引きこもりになりやすい人やその親の特徴について
本記事は、引きこもりになりやすい人の特徴について解説しています。内閣府の調査では、引きこもりの約半数が、7年以上の長期に渡って引きこもりの状態にあるようです。引きこもりの期間が長引くと、本人も家族も辛い状態が続きます。引きこもりになりやすい人の特徴を性格面から見て原因を探り、適切な対処法を考えてみましょう。
目次
1.引きこもりになりやすい人の特徴
引きこもりになりやすい人には特徴が挙げられます。ここからは、性格面での特徴についてみていきましょう。
(1)真面目で頑張り過ぎる
引きこもりになりやすい人の特徴のひとつは、真面目であること。何事も真面目に取り組むのはよいことですが、時には頑張り過ぎてしまうことで、自分自身を追い込んでしまうため、引きこもりの原因になり得るのです。
また、責任感が強い面もあり、会社や学校を休んでいることに対して「きちんとしなければ」と自分にプレッシャーをかけてしまいます。さらに、できない自分を責めてストレスがたまって引きこもりが長期化する可能性も。真面目であることは決して悪いことではありませんが、少し肩の力を抜くことも大切です。
(2)自己肯定感・自己効力感が低い
自己肯定感や自己効力感が低い人も、引きこもりにつながることがあります。自己肯定感とは自分が必要とされていると感じること、自己効力感とは結果を出すための力が自分にあると信じていることです。
自己肯定感が低い人は「自分は必要とされていない」と感じ、自己効力感が低い人も「自分にはできない」というネガティブな思考になることが多く、自分に自信が持てなくなります。自信のなさから周囲に合わせる行動が多くなり、知らず知らずのうちにストレスをためていきます。過剰なストレスや挫折を味わって立ち直れなくなったことをきっかけに、引きこもりになるケースがあるのです。
(3)人目を気にし過ぎる
人の目を気にし過ぎる人も、引きこもりになりやすい特徴のひとつです。自尊心が高く、常に他人からの評価を気にし過ぎるあまり、評価が低いと傷ついて引きこもりにつながる可能性があります。また、他人の評価を気にして、よい評価を得ようと頑張り過ぎてしまうことも原因のひとつです。
人の目を気にする人が一度引きこもりになると、周囲から「自分はダメな人間だと思われている」とネガティブ思考に陥り、ますます外に出られなくなってしまいます。
(4)内向的で不満を表に出せない
内向的な性格で、普段から不満を爆発させるようなことがない人は、その分不満をため込んでしまいます。感情を表に出さないので、周囲からは不満を抱えていることが分かりにくく、気がつくと引きこもりという大変な状況になっているのです。
一つひとつの不満は些細なことかもしれませんが、我慢しているうちにストレスが蓄積されてしまい、結果引きこもるしかないような状況を引き起こすのです。
2.引きこもりになる人の親の特徴
親が引きこもりの直接の原因となることは少ないですが、引きこもりになる人の親にも一定の特徴が見られます。
(1)不平不満が多い
親が不平や不満を常に口にしているような環境で育つと、子ども自身がマイナス思考になる可能性があります。自己肯定感の低さは、育った環境に原因がある場合も。幼少期に親から受け入れられず、常に不平不満を聞いている環境で育った場合、大人になってからの思考にも影響することがあるのです。
(2)意見を押し付ける
親が自分の意見ばかり言ったり押し付けたりする場合は、子どもが自分のことを話しづらくなり、悩みを一人で抱えてしまうケースもあります。自分のことを話したいと思っても、否定されたり話を遮って意見を言われたりすることが続くと、次第に話せなくなるのです。悩みを話せないことがストレスとなり、結果として引きこもりの原因になります。
(3)指示ばかりする
親が指示を出すことが多い環境で育った場合、難しい問題にぶつかったときに対処する力が備わっていないことが考えられます。大人になってから大きな壁にぶつかったとき、乗り越えられず引きこもりになる可能性があるのです。
3.引きこもりから脱出できる人の特徴とは?
引きこもりの方に対して「怠けている」や「親が甘やかしている」などと誤解している方もいますが、引きこもりは誰にでも起こり得ることを忘れないでください。また、引きこもりの方も引きこもりの状態にあることを悩み、「今の状態から脱出したい」と感じている方は多いのです。
実際に引きこもりの状態から脱出した方もたくさんおり、過去に引きこもり経験があった方の約7割が社会復帰しているという調査結果もあります。では、引きこもりから脱出できる人の特徴にはどういったポイントがあるのでしょうか。
(1)周囲に相談できる
引きこもりからの脱出に大切なことは、周囲に相談できる環境を整えることです。引きこもりの長期化を促すメカニズムを模式図にした「引きこもりシステム」というものがあります。通常であれば、個人と家族、社会が接点を持ちながらお互いの境界を保っています。
しかし、個人と家族の接点がなくなったり、家族と社会の接点がなくなったりすると、それぞれの範囲内で安定し、引きこもりシステムが作動するというわけです。
引きこもりシステムが作動してしまうと、引きこもり当事者と家族とのコミュニケーションが上手くいかなくなり、すべての行為をプレッシャーに感じてしまいます。ボタンの掛け違いで、お互いを思う気持ちを表現できなくなるというわけです。
つまり、自分の内にこもるのではなく、少しでも家族や社会と接点を持ちながら周囲に相談できる環境を整え、周囲に頼ると引きこもりから脱出しやすくなるでしょう。
(2)引きこもりから脱出したい気持ちが強い
引きこもりから脱出したい気持ちが強い方は、社会復帰しやすい傾向にあります。たしかに、引きこもっている状態から社会復帰するのはとても勇気がいることです。
だからこそ、「現状を打破したい」と思いつつも、「またあの時のような思いはしたくない」という気持ちとの狭間で何度も揺れ動き、新しい一歩を踏み出せない状況なのかもしれません。
反対に、「社会復帰すればさまざまな人と関わるために、大変なことは必ずある」と受け入れ、社会復帰を強く望めば引きこもりの長期化は防げるでしょう。
(3)小さな成功体験を積んでいる
引きこもりの状態から急に明日から働くというのは当事者にとってかなりハードルが高いといえるでしょう。少しずつ小さな成功体験を積んでいくと自信がつき、引きこもりから脱出しやすくなります。
例えば、家の周辺を散歩する、電車やバスに乗る、コンビニに行く、お店の人に話しかけてみるなどの経験を積むことがおすすめです。失敗しても心配はいりません。失敗したときは、できるまで続ければ良いのです。
自分のペースで少しずつできることが増えれば、自然と自信もついていくでしょう。
4.引きこもりについてのコラム
引きこもりについてのいくつかのトピックを紹介します。さらに詳しく引きこもりについて知りたい方はご覧ください。
5.カウンセリングを受けたい
引きこもりになる原因は人によってさまざまですが、真面目で頑張り過ぎるところがあり、自己肯定感や自己効力感が低いといった特徴があります。規則正しい生活を心がけ、少しずつ以前の生活に戻すことが大切です。しかし引きこもりは、厚生労働省の統計からも長引くことが分かっています。引きこもりが長期に渡れば本人も家族も苦しい時間が続くので、早めに専門家に相談することがおすすめです。
当オフィスでは、引きこもりのカウンセリングも実施しています。日曜祝日や、夜間も22時まで相談可能です。外出が難しい場合はオンラインカウンセリングもできますので、まずはお気軽にご相談ください。