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公開:2019-08-01 更新:2019-08-01

性犯罪被害者のカウンセリング

目次

  1. 性犯罪被害者のトラウマ
    1. 身体の防御機構
    2. トラウマの症状化
  2. 被害者のケアとカウンセリング
    1. 支援者の性別による違い
    2. ケアの三要素
      1. 安全の確立
      2. 責任の所在の変化
      3. 自己効力感の向上
    3. 被害者への心理療法やカウンセリング

 性犯罪被害者の見立てと心理的ケアとカウンセリングについて、これまでの臨床経験から思うことを少し書きます。ちなみにここでは加害者が男性、被害者が女性に限定しています。それ以外の組み合わせも世の中にはありますが、私にはその臨床経験がないので、あまり明確に書くことができない、というのが理由です。

1.性犯罪被害者のトラウマ

(1)身体の防御機構

 女性が性被害にあっても性的に興奮しているのか、について取り沙汰されることがあります。しかし、これについては、おそらくは無いのではないかと思います。ただし、強引な性交によって、膣が傷付かないように体液が分泌されることはあります。これは性的興奮とは別の身体の防御機構ともいえます。

 しかし、この膣の体液の分泌が単なる防御機構にも関わらず、被害者は強制的な性交により性的に興奮したのだ、と誤認することがあります。そして、このことが後々に被害者が強い罪悪感に苛まれることに繋がることは多いようです。また、周囲の人からも、時には専門家といわれる法曹関係者からも性的に興奮していたと攻撃されることもあります。このことがさらに被害者の罪悪感を強める結果となってしまいます。

 また、被害者は往々にして被害時には恐怖反応により抵抗することができない状態にあります。このことも、抵抗できなかった、受け入れてしまった、という無力感や罪悪感に繋がってしまうこともあります。

 さらには、強制的な性交を早く終わらせたいという思いから、被害者が加害者の射精を手伝うこともあります。もしくは妊娠や病気の恐怖から避妊してもらう代わりに性交を許容することもあります。こうしたことを被害者が後々に罪悪感を抱くことになったりもします。

 それに付け加えて、そうした事があると、それも周囲や法曹関係者から性交の合意があったと言われ、被害者もそれを真に受けて、自身にさらなる罪悪感を持つことになってしまいます。

(2)トラウマの症状化

 こうした幾十にも重なる罪悪感や無力感と、また実際のトラウマ体験とが重なり、被害者は強く追い込まれていくこととなってしまいます。このことにより、PTSDのような、様々な症状や問題行動となってしまいます。

 特に性行動や対男性関係に非常に極端に問題が現れます。過度に男性や時には対人関係全般から引きこもることがあります。いわゆる回避です。しかし一方で全く反対に過度に性行動が活発になり、不特定多数の男性と性交をするといったような行動化になる場合もあります。

 これらの行動化によりトラウマ体験を繰り返すことになってしまいます。反復強迫という観点からも理解できるかもしれません。しかし、同じ行動をすることにより、体験を修正しようとする儚い希望も含まれているとも理解できます。

2.被害者のケアとカウンセリング

(1)支援者の性別による違い

 こうした観点から理解できる性犯罪被害者の心理的ケアとカウンセリングについて書きます。まず、性犯罪直後の心理的ケアとカウンセリングについては女性支援者による対応が必要となるでしょう。男性支援者は過度に侵襲的になるリスクがあるからです。

 しかし、中長期的な心理的ケアとカウンセリングでは、女性支援者と同じぐらい男性支援者も効果的になる、というデータもあります。おそらく、男性支援者との接触が認知行動療法でいうところの曝露的な効用になっていると考えられます。また、男性支援者とのほどよい関係性は、過度に偏ってしまった男性という対象関係を修正することに寄与している、と理解できるかもしれません。

(2)ケアの三要素

 そして、性犯罪被害者の心理的ケアとカウンセリングにおいて、大まかに求められることとして、安全の確立、責任の所在の変化、自己効力感の向上の3つがあります。また、この3つの確立にはある程度の順番があります。

安全の確立

 最初の安全感は、これ以上被害を受けないという物理的な安全の保証です。これがないと、後の2つは確立しにくいでしょう。安全感は精神的な側面もあり、守られていて、助けられていて、ここにいれば安全であるという感覚でもあります。この安全感は例えば加害者がまだ捕まっていない、という状況であればなかなか確立できませんし、捕まっていても釈放や保釈、出所などが迫っている中でも確立できません。

 しばしば被害者から聞くのは、逆恨みされて、また同じ被害にあうのではないかという不安と恐怖であり、それはとても強いようです。そのため、一生、刑務所から出ないで欲しいという希望もよく聞きます。同じ空気を吸っていること自体が耐えられない、とも言います。

 この安全感はその後のどのようなケアや専門的治療、カウンセリングを行うにしてもほぼ絶対的に必要な要素であるといえます。

責任の所在の変化

 そして、2つ目は責任の所在の変化です。多くの被害者は被害にあったのは自分の責任である、と自責的になっています。

 当たり前ですが、悪いのは加害者であり、被害者ではありません。それは例え防犯が甘かったとしても、です。なので、適切に自分は悪くなかった、責任はない、と意識が変わることが求められます。

自己効力感の向上

 そして、3つ目に自己効力感を育てることが求められます。被害を受けたことは自己を否定されたことであり、対処できなかったことへの無力感が相当強いのです。

 そのため対処可能性を育て、結果的に自己効力感を高めることが支援となります。被害者に格闘技を習わせている団体もあるようで、おそらくそれは強くなるとか勝てるようになる、という物理的な意味以上に、心理的に対処可能性が高められ、自信や自己効力感の向上にに繋がることが効果的になっているのでしょう。

(3)被害者への心理療法やカウンセリング

 こうした安全感の確立、責任の変化、自己効力感の向上が性犯罪被害者のケアにとってはとても大切です。そして、もし仮に専門的な心理療法やカウンセリングをするにしても、まずはこの3つがある程度確立してから導入するのが良いと思います。

 また専門的な心理療法やカウンセリングのプロセスの中でも、さらにこの3つの要素が高められていくと良いでしょう。この3つがどれぐらいなのかを知ることは性犯罪被害者の支援をしていく戦略図にもなり、また現在の立ち位置を知ることにも役立ちます。

 個別の対応の中では、被害者が自罰的になり、そして自己否定をすることは非常に多いです。そして、この自罰的な認識や自己否定は非常に目立つので、それをまずは修正しようと支援者はしてしまうようですが、多くは上手くいきません。なぜなら、自罰や自己否定は原因ではなく、結果なので、そこから変えていくことはあまり意味がありません。

 また、自己否定を修正しようとする支援者の言動が、実は被害者を否定してしまうことになり、結果的に被害者はやはり自身が悪い、間違っているという認識になってしまいます。

そのため、自己否定を扱うのは後回しにし、まずは安全や責任や自己効力感を扱う方が良いでしょう。そのプロセスの中で、自己否定は自然と変化していくことが多いとようです。


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