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セックスレスからの脱出!臨床心理の視点から見るその心理と改善法

日本では、近年セックスレスが増加していると報告があります。セックスレスに陥ってしまう原因は、身体的な機能の問題や、ストレス、心理的な要因など複雑な背景があります。また、日本では海外に比べて性教育が不十分で若者の性に関する知識が乏しいとされています。

今回は、臨床心理の視点からセックスレスの原因や改善方法についてお話します。

1.セックスレスとは

机で泣いている女性

セックスはカップルや夫婦にとって重要なコミュニケーションの一つです。性的な接触は愛情表現となり、パートナー同士の関係が深まっていきます。

結婚生活やパートナーとの生活において、性交渉の頻度が極端に減少している現象のことをセックスレスと言います。通常は1カ月以上、性交渉がない状態のことを指します。しかし、人によっては性交渉を好む頻度が違うため一概には言えません。

夫婦の片方が望んでいても、他の原因によって性交渉ができなくなってしまうことは多々あります。ですが、性について夫婦やパートナーと話し合うことは多くないかもしれません。「嫌われたくない」「恥ずかしい」とオープンにしにくい自分の性についても、語り合うタイミングを逃してしまうと夫婦のすれ違いの原因になってしまいます。

先程も伝えた通りセックスは、大切な相手とおこなえる唯一のコミュニケーションです。不安や恥ずかしさを乗り越えることでさらに絆が深まります。性について話し合えることを前向きに捉え、よりよい性生活を過ごせるように参考にしてください。

2.セックスレスの原因

顔に手を当てて嘆く男性

(1)男性側の原因

セックスレスにおいて、男女ともに原因の発端があります。

男性において、重要となってくるのが性機能の問題です。たとえば、勃起障害があります。勃起し勃起を維持し続けることが難しくなってしまう障害です。ストレスや体調などが原因の一次的な症状もありますが、血管障害や神経障害など慢性的な問題となってしまい男性として大きな悩みの種となります。

また、他にも性的刺激によってすぐに射精してしまう早漏や、射精に時間がかかってしまったり、射精が全く起こらない遅漏の問題もあります。

または、ホルモンの変化や心理的な要因により性的欲求低下症候群に陥ることもあります。文字通り、性的な興味が極端に減少し、性的な刺激に対して反応することもできなくなります。この状態が長期間続いてしまうと、服薬治療や心理療法によるカウンセリングによって治療を進めていく必要があります。このようにならないためにも、栄養バランスのとれた食生活や睡眠時間を十分に確保すること、適度な運動等が必要になります。

男性が悩む薄毛治療におけるAGA治療薬には、性欲減退、勃起不全などの副作用もあります。副作用が起こりえるのは極めて低い数値ですが確認をしておく必要があります。

さらに、薬物やアルコールの乱用は性機能に悪影響を及ぼします。アルコールを過度に飲酒すると、性的な欲求が低下しやすいことから勃起障害やオルガズム障害などの問題を引き起こす可能性があり、性生活でコミュニケーションの不和を起こしやすくなります。

(2)女性側の原因

女性はホルモンバランスによって気持ちの波が大きく、月経周期によって変動します。生理だけでなく、出産や更年期などでもホルモンバランスが変わるため必然的に性欲の波があります。複数のホルモンが性欲に関係がありますが、代表的なホルモンとしてはエストロゲンが挙げられます。エストロゲンは膣の潤滑作用を促し性的な興奮を向上する役割があります。エストロゲンが低下してしまうと、性欲低下や性的な興奮が減少してしまいます。次に女性にとって重要なホルモンは、プロゲステロンです。プロゲステロンのバランスが崩れてしまうとPMS(月経前症候群)や月経不順が起こりやすく、性欲にも影響を与える結果になってしまいます。

また、性交痛も女性にとってセックスレスの原因となってしまいます。性交痛の症状としては、性行為中や性行為後に痛みを感じたり、膣や陰部の痒みや痛みです。原因としては感染症や子宮の疾患などが考えられます。

身体的な原因だけでなく、心理的原因も考えられます。現代の日本の女性は家事、育児、仕事の多忙な中で暮らしています。必然的に日常的なストレスやプレッシャーが増大されることから性欲低下を引き起こしやすくなっています。時間的に余裕がなく、リラックスできない状態も性欲低下を助長させてしまいます。

(3)双方のコミュニケション

セックスはパートナー・夫婦にとって大切なコミュニケーションの一部ですが、コミュニケーション不和によってもセックスレスになってしまう可能性があります

たとえば、多忙で夫婦間ですれ違いがおきているとコミュニケーション不足になりがちです。そのため、お互いの気持ちを伝える余裕がなくなりコミュニケーションに不和が生じてしまいます。また、自分の感情や意見を伝え合うことが難しい関係では、互いにストレスや不満を抱きやすく関係間に溝が生じてしまいます。

