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トラウマによる嫌な記憶のフラッシュバックの対処法

フラッシュバックを克服する

フラッシュバックとは、過去に強いトラウマ体験(心的外傷)をした場合に、その時の嫌な記憶が後々になって急激にかつ非常に鮮明に思い出されたり、同じような夢を見てしまったりする現象のことを指します。さて、果たしてこのフラッシュバックに対処できる方法はあるのでしょうか。

今回は「トラウマによる嫌な記憶のフラッシュバックの対処法」について説明します。

1.そもそもフラッシュバックとは何なのか

フラッシュバックとは、過去のトラウマを受けて発現する心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害(ASD)の特徴的な症状のひとつであるといわれています。

例えば日々の生活の中で、自然災害や交通事故、あるいは暴力被害などを経験して自分が死んでしまうかもと極端に感じるような強い恐怖感を抱くイベントに遭遇したとします。その場合に適切な対処をしないままに時間が経過していくとその際に受けた大きな傷が後に悪化してフラッシュバックとして深刻な症状を引き起こすことがあります。

また、フラッシュバックという用語は過去に起こった莫大な記憶の中で、特にその記憶が自分にとって嫌なイメージを持ち、無意識的に不意に思い出されて、かつその時の光景がまるで現実世界で重複して起こっているかのような錯覚ともいうべき感覚を非常に激しく察知した際にも用いられます。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害(ASD)だけがフラッシュバックを起こすのではありません。

これまでの発達障害に該当する自閉スペクトラム症における脳画像研究によると海馬や扁桃体などが過去のトラウマ体験対応に関連する脳領域の脆弱性が指摘されています。特に自閉スペクトラム症児は仮に周囲の人々から叱責やいじめなどを繰り返し受けた後にフラッシュバックを自覚することが多く認められています。

同様に発達障害の範疇に含まれるアスペルガー症候群の児童にしばしば認められる現象としてフラッシュバックが挙げられます。その背景には自己存在に関する不安感や、人間形成するうえでの基盤の脆弱さがあるため、フラッシュバックを起こしてしまうと考えられています。

2.フラッシュバックにはどんな症状があるのか

深刻な過去のトラウマが発生した場合における特有の反応として、過覚醒、回避、麻痺行動以外に、フラッシュバック(侵入症状)が挙げられます。

具体的には、フラッシュバックでは思い出したくなくてもそのインパクトが大きい出来事や関係するイベントを自分の意志に反して勝手に思い出したり考えたりしまう症状が代表的です。その他に、否応なしに過去の出来事に類似した感覚になる悪夢を繰り返し見るという症状もあります。

よく誤解されやすいこととして、あくまでフラッシュバックは自分のなかで過去のトラウマ体験に対して感情の整理がつかず、意思とは無関係に脳に不吉な記憶が侵入して反復されることを意味します。ですので、ただ単に日常体験に伴う嫌な感情が芽生えて思い出されることと明確に区別されるべきです。

ボキャブラリー能力が未熟な幼児期の時に経験したトラウマ体験は、言語的に十分に認識できないまま記憶してしまいます。そして、それを後になって忘却することができない場合にもフラッシュバックは起こるとされています。この場合、当時の周辺の記憶はまともに意識上に存在しないため、時間軸に比例してその内容を変造したり加工することが困難になります。

3.嫌な記憶のフラッシュバックの対処法

これまで述べてきたことからも容易に想像できるように、そもそも誰しもがフラッシュバックを体験しないように衝撃的なトラウマ体験を回避することに越したことはありません。

特に自閉スペクトラム症や発達障害では通常と比べてストレス関連障害を引き起こしやすく、被虐待やいじめ被害などに遭遇するリスクが高いとされています。その不快な経験が後々フラッシュバックの発生に繋がるといわれています。

自閉症児を含む発達障害の人と共に社会的に生活することで生じる行動面や情緒面での問題を解決するために最も重要な要素は、その方を取り巻く周囲環境を調整することです。社会全体が発達障害の特性を正確に理解して適した対応をすることで結果としてフラッシュバックの予防に寄与するとも考えられます。

万が一可能な範囲で環境調整を実行したにもかかわらず、トラウマの出現およびフラッシュバックの悪化を防げない場合には補足的に薬物治療を選択するケースがあります。特にフラッシュバック症状に対して抗うつ作用も有する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の効果が過去の医学的検証で示されています。

それ以外にもトラウマ体験に対して有効と考えられている心理的アプローチを用いた治療法としてトラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)があります。ただ、この治療をするうえでは専門スタッフの労力が過重になるのみならず、概ね1回あたり約1時間以上を要します。そのため、本邦では限られた施設でしか施行されておらず、実際のところはこの治療を受ける機会は非常に少ないかもしれません。

再び触れることが辛い過去のトラウマ体験を扱っていくことは誰にとっても非常に苦しいことです。嫌な記憶としてのフラッシュバックに向き合うためには、普段の生活に安心感があって余裕を持つことが重要です。まずは信頼できる相手と協力してトラウマ反応を認識することを大切にする必要があります。

フラッシュバックで長く苦悩している人たちが、臨床心理士やカウンセラーなどの専門職の方々とともに症状に向き合って治療して、つらい感情状態になっても自分である程度処理できる対策を学習して身に着けることができる日が来ることを願っております。

4.フラッシュバックについての相談をしたい方は

こうしたフラッシュバックはPTSDや発達障害でよく起こる症状です。PTSDや発達障害について更に詳しく知りたい人は以下のページをご覧ください。

発達障害のカウンセリング・相談
発達障害は、自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害、知的障害などの広範な遺伝的負因による障害です。発達障害は心と身体の成長や発達がうまく作動しなかったり、アンバランスになったりします。発達障害の原因、特徴、症状、治療、支援について解説します。
トラウマのカウンセリング・相談
トラウマとは、いわゆる「心の傷」といわれるものです。身体が傷つくことと同じように同じように心も傷ついてしまいます。そして、フラッシュバックや過覚醒、回避などのいくつかの症状が重なるとPTSDという診断になります。

また、フラッシュバックは非常に苦痛な体験です。ですので、ただ耐えて、我慢するだけではなく、臨床心理士や医師などの専門家にまずは相談すると良いでしょう。当オフィスでもフラッシュバックについての相談を受けて受けています。相談を希望する方は以下のページからお問い合わせしてください。

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5.参考文献

  • 浦崎武:アスペルガー症候群の子どもの学童期におけるフラッシュバックと自己存在に関する不安~発達にともなう行動の変容と関係性に焦点を当てた支援のあり方~. 琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 1, p1-17, 2010.
  • 林剛丞ら:ストレス関連障害を示す発達障害. ストレス科学研究誌 30, 2015.
【監修者情報】

  • 甲斐沼 孟 先生
  • 資格:医師、日本病院総合診療医学会認定医、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本医師会認定産業医、他多数
  • 経歴:平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より大阪市内救急病院にて勤務、令和3年現在同院救急科医長。