脱抑制性対人交流障害とは
愛着障害の一つである脱抑制性対人交流障害の特徴、原因、治療などについて解説します。
目次
1.脱抑制性対人交流障害とは
脱抑制性対人交流障害は反応性愛着障害と全く反対に、過剰に人に接触し、べたべたし、馴れ馴れしく接します。それも全く見知らぬ人や普段は会わない人に対してもこのような行動をとります。
無差別に愛着行動(アタッチメント)を示し、他者の注意を引くために、大袈裟な行動や振る舞いをします。しかし、一方で他者と協調的に、協同的に行動することができず、コミュニケーションや対人交流はむしろチグハグです。そして、時には暴力的で、衝動的な行動を突発的にしてしまうこともあります。
2.脱抑制性対人交流障害と間違われやすい障害
こうした症状や特徴は注意欠陥多動性障害と似ています。一見すると落ち着きがなく、慌ただしく、ちょっとしたことで癇癪を起し、パニックになります。
しかし、よくみると、そのほとんどの症状は対人関係上のことをきっかけに起こっているのが脱抑制性対人交流障害です。注意欠陥多動性障害では対人関係のこと以外でもこうしたことが起こるので、そこが鑑別のポイントとなるでしょう。
注意欠陥多動性障害については以下のページに詳しく書いていますので、ご覧ください。
3.脱抑制性対人交流障害の原因
反応性愛着障害と同じく、養育者との関係や養育環境が主な原因となります。
- 養育者からのさまざまな虐待
- 厳しい躾けや養育
- 過度に刺激が多い家庭環境
- 干渉的な育児
- 養育者が非常に感情的
上記のようなことが脱抑制性対人交流障害の原因となります。反応性愛着障害の原因と比較すると、刺激が強く、過度に干渉的であることが特徴です。
4.脱抑制性対人交流障害の相談と治療
(1)子どもに対して
脱抑制性対人交流障害の子どもは過度に引っ付いてきたり、感情的になって、時には物を壊したりします。そうしたとき、まずこちらが感情的にならず、冷静に対応することが必要になります。また、試し行動にようにイタズラや悪さをすることもあるかもしれません。その時にも不要に責めたり、叱責するのではなく、子どもをなだめて、諭すようにすると良いでしょう。
そのように、子どもは怒られない、責められないということが徐々に理解していくとかなりの程度、落ち着いていきます。それが子どもにとっては、この人は大丈夫だ、という安心感を持つようになります。いわゆる安全基地として機能しはじめます。
(2)親に対して
脱抑制性対人交流障害の子どもの親はどちらかというと感情的で、養育も干渉的だったりします。時には暴力を用いて子どもに接することもあります。そうした状況を見ると、どうしても親を責めてしまいたくなってしまいます。しかし、責めても事態は変わりませんし、むしろ孤立させ、悪化させてしまうだけでしょう。
ですので、親の振る舞いを責めるのではなく、親自身が苦しんでいることや困っていること、悩んでいることに焦点を当てると良いでしょう。もしかしたら、親自身も何とかしたいと思っているけど、それが思うようにいかず、イライラしてしまい、つい手が出てしまっているだけかもしれません。
子どもがどういう状態なのか、なぜ子どもがそうした行動を取るのか、などについて説明し、別のもっと効果的な関わり方を教え、それを実践してもらうように援助すると良いでしょう。
こうした関りが親との信頼関係を育て、ひいては親が子どもとの関係の再構築をしていけるようになるでしょう。
5.愛着障害についてのトピック
愛着障害についてのいくつかのトピックです。さらに詳細に知りたい方は以下をご覧ください。
6.脱抑制性対人交流障害について相談する
脱抑制性対人交流障害についての解説をしました。こうした問題があると、人間関係が非常に難しくなったり、生活を送ることが困難になってしまったりします。また、時には犯罪に巻き込まれてしまったりすることもあります。
愛着障害について相談したり、カウンセリングを受けたりすることで、生活や人間関係が少し楽になります。カウンセリングや相談をご希望の方は以下からお申し込みください。