そうすると、セックスにおいても自分の希望を伝え合ったり、要望を伝えることが難しいためにセックスの満足度が低下しセックスレスになってしまいます。お互いにセックスについて話し合える開かれたコミュニケーションが必要ですが付き合いが長くなったり、相手の意見に耳を傾ける気持ちがなくなると、自分の思い込みで相手を決めつけてしまいがちです。相手の好きなこと、嫌いなこと、セックスの頻度など聞くことができるコミュニケーションが重要です。

3.セックスレスによる悪影響

港と恋人

セックスレスは心身に悪影響を及ぼします

たとえば、セックスレスが続くと夫婦関係の親密さに悪影響を及ぼすだけでなくストレスを増強させてしまいます。性への満足度が満たされていないと自己評価が低下し、心の健康にも影響が出てきます。夫婦のどちらかが性行為を求めても、相手から拒絶をされた場合、求められない寂しさだけでなく自己評価の低下につながり傷つきの原因になります。

そのことによって、さらに夫婦の関係が冷え切ってしまい心の距離が広がってしまいます。セックスレスによって日常的にも、夫婦間のコミュニケーションが減少し、解決しなければならない問題についても話し合いができないままになってしまいます。このことから、セックスレスとパートナー・夫婦関係については密接な関わりがあることが分かります。

さらに性行為は、エクササイズとしての効果があり心臓や血管の健康を増進してくれる役割があります。性行為中にはエンドルフィンという物質は心身のリラックス効果を高めてくれると共に、睡眠の質も向上させてくれます。このように性行為は、心身ともに重要な作用がありますがセックスレスになってしまうことで効果を得られず結果的に悪影響を及ぼしてしまいます

4.セックスレスの改善法

抱き合う男女

(1)パートナーとのコミュニケーション

セックスレスの改善方法として、一番大切なことはパートナー・夫婦間のコミュニケーションです。まずは、セックスレスになった原因やそのことについて率直に感じていることをお互いに話し合うことが大切です。そこではお互いの立場や気持ちを尊重する姿勢が重要で、感情をオープンに共有できるとセックスレスを解決する手助けになります。

さらに、オープンに話し合えた場合、お互いの気持ちやニーズに配慮し尊重することが大切です。違う人間同士、互いの違いを受け入れる姿勢を忘れずにいることで関係改善につながっていきます。

日常的には、忙しいなかでも一緒に過ごす時間を優先的につくったり、趣味や好きなことを一緒におこなって楽しい感情を共有することを続けることでセックスレスを改善できます。

また、セックスレスは、新しい性へのアプローチをおこなうことで改善される場合があります。互いの好きなことや、今までにない体験を性行為でおこなえると新しい刺激を得ることができます。そうすると、性行為についても楽しくなり、前向きな捉え方ができるかもしれません

(2)医学的な対応

身体的な問題があると、セックスレスを改善することは難しくなります。そのため、早期に受診し治療をおこなえると良いでしょう。

勃起不全や性的興奮障害、性交痛などは適切に治療法を受けることによって改善することができます。勃起不全の薬物療法として有名なものは、PDE5阻害剤です。性的な刺激があることで勃起しやすくなる作用があります。さらに、男性器に薬剤を直接注射することで勃起を促すことができます。重度の勃起不全に対しては、ペニスインプラントという手術もあります。医師と相談して治療法を決めることが重要ですので、お気軽に受診をしてみてください。

性的興奮障害については、ホルモンバランスが原因となっている場合はホルモン療法が有効です。他にも性的興奮が起こらない原因を解明することで、必要な治療法が見えてくるので医師への相談が必要不可欠です。

性交痛に関しても、性交痛が起こる原因を解明することが重要です。原因が特定できることで、薬物療法や心理療法が有効になります。

(3)カウンセリング

セックスレスを改善したり、セックスの満足感を向上するためには、カウンセリングが非常に有効です。セックスレスが身体的な原因でない場合、パートナー・夫婦間のコミュニケーションに着目しながらカウンセリングをおこなうことでセックスレスを改善することができます。

カウンセリングでは、パートナーや夫婦がオープンに感情を話せることが重要です。セックスレスに対してのお互いの率直な気持ちを吐き出し、セックスレスの問題をどうしていきたいかを話し合います。性について互いの価値観や認識の違い、性への偏見などが原因となっていないかも確認していき、必要な場合には偏った考えを修正していくこともカウンセリングの役割です。

カウンセリングでは、パートナー・夫婦がより健康的に前向きな性の関係を築けるように手助けをおこないます

カウンセラーは、安心して話せるような雰囲気をつくりながらも、個人の気持ちを尊重し問題解決へ向かっていきますので率直な気持ちを話してもらえると、より問題解決がスムーズに進みます。

5.まとめ

性行為はパートナー・夫婦の絆を強くしてくれる愛情交換に必要なコミュニケーションの一つです。セックスレスの原因は複雑ですが、原因に応じて必要な治療法は確立されています。そのため、一人で抱え込まずに身近な人に相談することをお勧めします。性について専門のカウンセラーもいますので、より健康的な性生活をおくってください。

当オフィスでもセックスレスの問題や夫婦の問題、カップルの問題について相談に乗ることが可能です。ご希望の方は以下の申し込みフォームからお問い合わせください。

文献

この記事は以下の文献を参考にして執筆いたしました。