仕事や会社に行きたくないのは心の悲鳴:そんな時の対処法
「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と感じることはありませんか。そんなとき、あなたの心は悲鳴をあげているのかもしれません。
ここでは、仕事や会社に行きたくないときの対処法について解説します。
目次
1.「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と感じる心理的原因
「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と感じる、ということは、今の職場で何らかのストレスを抱えている可能性が非常に高いと言えるでしょう。では、そのストレスとは何があるでしょうか。
厚生労働省の「平成 30 年労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる内容について、多かった順番です。
- 1位 仕事の質・量
- 2位 仕事の失敗、責任の発生等
- 3位 対人関係(セクハラ、パワハラも含む)
- 4位 役割、地位の変化(昇進、昇格、配置転換等)
- 5位 会社の将来性
- 6位 雇用の安定性
- 7位 顧客、取引先からのクレーム
- 8位 事故や災害の体験
「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」ということは、それは「意欲が低下している状態」であることを意味しています。意欲の低下に関しては、職場だけでなく、職場以外でのストレスも影響しているかもしれません。このようなとき、意思に反して会社に行こうとすると、腹痛などの体調不良が出現してしまう場合が多いものです。特に、腹痛や下痢などがあらわれると、通勤電車に乗ることが不安になり、出社ができなくなってしまうこともあります。
このような体の反応は、あなたの心の悲鳴を体が表現しているともとらえることができるのです。なぜなら、人はストレスになることを避けて自分の心を守ろうとすることがあるのです。自分でストレスだと自覚していなかったとしても、意識せず、ストレスに晒されるのを避けようとしているから「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と感じるのかもしれません。
こういった調査結果と自分の現状を照らし合わせてみると、意外とストレスとなっていることが見えてくるかもしれません。
仕事の質や量が負担になっている人は、以前より残業時間が増えていないか、仕事の内容や質が変化して強いプレッシャーを感じるようになっていないかなど振り返ってみましょう。それにより心身ともに過労の状態に陥っているのかもしれません。
対人関係についての悩みは、自覚しているケースが多いです。誰にも相談できず、ひとりで抱えて我慢していると、「会社に行きたくない」という反応が起こりやすくなるでしょう。
2.仕事や会社に行きたくない時の症状のあらわれ方
生活全般にわたって症状があらわれる場合と特定の場面だけ症状があらわれる場合があります。特定の場面にだけ、このような症状があらわれるのか、生活全般にわたって症状があらわれるのかによっても、考えられる心理的要因と対処が異なります。
こういった症状の出方から何が一番ストレスになっているのか、そして、今のご自身の心と体の状態を推測する手がかりが得られるのです。それぞれについて解説します。
(1)生活全般にわたって症状があらわれる場合
生活全般にわたって症状があらわれる場合は、仕事のある日だけでなく、仕事のない休日も外出しようとすると体の症状があらわれて外出や電車に乗ることができなくなります。これに加え、生活全般にわたり意欲がわかず、今まで楽しめていた趣味などの余暇活動ができなくなったり、興味関心を持てなくなるというところが特徴です。特に、2週間以上こういった状態が続く場合は、うつ病の可能性もでてきます。
また、生活全般にわたり、外出ができなくなったり、電車に乗ることが難しくなったりするため、行動が著しく制限されてしまいます。このような状態が続くと、引きこもりになる可能性も高くなりますので注意が必要です。
(2)特定の場面だけ症状があらわれる場合
特定の場面だけ症状があらわれる場合の特徴は、仕事がある日に会社に行こうとするときだけ症状があらわれるのが特徴です。仕事のある平日でも会社以外の場所に行くことはできます。仕事がない休日は趣味を楽しんだり、友人などと外出したりと意欲的に活動することができるのです。
このような場合は、環境を変えることができれば、症状が改善することが多いでしょう。しかし、現実問題として、そう簡単に環境を変えられないことが多いでしょうから、悩ましいところです。
3.引きこもりになる前に早めの対処が大切
特定の場面だけ症状があらわれる場合も含めて、仕事や会社に行きたくないと感じ、会社を休みがちな状況が長期化すると、会社から長期の休暇をとるよう指示されたり、心の病を疑われ、病院を受診して治療を受け、働ける状態になるまで療養するように指示されることがあります。
会社を休むことになれてしまうと、「自分がいなくても仕事は回っていくのだ」と感じるようになり、会社を休むという選択をしやすくなってしまうことがあるため注意が必要です。仕事をしたくない、会社に行きたくないと感じた時に、仕事を後回しにしたり、会社をたびたび休むという選択をしたりしてしまうと、それが癖になってしまうことが多くあります。また、仕事を休んでしまい、他の人に負担をかけてしまったという罪悪感が強くなると、ますます会社に行くハードルが上がってしまうという悪循環に陥ってしまうこともあるのです。
なぜそう思うのか?という点に目を向けずに、なんとなく、「調子が悪いから」などと朝の調子で会社を休む理由を探してしまう癖がついてしまうことがあります。以前だったら、この程度の不調の場合は出勤していたというような場面でも、会社を休むという選択をしてしまうのです。
