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愛着障害のカウンセリング・相談

失われた愛情をめぐって

愛着障害とは、養育者との間で適切な愛情や接触、コミュニケーションなどが充分ではなかったり、反対に過度であったりすることで、対人関係や恋愛関係、職業生活などに支障をきたすことをさします。

その愛着障害の原因、特徴、克服方法、治療方法、カウンセリングなどについて解説しています。

1.愛着障害とは

シャボン玉をとばす子ども

愛着障害とは、発達早期に養育者との愛着形成不全から起こる行動上、対人関係上の障害です。虐待や両親の離婚、養育者交代をはじめとした養育困難の経験により、他者と親密で安定した関係が築きにくかったり、自分の気持ちを伝えたり、助けを求めたりすることが苦手であったりすることがみられます

愛着障害には反応性愛着障害(人と関わりを求めないタイプ)・脱抑制性対人交流障害(誰にでも関わろうとするタイプ)の2つがありますが、根本は愛着対象となる存在の不在があげられます。

発達早期の情緒的な養育の重要性は戦後の孤児院研究などから注目されてきており、ルネ・スピッツのホスピタリズムの研究や、ジョン・ボウルビィのアタッチメントの研究があります。特にジョン・ボウルビィは愛着(Attachment)という言葉を心理的な意味で初めて用いてきたという経緯があります。

愛着障害は5歳以前にみられるものとされていますが、大人の愛着障害についても近年は注目されてきています。行動傾向は発達障害と似ていますが、治療を通して過去の親子関係、人間関係を見つめなおしたり、親しい人との関係を築きなおしたりしていくなかで回復が見込まれます

また複雑性PTSDというものがあり、これは愛着障害と関連していると言われています。複雑性PTSDについては以下のページをご参照ください。

複雑性PTSDのカウンセリング・相談
複雑性PTSDとは長期にわたるトラウマによって生じる精神障害の一つです。PTSDの症状の他に、自己組織化の障害という症状があります。複雑性PTSDの治療には認知行動療法やEMDRなどがあり、それによって改善していくことができます。

2.反応性愛着障害

横たわる女の子

(1)反応性愛着障害の症状や特徴

不安や苦痛を感じた時、通常であれば保護者や頼れる人に愛着を示し、保護を求め、接触しようと試みます。しかし、反応性愛着障害では、そうした努力はしないばかりか、その苦痛を表現することもあまりしません。接触を試みることはせず、感情や情動の表現は非常に少なく、時には全く無反応であることもあります

一人になっても周りに対して無関心で、もくもくと一人遊びをし続けます。また迷子になったり、置いてきぼりにされても泣いたり、探し回ったりすることもせず、ただぼんやりしているだけのことが多いです。

(2)反応性愛着障害と間違われやすい障害

自閉スペクトラム症(ASD)では、他者に対する無関心や社会的交流の乏しさなどが顕著にみられます。こうしたことは反応性愛着障害の症状と非常に似通っており、判別は困難な場合もあります。判別の目安としては、生育歴の詳細な聴取を行い、興味の限局や強迫的なこだわりなどの有無などがあるでしょう。

自閉スペクトラム症についての詳細は以下のページをご参照ください。

自閉スペクトラム症(ASD)のカウンセリング・相談
自閉スペクトラム症とは、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害、感覚過敏などの特徴をもつ発達障害のなかの一つです。

(3)反応性愛着障害の原因

反応性愛着障害の原因となりうるものは多数あります。

  • 養育環境の不十分さ
  • 養育者との接触の少なさ
  • 両親の不仲
  • 両親の離婚
  • 養育者との早期の離別
  • 養育者との早期の死別
  • 兄弟姉妹の間の極端な養育上の差別
  • 称賛や褒めるなどの極端な少なさ

上記のようなことなどが愛着障害の原因と言われています。つまり、生得的・遺伝的な要因ではなく、環境的な要因が強く影響していることは明白です。

また、この中でも反応性愛着障害の場合には、学習性無気力が関係していると言われています。何度も頑張っても良い反応が得られないとやる気をなくし、無気力になるというものです。反応性愛着障害は何度も養育者に対して愛着を向けても、養育者から適切な愛着を返してくれない時、幼児は諦め、やる気をなくし、無気力になってしまいます。それが反応性愛着障害の症状となってしまいます。

