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見捨てられ不安を解消!臨床心理士が明かす安心の秘訣

見捨てられ不安という心の作用があります。この気持ちを抱えていると、急に不安になったり対人関係でトラブルを起こしてしまったりと社会生活で困難を抱えがちです。

今回は、見捨てられ不安が起こる原因と具体的にどのような問題が起こってしまうのか、その対処法についてお話します。

見捨てられ不安とは

見捨てられ不安とは友達や恋人、家族から見捨てられるかもしれない、見放されるかもしれないと強く考えてしまい、そのため、過度な不安や恐怖に陥ってしまうことを言います。そして、この見捨てられ不安によって他者にしがみついたり、過剰に依存してしまったり、破滅的な気持ちになって自傷や自殺未遂を起こしてしまうこともあります。

こうした他者から見捨てられることに対して不安や恐怖感を強く抱くことは、幼少期からの親子関係や、トラウマなどが原因しているといわれています。また、見捨てられ不安が強く出てしまう精神障害には境界性パーソナリティ障害や愛着障害などがあります。

見捨てられ不安の原因

(1)両親との関係

幼少期における両親との安定的な信頼関係が、子どもの将来の対人関係へ影響します。親からの愛情は子どもへ安心感と信頼感を与えることができます。安心できる環境で過ごせていると子どもは成長しても対人関係でつまずくことは少なくなります。さらに、親の言動は子どもへ強い影響を及ぼします。

親の言動が一致していないと、子どもは「親に見捨てられないようにしなければいけない」と感じることが多く見捨てられ不安を抱きやすくなってしまいます。子どもが小さいころから両親に支えられていると感じられる環境も、子どもの精神的な安定につながります。

両親がなにかしら心理的な不安や問題を抱えていると、子ども自身も影響を受けやすく心理的な問題を抱えやすい傾向があります。

このように、幼少期の育った環境や両親との関係は見捨てられ不安と深く関係があります。

(2)愛着障害

愛着障害は幼少期に両親との愛着が適切に形成されなかった場合に生じることが多くあります。両親から安定的にケアをされていない場合、子どもの発達に悪影響を及ぼしてしまいます

愛着障害を抱える子どもは大人になっても、対人関係を築くことが困難で問題を抱えやすくなります。その背景には、幼少期から両親と安定的な関係を築けていないため、大人になっても他者へ信頼感を抱きにくく、安定的なコミュニケーションが難しくなってしまうことがあります。

また、幼少期から両親に大切にされているという実感は、大人になっても自分自身を大切にすることにつながります。しかし、愛着障害を抱えると自分を大切にする感覚を抱くことが難しく、破天荒な行動をとってしまったり自分を顧みない行動をとってしまったりすることがあります。自分自身だけでなく、他人に対しても信頼感の欠如から攻撃的な言動をする一面もあります。

愛着障害についての詳細は以下のページをご覧ください。

(3)境界性パーソナリティ障害

見捨てられ不安による対人関係の不安定さは、境界性パーソナリティ障害の特徴の一つにあります

境界性パーソナリティ障害は、思春期の頃に発症しますが、大人になっても持続する精神障害です。対人関係の不安定さだけでなく、感情の波が激しく様々な感情が切り替わるなど自分自身でもコントロールが難しくなってしまいます。さらに、自分の欲求が他者へ受け入れてもらえない場合、怒りから他者を執拗に攻撃してしまうことがあります。これには、自分自身が他者へ受け入れられるかどうかという他者軸での自己評価が基準にあるため、対人関係での傷つきやすさは見捨てられ不安によるものと考えられます

このように、対人関係を安定的に築くことが難しい境界性パーソナリティ障害の人は孤立しやすく、孤独を感じやすいことから過食や拒食、薬物乱用や時には自傷行為、自殺企図などさまざまな悩みを抱えてしまうことがあります。

