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DV被害者への法的支援と経済的支援

ドメスティックバイオレンスの支援にはさまざまな種類や方策があります。ここではその中でも相談窓口、法的支援、経済的支援について書きました。DV被害にあわれた方は、まずはこうした支援を受けられると良いでしょう。

1.DVに関する相談支援

ベランダでうなだれる女性

配偶者暴力相談支援センターはDV防止法の第2章(3~5条)に規定があり、都道府県や市区町村に設置されています。そして、目的はもちろんDVの防止やDV被害者の支援です。業務としては、緊急時の安全の確保、カウンセリング、相談、情報提供、機関の紹介、自立支援、などがあり、主に婦人相談員が勤めています

配偶者暴力相談支援センターは2021年10月1日の時点で、全国に301ヵ所あるようです。

以下はセンターの一覧が掲載されている外部ページです。

配偶者暴力相談支援センターに一覧

ちなみに神奈川県下には5ヵ所設置されています。詳細は以下の外部ページをご参照ください。

2.DVに関する法的支援

嘆く女性

DV防止法やその他の法律などで規定されているDV被害者の支援に使える法制度について以下に概説します。DV被害者を実際的に加害者から守るための制度です。DVから逃げることはとても困難なことに思われるかもしれませんが、どのような制度があるかと知っておくと、いざという時にすぐに動くことができます。これらの制度に関することも、先ほどの配偶者暴力相談支援センターで情報を受け取ることができます。

(1)保護命令制度

a.接近禁止命令

接近禁止命令とは、DV加害者がDV被害者の周りを付きまとったり、自宅や勤務先に近づくことを禁止することができます。これは裁判所に申し立てることにより、6ヶ月間有効となります。6ヶ月を経てもまだ危険がある場合には再度申し立てを行い、延長することができます。

b.退去命令

退去命令とは、DV被害者が住んでいる住居からDV加害者が出ていくように命令するものです。また同時にその住居周辺を徘徊することも禁止します。これも接近禁止命令と同様に裁判所に申し立てることで2ヶ月間有効で、延長も可能です。

c.電話等を禁止する命令

2007年の法改正から導入された制度で、電話や電子メールなどをDV加害者がDV被害者にすることを禁止します。電話などの通信以外にも、名誉を傷つけたり、羞恥心を害したり、迷惑行動をしたりすることなどを禁止します。その他に、DV被害者の子どもや親族、親戚への接近禁止命令もあります。

d.保護命令制度の手続き

保護命令を申し立てることができるのはDV被害者で、居住する管轄の地方裁判所に申し立てます。申し立て費用は1000円と切手代です。申し立てがあると、DV被害者とDV加害者の話を裁判所が聞き、申し立てに理由があると認められれば保護命令が発せられます。

申し立てから命令が発せられるまで平均して12~3日程度のようです。DV加害者が保護命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

e.住まいの秘密

DV被害者が避難した先をDV加害者が調べて押し掛けるということがあります。それを防ぐための手立てとして、「捜索願の不受理届」と「住民基本台帳閲覧制限」があります。前者はDV加害者からの捜索願を受け付けないという手続きです。

後者はDV加害者が住民票などを閲覧することを禁止することで、DV被害者の住まいを探すことを避けることができます。この有効期限は1年間です。

f.婦人相談所の一時保護

婦人相談所はもともと売春防止法34条によって規定された施設で、売春のおそれのある女子の指導や保護が目的でした。しかし、最近ではDV被害者の支援も受け入れています。この婦人相談所は各都道府県に1つはあり、そこで一時的に保護してもらうことができます。費用は無料です

g.民間シェルター

シェルターとは、DV被害に遭われた人を保護し、住居や食事などの提供をしてくれるところです。シェルターは自治体ではなく、NPO法人などの民間団体が運営していますが、自治体と提携していたり、連携していたりします。基準や費用、中でのルールは民間なのでそれぞれのシェルターで異なります。

h.子生活支援施設

この施設は児童福祉法を根拠にもつ、児童福祉施設です。ですので、18歳未満(都道府県が認めれば20歳未満)の児童を持つ女性を受け入れています。この施設では、緊急避難が落ち着き、今後の生活を再建し、自立していくことをサポートするという特徴があります

また、自治体にもよりますが、公営住宅に優先的に入れる優先措置があるところもあります。

3.DVと経済的支援

花を持って嘆く女性

DV被害者となる方は多くは仕事をしていなかったり、仕事していても低収入であることが多いです。その場合、DV加害者から逃げても生活費が足りず、非常に苦労することが多いです。そうした時、経済的な支援をいくらか受けれる可能性あります。以下に主だったものをいくつか挙げます。

