コンテンツへ移動 サイドバーへ移動 フッターへ移動

愛着障害の診断

愛着には4つのパターンもしくはスタイルがあることが分かっています。そのスタイルを測定するのがストレンジ・シチュエーション法とAAI(成人用アタッチメント面接 Adult Attachment Interview)です。

ここではこの2つの愛着もしくは愛着障害の診断方法について書いています。

1.ストレンジ・シチュエーション法

愛着を探る2

(1)ストレンジ・シチュエーション法の手順

ストレンジ・シチュエーション法(SSP)とはエインズワースが開発した、乳幼児の愛着を測定する実験的な方法です。以下のような一定の手続きを経て、乳幼児がどのような反応を示すのかによって愛着のスタイルを測定します。

  1. 母親と乳幼児が部屋に入室する
  2. 部屋で3分、遊ぶ
  3. 見知らぬ人が入室し、3分それぞれの椅子に座る
  4. 母親が退室し、乳幼児は見知らぬ人と一緒に3分いる
  5. 見知らぬ人は退室し、交代で母親が入室し、3分遊ぶ
  6. 母親が退室し、乳幼児は1人で3分過ごす
  7. 見知らぬ人が入室し、3分過ごす
  8. 見知らぬ人が退室し、交代で母親が入室すし、3分遊ぶ

この8つの流れの中で乳幼児がどのような反応を示すのかを観察・記録します。

以下の動画は実際の様子です。英語ですので分かりにくいかもしれませんが、雰囲気は分かるかと思います。

(引用文献:Ainsworth, Blehar, Waters, & Wall. Patterns of attachment: A psychological study of the strange situation. Hillsdale, NJ:Erlbaum,1978.)

(2)ストレンジ・シチュエーション法からの愛着スタイル

ストレンジ・シチュエーション法で記録された結果は先ほどの自己の内的作業モデルと他者の内的業モデルと、それぞれが肯定的・否定的という2つの軸から理解していきます

内的作業モデルを軸にした愛着スタイル

図1 内的作業モデルを軸にした愛着スタイル

(a)安定型

母親が退室すると不安や混乱を示しますが、戻ってくると身体接触を求め、安定します。

(b)回避型

母親が退室しても不安や混乱を示さず、見知らぬ人が入ってきても無反応です。母親が戻ってきても愛着を示しません。

(c)葛藤型

母親の退室に強い葛藤を示し、また母親が戻ってきた時には怒りを母親にぶつけます。

(d)無秩序型

静かにしていたと思ったら、急に暴れ出したりするなど、無秩序で、一定の反応を示しません。

(参考文献:Main & Solomon. Discovery of an insecure-disorganized/disoriented attachment pattern: Procedures, findings and implications for the classification of behavior. In T. B. Brazelton,& M. Yogman,Affective development in infancy.Norwood,NJ:Ablex. 1986.)

(3)愛着スタイルの割合と文化差

表1 愛着スタイルの割合と文化差

安定 回避 葛藤
日本 68.33% 0.00% 31.67%
スウェーデン 74.51% 21.57% 3.92%
イスラエル 56.63% 8.43% 33.73%
イギリス 75.00% 22.22% 2.78%
ドイツ 32.65% 48.9% 12.24%
オランダ 5.85% 34.15% 0.00%
アメリカ 66.04% 21.70% 12.26%

これを見ると、日本では安定型が圧倒的に多く、その次に葛藤型となっています。回避型は0%という結果のようでした

(引用文献:Thompson. Early sociopersonality depelopment. In W.Damon & N.Eisenberg, Handbook of child psychology, 5th ed., Vol.3. Social, emotional, and personality development. NJ:John Wieley & Sons, Inc, 1998.)

2.成人用アタッチメント面接(AAI)

愛着を探る3

ストレンジ・シチュエーション法は主に乳幼児のために開発された愛着スタイルの測定方法で、成人は対象外でした。そこで、マインらは成人の愛着スタイルを測定するために成人用アタッチメント面接(AAI)を開発しました。

(1)成人用アタッチメント面接(AAI)の手順

成人用アタッチメント面接(AAI)では1時間程度の半構造化面接で実施する方法です。その中で以下の15項目の質問に口頭で回答してもらい、それを分析します

  1. まず、あなたの子供時代の家族構成、どこにお住まいになっていたか等からお話していただけますか?
  2. あなたの小さい頃の御両親との関係をできるだけ小さいころにさかのぼってお話していただきたいのです。
  3. 子ども時代の(母/父)との関係を描写するような言葉を5つ教えてくだい。
  4. 私が、それらを書きとめ、その後どうしてその言葉を選んだのかについてエピソードなどをお尋ねします。
  5. ご両親のどちらにより親近感を持っていましたか。また、それはどうしてですか。
  6. あなたが感情的に混乱した時、あなたはどのようにしましたか。また、どうなりましたか。特に思い出すエピソードはありますか。けがをしたときは。病気のときは。
  7. 両親と最初に離れたときのことを覚えていますか。
  8. 子ども時代、両親から拒絶されたと感じたことはありますか。そのとき、あなたはどのようにしましたか。両親は、子どもを拒絶したと自覚していたと思いますか。
  9. 両親に、恐らくしつけのためか或いは半分冗談で、脅されたことなどありましたか。
  10. 御自分の御両親との全般的な経験が今の御自分にどのような影響を与えたと思われますか。子供時代の経験がご自分の成長の過程において何らかの否定的な影響を及ぼしたと思われた事などありますか。
  11. 子ども時代、両親がそのようにふるまったのはどうしてだと思いますか。
  12. 子供の頃に、親のように慕っていた他の大人の方はいましたか。
  13. 子供の頃に、御自分の親か他の家族の一員、例えば兄弟とか他の近しくしていた親戚がお亡くなりになった経験はありましたか。
  14. 子供時代の頃と比べて、御両親との関係にいろいろと変化があったと思いますか。
  15. 現在のあなたと両親との関係はどのようなものですか。

(注)この15項目以外にも回答者の反応に応じて、追加の確認項目などがあります。

(引用文献:上野永子(2010)Adult Attachment Interview の臨床への適用とその展望. 関西学院大学人文論究 59巻4号 pp164-180.

(2)成人用アタッチメント面接(AAI)における愛着スタイルの分類

成人用アタッチメント面接(AAI)の結果から導き出される愛着スタイルの分類は図2のようになります。

AAIによる愛着スタイルの分類

図2 AAIによる愛着スタイルの分類

ストレンジ・シチュエーション法と成人用アタッチメント面接を比較すると、安定型は同じで、葛藤型はとらわれ型、回避型は軽視型、無秩序型は未解決型に相当します(表2)。

表2 SSPとAAIの分類の違い

ストレンジ・シチュエーション法 成人用アタッチメント面接
安定型 安定型
葛藤型 とらわれ型
回避型 軽視型
無秩序型 未解決型

3.愛着の問題について相談する

愛着を探る4

両手法から導き出される結果の内、無秩序型と未解決型に分類される人は多種多様な問題を引き起こします。これが即、愛着障害になるのかは議論がありますが、かなり近い関係にあると思います。

こうした愛着障害についての詳細は以下のページをご覧いただけたらと思います。

また、こうした愛着障害について相談したい、カウンセリングを受けたい方は以下の申し込みフォームからご連絡ください。