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マーガレット・リトル

マーガレット・リトル(Margaret I. Little, 1901–1994)は、イギリスの精神分析家であり、メラニー・クラインおよびドナルド・ウィニコットの影響を受けながら独自の臨床的視点を発展させた人物です。とくに逆転移の理解や、重篤な人格障害・精神病水準の患者との治療関係のあり方をめぐる議論で知られています。

リトルは当初、メラニー・クラインのもとで分析を受けましたが、その過程で強い葛藤を経験しました。その後、ドナルド・ウィニコットの分析を受けた体験が、彼女の臨床的・理論的立場に大きな影響を与えました。この経験は、後に彼女の著作の中で自己分析的な形でも語られており、精神分析の歴史においても注目される記録となっています。

彼女の理論的貢献の一つは、逆転移を治療関係の中心的要素として重視した点にあります。リトルは、治療者が患者に対して抱く感情や反応を単なる技術的障害として排除するのではなく、患者の内的世界を理解するための重要な手がかりとして捉える必要があると論じました。とくに重篤な患者の場合、患者は自己の未統合な体験を治療者に投影するため、治療者の情緒的反応そのものが臨床理解にとって重要な意味を持つと考えました。

またリトルは、精神分析的治療において患者が治療者に対して深い依存を示す段階の重要性にも注目しました。彼女は、このような依存状態が単なる退行ではなく、早期の発達的欠損を治療関係の中で再体験し、回復していく過程として理解されるべきであると論じています。この点は、ウィニコットの環境的視点とも響き合うものです。

このようにマーガレット・リトルは、逆転移、依存、治療関係の情緒的現実といった側面を重視する臨床的視点を提示し、対象関係論の流れの中で精神分析的精神療法の理解を深めた分析家の一人とされています。

文献

  • Little, M. I. (1951). Counter-Transference and the Patient’s Response to It. International Journal of Psycho-Analysis, 32, 32–40.
  • Little, M. I. (1990). Psychotic Anxieties and Containment: A Personal Record of an Analysis with Winnicott. London: Free Association Books.
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