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不定愁訴とは一体何か?カウンセラーが解説するメカニズム

不定愁訴は、医療者が治療期間を決めてしまい作ってしまった医療者都合の用語で、ネガティブな印象がつきまといます。保険診療においては、愁訴の重症感と治療内容に応じて診断や治療の期間を決めてしまっていることが多いです。そこから外れると患者の卑屈コンプレックスも相まって、身体・精神症状が遷延化をきたし、慢性の経過をたどることが一般的です。

メカニズムを理解しそのプロセスに関してセルフチェックを行うことで、環境要因の調整など、楽になる症状は存在します。是非この記事を最後まで丁寧にご拝読いただき、楽になる訴えが少しでも減ることを願っています。

1.不定愁訴とは

不定愁訴とは、検査をしても明確な原因や異常が見当たらないにも医学的に説明が困難な身体的症状、精神的症状などを指します。多くの場合患者の苦しみをサポートするだけの診療が提供できないことが多く、ドクターショッピングや慢性化につながっています。身体のバランスが崩れ発生することが多いので、本邦の臓器別に細分化された現在の医療体制の苦手とされる分野ともいえ、複雑化したものへは特に心理療法や東洋医学の考え方の方が愁訴の軽快に結びつきやすいようです。

不定愁訴という言葉ができた経緯としては、1963年11月に出稿の第一製薬(現在の第一三共ヘルスケア)が販売した薬剤のキャッチコピーに使用された用語が語源となり1964年に流行語となり、現代でも慢性化かつ難治性でネガティブな印象の言葉として広く知られています。

2.不定愁訴になってしまう原因

不定愁訴は、多くの場合ストレスによる自律神経の異常により現れる身体的症状です。その他にホルモンのバランスや生活習慣の乱れが原因と言われています。身体の弱っている部位に症状が出現することが多く、全身倦怠感、頭痛、腹痛、便秘、冷え、むくみなどが主体です。

  • ストレス
  • 自律神経の乱れ
  • ホルモンバランス
  • 不規則な生活習慣

3.不定愁訴の特徴や症状

不定愁訴の特徴として、初発は「自覚する身体の違和感」です。症状として、身体の一部もしくは複数部位を訴え、入れ替わることもあります。周囲から理解を得にくいことから精神面にも不調をきたすことも少なくなくありません。詐病と捉えられることもありますが、自覚症状があれば、対処してくれるサポートを受けるか乗り越えるかが必要になります。

(1)身体症状

患者からの症状としては、「首や肩の痛み」「喉が詰まる感じ」「頭が重い」「疲労感が取れない」「胃や腸がむかむかする」「イライラして人に当たってしまう」「冷えやのぼせ」「動悸や発汗」など、主観的な訴えが多岐に渡ることが多いです。

その人の身体の弱い部位に愁訴が出ることが多く、身体の一部位の不調が、日常生活に何らかの支障につながっているケースが多く見られます。

(2)精神症状

「熟眠感がない」「集中力が出ない」「不安を感じて落ち込む」「なんとなく活動に意欲的になれない」「思考や感情の面で止まってしまい、行動に移せない」などストレスのせいで睡眠障害や抑うつ状態で、日中の活動などに支障が出ている方が多いです。

本人ももどかしい気持ちがあることも多いですが、抑うつ状態や気分により行動がついてこず、獲得していたものを失うことで本人や周囲から心配されて医療機関を訪れる方も多いです。

(3)分類の難しい不定愁訴と考え方

分類の難しい不定愁訴として、疾病利得がある場合の「詐病」があります。腰痛があるのに人が見ていないところに限り支障なく歩いている、消化器に不調があるのに消化の悪いものを好んで多量に食べるなどです。原因と結果の解釈や、症状出現のタイミング、辛さの感じ方に個人差があることなどから、判断が非常に難しいです。

しかし、原則医療者は、疾病利得や詐病という考えはしないことになっており、愁訴の長期化や複雑化の要因になっており、生活保護などの社会保障の部分も関係し社会問題となっています

4.不定愁訴に対する対処と対応

不定愁訴に対する対処は、「できるだけ話を傾聴する」「医療機関につなげること」「症状が長期化する場合には、症状があっても実現可能な行動にスポットを当て継続できるような工夫をする」ことが大切です。

(1)セルフケア

セルフケアとして、自律神経のバランスを整える工夫を取り入れてみましょう。全て取り組まなくとも、自分に合った方法が見つかるでしょう。

  • 食事を3食バランスの良いものを食べること。
  • 睡眠と起床の時間をおおよそ決めて一定にすること。
  • 適度な運動やストレッチングを日常生活に組み入れる。
  • 生活環境の換気を適切に行うこと。
  • ストレスを感じやすくする思考や習慣を意識して変えること。
  • 過去は未来へのステップという考えを持つ。
  • 人間関係の悪い人がいたとしても、相性の合う人とだけ接する。
  • 飲酒や喫煙などの嗜好品を適度か、断ち切る。
  • 目標を掲げ、ストレスになることを考える時間的・精神的余裕をなくすようにする。
  • 吐く息を長くする呼吸法や瞑想を日常生活に取り入れる。
  • ストレスの原因を探り対策をねることの習慣づけ。