境界性パーソナリティ障害についての詳細は以下のページをご覧ください。

見捨てられ不安による悪影響

鏡に映る女性 鏡に映る女性

(1)メンタルヘルスの悪化

一時的にストレスがかかってもストレス対処できる力や、心の病気にならないよう自分自身で問題を解決する能力を私たちは身に着けています。また、幸せや日常生活の充実感を感じられる能力をメンタルヘルスといいます。メンタルヘルスを安定的に保つためには、複数の条件があります。

一つ目は自分の感情をコントロールでき、他人へ表現することが大切です。しかし、見捨てられ不安があると感情をコントロールすることが難しく、健全な人間関係を構築することが難しくなってしまいます。

二つ目は、ストレスの原因を考えて対処することです。見捨てられ不安がある場合には、人だけでなく物質(薬物やアルコール)にも依存しやすくなり、適切なストレス対処法を身に着けることが難しくなります。

三つ目は、自分自身に対する評価を適切におこなうことです。ポジティブな評価を自分自身にできることは、新しいことに挑戦できる前向きな気持ちを育てることができます。しかし、見捨てられ不安のある人は自己評価が低く、他者からの評価に依存しやすく自分自身を過小評価してしまう傾向があります。

(2)恋愛関係

恋人は、友人より親密で支え合い、愛情を交換しあえるより深い関係性になります。しかし、見捨てられ不安による悪影響は恋人との関係にも出てきます。

見捨てられ不安の特徴には他者に依存しやすい傾向があります。そのため、恋人がいないと不安になってしまったり、恋人が浮気をして自分が捨てられてしまうのではないかと不安に苛まれたりすることもあります。恋人の言動に左右されやすく、相手の機嫌に一喜一憂しがちで自分の意見を言うことが苦手なことがあります

また、恋人に過度に依存をしてしまうと恋人に対して異常に高い期待を勝手に抱いてしまい、期待通りに行動しないと失望してしまうことがあります。お互いに成長できたり、安心できるような関係性を構築したりすることが難しくなり、親密な関係になっても寂しさを感じやすく心が満たされにくくなってしまいます。

(3)職場や学校での対人関係

親元から離れて学校へ行き始めると、子どもの世界は広がり新しい友人をつくることになります。低学年の頃は、同じ遊びで楽しめるグループを構築するという、幼児期と変わらない関係性を好みます。高学年になるにつれてより仲間意識をもち、親御さんよりも友達との時間を優先するようになっていきます。このように、子どもの心は体の成長と共に大きく変わっていき、対人関係も広がり、深まりもみえてきます。

しかし、見捨てられ不安があると集団グループで所属することが難しくなっていきます。なぜなら嫉妬という感情が出てくるからです。仲良くしていた友人がほかの人と仲良くしている姿を見ると、自分が見捨てられるのではないか、相手が離れて行ってしまうのではないかという悩みが出てきます。

また、他の人が自分の仲の良い友人を奪っていくのではないかと不安な気持ちも出てきます。そのような気持ちは、友人関係を壊してしまう可能性があります。他の人と仲良くしないようにと過度に友人を縛ってしまったり、友人のことが信頼できなくなったりと自ら孤独を選んでしまうこともあります。

学年が上がるにつれて、親友という存在ができますが見捨てられ不安があると他者と親密な関係を築くことが難しくなってしまいます。

就職しても、会社の人間関係で悩みが出てしまうことがあります。嫌われないようにと、過剰に気をつかってしまい疲れやすかったり、自分の意見を言えずに相談できずに一人で悩みを抱えてしまったりすることがあります。結果として、ストレスを溜め込みがちになってしまいます。

見捨てられ不安に対する対応と対処

肩を抱き合う二人

(1)セルフケア

対人関係で不安を感じた時には、自分で対処できる方法があります。

お手軽にできるおすすめは、気分転換や趣味をすることです。嫌な気持ちにとらわれてしまっている時には、視野が狭くなり思考もマイナスなままになってしまうので趣味に没頭して嫌な気持ちを忘れましょう。また、趣味も多ければ多いほど良いです。対人ストレスを感じた時にも趣味の時間をもつことは、ストレス軽減につながります