(4)反応性愛着障害の相談と治療

a.子どもに対して

反応性愛着障害の子どもと接しても、こちらを無視して、一人で遊んだりすること局面が多いかもしれません。そうした時には、過度ではない程度に、話しかけたり、関わったり、横から遊びを手助けしたりすると良いでしょう。

はじめはそれでも無関心かもしれませんが、徐々にそれを続けていくことにより、関心を向けてくれるようになるでしょう。つまり、子どもは徐々に反応のある生きた人間として見てくれるようになります。

また、当然ですが、安全基地としての役割を担い、安全や安心を保証し、何をやっても大丈夫という感覚を持ってもらうように援助していきます

b.親に対して

反応性愛着障害の子どもを持つ親はどちらかというと、子どもに関心をあまり向けず、関わり方も少なかったりします。

こうした親の姿勢を咎めることはほとんどが効果がありません。それよりも、親の姿勢や態度、行動を一度は承認し、そうなっている理由や事情を理解することが必要です。もしかしたら、親自身がその親から同じような養育を受けてきたことが原因になっていることもあるかもしれません

その上で、子どもと親との関係性やどういったことが必要になってくるのかを親が受け取れる範囲で説明し、親自身の行動を増やしていけるように援助していきます。その際、できなかったことを責めるのではなく、小さくても出来たことを称賛し、その行動が良い結果になっていることを逐一伝えていくと良いでしょう。

こうした積み重ねが親の行動を変化させ、子どもに対して少し積極的になっていくことができます

3.脱抑制性対人交流障害

太陽を背にする姉妹

(1)脱抑制性対人交流障害の症状や特徴

脱抑制性対人交流障害は反応性愛着障害と全く反対に、過剰に人に接触し、べたべたし、馴れ馴れしく接します。それも全く見知らぬ人や普段は会わない人に対してもこのような行動をとります

無差別に愛着行動を示し、他者の注意を引くために、大袈裟な行動や振る舞いをします。しかし、一方で他者と協調的に、協同的に行動することができず、コミュニケーションや対人交流はむしろチグハグです。そして、時には暴力的で、衝動的な行動を突発的にしてしまうこともあります。

(2)脱抑制性対人交流障害と間違われやすい障害

こうした症状や特徴は注意欠陥多動性障害と似ています。一見すると落ち着きがなく、慌ただしく、ちょっとしたことで癇癪を起し、パニックになります。

しかし、よくみると、そのほとんどの症状は対人関係上のことをきっかけに起こっているのが脱抑制性対人交流障害です。注意欠陥多動性障害では対人関係のこと以外でもこうしたことが起こるので、そこが鑑別のポイントとなるでしょう。

注意欠陥多動性障害については以下のページに詳しく書いていますので、ご覧ください。

注意欠陥多動性障害(ADHD)のカウンセリング・相談
注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは不注意、衝動性、多動性の問題をもつ発達障害の中の1つです。注意欠陥・多動性障害は脳機能の障害であり、能力のアンバランスが特徴です。落ち着きなく動き回ったり、落とし物や忘れ物が多いなどの症状があります。

(3)脱抑制性対人交流障害の原因

反応性愛着障害と同じく、養育者との関係や養育環境が主な原因となります。

  • 養育者からのさまざまな虐待
  • 厳しい躾けや養育
  • 過度に刺激が多い家庭環境
  • 干渉的な育児
  • 養育者が非常に感情的

上記のようなことが脱抑制性対人交流障害の原因となります。反応性愛着障害の原因と比較すると、刺激が強く、過度に干渉的であることが特徴です。

(4)脱抑制性対人交流障害の相談と治療

a.子どもに対して

脱抑制性対人交流障害の子どもは過度に引っ付いてきたり、感情的になって、時には物を壊したりします。そうしたとき、まずこちらが感情的にならず、冷静に対応することが必要になります。また、試し行動にようにイタズラや悪さをすることもあるかもしれません。その時にも不要に責めたり、叱責するのではなく、子どもをなだめて、諭すようにすると良いでしょう

そのように、子どもは怒られない、責められないということが徐々に理解していくとかなりの程度、落ち着いていきます。それが子どもにとっては、この人は大丈夫だ、という安心感を持つようになります。いわゆる安全基地として機能しはじめます。

b.親に対して

脱抑制性対人交流障害の子どもの親はどちらかというと感情的で、養育も干渉的だったりします。時には暴力を用いて子どもに接することもあります。そうした状況を見ると、どうしても親を責めてしまいたくなってしまいます。しかし、責めても事態は変わりませんし、むしろ孤立させ、悪化させてしまうだけでしょう。

