寂しがり屋の心理や特徴、その克服方法とは?【愛着障害かも】
「寂しい」とは、対人関係の中で誰もが経験しうる感情の1つですが、過度な寂しさは自分自身や他者を不安にさせてしまいます。過度な寂しさは親しい友人関係や恋愛関係で生じやすく、人間関係を依存的にして自立を阻害する場合もあるでしょう。
今回は、寂しがり屋の特徴や心理、寂しがり屋と関連のある愛着障害とその克服について解説します。自分の過度な寂しがりを克服して自立したい人や、恋人の過度な寂しがりからくる試し行動に困っている人は、本記事を参考にご覧ください。
目次
1.寂しがり屋の特徴
寂しさは、彼氏・彼女と別れたときや楽しい時間が終わったときなど、ふとした瞬間に感じる気持ちであり、誰もが経験する感情です。
どんな人でも生じうる感情ですが、寂しがり屋な人の場合は、常に寂しいという感情に支配されていると言えます。寂しがり屋の心はいつも満たされておらず、常に誰かとつながっていることで安心感を得ようとする特徴があります。また、自分の気持ちを素直に相手に伝えられず抑制しすぎてしまうことで、人とつながれた感覚をもてない特徴も見られます。
これらの特徴をもつ人は、自分の中で心の安全基地が十分に形成されていない可能性が考えられます。
2.寂しがり屋の心理
寂しさは恋人等の親しい相手に強く感じ、愛情の確認や自分の気持ちを満たすために試し行動として彼氏・彼女を巻き込んでしまう場合があります。
寂しがり屋には、以下のような心理が考えられます。
(1)自己肯定感が低い
寂しがり屋の人は自己肯定感が低い場合が多く、自分に自信をもてない傾向があります。
自己肯定感が低いと、恋愛関係では「こんな自分は愛されないかもしれない」、「自分には魅力がないかもしれない」等と自己否定をし、恋人の思いを素直に受け取れず心に穴が開いたような虚しさを抱きやすいです。
(2)見捨てられ不安がある
恋人関係で特に寂しがり屋な人は、「恋人に見捨てられるのではないか?」と見捨てられ不安を常に感じている可能性があります。恋人の何気ない言葉や返事の遅れに対してネガティブに考え込んでしまい、恋人に依存した関わりや自分を傷つけることで関心を引く等の試し行動が生じやすいです。
また、寂しがり屋の背景には孤独の感じやすさがあり、常に恋人と一緒にいたり連絡を求めたがったりして、彼氏・彼女を困らせてしまう場合もあります。
(3)他者評価を気にしやすい
寂しがり屋の中には、周りから自分がどう見られているのかを気にして、他人から良い評価を得るために自分の気持ちを抑制する人もいます。
人の顔色を窺いすぎてしまうため、恋人から良く思われたいあまりに本音を話せず、「付き合っているのに心がつながれない」という寂しさを抱えやすいです。
3.寂しがり屋と愛着障害
恋愛等の親密な人間関係において過度に寂しがり屋な人の背景には、愛着障害が潜んでいる可能性があります。愛着障害の人は、幼少期より親等の養育者との関係の悪さから大切にされた感覚が乏しく、大人になっても人との適切な距離感が分からず対人関係に悩むことが少なくありません。
恋人やパートナーとどう接すればいいか、どのように愛せばいいかが分からず、しばしば高圧的な態度で接したり、へらへらと恋人の言いなりになったりしてしまう特徴があります。
子どもの頃に他者を信頼できず、愛着形成が不十分な人は、過度な寂しさに対処するために試し行動をせざるを得ないのかもしれません。
愛着障害についての詳細は以下のページをご覧ください。
4.愛着障害の寂しがりの克服方法
まず、寂しがり屋の克服とは、「寂しくならないこと」ではありません。寂しいという感情は1人になったとき、心細くなったとき等の自然な感情です。
過剰なまでの寂しがりから恋人に試し行動をとって困らせたり、ネガティブな行動や認知に偏ったりして日常的に困る場合は寂しさと向き合ってみましょう。愛着障害の寂しがりの克服には、安心・安全な感覚を得ることが手掛かりになります。
(1)今の自分を認める
愛着障害の人は自尊心や自己評価が低く、「こんな自分は愛されない」と自己否定をしやすいですが、まずは今のありのままの自分を認めてみましょう。
周囲の人は、否定をせずに本人の気持ちを聴く姿勢が大切になります。否定ではなく寂しくなる自分を認めることで、寂しすぎる感情の支配から抜け出しやすくなります。
(2)認知を変える
寂しがり屋な人は、1人でいることや周りに合わせないことをネガティブに捉えすぎる傾向がありますが、それらは決して悪いことではありません。趣味等で1人の時間を楽しんだり、周りの意見も聞きつつ自分の気持ちも言って良いのだと思ったりして認知を変えてみましょう。
恋人がネガティブな考えで偏っている場合は、新しい考え方を共有してネガティブ思考を緩める促しも大切です。寂しいことについての認知を変えることで、試し行動を減らし、安心感を得ていくことも可能です。
そして、これを専門的に行うことを認知行動療法を言います。認知行動療法はセルフでできる面もありますが、やはり臨床心理士などの専門家と一緒に取り組むことが望ましいです。認知行動療法の詳細については以下のページをご覧ください。
(3)線引きをする
愛着障害の寂しがり屋な人の場合、自己否定をしたり、他人と比較して自分や他人の悪いところにばかり目がいきやすくなります。悪い部分への注目は自分の心を不安定にするため、良い面も見出すことで人の良い面と悪い面に柔軟に折り合いをつけてみましょう。
また、親等の過去の愛着関係を現在の恋人との間で繰り返してしまうことも多いため、過去と現在の相手や関係性は別物であると線引きすることも重要です。過去の愛着関係について恋人同士で話し合う場合は、過去の関係に拘り過ぎず、客観視する意識を持ちましょう。
現在の自分の良い面を認め、目の前の恋人との関係に向き合うことで、人間関係の中で新たに安心・安全である感覚を形成しやすくなります。
(4)落ち着ける時間をつくる
愛着障害の寂しがり屋な人は、恋人の愛情を確かめるために様々な試し行動を起こしてしまいます。しかし、試し行動で満たされるのは一瞬であるため、すぐに寂しさに襲われてしまいます。
どうしても寂しさから自分や恋人が困ってしまう場合は、自分が落ち着ける場所や趣味等を探してみましょう。寂しさは人以外でも満たすことができます。自然の多い場所や好きなカフェ、癒されるペット、気分が良くなれる音楽等、自分が安心を感じられることと向き合い気持ちを安定させることも効果的です。
5.愛着障害のトピックについて
愛着障害についてのいくつかのトピックです。さらに詳細に知りたい方は以下をご覧ください。
6.寂しがり屋を克服するカウンセリングを受ける
過度な寂しがり屋は愛着障害の傾向や可能性があることを解説しました。また、その克服方法としていくつか提示しました。自分自身の努力で克服できればそれに越したことはありません。しかし、人によっては専門家の力や助言を借りるため、カウンセリングを受ける方が良い場合もあります。
(株)心理オフィスKでは寂しがり屋や愛着障害のカウンセリングを行っています。自分自身の寂しがり屋や愛着障害について相談したり、カウンセリングをうけたりすることを希望される方は以下のボタンからお申し込みください。