カウンセリングにおける不眠の取り扱い
堀忠雄(著)「快適睡眠のすすめ」岩波書店 2000年を読んだ感想を書きました。カウンセリングをしていく上で、睡眠や不眠についての知識があると非常に便利です。
1.睡眠の知識は必須
人間は人生の中で1/3~1/4は睡眠に時間を費やしており、その重要性はとても高いと思います。またカウンセリングの中でクライエントさんと話をしていると不眠症状を持っていることが多いようです。うつの方の7~8割は不眠を訴えているように思います。
ここから考えると睡眠についての基礎的な知識はカウンセリングをしているととても必要になってきます。そうした基礎知識を十分すぎるほど補ってくれる本書はカウンセラーにとって必読ではないかとまで思うぐらい良い本です。
2.睡眠のメカニズム
本書の前半・中盤ぐらいまでは、睡眠のメカニズムについての説明がされています。特に夜の眠気だけではなく、昼間の眠気についても解説されており、それが生物リズムから説明されているところは面白く読みました。
3.快適睡眠の方法
後半では、どのようにしたら快適な睡眠を取れるのを色々と書いており、初めて聞く方法などもありました。目からウロコが落ちる思いです。簡単に箇条書きをすると、以下のようなことが書かれていました。
- 寝る前6時間以内にカフェインを摂取しない
- 日中に多少の運動をする
- 寝る前に激しい運動をしない
- 寝る前に熱いお風呂に入らない
- 寝る前にぬる目のお風呂に入る
- 寝る2~3時間前に軽い運動
- 寝る直前にコップ一杯の水を飲む
- ベッドに入るのは眠たくなってから
- 頭や足を冷やす
- 早起きをする 起きた時には朝日を浴びる
- お昼に30分以内の軽い睡眠を取る
- 寝溜めはしない
- ベッド・枕・パジャマは自分に合ったものを選ぶ
といった感じです。それぞれの方法の根拠や理由については本書に詳しく書いてあるので、また参照してもらえたら良いと思います。
4.睡眠を企業システムに導入
一つだけ付け加えると「(11)お昼に30分以内の軽い睡眠を取る」は意外な感じも受けますが、生物リズムからすると、昼の14~15時ごろに眠気を催すようです。そのため、そこで軽い睡眠を取ることでリズムが安定し、睡眠後の作業効率や創造性、QOLなどが向上する結果となるようです。
このことから企業や会社では14~15時に睡眠休憩を作る方が企業成績も上がるのではないかと思いますが、こういうシステムを採用しているところはあまりないでしょう。もしこれを見た企業労務担当者さんがいたら、是非このシステムの導入を検討してもらえたらと希望します。