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【5分で分かる】ASDとADHDの違い

自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状には共通する特徴的な症状があります。自分自身やご家族の症状について、どちらも当てはまる、違いが分からないとお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

この記事ではASDとADHDで一見すると共通する特徴とその違いについてQ&A方式で解説します。

1.ASDとADHDの違いについてのQ&A

3人の子ども

(1)ASDとADHDの違いと共通点を一言で教えてください。

ASDに特徴的な症状、ADHDに特徴的な症状はそれぞれ以下のようなものがあります。

ASDには、「社会性の苦手さ」「コミュニケーションの苦手さ」「想像力の不得手」といった症状があります。そして、ADHDには、「不注意」「多動性」「衝動性」といった症状がみられます。

一方で、ASDとADHDには「ミスが多い」「空気が読めない」「こだわりが強い」「予想外の出来事に弱い」という共通した症状の特徴もあります。

今回は、このような共通した症状とその違いについて解説していきます。それぞれの症状の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

(2)そもそもASDとADHDでは症状の出方が違うのはなぜですか?

ASDとADHDでは、脳の障害される部位に差があります。

ASDでは、脳の下前頭回の機能異常、ADHDでは前葉前野の障害が関係しているためと考えられています。

(3)ASDとADHDに共有する「ミスが多い」という特徴とその違いは何ですか?

ASDでは指摘や説明された内容を間違って認識してしまうミスです。

一方で、ADHDではうっかりなど初歩的なミスが多い傾向があります。

(4)ASDとADHDに共通する「空気が読めない」という特徴とその違いは何ですか?

ASDでは重要視する仕事内容や順番が、他の人の一般的な認識とずれています。しかし、ADHDでは他の人と一般的な認識はずれてはいないのですが、衝動性のせいで内容や順番を無視して、思わず行動してしまいます。そのために、空気が読めないと評価されてしまいます。

例えば、ASDの人は「今周りの人が忙しそうだから、この仕事は後にしよう」というような抽象度が高い「空気を読む」判断が難しいようです。

ADHDの人は、そういった優先順位を判断することは出来ますが、それ以上に「こっちの方が気になる」という衝動性を抑えることが難しいのです。

(5)ASDとADHDでは、「こだわりが強い」という特徴とその違いは何ですか?

ASDでは「オタクの域を超えた(狭義の)こだわりの強さ」があります。ADHDでは「他のものに置き換える発想の不器用さ」があります。これがこだわりの強さにみえます。専門用語を用いると「過集中」や「注意の転導性」の問題と言えます。「注意の転導性」とは、注意や意識を適切に向けかえる力のことです。

例えば、ASDの人は、鉄道や駅名、植物、星座、数字など興味をもったものにはとことん追求する人が多いようです。鉄道をずっと見ることをやめられないなど「好きなものへの執着やこだわり」があります。

ADHDの人は、好きなことにはものすごく集中をして、周りのものが見えなくなってしまいます。例えば、一日中、ゲームやネットに集中することなどがあります。これはこだわりのように見えますが、過集中や注意の転導性の問題といえるでしょう。

(6)ASDやADHDでは、共に「予想外の出来事には弱い」ですが、どのような違いがありますか?

ASDでは脳内のキャパシティーオーバーになってしまい、そのためにパニックなどを起こしがちです。例えば、学校などでは時間割が決められていますが、何らかの事情にその時間割が急遽、変更されてしまうと、それに適応することができず、パニックになります。

一方で、ADHDでは予想外の出来事を自分の思う通りにならない事態と認識し、そのため怒りで癇癪を起こします。それと同時に、感情をストレートにぶつけることが多いです。例えば、ゲームの順番を楽しみにして、待っているとします。しかし、自分の順番前で突然ゲームが故障したり、習い事に行かないといけなくなったとします。すると、好きなことができなくなった思いが衝動性として出てしまい、怒りが出たり、感情的になったりします。

(7)ASDとADHDの合併の可能性はありますか?

ADHDの症状が強い人は、ASDを合併します。アスペルガー症候群(知的障害を伴わないASD)の約4人に1人がADHDを合併します。

ASDをみればADHDの可能性を、ADHDをみればASDの可能性を疑った方が良いかもしれません。臨床的に両者を細かく区別して診断することは難しいです。

(8)ASDとADHDに対する対処や治療はどのようなものがありますか?

治療については、二次障害の併発への予防や治療と緩和、疾患に対する正しい知識の習得と環境調整、薬物療法などあります

大人の発達障害では特に、身近な支援者へのアプローチも重要になります。薬物療法については、現状ASDには二次症状への対処薬あり、ADHDではコンサータやストラテラなどの治療薬があります。

発達障害の二次障害についてはこちらの記事で解説しています。

2.ASDやADHDについて相談するには

案内する女性

今回は併存することも稀でないASDとADHDについて、それぞれの特徴をQ&A形式で書いてみました。実際の現場では診断名をはっきりさせることは容易ではありません。臨床心理士の資格を持つカウンセラーに相談してみたり、精神科の受診も選択の一つでしょう

当オフィスではASDとADHDについての相談やカウンセリングを行っております。ご希望の方は以下のフォームからお申し込みください。

3.発達障害についてのトピック