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子どもに「学校に行きたくない」と言われたら

学校に行きたくない

子どもに「学校に行きたくない」と言われてしまったら、親としては対応に悩んでしまうのではないでしょうか。この記事では不登校をはじめ「学校に行きたくない」状態になる原因やNGな対応、望ましい対応について説明します。

「学校に行きたくない」と言われたら、学校や専門家とも協力しながら子どもの負担を減らし、心のエネルギーの回復を支えていきましょう。

1.「学校に行きたくない」原因は?

子どもが「学校に行きたくない」と感じ、訴えるにいたった原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは不登校をはじめとする「学校に行きたくない」状態の背景にある要因について説明します。

(1)不登校という現象

「学校に行きたくない」と言われたときに心配なのは、不登校、あるいは不登校になる可能性ではないでしょうか。

何らかの理由で登校しない、あるいはしたくてもできない状況が年間30日以上続く場合、その状態を「不登校」と呼びます。不登校は病気や経済的な理由を除き、心理的、情緒的、身体的、社会的要因や背景により生じたものをいい、不登校の子どもは学校教育のもつ要素と関連した悩みや不安、葛藤を抱えていることが多いといわれます。

なお、子どもは言語発達が未熟なため、不登校に先んじて腹痛や頭痛、吐き気、発熱、めまい、下痢といった身体の不調が表れることもあります。

(2)「学校に行きたくない」要因はさまざま

子どもが「学校に行きたくない」と感じる背景には、学校や家庭の状況、本人の特性や疾患といった、さまざまな要因があります。

事情はひとつとは限らず、さまざまな要因が複雑に絡む場合も多いです。ひとつひとつの事情は小さくても、重なったり長く続いたりして心が耐えられなくなることもあります。

また、外からは原因のように見える出来事がきっかけに過ぎない場合もあります。表面張力でギリギリ保っていたコップの水が最後の1滴であふれるように、子どもの心が耐えられる容量を超えてダウンしてしまった状態です。

そして、子どもの内面での不安や葛藤のあり方もさまざまです。現在置かれている状況やこれまでの生活歴、周囲の人との関係、子どもの性格などにより、受け止め方や反応のしかたは変わってきます。

このように「学校に行きたくない」状態の背景にある要因は多様かつ、複雑です。要因それぞれのいびつさがお互いに子どもに影響して「学校に行きたくない」状態が生じます。

ここからはそうした複雑な要因を大まかに、学校生活、家庭生活、本人の発達特性や身体疾患の3つに分けて説明していきます。

(3)学校生活にまつわること

「学校に行きたくない」状態になるきっかけの多くは、学校生活にあります。

知識・技能の習得、社会的なふるまいを身につける、遊びやクラブ活動、人とかかわる経験を積む、など、学校教育のはらむ要素は多種多様です。どの要素も「学校に行きたくない」状態につながる可能性があります。

学校生活にまつわる要因には、以下のようなものがあります。

きっかけ・要因具体例
勉強についていけない学習障害がある、学年が上がり学習内容が難しくなる、中学校から教科担任制になり親身な指導を受けにくい、など
先輩・後輩関係中学校から先輩・後輩関係が複雑になり、集団のまとまりが必要な部活動で挨拶や礼儀が求められる、など
教師との関係教師と相性が悪い、叱責される、体罰など
友達との関係いじめ、居場所を保つために友人関係にエネルギーを費やす、SNSへの敏感さ

友達との関係はとりわけ、悩みの種となりやすいものです。

いじめの被害などはもちろんですが、自分の居場所を保つため、友人関係の維持に膨大なエネルギーを費やして疲れている場合もあります。

近年はSNSのつながりで「グループに入れてもらえない」「裏アカ(アカウント)で陰口言われる」といったことも起こり得るため、家に帰っても気が休まらない子どももいます。

また、成績が良く気配りもでき「良い子」「心配のない子」に見える子どもが突然不登校になる場合もあります。周囲の期待になんとか合わせようとする中で追い詰められて自分自身を見失い、疲れはててしまうのです。

(4)家庭の状況

家庭の状況が子どもに影響し、不安やストレスが重なって「学校に行きたくない」状態にいたる場合もあります。

家庭の要因には、以下のようなものがあります。

きっかけ・要因具体例
両親同士の関係両親の不仲、多忙による父母間のコミュニケーション不足
両親との関係思春期を迎えたことによる親とのギクシャク、親からの心理的な圧力や過干渉、分離不安、虐待(ネグレクトなど)、死別や離別
他の家族との関係祖父母などからの両親・子どもへのプレッシャー、介護の問題
その他保護者の病気(精神疾患など)、経済的な問題

家庭の状況が不安定なとき、家が子どもにとって守られ安心できる場所にならないことがあります。家で安心できないと、子どもの心のエネルギーが足りずに学校生活をのりきれなかったり、ささいに見えるようなストレスでも抱えきれなくなったりするのです。

