カウンセリングを受けることの苦痛について
カウンセリングをすると患者さんは辛くなったり、しんどくなったり、苦しくなったりすることが多いようです。特に精神分析的心理療法、力動的セラピーなどではその傾向が強いかもしれません。ここではそのことについて書いています。
1.カウンセリングを受けると苦しくなる
カウンセリングといっても色々な技法や理論があるので、すべてのカウンセリングがそうであるとは限りませんが、カウンセリングをすると患者さんは辛くなったり、しんどくなったり、苦しくなったりすることは多いようです。特に精神分析的心理療法、力動的セラピーなどではその傾向が強いかもしれません。
というのも、やはりカウンセリングの中で色々な話題について話していくと、どうしても自分自身というものに直面していかねばならないことが多くなります。直面していくものには、自分の中の汚いもの・醜いもの・排除していたいもの・遠ざけておきたいものなどがあります。今まではそれに直面していくことは辛すぎるので、防衛していたのかもしれません。うまく防衛できていると、それはそれで良いのかも知れませんが、防衛の副作用としてさまざまな症状や身体化や問題が出てきているのでしょう。
そのため、症状や身体化などの問題を解決していくためには排除されているものに直面し続け、整理していかねばなりません。その結果、クライエントさんは自分に直面することで苦しくなったり、辛くなったり、しんどくなったりもします。時には病気が悪化したかのように見えることもあります。しかし、これらのことは治癒に向かっていくための必要不可欠なプロセスです。
2.苦痛を抱えるためにカウンセラーが行うこと
そのようなプロセスを経るためには、カウンセラーもクライエントさんの受け入れがたい面に思いを馳せ、空想し、想像していきます。そして、クライエントさんがそれを受け入れることの苦痛に共感を寄せていかねばならないでしょう。カウンセラーの機能の一つにコンテイン・コンテイナーというのがあります。これは、クライエントさんの持ちきれない苦痛をカウンセラーが一時的に受け取り、クライエントさんが抱えやすいように変形し、再びクライエントさんに返していきます。こういう作業がカウンセリングの中核と言えるかもしれません。
こうした機能をカウンセラーが発揮するためには、長期間にわたる教育分析や個人分析、スーパービジョンなどの訓練が求められます。
3.カウンセリングは楽になるだけではない
カウンセリングが最近では広く一般の人にも知られるようになりました。それは喜ばしいことでもあります。しかし、一般的には、「カウンセリングを受けると楽になる」とか「すっきりする」とか「癒される」といった認識をもたれていることが多いように思います。また、カウンセラーなどの専門家の中にもそういった言葉を使う人がいるかもしれません。しかし、カウンセリングはそんな簡単なものではなく、そのプロセスには苦痛も困難も付きまとい、一朝一夕には終結できない深くて重たいものであると思います。
ただ、カウンセリングの技法もさまざまです。中にはそういう中核的なものは取り扱わずに、リラクゼーションや防衛を逆に強化していく方法もあります。それはそれである種の効果はあります。なので、決してそれらが無意味や無駄と言うわけではありません。
カウンセリングについての詳細は以下のページをご覧ください。