インナーチャイルドとはどんなもの?共依存との関係や原因・克服方法を知ろう
こちらの記事では、インナーチャイルドとはどういうものか、原因や克服方法について紹介します。また、インナーチャイルドを説明するうえで外せないものが、共依存やアダルトチルドレンです。それぞれがどのように関係するのかについても説明します。
自分や自分の周りの人で、インナーチャイルドの症状と重なる場合、どのように治療したら良いのかも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.インナーチャイルドとは何か?
インナーチャイルドと聞いてどんなイメージが浮かびますか?まずはインナーチャイルドの定義や原因、症状について見ていきましょう。
(1)インナーチャイルドの意味とは
インナーチャイルドとは、そのまま訳すと「内なる子ども」です。幼少期の家庭環境にてトラウマとなった負の感情のことを指します。人間は大人になるにつれて身も心も成長し、社会生活や人間関係を円滑に進められるようになります。
しかし、インナーチャイルドの症状が強く出てしまうと、大人としての考え方が持てず、社会生活を送ることや人間関係を築くことが難しいと感じ、生きづらさを感じることもあるのです。
(2)インナーチャイルドを引き起こす原因
インナーチャイルドを引き起こす原因は、幼少期にあります。10歳くらいまでに身体的または精神的な暴力を受けたなど家族関係になんらかの問題を抱え、それがトラウマになっていることが原因です。
自分の心を守るために、幼いながら「甘えたい」などの自分の感情を抑え込んだり欲求を表現しなくなったりします。それによって、大人になっても子どもの頃の出来事がトラウマとなり、子どもの頃と同じ考え方や習慣を繰り返してしまうのです。
例えば、「言い返しても何も変わらない」などと考え、自分の殻に閉じこもってしまうような状態が挙げられます。
(3)どんな症状が出るの?
インナーチャイルドには、どんな症状や特徴があるのか見ていきましょう。
- 孤独を感じやすい
- 自己否定ばかりする
- 対人関係を築きにくい
- 良い子を演じる
- コンプレックスを感じやすい
- 感情を出せない
- 人の世話をしすぎる
- 自己中心的
- 問題から逃げてばかりいる
インナーチャイルドの影響で引き起こされる症状は、このようにさまざまです。人によっても、育った環境によっても違います。また1つの症状だけが出るわけではなく、複合的にいくつもの症状が出ることもあるでしょう。
2.インナーチャイルドと相互に関係するものとは?
インナーチャイルドを考える際に、忘れてはならないものが共依存とアダルトチルドレン(AC)です。共依存やアダルトチルドレンをひも解いていくなかでインナーチャイルドが関係していることがわかるなど、密接な関係にあります。
(1)インナーチャイルドと共依存
そもそも共依存は、自分の価値基準がなく、周りの人に判断を委ねてしまう状態のことです。共依存は、インナーチャイルドによって引き起こされる症状と言っても良いでしょう。共依存に陥ってしまうのは、インナーチャイルドが強く作用し、適切で、適度な関係を築くことができず、過剰に相手に合わせてしまったり、依存してしまったりすることが関係しています。そしてそれがお互いにそのようなことをしてしまうことで共依存を深めてしまいます。
インナーチャイルドを癒やすことで、共依存の症状がやわらぐ可能性があります。
共依存については以下のページに詳しく解説していますので、ご興味があればご覧ください。
(2)インナーチャイルドとアダルトチルドレン
どちらも「チャイルド」という言葉がついているため、つい同じ意味として捉えがちです。両者はたしかに密接に関係しており、インナーチャイルドを癒やすことで、共依存と同じようにアダルトチルドレンの症状が緩和する可能性があります。
インナーチャイルドは、幼少期のトラウマによって抱えてしまう負の感情のこと。アダルトチルドレンは、その負の感情にとらわれて自分らしく振る舞えなかったり生きづらさを感じたりすることです。
アダルトチルドレンについては以下のページに説明しています。よろしければご覧ください。
3.インナーチャイルドを癒やすとどうなる?