不定愁訴の原因ははっきりとはわかっていないものの、多くは何らかの原因で身体や精神がストレスを感じ免疫力を低下させ、自律神経の乱れさせることにつながり起こる身体的愁訴であることが知られています

発疹が出ているので不定愁訴ではありませんが、メカニズムが近いものとして帯状疱疹や口内炎があり、これらは免疫力が低下している一つのサインになります。症状が出るとわかりやすいので、医療機関でも対処してもらえますが、不定愁訴は症状の強さに波があり、部位も変わることもあるため介入が難しい側面があります。

どういった場面で身体に不調が出やすく、自分がストレスを感じて身体に不調をきたすかを知る一つのサインを把握する習慣づけましょう。

(2)医学的介入(診断や治療について)

まずは、訴えのある身体部位に器質的な異常がないか、身体所見・採血・レントゲン撮影・超音波検査・C T検査・M R I撮影など、症状や訴えなどに応じて必要な検査を行います

器質的な異常が認められない場合は、身体表現性障害や心身症やうつ病などの診断名が付くことが多いです。治療には、薬物療法・精神科的な介入が必要かの検討が行われることが多いです。自律神経失調症の場合には、漢方薬の処方などが臨床の現場では多く用いられ、頻度は低いですが、自殺企図や物質依存や過去のトラウマとの症状の関連性をさらに詳しく問診することがあります。

本来は医療者側の立場としては、不定愁訴や詐病と解釈してはいけず、解決するまで寄り添うのが正しい姿です。

(3)カウンセリングや心理療法

不定愁訴の一部には、介入方法と時制など医学的な治療から何らかの形でもれた方が一定の割合でいて、カウンセリングで楽になるケースもあり、両方のサポートを併用することも解決に向かう早道かもしれません。諦めない気持ち、粘り強く少しでも効果が見られたら継続することが大切になります。

2~3ヶ月のタイミングで不定愁訴は慢性化し脳の器質的な変化をきたし難治性になり、多くの医療機関では煙たがられる傾向にあります。「傾聴」と「自己の意識の核に眠っているものを引き出すアプローチ」によって少しずつではありますが、改善されてくることでしょう。

長期化することで、医療のサポートよりも心理療法の方が、効果があることも少なくありません。

5.不定愁訴のセルフチェック

不定愁訴のセルフチェックには、「自律神経失調症」「ストレスを溜めやすい性格」「ホルモンバランスの異常を来しやすさ」「疲労蓄積度合い」などの項目が自分に当てはまらないか確認することが大切です

簡単に述べますと食事・運動・睡眠ですが、近年「没頭できる趣味があるかどうか?」「ストレスなく付き合える仲間の存在があるか?」なども注目されており、その日から意識することによって変化させることができるものと、準備を要するものと両方揃った方が、不定愁訴を感じにくいことが注目されています。

6.不定愁訴のQ &A

医師のカウンセリングを受ける患者

a) 不定愁訴はどの診療科や医療機関にかかれば良いですか?

身体の不調があらわれているケースが多いので、その愁訴が現れている診療科の受診を優先してください。もし症状が残ったり、別の部位の症状が繰り返し出現する場合は、心療内科や不定愁訴外来などの開設している医療機関への受診をオススメしています。

b) 不定愁訴で実は悪い病気のサインであるケースはいかがでしょう?

それはあります。原因不明の体重減少や食欲低下や、生理不順や不正性器出血が実は悪性腫瘍のサインであるケースは存在します。

c) 不定愁訴は女性に多いイメージですが

月経やホルモンバランスの関係で、不定愁訴は女性に多いです。しかし近年「男性更年期障害」と不定愁訴との関連も広く知られ、男性ホルモンの減少とともに徐々に精神症状が出やすくなり抑うつ状態を呈します。

d) 不定愁訴と発達障害の関連はいかがですか?

発達障害ですと適応障害になりやすく、不定愁訴を呈している方は適応障害の人が一定数含まれます。発達障害は、社会経験を積むことで年齢を重ねると症状がマイルドになりますが、不定愁訴の好発年齢は中高年にもあります。明確に示されたものはありませんが、一定の関連はあるでしょう。

7.まとめ

ミーティングする男女不定愁訴の多くの原因は、「自律神経の乱れ」「ストレス」「不規則な生活習慣」であることが多いとされています。症状についても、身体症状や精神症状様々で、愁訴もタイミングによって変わることも少なくありません。解決に向けた取り組みも日々進歩しており、過去不定愁訴として知られていたものの対処が明らかになりつつあります。しかし時代とともに、愁訴も複雑化してきており、医学的介入・心理療法を含め様々な側面からのアプローチが必要になります。

ストレスなどが原因であれば、カウンセリングなどが効果を発揮することがあります。もしカウンセリングを受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、下の申し込みフォームからお問い合わせください。

参考文献


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