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引きこもりから立ち直るきっかけとは?脱出できる人の特徴や方法を解説

私生活の不安や耐えがたい悩みなどにより、引きこもりになってしまう方は、全国にたくさんいます。しかし、その中には「今の状況から脱出したい」と思っている方も多いでしょう。

この記事では、引きこもりの現状を理解し、立ち直るためのきっかけや引きこもりから脱出できる方の特徴について紹介します。家族が行う社会復帰までのサポート方法なども説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.引きこもりの現状について

パジャマを着ている引きこもりの女性

まずは、日本における引きこもりの現状について見ていきましょう。

(1)引きこもりとは?

厚生労働省の資料によると、引きこもりとは、「さまざまな要因の結果として社会的参加を避け、原則6ヶ月以上家庭にとどまっている状態」だと定義しています。引きこもりになったきっかけは人それぞれで、例えば以下のようなものがあります。

  • 不登校
  • 受験
  • 就職活動
  • 仕事
  • 人間関係
  • 病気

1つの出来事が引きこもりのきっかけになっていることもありますが、複数の要因が絡み合って引きこもりになっている方もいます。

引きこもりについての詳細は以下のページをご覧ください。

(2)引きこもりの推計数は約100万人

日本ではどのくらいの方が引きこもりになっているのでしょうか。引きこもりの当事者は、全国に100万人ほどいるといわれています。内閣府の平成30年の「生活状況に関する調査」によると、15~39歳の引きこもりの男女比率は男性が76.6%、女性が23.4%で、男性の割合が高いです。

引きこもりの男女比

図1 引きこもりの男女比

引きこもりの期間は、3~5年が21.3%で最も多い結果になりました。さらに、40~64歳で7年以上の長期引きこもりの方は、全体の46.7%を占めています。

引きこもりの期間

図2 引きこもりの期間

引きこもりが長期化してしまい、いわゆる「8050問題」となってしまっていることもあります。引きこもりの「8050問題」については以下をご覧ください。

国も引きこもりについて深刻に捉えており、引きこもり支援として引きこもりに特化した相談窓口をすべての都道府県や指定都市に設置しました。また、社会参加に向けた支援などを行うために、市町村に引きこもりサポート事業を立ち上げ、引きこもりサポーターの派遣などを行っています。

(参考:生活状況に関する調査

(3)引きこもりの原因

引きこもりになってしまう原因は複数あります。それらの詳細については以下のページをご覧ください。

2.引きこもりから脱出できる人の特徴とは?

鞄を持つ女性

引きこもりの方に対して「怠けている」や「親が甘やかしている」などと誤解している方もいますが、引きこもりは誰にでも起こり得ることを忘れないでください。また、引きこもりの方も引きこもりの状態にあることを悩み、「今の状態から脱出したい」と感じている方は多いのです

実際に引きこもりの状態から脱出した方もたくさんおり、過去に引きこもり経験があった方の約7割が社会復帰しているという調査結果もあります。では、引きこもりから脱出できる人の特徴にはどういったポイントがあるのでしょうか。

(1)周囲に相談できる

引きこもりからの脱出に大切なことは、周囲に相談できる環境を整えることです。引きこもりの長期化を促すメカニズムを模式図にした「引きこもりシステム」というものがあります。通常であれば、個人と家族、社会が接点を持ちながらお互いの境界を保っています。

しかし、個人と家族の接点がなくなったり、家族と社会の接点がなくなったりすると、それぞれの範囲内で安定し、引きこもりシステムが作動するというわけです。

引きこもりシステムが作動してしまうと、引きこもり当事者と家族とのコミュニケーションが上手くいかなくなり、すべての行為をプレッシャーに感じてしまいます。ボタンの掛け違いで、お互いを思う気持ちを表現できなくなるというわけです。

つまり、自分の内にこもるのではなく、少しでも家族や社会と接点を持ちながら周囲に相談できる環境を整え、周囲に頼ると引きこもりから脱出しやすくなるでしょう

(2)引きこもりから脱出したい気持ちが強い

引きこもりから脱出したい気持ちが強い方は、社会復帰しやすい傾向にあります。たしかに、引きこもっている状態から社会復帰するのはとても勇気がいることです。

だからこそ、「現状を打破したい」と思いつつも、「またあの時のような思いはしたくない」という気持ちとの狭間で何度も揺れ動き、新しい一歩を踏み出せない状況なのかもしれません。

反対に、「社会復帰すればさまざまな人と関わるために、大変なことは必ずある」と受け入れ、社会復帰を強く望めば引きこもりの長期化は防げるでしょう。

(3)小さな成功体験を積んでいる

引きこもりの状態から急に明日から働くというのは当事者にとってかなりハードルが高いといえるでしょう。少しずつ小さな成功体験を積んでいくと自信がつき、引きこもりから脱出しやすくなります

例えば、家の周辺を散歩する、電車やバスに乗る、コンビニに行く、お店の人に話しかけてみるなどの経験を積むことがおすすめです。失敗しても心配はいりません。失敗したときは、できるまで続ければ良いのです。

自分のペースで少しずつできることが増えれば、自然と自信もついていくでしょう。

3.引きこもりから立ち直るきっかけとは?

