断れない性格の改善方法
人から頼られると、どんなことでも引き受けてしまって断れない性格の人がいます。忙しさや疲れ、苦手なことなどで「本当は断りたい」と思いながら引き受けてしまうと、自分の負担が大きくなります。断れない性格は様々ですが、アダルトチルドレンも一要因です。
今回は、断れない性格の原因や心理、アダルトチルドレンとの関連、改善方法について解説します。
目次
1.断れない性格とは
断れない性格は受け身の親切でもあり、程度によっては他者の困り事を助け、信頼や好印象を得ることができます。
しかし、「本当は断りたいけれど断れない」性格だと、心身にストレスや負担がかかり疲れやすくなってしまいます。他者のお願いを聞ける面では長所にもなりますが、断れないと思う原因や心理によっては生きづらさにつながる可能性があるため、以下に紹介していきます。
2.断れない性格の原因
断れない性格になる原因が明らかになっている訳ではありませんが、幼少期の家族関係は原因の1つと考えられます。
たとえば、子どもの頃に親の言うことを聞くことで親の気分を安定させていたり、親や周りから価値観を押しつけられて自己主張ができなかったりすると、「断ってはいけない」という考えやパターンを学習するでしょう。
断れないとは、自己主張ができないことでもあります。自分の気持ちを伝えても聞き入れてもらえない体験を重ねると、「どうせ言っても無駄だ」と感じ、断ることを諦めてしまうこともあります。
他にも、親がイエスマンであり、断り方を知らずに育った場合や、自信のない気質から断れない性格になりやすいでしょう。
3.断れない性格の心理
断れない性格の背景には、本当は断りたい気持ちがあるにも関わらず本心を言い出せない問題があります。断れない性格の心理もいくつか考えられるため紹介します。
(1)気の弱さ
性格特徴でもありますが、気が弱くて他者に自分の思いを言い出せない消極的な人は断れない場合が多いです。他者からの声掛けに対してプレッシャーを感じやすく、「断ったら責められるかも」と不安になりやすい面もあります。
(2)自己評価が低い
自己評価が低い人は、人からの頼みを断ることで「嫌われてしまうのではないか」と感じる傾向があります。また、断ることを悪いことだと感じ、他者に対して罪悪感をもつ場合もあります。
人の頼みを引き受けることで対人関係を維持しようとするため、不平等な関係に陥りやすいでしょう。
(3)人から良く思われたい
他者からの評価を気にして良く思われるために、人の頼みを聞き続ける心理も考えられます。
自分に自信をもてず、他者から良い人と思われることで自己を保とうとし、見栄を張った引き受け方をしてしまうこともあるでしょう。
4.断れない性格の人の特徴
こうした断れない性格の人の特徴について仕事の面と恋愛の面について解説します。
(1)断れない性格の人の仕事
断れない性格の人は仕事をする上で重宝されることもあれば、反対にいいように使われてしまうこともあります。何か面倒くさい仕事やつまらない仕事を押し付けられてしまい、それを断れず、いやいやながらその仕事をしないといけない状況になることは多いでしょう。
そうしたことが繰り返されると、便利な人とレッテルと貼られ、なんでもかんでも押し付けられて、いいように使われてしまいます。それでも断れないので、悪循環のように繰り返されるでしょう。
(2)断れない性格の人の恋愛
断れない性格の人は恋愛でも様々な問題を抱えてしまうことになりかねません。恋愛は対等であることで円滑な関係が築けます。つまり、恋愛関係であっても、嫌なことは嫌という、できないことはできないという、ダメなことはダメと言わねばなりません。
しかし、断れない性格の人はパートナーのいうことを全部聞いてしまいます。それが行き過ぎると、無理が生じてきてしまいます。そうしたことが恋愛関係においてギクシャクしてしまうきっかけになるでしょう。
また、もし仮にパートナーの性格が支配的だったり、自己愛的だったりした場合、断れない性格の人は支配され、搾取され、隷属的な関係になってしまいます。それは恋愛関係の基本である対等性は無くなってしまいます。
5.断れない性格とアダルトチルドレン
アダルトチルドレンとは幼少期の過酷な養育環境により心が傷つき、成人後にも自己評価の低下や対人関係の困難さ等の生きづらさを感じる人のことです。
アダルトチルドレンには、断れない性格に関連する特徴がいくつかあります。
- 自分で決断できない
- 自分に自信がない
- 対人不安が強く、否定されないように他者に従う
- 他者からの評価を気にしすぎて過剰適応になる
- 見捨てられ不安が強く、他者にしがみつく
- 自分の感情が分からない
虐待や過干渉といった養育環境やいわゆる毒親との関わりが続くことで、自己決定や自分の気持ちを優先することが困難になってしまいます。小さい頃より親の反応に振り回されてしまうと、大人になっても他者の顔色を窺った行動をしやすいのです。
アダルトチルドレンの人は他者の機嫌を損ねないため、自分の心が傷つけられないよう守るために、断れない性格になっているかもしれません。
アダルトチルドレンについての詳細は以下をご覧ください。
6.断れない性格の改善方法
断れない性格は程度の差はありますが、病気ではありません。アダルトチルドレンだとしても診断に至る障害ではないため、自らの対処である程度改善していくことが可能と言えます。
以下に、断れない性格を改善するための方法を紹介します。
(1)自己や状況を客観視する
断ると嫌われてしまうほど重要なお願いなのか、断ることで破綻してしまう関係性なのか、引き受けた内容は自分ができることなのか等を客観視することが大切です。
頼み事を引き受ける無意識の癖がある場合、まずはその癖に気づきましょう。
(2)小さなことから断る体験を重ねる
自分が断っても代わりがいる場合や接客の声掛け等、断っても問題ない些細なことから成功体験を積みましょう。
メールで断る、返事を保留にするといった対処も良い方法です。スモールステップで着実に断り方を身につけましょう。
(3)アサーショントレーニング
アサーションはお互いを尊重し合う自己表現方法です。
そもそも人には平等に自己主張する権利があるため、他者を傷つけない建設的な表現を身に着ける方法もあります。断るために客観的な状況の説明や、引き受けが可能な範囲を提案することで双方気持ちの良いやり取りを目指してみましょう。
(4)カウンセリング
断れない性格から必要以上にストレスを抱えてしまって社会生活に支障をきたす場合は、医療機関やカウンセラーに相談してみましょう。カウンセラーと話し合い、自分自身のことを振り返る作業をすることで断れない性格を改善していきます。
カウンセリングとはどういうものかについては以下のページをご参照ください。
7.カウンセリングを受けたい
断れない性格についての原因や心理を解説しました。そして、これにはアダルトチルドレンとの深い関連があることを示しました。その上で、改善方法についても提示しました。断れないことが少しのことであれば問題はないでしょうが、生活に支障が出て、体調を崩すぐらいにまでなると改善に向けて行動する方が良いと思います。
(株)心理オフィスKではカウンセリングなどを通して、断れない性格やその改善方法について相談することができます。希望される方は以下のボタンからご連絡ください。