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転移

転移は学派や分析家によって定義が異なります。古典的には、精神分析の最中に、被分析者の過去の願望、感情、態度などが現在の分析家に向けられることを示しますが、被分析者が無意識のうちに創り上げている内的世界が、分析空間に映し出されることを示す場合もありますし、他にも様々なことが指摘されています。精神分析の中で、転移に関する議論が活発なのは、被分析者の理解と治療において転移がキーとなるからです。

精神分析や精神分析的心理療法を始めると、そのクライエントさんの独自の内的なものが面接の場に表現されます。例えば、冬になりエアコンをつけた時、クライエントさんはエアコンの音で話す気が失せてしまいました。一緒に考えていくと、年下の同胞が産まれてからしばらく、両親とおしゃべりしたい時に同胞の鳴き声がすると、自分の話したい気持ちを抑えていたことが思い起こされ、今も普段の生活でおしゃべりしている人達がいると、話しかけるタイミングに困惑することも繋がっていきました。そして自分の話より大事なことがあるだろうと、どこかで思いこんでいたことに気づき、大事な話の時には話しかけて良いと思えるようになっていきました。

単純化した架空の例を挙げましたが、精神分析や精神分析的心理療法では、クライエントさんの内的世界が面接の場に表現される転移という現象を活かして治療が進められていくため、重要な概念となっています。

<参考文献>

  • 松木邦裕(著)「転移」 小此木啓吾(編集代表)「精神分析事典」 岩崎学術出版社 2002: 355-356.
  • 松木邦裕(著)「私説 対象関係論的心理療法入門 精神分析的アプローチのすすめ」金剛出版 2005.
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