ですので、親の振る舞いを責めるのではなく、親自身が苦しんでいることや困っていること、悩んでいることに焦点を当てると良いでしょう。もしかしたら、親自身も何とかしたいと思っているけど、それが思うようにいかず、イライラしてしまい、つい手が出てしまっているだけかもしれません

子どもがどういう状態なのか、なぜ子どもがそうした行動を取るのか、などについて説明し、別のもっと効果的な関わり方を教え、それを実践してもらうように援助すると良いでしょう。

こうした関りが親との信頼関係を育て、ひいては親が子どもとの関係の再構築をしていけるようになるでしょう。

4.大人の愛着障害

泣いている女性

反応性愛着障害と脱抑制性対人交流障害は両方とも5歳以前の幼児にしか診断はされません。ですので、大人に対してはこの2つの診断はつけることはできません。しかし、この2つの愛着障害に気付かれないまま大人になり、愛着障害的な問題や課題を抱えている人は多くいることでしょう。

大人の愛着障害の場合にも、対人関係が極端に乏しいか、極端に近づきすぎるかをしてしまいます。また、自信や自尊心を持つことができず、いつも自己否定したり、びくびくしてしまったりしてしまいます

(1)大人の愛着障害の症状や特徴

幼少期の愛着障害に気づくことができず症状が改善されないまま、大人になってから対人関係や仕事等の社会生活に悩む人も多く、このようなケースを大人の愛着障害と呼びます。

大人の愛着障害は、他者と信頼関係を築くことが苦手になり、自分に自信がないことや感情のコントロールができない特徴も見られます。対人関係が極端に乏しいか、極端に近づきすぎるかをしてしまいます。また、自信や自尊心を持つことができず、いつも自己否定したり、びくびくしてしまったりしてしまいます

まとめると、大人の愛着障害には以下のような特徴があります。

  • 他者を信用できず、人を極端に避けたり接近したりして適度な距離がとれない
  • 親や養育者を恨んだり、極端に人の顔色を窺ったりしてしまう
  • 自分に自信をもてず、傷つきやすい
  • 全か無かの思考になりやすい
  • 自己肯定感が低い
  • 物事において自ら決断することができない

大人になってこのような特徴がみられ、子どもの頃の養育者との情緒的関わりの乏しさや虐待体験、両親の不仲等のエピソードもみられると大人の愛着障害の可能性があります。

(2)大人の愛着障害と間違われやすい障害

大人の愛着障害はうつ病、不安障害等の二次的な障害につながりやすい特徴もあります。また、人との距離の取り方が極端に近かったり、遠かったりするなどは発達障害とも間違われやすいです。

特に、衝動性や情緒不安定さ、対人関係で非常に密着した距離の取り方などは以下のパーソナリティ障害とも混同されてしまうこともあります。

パーソナリティ障害のカウンセリング・相談
パーソナリティ障害に対するカウンセリングを当オフィスで受けることができます。パーソナリティ障害、特に境界例・境界パーソナリティ障害について説明しています。カウンセリングのプロセスが非常に困難になることが多いですが、それなりの対応をすることも改善も見られます。

(3)大人の愛着障害の原因

大人の愛着障害は、幼少期における親からの養育やコミュニケーション等が不十分または過度であることが原因です。幼少期に親等の養育者との間で適切な愛着の形成ができず、それが幼少期に解決できず、大人になるまで問題を持ち越してしまっていることも原因と言えます。

(4)大人の愛着障害の相談と治療

a.大人の愛着障害の治療

愛着障害というと、幼少期における養育者との愛着形成の不十分さを補うために、実の親との愛着形成のやり直しや育て直しのような体験を要するイメージがあるかもしれません。しかし、そうではなく、現在の友人や恋人、パートナーと親密な関係を築き、心の拠りどころをもつことで克服が可能です

大人の愛着障害は対人関係に優劣を感じ、自己評価が低いことも多いため、肯定的受容の性質をもつカウンセリングも有効です。

カウンセリングでは「良い人」を演じやすい傾向がありますが、悲しみや怒り等ネガティブに渦巻く感情を扱っていくことが大人の愛着障害克服のポイントでしょう

b.大人の愛着障害への接し方

大人の愛着障害の人は、過去の養育者とのコミュニケーションの過不足が背景にあると気付かず、現在の対人関係で「人とつながれていない気がする…」、「関係が上辺な気がする…」と悩むことが多いでしょう。

