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大人の発達障害とは

発達障害は先天的な脳の機能障害ですが、成人後に診断される「大人の発達障害」も近年注目されています。今回は、大人の発達障害と子どもの発達障害の違い、診断、治療、接し方などについて解説します。

1.大人の発達障害とは

パジャマを着ている引きこもりの女性

大人の発達障害とは、成人後に診断される発達障害を指し、個人の特性の偏りから人間関係や社会生活で生きづらさを感じやすい障害です。

人は誰でも発達能力に凹凸が見られますが、発達障害の場合は思考や行動、興味関心など個人内能力の凹凸が大きく、極端な得意不得意や相手の気持ちを想像できないといった特徴が現れます。大人の発達障害の特徴は、幼少期や小・中学生の頃には特性の現れ方が軽度であったり、親や友人、教師たちからサポートを受けたりすることで見過ごされる可能性が高いことです。

また、特性の偏りが見られても「ちょっと変わっている人」、「空気が読めない人」というレッテルを貼られるものの問題視されないケースもあります。

しかし、社会人になると複雑な対人関係や業務量が増え、コミュニケーション能力や作業効率などが求められることで、元々持っていた個人の特性が目立つようになります。「もしかして発達障害かもしれない」と社会生活で生きづらさを感じやすくなると考えられます。

発達障害についての詳細は以下をご覧ください。

2.子どもの発達障害との違い

本を読む少女

発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)等があり、それぞれ大人にも子どもにも見られる障害ですが、困難に感じることに違いがあります。

大人の発達障害の場合、障害特性や合併症によって仕事が長続きしなかったり、計画的な家事ができなかったりするなど、自立した日常生活を送ることに困難さが生じやすいです。

(1)自閉スペクトラム症の場合

自閉スペクトラム症では、社会に出てから人とのコミュニケーションがとれない、職場などの環境変化に馴染めないといった困難さが見られます。

子どもの頃の学校生活では周りの人やルールに助けられて困り感が少なかった人でも、大人になってから社会的スキルを求められることで、環境への適応困難を感じる人は少なくありません。

自閉スペクトラム症の詳細は以下をご覧ください。

(2)注意欠陥多動性障害の場合

注意欠陥多動性障害では、子どもの場合は多動性・衝動性優位型が目立ちますが年齢と共に落ち着き、大人の場合は不注意優位型が目立ちます。

好きなことへの没頭として、アルコールやギャンブル依存に陥ることもあります。

注意欠陥多動性障害の詳細は以下をご覧ください。

(3)学習障害の場合

学習障害の場合は学校生活において発見されることが多いですが、大人の場合では読み飛ばしや聞き間違いの多さから会話に困ったり、仕事で用いるグラフ等を読み取れなかったりすることで社会生活に影響があります。

学習障害の詳細は以下をご覧ください。

3.大人の発達障害の診断

家族のカウンセリング

大人の発達障害は大人になってから発症するものではなく、先天的な脳の機能障害が原因と考えられているため、診断には幼少期の生育歴の聴取が不可欠です

現在みられる社会性の問題等が子どもの頃から続いている特徴であるかを判断していきますが、大人の診断では幼少期の情報が曖昧であったり、本人の主観が強まり誘導的な解釈をしてしまったり、うつ病や不安障害といった二次障害が生じて複雑化している等の問題があるため見極めの難しさがあります。

知能検査のWAIS-Ⅳの結果は大変参考になりますし、診断のためには欠かせないものです。しかし、知能検査のWAIS-Ⅳだけでは診断することができないため、診断の際は詳細な生育歴を話せるように子どもの頃の様子の分かる資料を用意してみましょう。

WAIS-Ⅳの詳細については以下のページが参考になります。

4.大人の発達障害の治療

パソコンを見ている二人の女性

発達障害は先天的な障害であるため根本的な治療ができない特徴があります。しかし、人間関係を今より良好な関係にし、仕事や家事をスムーズに行えるようにして生きやすくすることは可能です。

大人の発達障害とうまく付き合っていくために、カウンセリングや精神科デイケアを利用して気持ちの整理やコーピングの習得ができます。

また、ソーシャルスキルトレーニングで社会生活に適応的な行動を学習する方法や、気分の落ち込み等の二次障害を緩和するために薬物療法の選択肢もあります。

「治す」ことに捉われず、自身の特性を知り、過ごしやすい環境を整えることが大切と言えるでしょう。

また、発達障害の中でも注意欠陥多動性障害にはコンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどの治療薬があります。薬物療法で完治するという訳ではありませんが、特性を抑えて過ごしやすくするための方法なので、医師と相談してみてください。

5.大人の発達障害への接し方

笑っている二人の男性

発達障害は、特性上周囲から「怠けている」、「ふざけている」と誤解を受けやすい障害です。幼少期は問題なく過ごしてこられた大人の発達障害では、さらに周囲から誤解されやすいと言えます。

現在では障害者雇用を積極的に採用する企業も増えており、大人の発達障害と接する機会も増えています。大人の発達障害と接するためには、障害があることやどんな特性が見られるかをまず理解しましょう。

そして、たとえば複数の指示でパニックを起こしやすい人には1つずつ指示をする等、本人が能力を発揮できるように環境を整えるサポートが効果的です。

大人の発達障害に限った接し方ではありませんが、何か困っているときは分かりやすい言葉で声をかけてあげましょう。特別なことをしてあげるのではなく、相手の苦手を知り、丁寧に関わる姿勢が支援の基本になります。

6.大人の発達障害の検査を受ける、相談をする、カウンセリングを受ける

男性と診察をする医師

このように大人の発達障害は現代的な問題であると言えます。大人の発達障害の診断には知能検査・WAIS-Ⅳなどが有効な方法です。当オフィスでもWAIS-Ⅳを受けることができます。希望者は以下の心理検査申し込みフォームからお問い合せください。

また、大人の発達障害について相談をしたり、カウンセリングを受けたりしたい方は以下のカウンセリング申し込みフォームからご連絡ください。


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