落ち込む男性と慰めている女性

ここでは、引きこもりから立ち直ったきっかけについて紹介します。

(1)親との関係改善

引きこもりの状態から脱出させたい親の気持ちが大きすぎて、子どもを苦しめているケースもあります。また、親の価値観を子どもに押しつけていることで、子どもとの関係が悪化している場合もあります。

引きこもりから立ち直るためには、家族などの身近な人のサポートが必要です。子どもの引きこもりで悩んでいる場合は、子どもと話し合う時間を設け、子どもの気持ちや価値観を教えてもらうことが第一歩となるでしょう。

親の気持ちも理解できますが、子どもとの話し合いの際は、親の価値観を話したり押しつけたりしないでください

(2)友人や周囲の変化

引きこもりをしている間に友人が結婚したり、子どもが生まれたりすることで、引きこもりから立ち直る方もいます。「周りの友人は変化しているのに自分はずっと同じ」という焦りをきっかけにしているのです。

その他にも、兄弟が一人暮らし始める、親が定年退職するなどの周囲の変化によって、引きこもりからの脱出を考える方もいます。

(3)第三者の支援

「話しかけるといつもケンカになる」「どのようにアプローチしたら良いのかわからない」という場合は、第三者に相談するのもおすすめです。家族の場合、どうしてもお互い感情的になってしまうこともあるでしょう。

カウンセラーや引きこもり支援スタッフなどの第三者であれば、家族を気にせず自分の正直な気持ちを打ち明けられるメリットがあります。引きこもりが長期化している場合や見守りを1年続けている場合は、第三者に相談してみると良いでしょう。

4.家族が行う社会復帰するまでの手順

ステップと足

社会復帰にはさまざまなパターンがありますが、ここでは家族が行う社会復帰するまでの手順を紹介します。

(1)家族で話し合う

まずは「個人と家族」の接点を持ちましょう。その際は、引きこもり当事者の話に耳を傾けて共感の態度を示してください。実は、引きこもり当事者がかたくなに引きこもりを続けている背景に、家族からの傾聴や共感が少ないことも考えられるためです。

引きこもり当事者に対して指導や叱責をするのではなく、引きこもり当事者が安心して会話ができる環境作りをする必要があるでしょう。

(2)心療内科やカウンセリングを検討する

引きこもりは、うつ病などの精神疾患が原因になっていることがあります。この場合、治療によって引きこもりから立ち直れる可能性があるでしょう。引きこもり当事者が、自分で心療内科やカウンセリングを受けてみようと思うことは稀です。

家族がサポートしながら、心療内科やカウンセリングの受診を提案すると良いでしょう。もちろん精神疾患の可能性がない場合も、心療内科の受診やカウンセリングはおすすめ。家族に相談できないことを第三者に相談できるためです。

(3)一緒に小さな成功体験を作る

成功体験を作ると自分に自信がつき、次の行動を起こすきっかけにつながります。ただ、初めの一歩はとても勇気がいるため、家族が寄り添って、励ましながら小さな成功体験を作ることがおすすめです。

一緒に掃除をしたり、買い物に行ったりするだけでかまいません。目標を定めてスタートすることが大切なのです。

(4)ボランティアやデイケアなどに参加してみる

小さな成功体験が積み重なって自信が出てきたら、ボランティアやデイケアなどに参加してみましょう。引きこもりを対象にしたデイケアなどが精神科のクリニックや精神保健福祉センターで行われていたりします。少しずつ社会との接点を作ることで、本格的な社会復帰へとつながっていきます

就職のために資格を取得したり、アルバイトをしたりするのも良いでしょう。

初めはつまずいて、元に戻ってしまうこともあるかもしれません。しかし、そういったつまずきを繰り返し立ち上がっていくことで、体力や精神力が養われるのです。つまずいた際は、焦らずゆっくり見守りましょう。

(5)社会復帰後のサポート

本格的な社会復帰を果たしたあともサポートを忘れてはいけません。引きこもり当事者は、常に不安と闘っています。ちょっとしたきっかけで仕事を辞め、引きこもりに戻ってしまうケースもあるでしょう。

引きこもり当事者が安心できる居場所や相談できる環境を整え、長期的に見守ってあげることが大切です

5.まとめ:焦らず適切なサポートを提供することが大切

二人で楽しく会話する女性

引きこもり当事者だけの力で、立ち直るきっかけを作ることはなかなか難しいです。家族や第三者のサポートによって、引きこもりから脱出できる可能性は高まります。ただ、焦りは禁物です。まずは、引きこもり当事者が安心して話せる環境作りをするなど適切なサポートを提供するようにしましょう。

当オフィスでは、引きこもりケアの専門カウンセラーが在籍しております。ぜひお気軽にご相談ください。


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