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発達障害の感覚面のアセスメントと対応

耐えることしかできなくて

発達障害のある人の特性の一つに、日常当たり前に受ける刺激(音、臭い、味、温度、視覚など)の感じ方の違いが挙げられています。その感覚が過度に過敏であったり、反対に過度に鈍感であったりします。

ここではその感覚面について説明したいと思います。

1.発達障害とは

発達障害とは別のページでも説明していますが、生まれつき思考や行動、感情、知能などに偏りがある障害です。

発達障害の症状には、落ち着きがなく動き回ったり、人とのコミュニケーションがスムーズにいかなかったり、特定のことに強いこだわりを示したり、衝動的に行動してしまったりすることなどがあります。

発達障害をより詳しく知りたい方は以下のページでもまとめていますので、そちらを参考にしてください。

発達障害とは:原因、種類、特徴、症状、カウンセリングなどを解説
発達障害は、自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害、知的障害などの広範な遺伝的負因による障害です。発達障害は心と身体の成長や発達がうまく作動しなかったり、アンバランスになったりします。発達障害の原因、特徴、症状、治療、支援について解説します。

2.刺激の感じ方について

私たちは日常過ごしている中で様々な刺激を受けています。テレビなどの機械音、照明の明かり、部屋の匂い、温度など、これらは無意識に刺激として受け入れていると思いますが、これらの刺激を意識しても特に何とも感じないのではないでしょうか。時期によっては「雨の音が少しうるさいな」や「少し寒いな」と思うぐらいだと思います。

しかし、発達障害のある人はこの刺激の感じ方が定型発達の人とはだいぶ異なり、LED電球が「まぶしすぎる」と感じたり、人が多いところでは「ざわざわうるさい」と感じることがあります。また、他には「シャワーが痛い」と言う人もいます。その方曰く、桶などですくった水は体に面として当たるのに対して、シャワーの水は体に点として当たるので、痛いと感じるそうです。このように「痛い」や「まぶしい」などと比較的敏感に感じる傾向があります。

一方でコタツの中に足を入れていて火傷をするといった発達障害の方もいます。定型発達の人であれば、コタツの中が熱いと感じれば、足を出したり、コタツの温度を下げたりしますが、発達障害のある人の中には温度や痛みに鈍く、けがをしても中々気づかないといった方もいます。先ほどは感覚が敏感だったのに対して、感覚が鈍い方もいます。

これらは感覚過敏や感覚鈍麻と言われることがあり、感覚過敏と感覚鈍麻のどちらかを持ち合わせている人もいれば、過敏さや鈍感さの両方ある方もいるため、日常生活に支障をきたしやすいです。

3.感覚の種類

そもそも感覚については、皆さんご存じの「五感」があります。「五感」とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことで、これらは比較的自分でも意識しやすい感覚です。一方でほとんど意識せずに使っている感覚もあります。それは「平衡感覚(前庭感覚)」と「固有感覚(身体感覚)」と呼ばれるものです。

「平衡感覚(前庭感覚)」とは体がバランスをとる時に働く感覚で、姿勢のコントロールに関わっているといわれています。耳のなかにある三半規管や耳石器と呼ばれるところが刺激を感じる部位となって、重力やスピードを感知し、体のバランスを調節します。

「固有感覚(身体感覚)」とは関節をどれくらい曲げているか、筋肉がどれくらい張っているかを感じる感覚といわれています。これは筋肉の内部にあるところが刺激を感じ、自分の体の位置や動きを調節します。

なぜ、平衡感覚と固有感覚を挙げたのかは後程説明しますが、発達障害のある人の一見不思議な行動は平衡感覚や固有感覚の感じ方でつまずきが見られていることが多いようです。

4.感覚面のチェックリスト

それでは、感覚面のアセスメントの際に見るポイントを紹介したいと思います。敏感な感覚や鈍い感覚というのは誰しもが持っているものです。以下のエピソードに当てはまったからといって発達障害というわけではありません。

まずは簡単に以下のエピソードを読んで、「ある」か「ない」かにチェックをしてみてください。

感覚の種類質問あるない
視覚光が眩しい
蛍光色のものを見続けられない
暗いところが好き
光やカラフルな物をいつまでも見ているのが好き
探し物をうまく見つけられない
回っている物をいつまでも見ているのが好き
聴覚掃除機やドライヤーの音などで耳を塞がずにはいられない
人が一斉に話している場所が苦手
小さい音にもよく気付く
話しかけてもうわの空でいることが多い
話していると聞き返すことが多い
嗅覚混ざった匂いのする物や場所を嫌がる
特定の匂いによく気付く
周りが匂いについて話題にしていても匂いに気づかない
物や場所の近くまで行かないと匂いに気づかない
味覚混ざった料理は食べられない(カレーやスープなど)
触感が混ざると食べられない
辛い物など刺激的な味を好む
好き嫌いはないが、気に入ったものは1週間は続けて食べる
触覚人ごみを避ける
服のタグが嫌い
手が汚れたり、服が濡れるのを嫌がる
汚れているのに気づかない
人にべたべた触る
特定の物や生地をよく触る
痛みや温度に鈍い
平衡感覚足場が不安定な場所が嫌い
ブランコなど揺れる遊具は遊びたがらない
乗り物酔いをしやすい
じっとしないといけない場所や時でも体を動かしていたい
高いところからジャンプするのが好き
姿勢をまっすぐに保つのが苦手
固有感覚姿勢を変えようとしない
他人に体を動かされるのが苦手
人に触る時によく「痛い」と言われる
物を扱うのが雑(コップを置くときに大きい音をたてる)
合計得点:

いかがでしたでしょうか。

  • 合計得点が0点以上のプラスになっていれば感覚的に過敏なところがあるかもしれません。
  • 合計得点が0点以下のマイナスになっていた方は感覚的に鈍感なところがあるかもしれません。
  • 合計得点が0点前後であれば、感覚を感じる部位によって敏感さと鈍感さの両方を持ち合わせているかもしれません。

どなたでも上記のどれかのエピソードに当てはまると思いますが、発達障害のある人はその頻度や度合いが違い、日常生活を送るのにも不都合さを感じているようです。

今回感覚面のチェックリストをしてもらいましたが、発達障害のある人(特に幼児期・学齢期)の中にはじっとしているのが苦手という人が多いと思います。その背景には、実は前庭感覚や固有感覚の鈍さがあるのです。

平衡感覚や固有感覚の刺激を常に体に感じていないと気持ちが悪いので、自分で刺激を入れるために、高いところからジャンプをしたり、走り回ったりしているのです。本人は決してわざと注意されるためにしているのではなく、刺激を体に入れているだけなのです。

友達に「痛い」と言われてもその触り方をやめないのは、固有感覚が鈍くて、力のコントロールの仕方が自分ではわからないのです。

5.発達障害の感覚面への対応

感覚面のチェックリストやアセスメントを通して、敏感な感覚や鈍い感覚の整理がある程度できたと思います。それでは整理できたことからどのような対応ができるのかについて説明します。

(1)感覚の過敏さがある場合

基本的にはその刺激にそもそもさらさないといったことが必要です。「苦手な刺激でも何度も繰り返し感じさせていれば、その内慣れるだろう」は大きな間違いです。本当に小さい刺激から感じさせることで、慣れるということはあるかもしれませんが、非常に時間がかかりますし、限界がすぐに来ます。

例えば、隣の家や部屋からとても大きな音が夜通し鳴っていて、注意しに行ったら、その住人から「別にうるさくないでしょ、その内慣れるから我慢してよ」と言われて納得できるでしょうか。発達障害のある人は日常的にそのように言われているのです。

そもそもその刺激がなければ、問題なく過ごせることだってあるので、苦手な刺激にはさらさないというのが基本的な対応です。ただ、苦手な刺激にさらさない方法はその感覚を感じる部位や人によっても異なるので、一人一人に合わせて考えていく必要があります。学齢期・青年期の感覚過敏があるお子さんで、制服の素材が苦手で、不登校になるという例もあります。お子さんに合わせて柔軟に対応することが必要になっていきます。

(2)感覚の鈍感さがある場合

先ほどとは反対にその刺激を感じさせてあげることが必要です。ただ、それは周りの迷惑にならないような場所や時間を考慮する必要があります。

平衡感覚の鈍さがある方はどうしても体を動かしてしまいますが、動かしても良い時間や機会を作ってあげると少し落ち着きます。よくあるのは授業中にプリントを配ってもらうなどがありますし、大人の場合は自分で席を立つということもできます。

固有感覚の鈍感さがある人には、力加減を教えてあげる必要があります。例えば、マッサージをする人に「そこは軽く押すだけでも心地がよいです」「強く押してください」と言うように、「あなたの力加減は強い・弱い」というのを教えることが必要です。

6.発達障害の過敏さと鈍感さについて相談する

発達障害のある人の感覚面のアセスメントと対応について説明しました。発達障害のある人が日常どんな感じ方をしているのかは中々理解しづらいことだと思います。それでも、不思議な行動の背景には刺激の感じ方の違いが要因としてあるのだと思います。

成長するにつれて、刺激の感じ方も変わる方もいらっしゃるそうですが、大人になっても苦手なものは苦手という方も多いです。無理に苦手な刺激にさらさせないといった周りの配慮があることで、生活しやすくなる方もいます。また、より詳細に感覚面のアセスメントをしてほしいという方は専門家にご相談ください。

当オフィスでも発達障害の相談やカウンセリングをしています。ご希望の方は以下のページからお申し込みください。

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7.参考文献

【執筆者情報】

  • 北川 清一郎
  • 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士など
  • 所属学会:日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本EMDR学会、日本臨床心理士会、日本公認心理師協会など
  • 役職:神奈川県臨床心理士会代議員、日本臨床心理士会委員などを歴任
  • 経歴:精神科や心療内科、教育センター、児童相談所、就労支援施設などでの臨床経験は約20年になる。また、臨床心理系の大学などでの非常勤講師を歴任。執筆した論文は多数。メディアや雑誌での出演経験も豊富。
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