心理学では、インナーチャイルドの影響で自分らしく生きられない状態にあることを「インナーチャイルドが傷ついている」と言い、傷ついたインナーチャイルドの状態を良くするために「癒やす」という言葉を使います。
つまり「癒やす=克服」の意味です。インナーチャイルドを癒やすとどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
(1)過去を理解し現在と切り離して考えられるようになる
インナーチャイルドが傷ついたままだと、過去にとらわれてしまいます。同じような状況に陥った際に「また前回と同じ」と感じて行動できなくなるのです。
モデルケース
例えばAさんが彼氏とケンカしたとしましょう。前の彼氏とケンカした際に自分の意見を言ったために振られました。するとAさんは、今の彼氏と別れたくないために、自分の意見を言わないようにします。
これは正解でしょうか?前の彼氏は意見を言われたことが嫌だったのかもしれませんが、今の彼氏は前の彼氏とまったく同じ考えの持ち主とは限りません。意見を言わないことがかえって別れるきっかけになるかもしれないのです。
インナーチャイルドが傷ついていると、過去と現在はずっと続いていると考えがちになります。しかし実際には、過去と現在はつながっているようでまったく別のものです。切り分けて考えることで、物事を客観的に捉えられるようになります。そうすれば、過去にとらわれていることの無意味さに気づけるようになるのです。
(2)自分の行動パターンを理解できる
幼少期からの習慣は、なかなか取り除けません。これは考え方や行動パターンにも当てはまります。何か問題が起きた場合に、いつも同じ行動をしていませんか?それはインナーチャイルドが影響しているのかもしれません。
知らないうちに、いつも同じ行動をしているために失敗ばかりしていることもあります。これまでの自分の思考・行動パターンを理解することで、いつもとは違う行動ができ、負の感情から解放されるようになるのです。結果、負の連鎖を止められる可能性があります。
(3)自分の本当の感情に目を向けられる
インナーチャイルドが傷ついたままだと、自分の感情を抑え込み、人の顔色ばかり気にしているケースがあります。インナーチャイルドを癒やすことで、自分の本当の感情に目が向き、自分の気持ちに嘘をつかなくなるでしょう。
また、「自分の気持ちを表現することは悪いこと」という感情もなくなり、抑え込んだ感情を開放できるようになるはずです。
(4)自分を認め、自分らしく生活できる
インナーチャイルドによって引き起こされる症状で説明したように、自己否定ばかりしてしまう人がいます。それによって自分を認められなかったり、自分は幸せになれないと感じてしまったりするケースもあるでしょう。
インナーチャイルドを癒やすことで、今の自分を認めることができ、自分らしく生きていけるようになるのです。
4.インナーチャイルドの克服方法と治し方
インナーチャイルドを癒やし、克服するには、どのような方法があるのでしょうか?克服方法について、順を追って説明していきます。
(1)インナーチャイルドの見つけ方
まずはインナーチャイルドを見つける必要があります。どんな感情があるのかを見つけ、自分のインナーチャイルドを把握しましょう。
方法は、昔の写真を見てその当時のことを思い出したり、家族から昔の話を聞いたりするのもおすすめ。また、当時の問題やそのときの感情をノートに書き出し、客観的に捉える方法も有効です。
(2)どんなことがあったか把握する
幼少期にあった辛い出来事や嫌な感情は、どうしてもふたをしてしまいがちです。ただ、その出来事や感情に触れることで、過去と現在を切り離して考えることができるようになるため、実は重要な作業と言えます。
悲しくて涙が出てくるのであれば、こらえる必要はありません。ぜひ涙を流し感情と向き合ってください。
(3)大人の行為を否認する
人は自分の心を守るために、物事を良いように考えることがあります。そのため過去を振り返った際に、「あのときの言葉は、当時の親なら仕方がない」「本心ではないのについ言ってしまったのでは…」と大人の行動を容認しているかもしれません。
どんな状況であれ、親や大人が子どもの頃の自分を傷つけたことには変わりありません。「親や大人の行為は間違っていた」と明確に否認しましょう。
ただ、過去の親の行為を責めることができたら、それですべてが解決するということでは決してありません。復讐や恨み、攻撃だけで生きていくことができないのは自明のことです。大切なことは、そうしたことを乗り越えて、自分なりの人生を送ることができるようになることが大事です。
(4)過去に感じた怒りの感情をすべて出す
大人の間違いを明確にすることで、怒りの感情などのこれまで行き場のなかった感情があふれ出てくるはずです。暴れることもあるかもしれませんが、これは悪いことではありません。
このことによって今までため込んでいた負の感情が開放されるでしょう。感情をすべて出す方法には、ノートに書き出す、信頼できる人に話すなどの方法があります。人に言いづらければ、ぬいぐるみなどに話す方法も良いでしょう。
5.カウンセラーに相談しよう!自分で癒やすのは大変な作業
インナーチャイルドの克服は、自分1人でできる場合もあります。ただし、過去を振り返らなければならず、自分が考えていたよりも辛い過去であることも考えられるでしょう。
1人でインナーチャイルドと向き合おうとすると、かえって辛さが増しトラウマになるなどが起こり、危険です。また、無資格の人が行う催眠療法を利用したり占い師に頼ったりする人もいますが、専門家でなければ何も解決せず費用だけかさんでしまうこともあります。
インナーチャイルドの克服を考えるのであれば、臨床心理士の資格を持ったカウンセラーに相談するようにしましょう。
6.(株)心理オフィスKでインナーチャイルドの相談をする
インナーチャイルドとは、幼少期のトラウマによる負の感情のことです。負の感情を抱えたままにしておくと、人間関係や社会生活で生きづらさを感じるかもしれません。そのことが負担となり、うつ病を発症するケースもあるため、早めに臨床心理士などの専門家に相談するようにしましょう。
当オフィスには、インナーチャイルドの克服に精通する臨床心理士の資格を持ったカウンセラーが多く在籍しています。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。