他にも、ストレスを感じた時に適切な対処方法を増やしましょう。体を動かしたり、読書したり、その時に応じた対処方法を複数もっておくことで回復につながります

また、基本的な生活リズムを整えることも重要です。一見、不安に関係ないように思いがちですがまとまった睡眠や運動、バランスの良い食事は体を強くしてくれて、心の健康にもつながるため手軽に始められるのでおすすめです。

(2)家族や周囲の人ができること

友達や恋人、同僚など身近な人が見捨てられ不安を抱えている場合、まわりの人は困惑しやすく接し方が難しいと感じることがあります。しかし、当事者が一番不安で辛い思いをしているのでまわりの人は特別なことをしようと思わなくて大丈夫です。

家族が見捨てられ不安を感じている場合には、家族の時間を多めにとり楽しいことを共有したり、感じていることをお互いに話せるような雰囲気づくりを心掛けてみてください。感謝の気持ちなど伝えあえると、安心できます。不安な気持ちを聞いたら、否定することよりもその気持ちを受け入れてもらえたという体験の積み重ねが安心へつながります。

家族でなくても、先ほど述べた方法は見捨てられ不安を軽減することにつながります。自分が支えなければと意気込んでしまうと、当事者と一緒に辛くなってしまいがちです。自分だけで支えることが難しいと感じた場合には、専門家へ依頼することが有効です。専門家からの助言をもらったり、一緒に考えたりすることで治療がよりよく進むことが多く、早めの相談もおすすめです。

(3)カウンセリングや心理療法

専門家へ相談できた場合には、心の専門家が臨床的な視点で見捨てられ不安についてカウンセリングをおこないます。見捨てられ不安を抱えている方は、幼少期からの体験やトラウマなど複数の問題が背景にあることが多く長い目線で付き合っていくことが大切です。

過去の経験や出来事がどのように見捨てられ不安と関係しているのかカウンセリングを通して紐解いていきます。辛い過去により苦しんでいる気持ちをカウンセラーに話して整理していくことで、心が軽くなり癒されていきます。

また、カウンセリングの場では困っていることについてさまざまな方法でアプローチをおこなっていきます。考え方を変えたいという場合には認知行動療法や、マインドフルネス、スキーマ療法等、問題に応じてアプローチ方法が異なるので専門家と話し合うことが大切です。

長い年月カウンセリングを重ねていくと、日常生活で同じような問題にぶつかることが少なくなったり、同じような悩みを抱えても自分で対処できるようになってきます。

カウンセリングについての以下のページに詳しく書いています。

見捨てられ不安についてのよくある質問


見捨てられ不安とは、他者から見捨てられることや孤立することへの強い恐れや不安を指します。この感情は、幼少期の親子関係や過去の人間関係の経験から生じることが多いです。例えば、親の不在や過度な厳格さ、または一貫性のない対応などが背景にある場合があります。この不安は、対人関係において過度な依存や執着、または逆に他者との関係を避ける行動として現れることがあります。これにより、社会的な繋がりが難しくなり、孤立感や不安定な感情を引き起こすことがあります。


見捨てられ不安の主な症状には、他者からの拒絶や離別に対する過度な恐れ、対人関係における過剰な依存や執着、自己評価の低さ、感情の不安定さ、そして孤独感や無価値感などが挙げられます。特に、他者の些細な行動に過剰に反応し、不安感を抱いたり、極端に自己否定的な感情に陥ることがあります。また、これらの症状は、恋愛関係や職場での人間関係など、日常生活におけるさまざまな場面で問題を引き起こすことがあります。このような症状が長期間続く場合は、専門家に相談することが重要です。


見捨てられ不安の原因として、幼少期の親子関係における不安定な愛情や養育環境が挙げられます。例えば、親の不在、親子間の適切な愛情表現の欠如、一貫性のない対応、または過度な干渉が見捨てられ不安の基盤を形成することがあります。また、過去のトラウマ的な人間関係の経験(例:突然の別れや裏切り)や、遺伝的要因や個人の性格特性も影響を与える可能性があります。これらの要因が複雑に絡み合うことで、他者から見捨てられることへの強い恐れが形成されるのです。