(5)本人の発達特性や身体疾患

本人の発達特性や身体疾患が「学校へ行きたくない」状態に影響する場合もあります。ここでは代表的な例として、発達障害や発達のアンバランスと起立性調節障害に触れます。

a.発達障害や発達のアンバランス

発達障害や発達のアンバランスを持つ子どもは、特性に由来したさまざまな困りごとを抱える可能性があります。

たとえば、コミュニケーションが苦手で友達とうまくかかわれなかったり、状況の理解が苦手で場の流れについていけなかったり、注意力や集中力の維持が苦手で授業についていけなかったりします。言葉で感情を表すのが苦手な場合は、困りごとを人にうまく伝えられないつらさもあります。

苦手な場面での援助や困り感の理解が得られないと、何度も叱責されたり仲間はずれを経験したりします。

そうして自尊感情や自己効力感が低くなったり、無気力になったりした結果「学校に行きたくない」状態になることがあるのです。

b.起立性調節障害

不登校につながりやすい身体疾患に、起立性調節障害があります。

10歳〜16歳の子どもに好発するもので、だるさやめまいで朝起きられずに午前中はゴロゴロし、夕方から夜にかけて元気になり寝つきが悪くなります。朝起きられないために、不登校になる場合が多いといわれます。

起立性調節障害は自律神経系の未熟さによる体の病気です。それを「怠け」や「頑張り不足」ととらえられるなど、適切な理解やケアが得られなければ、ストレスにより悪化する場合があります。

(6)「学校に行きたくない」は子どものSOS

「学校に行きたくない」と訴える子どもは、傷ついたり、疲れたりしているのかもしれません。

学校を休んで何をするわけでもなくぼんやりしている、1日寝ている、ダラダラ過ごしている、といった姿は不登校の初期によく見られます。しかし何もしていないように見えても心の中では、葛藤していることが多いのです。

「学校に行きたくない」「学校に行きたいけど行けない」「どうしよう」などと悩み続けて、心のエネルギーを消耗し続けているのかもしれません。

「学校に行きたくない」と口にすることも、学校に行かないこと自体も、子どものSOSととらえられます。子どもが何を表現しようとしているのか考えると、助ける手がかりも見えてくるでしょう。

2.学校に行きたくない子どもへのNGな対応

「学校に行きたくない」と言われた時にNGな対応はどのようなものでしょうか。ここでは、なるべく避けたい対応をいくつか紹介します。

それぞれ完全にNGとはいえず、状況次第では必要な場合もあります。しかし、そればかりに終始すると子どもを支えるどころか、より苦しめてしまうおそれのある対応です。

(1)子どもを責める、登校を促す

頭ごなしに子どもを責めたり、登校を促したりすることは、避けたい対応の1つです。

「怠け」「気のせい」「なんで努力しないの」などと叱責されたり問い詰められたりすると、子どもの心の葛藤はより大きくなり、疲れも増します。「登校しなさい」「頑張ったらできるよ」と登校を促されることも同様です。

悩みや葛藤で心のエネルギーを消耗して「学校に行きたくない」状態の子どもには、まずは心のエネルギーの回復が必要です。

頭ごなしに責める、登校を促す、といったことよりもまずは子どものメッセージに耳を傾けることが大切です。

(2)病気や障害と決めつける

「学校に行きたくない」状態がすべて病気や障害によるものと決めつけるのも、望ましいとはいえません。

「集団活動ができない」「集中力がない」といった状態像から発達障害や統合失調症の診断を求めたくなる教師や保護者は多いといわれます。たしかに発達障害や精神疾患などが不登校の背景にひそむ場合もありますし、その場合は病院受診や治療が優先されます。

しかし、注意したいのは、病気と決めつける背後に「この子はおかしい」という考えがないか、という点です。病気や障害と名前がついて安心するのは本人ではなく、周囲の人間だけかもしれません。

すべてを病気や障害のせいにせず、まずは子どもの状態をよくとらえることが大切です。専門家などの力も借りながら、どんな状況やどんなかかわりで心の負担が生まれ、どんなかかわりが子どもの役に立つか、など考えていけると良いでしょう。

(3)犯人探しばかりする

「学校に行きたくない」状態の責任を追及し、犯人探しばかりをするのも望ましくありません。ありがちなのが、学校は家庭の責任にして、家庭は学校の責任にする、といった対立構造になることです。

たしかに、いじめや家庭内の深刻な不調和などの明らかな原因が見つかる場合もあり、その場合は原因を特定して現実的に対処する必要があります。しかし、責任の追及だけでは本人を支えられないかもしれません。

周囲の目が犯人探しに向くと、「学校に行きたくない」という子どものSOSは誰にも受け止められず、ケアしてもらえないままになります。そのことで、子どもの心はより疲れてしまうのです。

3.学校に行きたくない子どもへの望ましい対応

「学校に行きたくない」子どもの心の負担となる要素は多様なため、援助には個別の理解と対応が必要です。そのことを前提に、ここでは一般的に望ましい対応をいくつかお伝えします。

