精神論を並べるのは得策ではありません。薬物による治療の主目的としては、パニック発作をなるべく起こさないことを第一目標としており、並行して予期不安や広場恐怖といった症状も極力緩和して軽減させることを掲げています。

薬物療法においては、主に選択的セロトニン再取込み阻害薬(以下、SSRI)が用いられ、本剤は抗うつ薬の一種に該当します。また、抗不安作用を有する安定剤も比較的副作用が少なくしばしば使用されます。

SSRIも通常では副作用が少ないとされ、薬物依存性が生じにくい反面、突然内服を中止すると断薬症状としてパニック発作と類似した症状が出現してしまうことがあるので要注意です。

また安定剤は、服用するとすぐに効果が表れやすく速効性が期待できる一方で、長期間に渡って使い続けていると依存性が生じなかなか服用習慣から抜け出せなくなることも考えられています。

いずれにしても、これらの薬物効果は人によって個人差があり個々のケースによってその作用結果も異なるため、逐一効果を確認しながらその都度、薬の内服量を増減したり変更したりして適宜調整していく必要があります。

自分にとって正しく薬剤の効果を確認するためには、かかりつけの専門医が指示したとおりの用法と用量を遵守して服用するように心がけてください。万が一にも薬を服用することや治療内容に少しでも不安や疑問を感じる場合には、遠慮せずに医師に相談するようにしましょう。

(2)パニック障害の認知行動療法

次に、パニック発作の治療として有用とされている認知行動療法について解説します。

パニック障害では、薬物治療のみに依存せずに精神療法の一つである認知行動療法との併用を検討することが重要です。特に、この認知行動療法という治療手段は、薬物による治療と同程度にパニック障害の発作予防や症状改善において効果的なエビデンスがあることが知られてきました。

具体的には、認知行動療法ではまずは発作を恐れて広場恐怖を生じる状態から脱却するために、これまで回避していた環境下に自分の身を置くことから始めます。これを曝露療法(エクスポージャー法)といいます。

そして薬の効果が表れ始めて発作回数がほぼ起きなくなってきたフェーズで、苦手意識と感じていた外出などの刺激に少しずつ挑戦することも治療の一環として捉えられ、さらに発作を起こすことなく行動できる範囲や距離を少しずつ広げていくように手向けます。

その中で必要に応じて、リラクゼーション法や認知再構成法なども使用していきます。

5.よくある相談の例

40歳代の女性Aさん

小学校・中学校・高校・短大と問題なく過ごしていた。短大を卒業後は企業に勤め、バリバリと仕事をしていた。プライベートもそれなりに充実していたが、業務が多くなり、疲労がたまり、睡眠時間も削られる日が続くこともあった。そうした時、通勤のため電車に乗っていた時に、急に心臓の動悸が止まらなくなり、途中下車をして、ベンチで休んだ。その時にはすぐに動悸もおさまった。

そのこともあり、内科を受診したが、異常は無いと言われた。しかし、その後も、時折、動悸がし、それが徐々に強くなっているような感じもしてきた。そして、そのまま死んでしまうのではないかという恐怖にかられるようになった。いくつかの医療機関を転々としたが、その中で精神的な問題ではないかと言われたため、Aさんはカウンセリングを調べ、カウンセリングオフィスに申し込みをした。

カウンセリングでは診断はつけられないもののパニック障害の可能性があることを示唆された。そして、呼吸法などのリラクゼーションを学ぶと同時に、パニック障害・パニック発作のメカニズムについてカウンセラーと理解を深めていった。また段階的に不安場面へのエクスポージャー(曝露)を練習し、次第にパニック発作を克服していった。

6.パニック障害について相談するには

家族のカウンセリングこうした薬物療法と認知行動療法を治療手段の両輪として、継続的にかつ慎重に治療を行うことが肝要と言えます。言うまでもなく、パニック障害の治療は一朝一夕ですぐに解決できるものではありません。最終的な目標は、薬物に頼らなくても発作症状が再燃せずに滞りなく平穏な日常生活を送れるようになることです。

ですから、決して無理をせずに自分のペースで取り組むことが必要不可欠ですので、医師や臨床心理士、公認心理師等ともよく相談しながら一歩一歩着実に前進していけると良いでしょう。

当オフィスでもパニック障害の相談、カウンセリング、認知行動療法をおこなっております。希望の方は以下の申し込みフォームからお問い合せしてください。