大人の愛着障害の人は、表面的には良好な対人関係をもつ人もいますが、顔で笑って心で泣く傾向があります。

そのため、本人が今困っていることや本当はどう感じているかを聞いてみてください。友人や恋人、パートナーであれば、時にはぶつかったりネガティブな思いも受け止めてあげたりして、より親密な関係を築くことができると大人の愛着障害の克服につながります。お互いに信頼し合えるように対等に接し、本音を話し合える関係性を築いてみましょう

また、家族が関わるときは、本人を否定せずに少しずつ気持ちを聴いてあげる関わりが大切になります。

c.本人が気をつけられること(恋愛編)

恋愛関係では恋人やパートナーと通じ合いたいと思いながら、繋がれない孤独さを感じたり、接近しすぎて相手を困らせたり、自己評価の低さから相手を試して振り回したりしてしまいます。

大人の愛着障害は幼少期の養育者との関係性が繰り返されている可能性が高いです。そのため、まずは子どもの頃の関係性を振り返り、自分の対人関係パターンを知りましょう。そして、過去と現在の関係性を切り離した関わりを意識してみてください

今まで感情に蓋をし続けてきたのであれば相手に素直になり、人を信用できないと疑ってきたのであれば、思い切って「この人なら信頼できるかも」と現在の関係性に注意を向けてみることが大切です。

c.本人が気をつけられること(仕事編)

仕事の付き合いで「職員との距離感が分からない」、「顔色を窺いすぎて疲れる」等コミュニケーションに悩むことも多いでしょう。

大人の愛着障害の人は自己否定の強さから被害的になったり、他者に過剰にへりくだる行動をとったりしやすいです。それでは余計に対人関係への苦手意識が強まるため、無理に関わろうとせずにあえて人と距離を置くことや相槌だけでやり過ごす関わり方も身に着けてみましょう

d.大人の愛着障害克服のために

大人の愛着障害の原因として、幼少期の愛着の未形成は大きな関係がありますが、幼少期の養育者との関係にこだわりすぎてはいけません。

当時の自分の苦しみを養育者に理解してもらったり、養育者の価値観を変えたりすることは難しく、やり直しもできません。それらに失望して、落ち込むことで、対人関係の構築や維持はより困難になる場合もあります

振り返りは確かに大切な作業ですが、過去を客観視し、過去に意味づけすることで体験の捉え直しもできます。

1人で悩まず、カウンセラーや信頼できる身近な人と共に、過去を整理しつつ現在の悩みの改善を進めましょう。

5.愛着障害に対する誤った治療法

男女のカップル

一昔前ですが、育てなおし・抱っこ療法などというものが流行ったことが一時期あります。簡単に言うと、子どもの頃に愛情が少なかったから、それを取り戻すために子どもにするような世話や抱っこを大人のクライエントに施すという方法です。今でもそういうことを本気で必要と思っている方もおられるかもしれませんが、ほとんどの場合、失敗に終わっているようです

時にはクライエントに性的接触をした、ということで訴訟にもなった事例もあります。成人の女性を成人の男性が抱っこするのですから、そのようなことが当たり前ですが起こります。

心理学・発達心理学の専門用語に「臨界期」というものがあります。簡単にいうと、発達過程の中で学習できなくなってしまう時期をさします。例えば言葉の習得であれば3〜4歳程度と言われており、その時期までに言葉が習得できないと、後々に習得することは難しくなります。

愛情にも、このような「臨界期」があるのかもしれません。子どもの頃に愛情が得られなかったからといって、大人になって同様の愛情を与えることで健康になる、というのはなかなか難しいのかもしれません。

当オフィスではこうした誤った治療法である育て直し・抱っこ療法はもちろん行っておりません。愛着障害の治療やカウンセリングには、科学的に検証された認知行動療法やEMDR、親支援などを行っています

6.愛着障害を克服するための相談先

空を仰ぐ女性

愛着障害とは何か、愛着障害の原因や特徴、治療法、カウンセリングなどについて網羅的説明しました。

愛着障害の人は非常に過酷な人生を背負っており、そのことが現在の社会生活や人間関係に影を落としてしまっています。それは死ぬほどの苦痛な体験であると思います。こうした愛着障害の苦痛が少しでも緩和されるために、ここで書かれた説明や治療法が役に立つことができればと思います

そして、専門家の力を借りて愛着障害を克服したいと思われる方は、当オフィスにお問い合わせください。臨床心理士によるカウンセリングで支援をしたいと思います。

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