仕事をしたくない、会社に行きたくないと感じた時には、まず、「なぜそう感じているのか」という心の声に耳を傾ける必要があるでしょう。原因がはっきりしている場合には、原因となっている問題を解決する方法について、上司や同僚と相談するのがおすすめです。
もし、自分でも原因がよくわからないけれど、仕事をしたくない、会社に行きたくないと感じる場合には、カウンセラーなどに話をして、「なぜ」という部分を掘り下げて考えるとよいでしょう。
引こもりについては以下のページに詳細に解説しています。
4.会社に行きたくない、仕事をしたくないときの心理学的な対処法
それでは、会社に行きたくない、仕事をしたくないと感じたときの対処法について、ご紹介します。
(1)現状を書き出して整理し自己分析する
会社に行きたくない、仕事をしたくないと感じたら、可能であれば、現状何かストレスになっていることはないか自分なりに振り返ってみましょう。
ひとりで行う場合には、まずは現在の状況を紙に書き出してみることが有効です。人は、頭の中で考えているだけでは、状況を整理したり、全体像を把握して状況を分析したりするのが難しいことがあります。まずは、紙やノートに会社に行きたくない、仕事をしたくないと感じるようになったのはいつ頃か、その前後でどのような変化があったのか、などを時系列で書き出してみましょう。
そして、現在抱えている業務について、最近の残業時間や働き方、職場の人も含めた環境変化など様々な観点でストレスになる可能性のある点を洗い出していきます。
この時系列と並行して、症状の経過を書き留めていきます。仕事やプライベートの変化と症状の変化を照らし合わせてみて、原因を推測するという方法です。
(2)心の病気になっていないか確かめる
生活全般にわたって症状があらわれている場合は、うつ病や過敏性腸症候群、パニック障害などの病気の可能性がありますので、早めに専門家に相談しましょう。そうはいっても、いきなり心療内科や精神科を受診するのには抵抗がある人が多いものです。
カウンセリングでは、最初に現在の状況や悩みを伺い、さまざまな心理検査を行うこともできます。病院に行った方がよいかどうかについても相談できます。
また、臨床心理士や公認心理師という資格を持っているカウンセラーなら守秘義務がありますので、会社での出来事も安心して話すことができるのもメリットです。
(3)ハラスメントなら社内の相談窓口に相談してみる
ハラスメントを受けていて、苦しくなっている場合は、職場の環境調整が必要になります。しかし、誰かに相談すると、自分の訴えが受け入れてもらえるだろうか、と不安になるかもしれません。そうした不安はりかいできますが、ひとりで我慢しているだけでは、なかなか状況は改善しませんし、エスカレートしていくこともあります。我慢し続けているうちに、あなたの心が限界を迎えてしまったら、生きることに疲れ果ててしまうかもしれません。
身近な同僚や先輩、上司などに相談するのもひとつです。それでも、改善が難しい場合や、身近な人にも相談できない場合は、ハラスメント相談窓口に相談してみましょう。匿名で相談できる場合もあります。
5.カウンセラーなどの専門家に相談する
「仕事をしたくない」「会社に行きたくない」などの気持ちになったら、それは心の悲鳴かもしれません。
怠けているのでは、と自分を責めてしまう人もいるでしょう。また、明確にハラスメントなどの原因がわかっている場合も、ひとりでは問題を解決するのが難しいケースもあると思います。ひとりで悩まず、カウンセリングでカウンセラーに話をして、自分の考えを整理したり、感情を表現したりすることにより、気持ちが楽になることが多いものです。
職場での悩みは、「評価に影響するかもしれない」とか、「信頼できる人に相談しても、相談したことが周囲に広まってしまうかもしれない」、「当事者に伝わってしまったらどうしよう」などと不安になってしまうのではないでしょうか。
カウンセラーには守秘義務があります。秘密が守られた環境で、本音で語ることにより、日ごろ表現できない感情を表現することができます。
「仕事をしたくない」「会社に行きたくない」と感じるときには、自分の気持ち、つらい状況について、カウンセラーに相談することにより、心が軽くなったり、問題解決の糸口をつかむことができるようになったりすることでしょう。
また、認知行動療法などの心理療法を受けることにより、状況の捉え方の幅を広げたり、行動することにより会社に行くことへの不安感や恐怖感をやわらげたりすることができます。認知行動療法は、さまざまな本が出版されており、ひとりで学ぶこともできますが、実際に自分の悩んでいる症状に対して使う場合には、カウンセラーに相談するのが最も有効です。
6.会社に行きたくないことを相談する
「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と感じたら、それはあなたの心の悲鳴かもしれません。一度、現状を見つめなおし、何が自分にとってストレスになっているのかを探りましょう。原因がわかっていても、ひとりで改善できない場合もあきらめず、自分の心の声を無視せず、カウンセラーなど守秘義務のある専門家に打ち明けてみましょう。
現状を放置していては、会社に行けなくなってしまったり、仕事が手につかなくなってしまったりして、将来にも影響してしまいます。安全な場で人に話すことで、心が軽くなったり、解決の糸口がつかめたりと状況を好転させることができるかもしれません。それに、カウンセリングで認知行動療法などの心理療法を受けることは、今の状態を改善するために非常に有効な方法です。カウンセラーに話すことで、自分の心の声に耳を傾けてみませんか。
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