(1)家を安心できる場所にする

まずは、家を安心できる場所にすることが大切です。

子どもの「学校に行きたくない」状態が家族にとってつらいのは、学業の遅れや進級の心配はもちろん、何よりそれまで当たり前にあった日常が崩れるからだといわれます。家族が焦りや不安を感じることは自然なことです。

しかし、「学校に行きたくない」状態は本人にとってもつらいものです。家族の焦りや不安を感じ取ることでつらさが増すと、子どもの心は消耗してより外に踏み出しにくくなります。

「学校に行きたくない」子どもの心のエネルギーを回復するために、家が安心できる場所となるよう心がけましょう。子どもに否定的な目を向けず、焦らず急がずゆっくりと見守ることが大切です。

児童期や思春期の子どもにとって、家は学校をはじめとした社会に乗り出すための基地といわれます。家が安心できる場所になってはじめて、子どもは外の世界に出かけることもできるのです。

(2)家の中で楽しめる時間を持てるようにする

子どもが家の中で楽しめる時間をもてるようにすることも、良いサポートです。

ゲームやテレビ、漫画、音楽、料理、絵画、動物とふれあう、スポーツなど、子どもの好きなことをできる時間があると良いでしょう。はじめは現実逃避のように見えることでもかまいません。

心のゆとりができてくると、より積極的に充実できる楽しみを探したり、試したりしたくなります。さらに余裕ができると、家の手伝いをしてもらうのも良いでしょう。

そうして回復するにつれ、だんだん外に目を向けられるようになります。

親としては、できる手助けをさりげなくしてみるなど、子どもの行動が徐々に広がっていく過程を支えられると良いでしょう。

(3)専門家や学校と協力して子どもを支える

子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、相談しやすい専門家や教員に相談しましょう。相談先にはスクールカウンセラー、教員、病院や診療所、教育支援センターなどがあります。

子どもの「学校に行きたくない」状態を家族だけで抱えるのは苦しいことです。家族の外にいる人とつながることで、焦りや不安も分かち合えます。

家庭と学校、専門家が協力しあって子どもの成長を応援することが大切です。かわる人たちのゆとりある温かい見守りを受ける中で、子どもは安心して自分を表現できるようになります。

(4)専門家による支援

ここでは、専門家による支援の内容をいくつか紹介します。

a.「学校に行きたくない」状態の背景をとらえる

子どもの「学校に行きたくない」状態の背景にどのような要因があるかを丁寧にとらえ分けていきます。子どもの年齢や発達水準、子どもの持つ力、置かれている環境や状況を踏まえ、子どもにとっての負担を推測します。

b.負担の軽減

子どもの負荷に応じた対処を本人やご家族と一緒に考えていきます。いじめや家庭環境などの、本人が耐える必要のない負荷には、ソーシャルワークなどによる現実的な解決や環境調整、成長して乗り越えることが望める負荷には心理援助などが行われます。

c.肯定的な将来像づくりと、試行錯誤の支援

子どもにとっての「学校」の意味や価値、将来は何になりたいか、どう生きたいかなどについて、肯定的で現実味のある将来像をもてるように一緒に考えます。見通しを持てたら、小さな目標をつくりながら少しずつ取り組んでいく本人の試行錯誤を支えます。

d.復帰が難しい場合は、学校に代わる場を探す

現代では家庭の外で社会的体験ができる場はほぼ学校のみで、欠席が長くなると成長の糧となる社会的体験が失われてしまいます。そのため学校へ復帰することが難しい場合は、学校に代わる社会体験の場を探すことも課題です。

高卒認定の取得、サポート校、フリースクール、デイケアなど、さまざまな選択肢から学校に代わる場を本人やご家族と一緒に検討していきます。

4.「学校に行きたくない」と言われた時に相談するために

子どもにの「学校に行きたくない」状態について、考えられる背景要因、子どもへのNGな対応、望ましい対応をお伝えしました。子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、学校や専門家と協力しながら、本人の心理的負担を減らし、心のエネルギーの回復を支える対応をするのが望ましいでしょう。

子どもへの対応に悩んだら、カウンセリングも是非ご活用ください。当オフィスではそうしたことの相談やカウンセリングを承っております。希望者は下の申し込みフォームからお問い合わせしてもらえたらと思います。

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5.参考文献

【執筆者情報】

  • 北川 清一郎
  • 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士など
  • 所属学会:日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本EMDR学会、日本臨床心理士会、日本公認心理師協会など
  • 役職:神奈川県臨床心理士会代議員、日本臨床心理士会委員などを歴任
  • 経歴:精神科や心療内科、教育センター、児童相談所、就労支援施設などでの臨床経験は約20年になる。また、臨床心理系の大学などでの非常勤講師を歴任。執筆した論文は多数。メディアや雑誌での出演経験も豊富。
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