(1)婚姻費用分担調停

婚姻費用分担調停とは、夫婦が別居となった場合、夫婦は互いに生活費を支払いあう義務があります。特に子どもがいる場合には、なおさら必要となってきます。DVで逃げた場合、話し合って合意して、生活費の支払いをしてもらえることはほとんどありません。

そこで、家庭裁判所に調停を申立てることによって、DV被害者は生活費をDV加害者から獲得することができます。申立て自体は申立書と2000円程度で可能です。

(2)民事法律扶助

離婚訴訟などになり、弁護士費用を支払わねばならないのですが、経済的に苦しく、そうしたことができないことが多いです。この民事法律扶助を受けることによって、弁護士費用の立て替えなどをしてもらうことができます。申し込みは法テラスを通すことになりますが、いくつかの基準や条件はありますので、詳しくは法テラスに問い合せると良いでしょう。

(3)児童扶養手当

離婚や死別、禁固などでひとり親家庭になった場合、この児童扶養手当を受けることができます。また離婚をしていなくても、DVなどで避難し、1年以上経過すると、DV加害者の「子どもの遺棄」として判断され、受給できる場合もあります。

金額は所得によってまちまちですが、例えば子どもが1人の場合、全額支給で月4万円ほどもらえます。所得などの条件によって相当異なりますので、詳しくは自治体の窓口に問い合せると良いでしょう。

(4)貸付金制度

ひとり親家庭に対して無利子、もしくは低利率で様々な費用についての貸付を自治体が行っています。種類は以下の通りです。

  • 修学資金(無利子)
  • 修業資金(無利子)
  • 就職支度資金(無利子)
  • 就学支度資金(無利子)
  • 技能習得資金(保証人がいれば無利子、いなければ年1.5%)
  • 医療介護資金(保証人がいれば無利子、いなければ年1.5%)
  • 住宅資金(保証人がいれば無利子、いなければ年1.5%)
  • 事業開始資金(保証人がいれば無利子、いなければ年1.5%)
  • 事業継続資金(保証人がいれば無利子、いなければ年1.5%)

(5)母子(父子)家庭等自立支援給付金

就職するために有利な、もしくは必要な資格を得るための授業料の2割を給付してもらえます。また、看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士など資格を取得するために養成機関に通う時、高等職業訓練促進費として、生活費として非課税世帯であれば月10万円程度(課税世帯なら7万円程度)を支給してもらうことができます。

(6)生活保護

最後のセーフティネットとして利用可能です。生活保護を受給できる条件や受給内容は年々かわっており、また地域によっても違いがあるため、詳しくは自治体の窓口に相談すると良いでしょう。ちなみに、生活保護の申請は居住地の自治体になりますが、必ずしも住民票に記載されたところに限らず、生活実態があれば申請できます。

一時保護などで元の住所にいないのであれば、その一時保護の管轄する自治体への請求をします。

(7)就労支援

母子家庭等就業・自立支援センター事業というひとり親家庭の親が就職し、自立していくことをサポートする機関があります

  • 就業支援事業
  • 就業支援講習会等事業
  • 就業情報提供事業
  • 在宅就業推進事業
  • 母子(父子)家庭等地域生活支援事業

といった種類があります。横浜市であれば、「ひとり親サポートよこはま」が中区にあります。

またハローワークではひとり親家庭の親の雇用促進のため、ひとり親家庭の親を雇用した場合、その事業者に補助金を支給しています。賃金の一部を助成する特定求職者雇用開発助成金や、試行雇用を行った場合、一人につき月4万円、最大3ヶ月の支給をするトライアル雇用助成金などがあります。これらは求職者に支払われるものではなく、企業が雇用促進をするために企業に支払われるものです。

4.DV被害について相談する

二人の女性

以上が、DV被害者のための相談機関の紹介、法的支援、経済的支援をまとめたものです。多くは市町村などの自治体で行われています。こうした支援を受けることにより生命と生活を安定させることができるでしょう。

そして、こうした支援について案内してもらいたいという方はまずは当オフィスで一度ご相談ください。また、支援は既に受けているが、DV被害による精神的な苦しさを何とかしたいという相談も受け付けています。

相談をご希望の方は下のボタンからお申し込みください。

また、ドメスティックバイオレンスについてのカウンセリングやその進め方などについては以下のページをご覧ください。

5.参考文献


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