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ハーバート・ローゼンフェルド

ハーバート・ローゼンフェルド(Herbert Rosenfeld, 1910–1986)は、ドイツ生まれの精神分析家で、後にイギリスで活動したクライン派の代表的な分析家の一人です。彼は精神病水準の患者、とくに重篤なナルシシズムや精神病的状態の臨床理解に大きく貢献しました。第二次世界大戦後のロンドンにおいて、メラニー・クラインの理論的枠組みを基盤としながら、精神病の精神分析的理解を深めた人物として知られています。

ローゼンフェルドの研究の中心には、精神病的な人格構造とナルシシズムの問題があります。彼は、重篤なナルシシズムをもつ患者において、自己の内部に破壊的な対象関係が形成され、それが自我の一部と結びつくことで、自己破壊的な心的構造が維持されると考えました。この構造では、患者は他者との関係を回避し、自己完結的な世界の中に閉じこもる傾向を示します。

またローゼンフェルドは、投影同一化が精神病的状態において重要な役割を果たすと考えました。患者は耐えがたい感情や心的内容を分析家に投影し、分析家を通してそれを操作しようとします。この過程によって、分析家は強い情緒的圧力や混乱を感じることがありますが、その体験を吟味することが患者の内的世界を理解する手がかりになるとされました。

さらに彼は、ナルシシズムには破壊的な形態だけでなく、より健康的な形態も存在すると考え、自己のまとまりや自尊心の維持に関わる側面にも注目しました。このような観点から、ローゼンフェルドは精神病や重篤な人格障害の治療において、患者の内的対象関係の構造を理解し、それを転移の中で扱うことの重要性を示しました。

ローゼンフェルドの研究は、ウィルフレッド・ビオンやハンナ・シーガルらと並び、クライン派による精神病の精神分析的理解を発展させる上で重要な役割を果たしたと評価されています。

文献

  • Rosenfeld, H. (1964). On the Psychopathology of Narcissism: A Clinical Approach. International Journal of Psycho-Analysis, 45, 332–337.
  • Rosenfeld, H. (1987). Impasse and Interpretation. London: Tavistock.
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