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繊細すぎて生きづらい?それはHSPに多い性格かもしれません

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略です。

心理学者によって提唱された概念とされており、一般的にはあらゆる刺激に対して他者と比べて非常に敏感であり、繊細な気質を持っている人を指します。その性格としては感受性が豊かで強すぎる要素があり、他人の感情がとても気になりやすくなるために通常よりもストレスを感じやすい傾向があります。

今回は「HSPに多い性格とは」を中心に説明していきます。

1.HSPの特性

HSPとは、もともと周囲の刺激を感じる閾値が低く、身体の内外における種々の刺激に対して非常に敏感に反応する傾向が強く、通常よりも感受性が高い人々のことを意味します。HSPは育ってきた環境などのいわゆる後天的な要素で左右されるものではなく、通常では先天的に生まれ持った気質であることが判明してきています。

本邦では、統計学的には人口の概ね15%~20%、つまり約5人に1人があてはまると伝えられ、日本人はその特徴的な国民性からHSPの割合が海外諸外国の人々よりも比較的高いと言われています。

2.HSPに多い性格とは?

HSPの人には様々な性格や特徴があります。

(1)空気感や感情を深く読み取る能力

一つ目は、周囲の環境の雰囲気やまわりの人の空気感や感情を深く読み取る能力に長けており、その影響もあって自分のほうから合わせるように調整することが多く認められます。小説やドラマ、絵画などの作品に強く感情移入することが多いのも特徴の一つと考えられていますが、その一方では深く情報を読み取り処理するために必要以上に疲労が蓄積する原因にもなるといえます。

同様に、他人の気持ちを敏感に感じ取り過ぎて深く共感することが多いゆえに、相手に対して必要以上に同感したり、他者の考えに同調しすぎて引きずられるなど、結果として自分を見失ってしまい不利益を被ることもあります。

(2)刺激に対して非常に敏感

次に、外部からの刺激に対して非常に敏感に反応するために、例えば人混みの混雑地帯やちょっとした物音、あるいは食べ物の外観や味・においなどの体の五感で感じる物理的刺激を受けると意図とは無関係に過敏に反応してしまう傾向が強いです。

そのため、ちょっとしたことでビックリしてしまいがちです。

HSPの方は常日頃から無意識に周りの空気感を四六時中と言っていい程にかき集めているために、人が渋滞して混雑している状況や、周囲のネガティブな感情に知らず知らずのうちに巻き込まれているなどして自分自身の体力や精神力を大きく消耗してしまいます。

(3)他者を優先させてしまう

根本的にHSPの人はその繊細な性格さがあるゆえに、対人関係においては相手を責めることをほとんどすることなく、その反面で良心的で優しく相手のことを思い、自分のことよりも周りの他人を何事につけても優先してしまう傾向があります。

逆説的に考えると、相手のことを気にするあまりにどんなに些細なことでも、まずは自分を責めてつい悪い方向に考えてしまい自暴自棄に陥ってしまいがちでもあります。

どうしてもネガティブ思考になりがちで自分に自信がなかなか持てないため、周りからの怒りの標的にされ損な役割に回ることも多いです。

ですから、あらかじめ予防線を張るように自分の本音をつい隠してしまう傾向が高いことからも社会生活において人との関わりが苦手であるという特徴を有しています。

3.HSPの人が日常生活で注意すべきポイント

これまで述べてきたように、HSPとは人よりも感度の高いアンテナを常に張っている状態であることが多く、ある意味では小さな仕草や言動をみるだけで相手の気持ちを汲み取ることができる利点を持ち合わせています。

そして五感的感覚が通常より敏感であることから、色々なものに深く感動できたりすることはメリットともいえますが、その反面では色々なことを敏感に感じ取り過ぎた結果として自身のストレスの要因になるので注意が必要です。生活のあらゆる場面で、他人とは異なる性格さがあるゆえに苦しい思いや悲しい体験を感じることが多種多様に存在して、時には生きづらさを強く感じてしまうこともあるでしょう。

HSPの人が日常生活で注意すべきポイントは、一言でいうと自分自身でHSPのことを正しく知って理解し、HSPであることと真摯に向き合うことです。つまり、日々の生活の中で今までの自分では到底耐えられなかったことやなかなか受け入れられなかったことを正しく知る事によって、少しでも自分という人間を客観的に受け入れることができ、ひいては豊かな人生に変えることに繋がるものと信じております。

こうしたライフスキルは普段の生活で生じる多彩な問題や要求に前向きに対処するために必要な心理的かつ社会的な能力であるとされています。ですので、高いライフスキルを有する者はたとえHSPであっても身体的のみならず精神的な健康を維持しやすいことが知られています。

例えば、仮に自分は人より劣っていて生きている価値が乏しい存在なのだと自分を責め続けるHSPの方がいらっしゃれば、専門職によるカウンセリングなどによって本当はそうではないんだということを真意に理解して、考え方を前向きに変更していくことが出来ます。

周囲のサポートを上手く利用して、自分の体質や性格、普段の思い癖や物事に対する認知の偏りなどを一つずつ洗い出していき、それらの症状を改善していく道案内をしてくれる専門施設や医療機関もあります。

周りに関心は持ちつつも、HSPの特性とも言える開放性や感受性は適度に保って、かつ他者の存在や周囲の状況に向く意識が過剰にならず協調性が低くなるレベルまでのひとりよがりな性格にならないように日常生活では心がけると良いでしょう。

4.HSPについてさらに詳しく知りたい人へ

HSPは病気ではなく、一つの特性であり、特徴といえます。こうしたHSPについてさらに知りたい方は以下のページをご覧ください。

さらに、HSPの特性や特徴、性格でお困りの場合には、カウンセリングを受けることも有用です。当オフィスでのカウンセリングをご希望の場合には以下からお申し込みください。

5.参考文献

  • 山内裕斗ら:視線に関する不快感情に及ぼすポジティブおよびネガティブな性格特性, 山口大学教育学部研究論叢70, pp27-33, 2021.
  • 串崎真志:繊細な心の科学-HSP入門.
  • 平野真理:心理的敏感さに対するレジリエンスの緩衝効果の検討—もともとの「弱さ」を後天的に補えるか—, 教育心理学研究 60(4), pp343-354, 2012.
  • 矢野康介ら:Highly sensitive person におけるライフスキルと抑うつ傾向の関連-非 Highly sensitive person との比較の観点から-, 日本心理学会大会発表論文集 81(0), 2017.