見捨てられ不安の診断は、専門の心理士や精神科医が行います。具体的には、患者の生育歴や対人関係のパターン、現在の症状や感情状態について詳しく聞き取ります。例えば、親子関係の過去や人間関係における繰り返される問題、孤独感や不安の頻度・強度などを評価します。また、心理検査やアンケートを利用することもあります。診断の目的は、見捨てられ不安が他の心理的問題や精神疾患と関連しているかを特定し、適切な治療方針を決定することです。自己診断ではなく、専門家の評価を受けることが大切です。


見捨てられ不安の治療には、心理療法が主に用いられます。具体的には、認知行動療法や対人関係療法、精神分析的療法などが効果的です。認知行動療法では、不安の原因となる思考や行動パターンを見直し、適切な対処法を学びます。また、対人関係療法では、安全で信頼できる対人関係を築く方法を学びます。さらに、重度の不安や他の精神疾患が併存している場合には、薬物療法が併用されることもあります。治療を通じて、患者は自身の感情や思考をより良く理解し、健康的な人間関係を構築するスキルを身につけることができます。


見捨てられ不安は、適切な治療やサポートを受けることで改善することが可能です。心理療法やカウンセリングを通じて、患者は自身の感情や思考パターンを見直し、対人関係のスキルを向上させることで、徐々に不安を軽減することができます。また、時間をかけて自分の内面と向き合い、安心感を持てる関係を築くことが、不安の軽減に役立ちます。ただし、個々の改善には時間がかかる場合があり、継続的なサポートが重要です。


見捨てられ不安を持つ人と接する際には、相手の感情や不安を理解し、安心感を提供することが重要です。例えば、言葉や行動で一貫性を持ち、相手に「自分は大切にされている」と感じさせる努力が必要です。また、過度な依存を助長することなく、適切な距離感を保ちながら信頼関係を築くことが求められます。さらに、相手が感情的になった場合でも冷静に対応し、専門家への相談を促すことで、より良い解決をサポートすることが可能です。


見捨てられ不安は、他者から見捨てられることへの強い恐れを指します。一方、愛着障害は幼少期の不適切な養育環境により形成される対人関係の困難を指し、見捨てられ不安を含む幅広い問題を包括します。例えば、愛着障害では、人間関係全般に対する不信感や依存の問題が見られることが多いです。両者は関連していますが、愛着障害はより深い発達過程に基づく概念です。


はい、見捨てられ不安は子供にも見られることがあります。特に、親の不在や不安定な養育環境、家庭内のストレスなどが原因で、子供が見捨てられることへの恐れを抱くことがあります。幼少期の経験が後の人格形成に大きく影響するため、早期の対応やサポートが重要です。心理カウンセリングや親子間のコミュニケーション改善が有効な場合があります。


見捨てられ不安を軽減するためには、自己理解を深め、対人関係のスキルを向上させることが有効です。心理療法やカウンセリングの利用、または安心感を得られる関係を築く努力が必要です。たとえば、自分の不安を受け入れる練習や、他者に依存しすぎない行動を取ることが助けとなります。

見捨てられ不安を解決するカウンセリングを受けたい

見捨てられ不安は、過去の体験やさまざまな原因が隠されています。そのため、対人関係がうまく築くことができなかったり、社会生活において困難を抱えながらも誰かに助けを求めることができずにより深刻な問題となってしまうことがあります。カウンセリングでは、無理にすべてを話す必要はありません。相談できることを少しずつ話してくれることを専門家は待っています

また、まわりの人がサポートすることが難しいと感じた場合には、専門家へ相談をおすすめします。ご家族自身も専門家へ相談することで、アドバイスをもらえサポートしてもらえるので安心です。

当オフィスでも見捨てられ不安に対するカウンセリングを行っています。希望者は以下の申し込みフォームからご連絡ください。

文献

この記事は以下の文献を参考にして執筆いたしました。